空達が研究所からの脱出を開始した頃、戦治郎達はどうしているかと言うと……
「おう、ホントにこんだけしか知らねぇのか?まだ何か隠し持ってんじゃねぇのか?えぇ?おい?」
「マジだってっ!!俺達下っ端は皆このくらいの情報しか持ってないんだよっ!!!」
戦治郎がノーマル変態ホ級の頭を鷲掴みして宙吊りにし、彼が持つ情報を引きずり出そうと凄味を聞かせながら問いかける。するとホ級は恐怖でその身を震わせながら、戦治郎の問いに答えるのであった
「チィッ!」
「ほらっ!俺は知ってる事全部話したんだっ!!だから解放してくれよっ!?最初に約束しただろっ?!知ってる事全部教えたら解放するってっ!!!」
ホ級の言葉を聞いた戦治郎が舌打ちしたところで、ホ級が自身を早く解放する様に急かしてくる。戦治郎はホ級の言葉を聞くなり、ホ級を床に投げる様にして叩きつけて拘束を解除し、すぐさま次の情報源を探しにホ級に背中を見せて走り出す。すると……
「敵に背中見せるとか……、余裕カマしてんじゃねぇぞコラァッ!!!」
戦治郎の拘束から解放されたホ級が、起き上がるなりそう叫びながら戦治郎の背中に主砲を向け……
「てめぇで13人目っと」
この声と共に発射された砲弾に頭部を潰され絶命する
「命乞いからの騙し討ち率が100%とか、こいつらホント馬鹿だよな~」
「ご主人様が、騙し討ちを警戒してないとでも思ってるのかな?」
戦治郎から騙し討ちを仕掛けようとした不届きな輩を始末する様に頼まれて、気配を消してホ級の傍で待機していた弥七と太郎丸が、戦治郎に騙し討ちを仕掛けようとしたホ級を始末するなり、この様な会話をしながら戦治郎の後を追って走り出す
現在戦治郎達は、アビス・コンダクターが何を企んでいるのかを知る為に情報収集を行っているのである
その情報収集のやり方と言うのが、まずは5~10人くらいで行動する変態のグループを探し、情報を吐かせる為の1人を残して全員を目の前で撫で斬りにする事で残した1人が情報を吐き出したくなる様に恐怖心を植え付けてから、脅迫して情報を無理矢理吐かせると言うものである
まあ、こんな事をしているから背中から撃たれそうになる訳だが……、戦治郎は全く気にしている様子が無い。状況が状況であるが故、戦治郎は手段を選んでいる余裕が無いのである
と、こんな調子で13グループほど変態のグループを叩き潰した戦治郎達が、変達達の口から吐かせて入手した情報は、以下の通りである
①シスター・エリカはこの研究所を、儀式の最終段階で使用する祭壇、『燃え上がる祭壇』にしようと考えている
②変態達はエリカの指示を受けた駆の指示で、この研究所を『燃え上がる祭壇』にする為に、研究所のあちこちに火を放っている
③エリカが具体的に何をしようとしているのかについては、変態達には全く教えられていない
ホ級を始末した後、戦治郎達は追加で2グループ潰して情報を聞き出すのだが、既存の情報しか入手出来なかった為、戦治郎は雑魚からはこれ以上の情報は入手出来ないと判断し、情報を持っていそうな駆を探す方向に切り替えて、行動を再開するのであった
さて、駆を探して研究所内を駆け回る戦治郎達が、とあるT字路に差し掛かった時である
『だ、誰かっ!誰かあああぁぁぁーーーっ!!!』『いやあああぁぁぁーーーっ!!!助けてえええぇぇぇーーーっ!!!』
突然T字路の右側から、若い男女の悲鳴が聞こえて来る。突然の出来事に戦治郎達が驚き足を止めていると、声が聞こえた方の道から若い男女が飛び出して来るのだが……
「キキーッ!!!」
直後にこの男女を追って来たと思われる双子の黒い方が男性に飛び掛かり、男性の胸からあっという間に肋骨を抜き取り殺害してしまうのであった
その光景を目の当たりにした女性が、恐怖のあまり硬直していると……
「ウキャーッ!!!」
今度は双子の白い方が通路から姿を現し、女性に襲い掛かろうとする……
「やべぇっ!!!」
今にも双子の白い方に殺されそうな女性を助けようと、戦治郎が叫びながら懐からジェスターを取り出して発砲しようとしたその時である
「喰らえやクソがぁっ!!!」
弥七が声を張り上げながら双子の白い方、駆がスカルと呼ぶ深海棲艦目掛けて尻尾の主砲を発射する。だが、それは寸でのところでスカルに回避されてしまい、砲弾は壁に当たると盛大に爆発し、辺りにその爆煙を撒き散らすのであった
「キキャキャキャキャッ!」
煙の中からスカルが弥七を馬鹿にする様な笑い声を上げ、再び女性の方へと向き直りゆっくりと彼女に近付いて、その頭蓋骨を抜き取ろうとしたところで……
「でいやあああぁぁぁーーーっ!!!」
煙に紛れ込んでスカルに接近した太郎丸が、スカルの側頭部に見事な飛び蹴りを叩き込み、勢いを殺す事無くそのままスカルを壁に叩きつけるのであった
突如目の前で始まった深海棲艦同士の戦いを見た女性は、混乱してオロオロしながら辺りを見回し始める。そんな彼女に対して、戦治郎がこっちに来るようにと声を張り上げて呼びかけると……
『もうホント訳分かんないっ!!!お願いだから誰か助けてえええぇぇぇーーーっ!!!』
彼女はそう叫んで、そのままT字路の左側に走って行ってしまうのであった……
それから戦治郎は走り去った女性を追うべきか、太郎丸達に加勢するべきかで迷ってしまうのだが
「ご主人様、こいつらの相手は僕達に任せてっ!!」
「俺達は丁度こいつらに用事があったからな、って事でご主人はさっきの姉ちゃんの方頼むっ!!!」
太郎丸と弥七から揃って頼まれた為、戦治郎は先程の女性の後を追う事にするのであった
「お前ら気を付けろよ、絶対無茶だけはしてくれるなよ?」
戦治郎が太郎丸達にそう言うと、2人は双子をしっかりと見据え戦治郎に背中を向けたままサムズアップで返答、それを見た戦治郎はこの場を2人に任せて、この場を後にするのであった
「さてと……、俺がさっき言った用事っての、おめぇら心当たりはあるか?」
戦治郎が走り去った後、弥七は駆がスティーラーズと呼ぶこの双子に向かって、ガントレットの爪を擦り合わせながら尋ねる。それに対してスティーラーズは
「何の事?」「シラネ」
同時に首を傾げながら、弥七の問いに対してこの様な返答をする。それを聞いた弥七は
「はぁ……、自分らがやった事覚えてねぇとか……、こいつら頭の中は猿のままかよ……」
溜息を吐いた後、スティーラーズに向かってやれやれと頭を振りながら、そんな言葉をぶつける。するとその直後に
「所詮猿なんだから仕方ないんじゃない?これまで頭の中お花畑のパッパラパーにして好き勝手して生きて来て、その結果こっちに来てるっぽいし」
太郎丸が戦闘用の牙を口に装着し、両手にジェスターを握りながらそう言い放つ
「何だとテメー!」「じゃあその用事とか言うの言ってみろよー!」
すると太郎丸の言葉が癇に障ったのか、スティーラーズはプリプリと怒りながら太郎丸達に用件とやらについて聞いてくる
「だったら教えてやんよ……」
スティーラーズの言葉を聞いた弥七が呟く様に返答した直後、太郎丸と弥七は瞬時に全身から殺気を放ち……
「よくも大五郎と春雨に酷い事したな……、そんなお前達を僕は絶対に許さないから……、覚悟しろ……っ!!!」
「俺の兄貴分への仕打ちの礼だ……、遠慮なく受け取りやがれっ!!!」
2人はそう言って、すぐさまスティーラーズに襲い掛かる。こうして、太郎丸達による大五郎の仇討ちが始まるのであった
実際のところ、動物から転生しているキャラは皆動物の言葉が分かるけど、その事実を公にしているのは太郎丸だけと言う設定です