戦治郎が防人と壮絶な戦いを展開した部屋で異変が発生していた頃、ホノルルの近くにあるワイキキ海岸のかなり沖の方で待機していた駆はエリカと合流していた
「ようやく来ましたかエリカ殿、某、待ちくたびれていましたぞ?」
「すみません、少々邪魔が入りまして……」
「なんとっ!?まさかそちらにも海賊団の関係者がっ?!」
エリカの到着を今か今かと待っていた駆が、ようやく姿を現したエリカに向かってこの様に話し掛けると、エリカは申し訳なさそうな表情を浮かべながら遅れた理由を駆に話し、それを聞いた駆は驚愕の表情を浮かべながらエリカにそう尋ねると、エリカは無言で頷いて見せるのであった
「むむむ……、エリカ殿が此処にいると言う事は儀式自体は成功しているのですな?」
「それについては問題ありません、後は燃え上がる祭壇にこの魂達を捧げるだけなのですが……、もしやそちらの方で何か問題が……?」
「いえいえ、こちらも問題なく準備は完了しております。最後の仕上げは貴女が到着してからと思いまして、こうして待っていたのですぞ」
駆とエリカがこの様なやり取りを交わした後、駆は懐から仕掛けのスイッチを取り出すと
「そういう訳で、今から最後の仕上げと行きますぞっ!」
そう言い放つや否や、スイッチを操作して資源保管庫に仕掛けた起爆装置を起動させるのであった。すると研究所がある方角から盛大な爆発音と共に火柱が上がり、その爆発の衝撃で資源保管庫を中心に辺り一帯の地面と空気が激しく揺れ動くのであった
その後資源保管庫から発生した火柱は周りにある物に次々と延焼していき、その途中で研究所にも飛び火し、駆の思惑通り研究所は内部と外部から同時に凄まじい勢いで燃やされてしまうのであった……
「さあエリカ殿、燃え上がる祭壇はたった今完成しましたぞ、今こそこれまで集めて来た魂達を祭壇に捧げ、我らが神を召喚する時なのですぞっ!」
駆がエリカに向かってそう言うと、エリカは1度頷いた後自身の艦載機に魂達を詰め込んだランタンをぶら下げ、燃え上がる祭壇と化した研究所の中に艦載機を突っ込ませ、手にした『ルルイエ異本』を開いて詠唱を開始するのであった
少しだけ時は戻り、ホノルルのサンド島にある浜辺にて、戦治郎は砂浜で胡座をかいて望に火傷の応急処置をしてもらいながら、砂浜で正座する光太郎と空に説教をしていた
「チミ達一体何なの?人の顔見るなり何してくれてんの?」
「いやさ……、戦治郎の顔に火が付いてたからつい……」
戦治郎が2人に向かってそう言うと、光太郎が申し訳なさそうな表情をしながらそう答える。すると戦治郎は自身の膝をリズムを取る様に3回ほど指で突いて
「僕を見ろおおおぉぉぉーーーっ!!!分かるぅ?ねぇ?俺顔とか首とか火傷してるだろぉぅっ?!そんなとこにミネラルたっぷりな海水なんかかけられたらどうなるか分かるだろぉぅっ!?めっちゃ沁みたぞこん畜生っ!!!」
「それについてはホントごめんって!!まさかあんなに酷い火傷してるなんて思わなかったんだよっ!!!」
某スタイリッシュアクションゲームの主人公が、エレキギター型処刑鎌で一人遊びする時流れる曲の空耳を叫んだ後、火傷痕に海水をぶっかけられた事で悶絶する羽目になった件で、激おことなった戦治郎が光太郎に怒声をぶつけ、光太郎はそんな戦治郎にただただ土下座して謝罪する
そんな光太郎の姿を見た空が、光太郎の事を鼻で笑うと……
「空あああぁぁぁーーーっ!!!お前も同罪じゃいっ!!!何あの砂?ショットガンの散弾か何かなの?当たった時火傷痕じゃなくても滅茶苦茶痛かったぞっ!!!しかも火傷痕に砂が引っ付いてめっちゃチクチクするしよぉっ!!!応急処置してくれてる望ちゃんの手ぇ煩わせる様な事すんなYO!!!」
「すまんな、親友が大変な事になっていると知ったら居ても立っても居られなくてな」
「そんな親友の首から上だけを砂浜に埋めたのはぁ、何処の何方だったかしら~ん?あれ危うく窒息するところだったぞこの野郎っ!!!」
「お前ならきっと抜け出せる、俺はそう信じていたぞっ!」
「そんな信頼、僕いらないっ!つかお前ら大火傷してる俺の事ちったぁ労わってくれよぅ……」
その様子を見ていた戦治郎が、即座に空に説教を開始。それから2人がこんなコントの様な会話を交わしたところで……
「ふんっ!!!……次はお前がこうなる番だ……っ!」
「うん、定番のボケをありがとう……。労われってそう言う事じゃないからな……?」
空がそこらに流れ着いていた厚めの木の板を手に取るなり、腕の力だけで真っ二つに割って見せた後、戦治郎を指差してこの様な言葉を言い放つ。その様子を見ていた戦治郎は、そんな空の言動に対して溜息交じりにツッコミを入れるのであった
それからしばらくして
「戦治郎さん、応急処置が終わりました……、この規模の火傷となると、やっぱり私の力じゃどうしようもないです……。これくらいの事しか出来なくてすみません……」
「やっぱそうなるよな~……、でも望ちゃんが応急処置してくれたおかげで、かなり痛みが和らいだよ。ホントありがとうな望ちゃんっ!!!」
戦治郎の火傷の応急処置を終えた望が、ションボリしながらその事を戦治郎に伝えると、戦治郎は彼女に笑顔を向けながら、励ます様に彼女の頭を優しく撫でてあげる。とその時だ、研究所がある方角からこれまでに無かったくらいの凄まじい爆発音を発生させながら巨大な火柱が立ち上ると同時に、衝撃波がサンド島の地面と大気を大きく震わせるのであった
「一体何の起こったとっ!?」
「あちらは確か研究で使う資源を保管していた倉庫があった方角……?」
「まさかあいつら、資源保管庫を爆破したのっ!?例の燃え上がる祭壇とか言うのを作る為にっ?!」
空を赤く染め上げるほど巨大な火柱を見つめながら、九尺が思わずそう叫ぶと、サラがそちらに何があるかについて呟き、それを聞いたアイオワっぽい女性が驚愕しながら声を上げる
皆が火柱の方に注目していると、戦治郎達の視界にある物が不意に映り込む。それは光の玉のような物が幾つも入ったランタンをぶら下げた、エイ型と言う極めて特徴的なフォルムをした艦載機で、そのエイ型艦載機は火柱目掛けて一直線に飛んでいき、やがて火柱の中に突入して姿を消してしまうのであった
「今のは欧州棲姫艦載機……、まさか通達が言ってたシスター・エリカってのが近くに来てるってのかっ!?」
「今のが生贄になった人達の魂なのかっ!?って事は……、例の儀式は最終段階に入ったって事っ!?」
「急いで止めないとっ!!!」
戦治郎、光太郎、望の3人が愕然としながら声を上げ、艦載機が飛んで来た方角に向かって走り出そうとした時である
「……急いで止めに向かいたいところだが……、どうやら奴らはそれを許してはくれないみたいだな……」
空がある場所を見据えながらそんな事を言う、空の視線が気になった戦治郎が、空が見据えている場所に視線を向けると、そこには研究所に火を放っていた変態達の姿があったのである
「あいつらまだこんなに残ってたのかよ……」
戦治郎が舌打ちしながら呟いた直後、今度は海の方から大量の死霊兵が飛沫を上げながら姿を現し、戦治郎達目掛けて殺到して来たのである
「こいば全部相手にしよったら、間に合わんごとなりそうやね……」
「こうなったら、誰か1人だけシスター・エリカのところへ向かい、儀式を阻止するしかないな……」
「死霊兵がいるなら、俺はこっちにいた方がいいだろうな……、ならっ!!」
九尺の言葉を聞いた空と光太郎が呟くなり、光太郎が死霊兵達の方へレーザー砲を向け……
「戦治郎っ!!!頼んだっ!!!」
そう叫びながらオリオールロードを発射し、戦治郎が進むべき道を切り開き……
「任せろっ!!!」
戦治郎はそう叫びながら、光太郎が作り出した道を駆け抜け、シスター・エリカの下へと向かうのであった