スティーラーズについて話をしておこう
スティーラーズは元々とある山に住んでいた野生の猿のコンビで、コンビを結成した最初の頃は人里の農作物を荒らす程度のごく普通の野生猿だったのだが、ある日民家に侵入した時、自分達にとっては珍しいキラキラする物や、とても美味しそうな食べ物を大量に発見、民家の中を盛大に荒らしてそれらを持ち帰り、自分達の物にしてしまうのであった
そして次の日、2匹が再び民家を荒らしに行った時である、今度はその家の住人が部屋を荒らす2匹を追っ払おうと果敢に立ち向かうのだが、何とスティ-ラーズは家の住人に襲い掛かり、住人に大怪我を負わせ返り討ちにしてしまったのである
これがきっかけとなり、スティ-ラーズは調子に乗って民家を襲撃する様になり、山には無い様な食べ物だけでなく、貴金属で出来たアクセサリーやキャッシュカードとクレジットカードが入った財布まで奪い始め、更には部屋に飾られた骨董品なども悉く破壊し、自分達を追っ払おうとした人間も、逆に追っ払う様になってしまうのだった。しかも人を襲った時は身包みを全部剥ぎ取った上で、大怪我を負わせ撃退するのだと言う
こうしてスティ-ラーズは、自分達にとってはそれはそれは幸せな日々を満喫するのだが、それも長くは続かなかった。猟友会が動き出したのだ
猟友会はスティーラーズの行動パターンを分析し、次に2匹が襲撃しそうな家に罠を張って待ち構え、2匹が罠にかかったところですぐに罠がある場所に駆け付け、これ以上2匹に好き勝手させない様にとその場で射殺、処分したのである
その後、スティーラーズはこちらの世界で深海双子棲姫に生まれ変わり、駆と会うまでは自分達を殺した猟師を連想させる砲を持った艦娘や深海棲艦及び食べ物を積んだ輸送船を襲撃して回る日々を送るのであった
それからしばらく経ったある日、スティーラーズは遂に駆が率いる変態集団と運命の出会いを果たすのである
スティーラーズは駆達の姿を見かけるなり、すぐに激昂し襲い掛かる。それを見た変態達は大慌てで駆の背後に逃げ、そんな変態達の様子を見た駆は呆れたように溜息を吐いた後、死霊兵を大量に作り出して自分達に襲い掛かって来るスティーラーズを拘束する
「某の顔を見るなり襲い掛かるとは、感心出来かねますなぁ……」
拘束したスティーラーズに向かって、そう言いながらニヤニヤと不気味な笑みを浮かべる駆。この時駆は突然自分達に襲い掛かって来たスティ-ラーズを、強硬派の深海棲艦だと思っていたのだ。そして自分の手を煩わせたスティ-ラーズに罰を与えようと思い、変態達に2匹を好きにしていいと言おうとしたその時……
「ウキーッ!!キーキーッ!!!」「キッキャーッ!!ウキャキャーッ!!!」
猿の様な鳴き声を上げながら暴れる2匹を見て、思わず声を詰まらせてしまったのだ
「何故言葉を話せるはずの姫級深海棲艦が、その様な声を出すのです?何か言いたい事があったら、キチンとした人の言葉で話して欲しいものですぞ?」
駆は怪訝な顔をして2匹の前で屈みながらそう言うのだが、2匹は相変わらず猿の鳴き声で返事をする。それから駆が探る様に何度か2匹に質問をしたところ、その返事が全て猿の鳴き声で返って来た為、駆はそこでようやくこの2匹が猿が転生した転生個体だと気付いたのだ
その後、駆は2匹の拘束を解くと2匹に多めの餌を与え、2匹が餌に夢中になっている間に気付かれない様に移動を開始するのだが、何と2匹は駆が移動を開始した事に気付くと、餌を食べる手を止めてすぐに駆を追いかけたのだ
2匹が駆に付いて来た理由は2つある
1つは自分達は駆達の事を襲ったにも関わらず、駆が餌を与えてくれたから、駆に付いて行けば楽に餌がもらえるかもと思ったから
もう1つは駆がネクロマンシーを行使した時の姿を見て、こいつには逆らわない方がいい、むしろ服従するべきだと、野生の勘が訴え掛けて来たからである
こうして深海双子棲姫に生まれ変わった野生の猿コンビは、駆から白い方はスカル、黒い方はボーンと言う名前と、その能力からスティーラーズと言うコンビ名をもらい、駆のペットとなりある程度好き勝手しながらも、彼に従い付いて行く事になるのだった
そんなスティーラーズは現在、苦しい戦いを強いられていた
駆の指示に従い研究所に侵入して来た者達を始末する為に行動を起こしたスティーラーズだが、途中で逃げ惑う研究員達に気が行き、研究員達を玩具にして遊んでいたところで、自分達に苦汁を舐めさせた戦治郎達と遭遇してしまったのである
それからスティーラーズは、戦治郎が連れていた太郎丸と弥七を相手に戦闘を開始するのだが……
「ぐぅるぅあああぁぁぁーーーっ!!!」
「いぎゃあああぁぁぁーーーっ!!?」
咆哮を上げながらボーンの右腕に噛み付いた直後、凄まじい速さで大車輪を開始すると言う太郎丸の攻撃を受けて、思わずボーンは悲鳴を上げる
ボーンはその激痛に耐えながら、左腕で太郎丸を引き剝がそうとするのだが、ボーンが左腕をピクリと動かすや否や、弥七が発艦した艦載機達がボーンの左腕目掛けて一斉に機銃を発射し、ボーンの行動を妨害して来たのだ
これは不味いっ!そう思ったボーンが相棒であるスカルに、救援要請する様に視線を送るのだが……
「オラオラオラオラオラアアアァァァーーーッ!!!」
「ガッ!アガッ!!アグゥッ!!!」
頼みの綱の相棒は、現在弥七の尻尾に巻き付かれ拘束された状態で、顔面を鋭い爪で滅多刺しにされている最中であった
そう、スティーラーズは戦いが始まるなりこんな調子で、さっきからずっと太郎丸と弥七にボコボコにされているのである
太郎丸達はまず艦載機を大量に発艦させると共に、艤装の主砲をスティラーズ目掛けてしこたま発射し、砲弾で牽制しながらスティーラーズの視界を爆煙で潰したのである。そして太郎丸達は艦載機達を引き連れてスティーラーズとの間合いを詰め、相手の得意分野であろう格闘戦を仕掛けたのだ
戦治郎達からの情報でスティーラーズが砲撃などの遠距離攻撃に弱い事を知っているにも関わらず、何故太郎丸達はわざわざ相手の土俵に上がって戦うのか?その理由は単純なもので相手の土俵で相手を蹂躙し、心身共にスティーラーズを潰し尽くす為である
太郎丸達は立ち込める煙の中で、臭いを頼りにスティーラーズを見つけ出し、太郎丸はボーンの両足の健を噛み切って機動力を下げ、弥七はスカルを尻尾で拘束するなり、尻尾を勢いよく振り回してスカルの頭を床、天井、壁に何度も何度も、執拗なまでに叩きつけてその意識を削るのだった
と、ここで
「ぐぅるぅおおおぉぉぉーーーっ!!!」
太郎丸が噛み付いていたボーンの腕から牙を抜き、大車輪の勢いに乗って天井に向かって飛び上がるなり、天井を蹴ってボーンの頭に変則的な【三角蹴り】をお見舞いし、その勢いの余りボーンが倒れ込んだところで、今度は至近距離から砲撃を行いボーンを弥七の方へと吹き飛ばしたのだ
この時ボーンはせめて一矢報いようと、吹き飛ばされながらも左腕を弥七に向けて必死に伸ばすのだが……
「待ってたぜぇ……、おめぇがそれを使う時をよぉ……っ!!!」
弥七は何と、先程まで尻尾で拘束していたスカルを盾にして、ボーンの攻撃を待ち構えていたのである。それに気付いたボーンはスカルの骨を抜き取るまいと、慌てて手を引っ込める。その様子を見ていた弥七は、渋い顔をしながら舌打ちすると尻尾でボーンをの脇腹を殴って吹き飛ばし、壁に叩きつけるのであった
「同士討ちは失敗か……、まあいいや、どうせ立つ事も出来ねぇだろうしおめぇはそこで大人しくこいつの最後を鑑賞してなっ!!!」
壁に叩きつけられながらも弥七を睨むボーンに向かって、弥七はそう言い放つと同時にスカルの首筋から背中までをその鋭い爪で切り裂いた後、スカルの首に爪を突き立てる
「―――――――ッ!!!」
「これが……、骨を抜き取られる痛みって奴だあああぁぁぁーーーっ!!!」
スカルが声にならない悲鳴を上げる中、弥七はそう叫びながら、ボーンに見せつける様にしてスカルの首から背骨を引き抜き始める。その光景を目の当たりにしたボーンは、目を見開いてスカルを助けようと左腕を伸ばすのだが……
「ぐぅがあ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"---っ!!!」
その左腕に太郎丸が噛み付き、先程同様大車輪を開始し……
「ぐぅお"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"---っ!!!」
太郎丸は咆哮と共に、ボーンの左腕を噛み千切ってしまうのであった
「ぐgy「うるせぇっ!!!こいつでも食ってろっ!!!」おごぉっ!?」
腕を噛み千切られた際に発生した激痛に耐え切れず、ボーンが悲鳴を上げようとしたその時、弥七が先程抜き取ったスカルの背骨をボーンの口に中に投げ込んで黙らせる。その直後、太郎丸と弥七は主砲を構え……
「「今まで好き勝手やって来た報いを受けろっ!!この糞猿がっ!!!」」
2人は同時にそう言い放つとボーンの顔面に主砲を叩き込んで、スカルの背骨諸共ボーンの頭を爆砕する。こうしてペット達による仁義と情け容赦無き戦いは、長門ペット衆の勝利と言う形で幕を閉じるのであった……
スティーラーズとの戦いで体力を消耗した太郎丸達は、僅かな休憩を挟んだ後に戦治郎と合流しようとするのだが……
「っしゃっ!んじゃ早いとこご主人のとこ行くかっ!!」
床に座って休憩していた弥七が、そう言いながら勢いよく立ち上がると
「ご主人様があの女の人を追っかけて行った通路……、凄い数の血の臭いがするから注意した方が……、えぇっ!?」
太郎丸が弥七に注意を促している最中に、驚愕の表情を浮かべながら絶句する。その様子を見ていた弥七が首を傾げていると……
「ご主人様から、肉が焼けた様な臭いがする……っ!?弥七っ!!急いでご主人様のところに行くよっ!!!」
「肉が焼ける臭いって何だよっ?!まあ取り敢えずご主人様がピンチっぽいのは分かるけどよぉっ!??」
2人はこの様な会話を交わした後、太郎丸の嗅覚と建築物把握能力を駆使して自分達の主人である戦治郎の下へ大急ぎで向かうのであった