※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ホノルルからの悲鳴

光太郎が戦治郎達に今日起こった出来事を報告している頃、ミッドウェー島の飛行場姫の拠点の中にあるシスター・エリカの部屋には、部屋の主であるエリカとアルバート、そして駆の姿があった

 

彼女達は光太郎達にアラヌーカ島での儀式を妨害された後、最後の生贄を連れてすぐにミッドウェー島に帰還したのである。そして遅れて戻って来たアルバートがエリカに今後どう動くつもりでいるのかを尋ねたところ、エリカはアルバートと駆に自分に付いて来て欲しいと一言言うと、2人を自室に招き入れたのである

 

「んほぉ~、部屋中から女の子の匂いがして来て、某、クラクラしてきましたぞ~(女性の部屋の割に、飾り気も無い質素な部屋ですなぁ)」

 

エリカの部屋に入った直後、駆がこの様な発言をすると、すぐさまアルバートが駆を睨みつけながらその頭を鞘に入れたエストックで殴りつける

 

その後2人が言い争いを始めたところで

 

「2人共、どうぞ掛けて下さい」

 

エリカが部屋の中央にあるテーブルセットの椅子に腰を下ろしながら、言い争いする2人に向かって着席を促すのであった

 

「先程アルバートが尋ねた件ですが、私は儀式を続行するつもりでいます」

 

2人がエリカの言う事を素直に聞いて、エリカの対面に並べられた2つの椅子に座った事を確認したところで、エリカは2人の顔を真っ直ぐ見つめながらそう言い放った

 

「儀式を続行すると申しますか……、しかしどうするのですぞ?海賊団の連中はこの海域中を嗅ぎ回っていたようですから、某達が過去に儀式を行った場所を既に知っているのではないですかな?」

 

「恐らく奴らは僕達が儀式を続行すると踏んで、儀式を妨害する為に各地に見張りを立ててるかもしれないぞ?」

 

「それについてですが、これを見て下さい」

 

2人の言葉を聞いたエリカは、そう言うと予め準備していたのであろう地図をテーブルの上に広げるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆、取り敢えずこいつを見てくれ」

 

場所は戻ってウェーク島、話し合いの場を工廠から会議室に移したところで、戦治郎がそう言いながらプロジェクターを操作して、この海域の地図をスクリ-ンに表示する

 

戦治郎に言われた通りに海賊団のメンバーと長門達が地図を注視していると、全員がある事に気付く、そう、この地図には数ヵ所ほど赤丸が付けてあったのである

 

その赤丸はウェーク島、マーシャル諸島、ジョンストンアトール、そしてベーカー島の計4ヵ所に付けられていた。そう、この4つの島は全てあの祭壇があった場所なのである

 

「皆気付いてるだろうから丸の説明は省く、んで、今の光太郎の話だと……」

 

戦治郎はそう言いながら地図に新しく赤丸を付ける、今日光太郎達が向かったアラヌーカ島がある場所である

 

地図に赤丸を付けた戦治郎が、皆に向かってこれを見て気付いた事を言ってみて欲しいと言い放ち、皆はそれに従って色々な意見を口にする。そして……

 

「形が歪で凄ぇ汚ぇけど、五芒星を逆にした様にも見えるな」

 

何気無しにシゲがそう言った瞬間、戦治郎が急にシゲの事を指差して

 

「それなっ!」

 

そう言ってシゲの意見を肯定してから、戦治郎は自身の考えを皆に話し始める

 

「あいつらは恐らく、儀式を行う場所で悪魔の印をベースにした魔法陣を描きながら、何かよく分からん存在を召喚する為に生贄を捧げていたんじゃないかと俺は思ってるんだ。確か逆さの五芒星は悪魔の印とかどっかで聞いた覚えがあるんだわ、って事で少なくともあいつらが呼び出そうとしてんのは、碌でもない存在なのは間違いないと思うわ」

 

「そいつらは召喚した何かに頼んで人類を滅ぼそうとしている訳か……、一体何に為にそんな事をするのか……、元は同じ人間だったはずだろうに……」

 

戦治郎の言葉を聞いた長門が、眉間に皺を寄せながらそう呟くと

 

「理由は流石に分からんが、闇城の戦闘方法と言い、光太郎達が見たと言う儀式での艦娘の扱いと言い、余程人間に恨みがあるのだろうな……」

 

「で、人間滅ぼす為のあいつらの秘密兵器の召喚には多くの生贄が必要で、現在23人まで生贄を捧げている、と……」

 

「春雨ちゃん達が言っていた事と戦治郎の予想から考えると、恐らくアラヌーカ島での儀式が最後だったのかな?」

 

「って事はよぉ、奴らは後1人生贄を捧げりゃ準備完了って事かぁ?」

 

長門の呟きを聞いた空、戦治郎、光太郎、悟の4人が、思い思いの言葉を口にすると、この場にいる全員の表情が、より険しいものへと変化する

 

もしこの予想が当たっていた場合、アビス・コンダクターは儀式を何としてでも完了させようと動こうとするのが容易に想像出来たから、そしてそれを阻止出来なければ、ここにいる者達だけではなく、世界中に存在する人類が危険に晒されてしまう事が分かり切っているから、自分達が背負っているものの重させいで、皆の表情は暗くなってしまったのである

 

「こりゃ何が何でも儀式を阻止しねぇとな……」

 

「阻止しないといけないのは分かるけど……、どうやって阻止するの?まさか今分かってる祭壇の場所を手分けして張り込んで、あいつらが来たところで奇襲でもかけるの?」

 

戦治郎の呟きを聞いた陽炎が、その方法について尋ねると

 

「馬鹿言え、ウチの規模とあっちの規模を考えろ、あっちはこれで最後だから兵隊全部連れて来る可能性あんだぞ?そこに俺達が数人突っ込んでも自殺行為にしかならんだろ」

 

「では、どうするのですか?」

 

戦治郎は陽炎に対してこの様に返すと、今度はそれを聞いていた不知火が戦治郎に尋ねてくる

 

「実は地図見て思った事があんだわ、って事でまた地図見てくれ」

 

戦治郎の指示に従い、皆がまたスクリーンに視線を向けたところで、戦治郎はある場所に丸を書いた後、先程丸を書き加えた場所と祭壇があった場所を線で結び始める。すると……

 

「これは……っ!?」

 

線が書き加えられた地図を見た空が思わず声を上げ、他のメンバーも驚愕の表情をその顔に張り付かせて硬直するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この場所で儀式を行えば、当初の予定から少しだけ外れますが、魔法陣を描く事が可能になります」

 

「奴らが見当違いな場所を守っている間に、僕達は密かに儀式を進め、あの御方を召喚すると言う事か……」

 

「それなら邪魔される心配もありませんなぁ」

 

エリカが地図のある点を指で指しながらこう言うと、アルバートと駆は納得した様に頷いて見せる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここで儀式が行われたら、六芒星の魔法陣にならねぇか?」

 

「後1人捧げりゃいいだけですからね、そこならパッと始めてパパっと終わらせる事が出来るでしょうね……」

 

「もし戦ちゃんの予想が合ってたら、ホント骨が折れそうね……、潜入するのも生贄ちゃんを助けるのも、ね……」

 

戦治郎がつい先程丸を書き加えた場所をペンで指しながら皆に向かってこう尋ねると、シゲと剛が苦虫を噛み潰した様な顔で、この様に答えるのであった

 

 

 

 

 

戦治郎とエリカが示した場所、それは飛行場姫が住まう島、そして長門達が攻め入ろうとしているあのミッドウェー島だったのである

 

その後、戦治郎達は長門達と共にミッドウェー島攻略の為の会議を始め、エリカ達は飛行場姫の許可を得た後に儀式の最終段階の準備を始めるのであった

 

 

 

 

 

それからしばらくして、戦治郎達の作戦が決まったところで、不意に通信機に通信が入る。戦治郎が不審に思いながらも通信に出ると、通信機の先にいる人物は慌てた様子で、流暢な英語でこう告げるのだった

 

『こちらホノルルの兵器開発研究所っ!応答願うっ!!こちらホノルルの兵器開発研究所っ!!我々は今、深海棲艦からの襲撃を受けているっ!!!誰か聞いてるなら返事をしてくれっ!!!頼むっ!!!誰か助けてくれっ!!!』

 

直後に通信は途絶えてしまい、通信機からはノイズが吐き出されるだけとなってしまうのであった……

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