※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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紅帝の印と信頼の印

「取り敢えずゾアの姿についてはよく分かった……、って事で次の質問なんだが……、お前が鼓翼を鞘に収めてる時チラっと刀身を見たんだけど……、あれは一体何だ?どういう原理で刀身に浮かび上がった文字が、液体みたいになって垂れ落ちるんだ?」

 

ゾアの件についての質問が終わったところで、戦治郎は今度は自身が作り翔に譲った鼓翼について尋ねる事にした

 

戦治郎は先程の発言通り、サンド島に戻った際ほんの僅かな時間ではあるが鼓翼の刀身を目にしたのである。その時戦治郎の目には、鼓翼の刀身に突如浮かび上がってはジワリと滲み、それから液体の様に重力に引かれる様に刀身を伝って垂れていき、やがて刃から滴り落ちて地面を濡らして消えていく黒い謎の文字……、所謂クトゥルフ文字が映ったのである

 

その現象を目の当たりにした事でSAN値をほんのちょっと削られた戦治郎は、自身が作った鼓翼に一体何があったのかがどうしても気になったのである

 

「あれですか……、あれは~……、鼓翼を作ってくれた戦治郎さんには酷な話だと思いますが……」

 

「いや、ちゃんと教えて?あんなん見たら気になり過ぎて夜も眠れなくなっちゃうよ?いいの?今度はおっちゃんが倒れちゃうよ?本当にそうなってもいいのん?」

 

歯切れの悪い返事をする翔に向かって、戦治郎は鼓翼がああなってしまった理由をハッキリさせる為に、この様に尋ねるのであった。それを聞いた翔は、少々困った顔をしながら戦治郎の問いに答える

 

「あれはクタニドさんとクトゥルフさんが力を合わせて、鼓翼とルルイエ異本、無名祭祀書、ポナペ教典、ネクロノミコンと言う4冊の魔道書を融合させて、鼓翼を『魔道刀【鼓翼】』に作り変えたせいでああなってるんです……。しかも融合に使われた魔道書の事なんですけど、ルルイエ異本はクトゥルフさんの、無名祭祀書はクタニドさんの、ポナペ経典はイダー=ヤアーさんの、ネクロノミコンはカソグサさんの直筆の生原稿、ある意味真の魔道書と言う事で、人間達の間で出回っている魔道書とは比べ物にならない魔力を秘めているそうなんです……」

 

「何それ超怖い……、つかお前、そんなん持っててよく発狂しねぇな……?」

 

翔の話を聞いてSAN値を更に削られ戦慄する戦治郎が、そんな恐ろしい物を手にしていながら発狂していない理由を翔に尋ねる。すると翔は自身が今羽織っている漆黒のケープを、指でつまみながら苦笑を浮かべて戦治郎の質問に答え始めるのだった

 

「それはこのケープのおかげですね、これはクタニドさんお手製のケープで、クトゥルフTRPG的に言えばSAN値減少を完全に防いでくれるだけでなく、魔法による直接攻撃も防いでくれる探索者垂涎ものの逸品ですね。ああ、そう言えばケープの事聞いてる時に、司が裁縫とか衣装制作が得意だってクタニドさんに教えてあげたら、機会があったら是非会ってみたいって言ってましたよ」

 

「お、おう……、そうか……、そんな機会あったらいいな……」

 

戦治郎は翔の話を聞くと、引きつった表情を浮かべながらこの様に返事をし、先程から翔がつまんでいるケープへ視線を向ける。件のケープは光すら飲み込んでしまいそうなほど真っ黒な生地で作られ、所々にクタニドやクトゥルフと言った旧神や旧支配者の印及びクトゥルフが治めるルルイエを示す印などが金色の塗料の様な何かでプリントされ、そのプリントはプリントであるはずなのに、時々何故かドクンドクンと脈動していた。また前を閉じる為のボタンも古き印の形をしている事で、このケープが神話生物達と関わりがある品である事を、それはそれはとても強く主張していたのであった……

 

「あっあっあっ……」

 

この得体の知れないケープを直視した事で、またも戦治郎のSAN値が削られてしまい、ここで遂に戦治郎の正気度が限界に達し、戦治郎は一時的狂気に陥り変な声を上げ始めるのであった……

 

「あっちの連中の治療が終わったんでよぉ、戦治郎の火傷の治療しに来たz……、って何だこりゃぁっ!?」

 

その直後、タイミングよく姿を現した悟の活躍により、戦治郎は一時的狂気から立ち直り、翔への質問を一旦中断して顔や首、肩に付いた火傷の治療を開始するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……俺も全力で治療を施したんだけどよぉ……」

 

治療を終えた悟がその顔を顰め、戦治郎に手鏡を手渡しながら治療の成果を確認する様に促し、戦治郎はそれに従い手鏡を覗き込むと……

 

「おおう、ガッツリ痕が残ったのな……」

 

そこには悟の治療を受けたにも関わらず、火傷痕がしっかりと残った自身の顔が映し出されるのだった

 

「いつもなら傷痕1つ残さず治療すんのによぉ、こいつに限ってはどんだけ翠緑を当てても痕が残っちまったんだわぁ……、これは俺の力不足なのかぁ?それとも他に原因があるのかぁ?戦治郎よぉ……、おめぇはどう思うよぉ……?」

 

悟はそう言いながら更に眉間に皺を寄せてしまう、恐らく先程から悟が顔を顰めているのは、火傷痕を消せなかった件で戦治郎に申し訳なく思っている事と、自身の未熟さに嫌気が差している事が合わさった結果なのだろう。戦治郎はそんな事を考えながら、悟に手鏡を手渡して先程の問いに答えるのだった

 

「十中八九俺に火傷を負わせたあのレーザーが原因だろうな、まああのレーザーの詳細は空が聞いてくれてるみたいだし、俺達は空がこっち来るまで翔から話聞いていようや」

 

「了解だぁ、っとそういやぁよぉ、治療してる時に気付いたんだがよぉ」

 

戦治郎の言葉を聞いた悟が戦治郎の提案に乗ったところで、ふと思い出した様にそう言うと、何かがあった時用として戦治郎から海賊団全員に配られたタブレットを操作し、ある画像を表示して戦治郎へ見せる

 

「これはよぉ、おめぇの背中を撮影したモンなんだがよぉ……」

 

「イヤン♪悟のエッチィ……///」

 

「……絞め殺されてぇのかぁ?」

 

「サーセン」

 

「続けんぜぇ、おめぇいつの間にこんなモン彫ったんだぁ?やる時は俺に言えって前に言ったはずなんだけどよぉ……、こりゃぁ一体どういう了見だぁ……?」

 

戦治郎に問い詰める悟のタブレットには、不動明王が背負う迦楼羅焔の様な炎に包まれた3つの円を線で結んで形作られた三角形が、まるで入れ墨の様に戦治郎の背中に浮かび上がっていたのである。更にその入れ墨の様なものをよく観察してみると、右下の円の中には戦治郎の左目から噴き出す、鮮血の様に真っ赤な炎の中に浮かび上がる『帝』の文字と全く同じ書体で、『帝』の文字が刻まれていたのであった

 

「何じゃこりゃぁっ!??俺こんなモン彫った覚えねぇぞっ?!!つかどうしようっ!これじゃ皆と一緒に、プールにも温泉にも海水浴にも行けねぇじゃんっ!!!」

 

「そこ重要なんですか……?」

 

「腕に彫ってる段階で既にアウトなんだよなぁ……、つか戦治郎よぉ、おめぇ自身覚えがねぇって事なのかぁ?」

 

戦治郎の反応を見て、翔と悟がそれぞれ思った事を口にしたところで

 

「応、こいつに関しちゃ全く覚えがねぇ。それ以前にこれ背中だろ?単独でやるってのはいくら何でも無理ゲだし、そもそもそんな事してる時間ここ最近あったか?」

 

「確かにそうだよなぁ……、ってこたぁよぉ、何かの拍子にそいつがおめぇの背中に浮かび上がったって考えるのが妥当かぁ?」

 

「多分、切っ掛けになったのはこいつだろうな~……」

 

戦治郎と悟がこの様な会話を交わしたところで、戦治郎が能力を発動させ左目に赤い炎を灯す。悟と翔は戦治郎の左目から炎が噴き出し始めたところを目撃した瞬間、ギョッとした後、口々に思った事を言葉にする

 

「それが戦治郎の能力って訳かぁ……、つかその炎の中の『帝』って文字……、背中の奴と全く同じ形してやがんなぁ……。もしかしたら背中の彫りモンが浮かび上がった原因はよぉ、戦治郎が言う通りそいつが原因なのかもしんねぇなぁ……」

 

「遂に戦治郎さんにも能力が……、戦治郎さん……、どうか気を付けて下さい……。実はクトゥルフさんとクタニドさんは戦治郎さんが暴走するかもしれないと言う可能性を凄く警戒し、愉悦至上主義で腐れ外道のニャルラトの超弩級クソ馬鹿に至っては、戦治郎さんが暴走するのをとても楽しみにしていたんです……。戦治郎さんが暴走した時、一体何が起こるのかは全く分かりませんが、どうか能力に振り回されて暴走しない様に注意して下さいね……?」

 

「待って待って?翔がニャルに対して辛辣過ぎるのは取り敢えず置いておいて、俺ってそんな大物2柱から警戒されてんの?何でそんな事になってんの?マジで何でどうして?」

 

翔の口から衝撃的過ぎる事実を聞かされ、動揺しまくりその理由を翔に尋ねる戦治郎だったが……

 

「それについては皆と合流してからですね……、これは皆と情報共有しておくべきだと思うので……」

 

翔はそう言って、戦治郎が旧支配者のリーダー格と旧神のリーダー格から目を付けられている理由を、この場で話す事を控えるのであった

 

自身がとんでもない存在から目を付けられている事を知った戦治郎は、何とか動揺を抑えようと深呼吸するのだが、相手が相手であるが故どうしても落ち着く事が出来ないでいた……。と、そんな時だ

 

「翔~!これを見ろ~!凄く綺麗な貝殻をこんなに沢山発見したぞ~!」

 

戦治郎が不意に聞こえて来た声の方角へ思わず視線を向けると、そこには雷達からようやく解放され、浜辺で拾ったのであろう小さな貝殻を、沢山抱えてこちらに向かってパタパタと走って来るゾアの姿があった

 

(こいつ、戦闘の時とキャラ違い過ぎじゃね……?)

 

戦治郎がそんなゾアの事を観察しながら、内心でそう思っていると……

 

「あうっ!」

 

突然ゾアが短い悲鳴を上げて、前のめりに転倒する。恐らく背負った殻の重さでバランスを崩して、転倒してしまったのだろうと推測する戦治郎の目の前で、ゾアは無言で立ち上がった後辺りに散らばった貝殻をかき集めて、再びこちらに向かって駆け寄って来るのであった

 

「凄いじゃないか!こんなに沢山あったら、司にお願いしてアクセサリーにしてもらって、クティーラちゃんにプレゼント出来そうだね!」

 

そんなゾアに対して、翔は素なのか演技なのかは不明だが、驚いた様なリアクションをとって見せ……

 

「うむっ!!本当は父上達の分も集めて皆でお揃いにしたかったのだが、それはまたの機会としようっ!!」

 

ゾアはそう言いながら自身が背負う殻の中に先程集めた大量の貝殻を収納した後、翔の身体をよじ登り、翔の頭の上にパイルダーオンして満足そうな笑みをこぼすのであった。この様子を見る限り、どうやら翔の頭の上がゾアの定位置の様だ。戦治郎と悟はその様子を見て、翔の首の無事を心配するのであった

 

「っと、そこにいるのは戦治郎だなっ!戦闘中は碌に挨拶出来なくて申し訳ない、そういう訳で改めてここで自己紹介するぞっ!!我はガタノトーア、ルルイエを統治するクトゥルフの第一子で、翔の友であり弟子となった者だっ!!!」

 

「待って……、ちょっち待って……、今翔の弟子とか言った?」

 

「うむっ!我は怒り狂う父上を鎮めた翔の料理に感動し、料理にルルイエ統治の可能性を見出し、その術を身に付ける為に翔に弟子入りしたのだっ!!!」

 

「これほんとぉ?」

 

翔の頭の上でエッヘンとばかりに胸を張るゾアと、この様なやり取りを交わした戦治郎は、事実確認の為にゾアから視線を落として翔と目を合わせてこの様に尋ねると、翔は静かに頷き返して見せ、翔が頷いた時の揺れで翔の頭から落っこちそうになったゾアは、必死になって翔の頭に生えている角を掴んで転落しない様に踏ん張るのであった。因みに悟はこの時、ゾアの発言聞き、行動を目の当たりにした瞬間から、腹を抱えて笑い転げていた

 

「翔っ!いきなり頷くでないっ!!危うく落っこちるところだったぞっ!!「ごめんごめん」っと、そういう訳で戦治郎に折り入って頼みがあるのだが……」

 

「何となく予想は付いたが……、何じゃらほい?」

 

「我をその海賊団とやらに加えてくれぬか?翔に弟子入りした都合、我は翔から教えを乞い、その技を盗む為にも常に傍にいるべきだと判断したのだ。もし我の願いを聞き届けてもらえるのならば、我は信頼の紋章に誓って、お主達の事を全力で守護しようと思う。それで……、その……、どうだろうか……?」

 

最後のあたりは尻すぼみになりながら、ゾアは戦治郎に海賊団への加入希望を申し出て、このやり取りを聞いた悟が急に笑うのを止めるなり驚愕しながら立ち上がり、翔はその双眸で戦治郎にゾアの加入を認めて欲しいと懇願する。そして戦治郎は……

 

「構わねぇよ、むしろ大歓迎だなっ!!!」

 

ゾアの加入を快諾し、戦治郎の返答を聞いたゾアは翔の頭の上で喜びのあまりピョンピョンと飛び跳ねるのであった

 

「正気かぁ……?こいつの力はさっき見ただろぉがよぉ?あまりにも強力過ぎる力は事情を知らねぇ奴らからしたら脅威でしかねぇしよぉ、その力を我が物にしようとする連中から狙われる可能性だってあるかもしんねぇんだぜぇ……?」

 

「それ、俺達海賊団そのものに言える事じゃね?俺達もここに来るまで何度も事情を知らねぇ連中から攻撃されて来ただろ?今更じゃねぇか。その度に俺達は砲弾やら爆撃やら雷撃喰らいながらも、相手を説得して理解を得て来てるし、不届き者達はその都度ぶっ飛ばして来た。今までと大して変わらねぇだろ?」

 

「そりゃぁ……、そうだがよぉ……」

 

「それに今回の件で、アビス・コンダクターが神話生物を使って世界を滅ぼそうとしてんのが分かったんだ、それに対抗する為にはこっちも神話生物の力を借りるのが一番手っ取り早い、そうだろ?まあ尤も……、ゾアの力は通常時だと過剰戦力にしかならんから、ある程度制約は設けさせてもらうがな……」

 

「それを言われちまったらよぉ……、何も言えねぇだろうがよぉ……」

 

「ん、分かってもらえて何よりだ。まあ、何かあったら俺が責任取るし、ゾア含めて団員は皆俺が守るさ。それがアタマ張ってるモンの役目ってもんだ、だからおめぇらは安心して俺について来い!ってなっ!!」

 

「……あんま独りで背負い込むんじゃねぇぞぉ?」

 

悟と戦治郎はこの様なやり取りを交わし、戦治郎は最後の悟の言葉に対して「わかってるよ」と短く返答するのであった

 

「礼を言うぞ戦治郎っ!!お主が話が分かる奴で助かったぞっ!!!」

 

「応、っとそれはそうとだな……、さっき言ってた信頼の紋章って何ぞ?」

 

海賊団への加入を了承してくれた戦治郎に向かって、ゾアが前のめりに倒れ込んで翔の頭から落下しない様注意しつつ、小さくお辞儀をしながら礼を述べたところで、戦治郎は1つ気になった事をゾアに問う

 

「信頼の紋章と言うのはな……」

 

「これの事です、これに鼓翼の刀身を当てながら、僕と面識がある神話生物に呼び掛けて、相手が応えてくれた場合その神話生物を召喚出来ると言う紋章なんです」

 

「あぁっ!!折角我が説明しようと思ったのにっ!!」

 

戦治郎の問いにゾアが答えようとしたところで、翔が左手甲を胸の辺りに掲げながら質問に答えると、ゾアは少々声を荒げながら翔の頭を腕の様に使っている足でペチペチと叩き出す

 

戦治郎が翔の左手甲に視線を向けると、そこには何とも名状し難いデザインの紋章が、ワンポイントの入れ墨の様に刻まれており、その紋章は時折まるで生物の様に、翔の左手甲上で蠢いたりしていた

 

「これによりまどろっこしい儀式や生贄を使わずに、翔は我々神話生物を即座に召喚出来る様になっておるのだっ!!!どうだっ!?素晴らしいだろうっ!!!」

 

「召喚の際使う生贄の部分を、神話生物達との信頼関係に置き換えたって感じになるんでしょうかね?ケープの件といい、魔道書の件といい、施術してくれたクタニドさんには、ホント頭が上がりませんよ……」

 

そう言ってゾアは腰に足を当てながら自慢げに胸を張り、翔は苦笑を浮かべながら頬をポリポリと掻く。ここでそんな1人と1柱の様子を見ていた戦治郎は、つい思った事をポロリと呟いてしまう

 

「しょっちゅうクタニドの名前出るが……、何?クタニドって世話焼きおじさんか何かなの……?」

 

「ああ、クタニドさんは女性ですよ、それもかなり美人のお姉さんでした」

 

「マジでっ!?司には黙っておかなきゃっ!!あいつぜってぇナンパすんぞっ!?!ナンパのせいで世界滅ぶとか洒落になんねぇぞっ!!!」

 

「肝心なクタニドさんが、司と会ってみたいって言ってるんですよねぇ……」

 

「もう駄目だぁ……、お仕舞いだぁ……」

 

戦治郎の呟きを聞いた翔が、戦治郎とこの様な会話をしていると、突然通信機から声が聞こえて来る。戦治郎が通信に出ると、剛が焦った様子で戦治郎達に救援要請を出して来る。その内容は以下の通り……

 

『戦ちゃんっ?!大至急で救援に来れないかしらっ!!?艦娘ちゃん達に雑魚の相手をしてもらっている間に、アタシ達が突っ込んでここのボスの飛行場姫と戦ってるんだけど、この飛行場姫……、アリーが開発した兵器を使ってて碌にダメージを与えられないのっ!!!それを打ち破る為に飽和攻撃を仕掛けたいから、急いで来てもらえるっ!??』

 

「何じゃそりゃっ!?ダメージ与えられないってどう言う事だってばよっ?!って言ってる場合じゃねぇっ!!!皆行くぞっ!!!」

 

剛の通信を聞いた戦治郎達は、大急ぎで海へ駆け出し剛達の救援に向かおうとする。と、その時だ

 

「翔っ!!!」

 

「うんっ!!皆っ!!今からゾアを戦闘形態に切り替えるからっ!!大きくなったゾアに乗ってミッドウェーに急行するよっ!!!」

 

翔はそう言って鼓翼を抜くと、自身の左手甲に当てて詠唱を開始する。すると鼓翼の刀身から液体の様に滴り落ちていたクトゥルフ文字達が、今度は文字としての形を保ったまま刀身から剥がれ落ち始め、それは風に舞う花びらの様に宙を舞った後、次々とゾアの方へと殺到しゾアの身体にベタベタと張り付いて行き、やがてゾアの身体を真っ黒に染め上げてしまう

 

その直後、今度はゾアの目の前に空中に浮かび上がる、金色に輝く巨大な魔法陣が展開され……

 

「うおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

ゾアが雄叫びを上げながら魔法陣目掛けて一直線に走り出し、途中で転んで起き上がり、再び走り出してから跳躍、魔法陣をサーカスの日の輪潜りの要領で潜ろうとする。そしてゾアの身体が魔法陣の面に接触したところで

 

「我は今っ!!猛烈に熱血しているうううぅぅぅーーーっ!!!」

 

魔法陣を通過しながら叫ぶゾアの姿は、見る見るうちに可愛らしいオムナイトから巨大で威圧感満載なガタノゾーアのものへと変貌していくのであった

 

「ちょっとゾアっ!?そんなセリフ何処で覚えたのっ?!」

 

ゾアの叫びに驚いた翔が、ゾアに向かって叫ぶようにしてそう尋ねると

 

「戦治郎の頭の中だっ!!!」

 

ゾアは変身を完了させると同時に、そう叫び返すのであった

 

その後、戦治郎達一行はサラ達をサンド島に残して、全高130m、全長200m、体重20万tのガタノゾーアへと変身したゾアに乗ると、剛達が待つミッドウェー島へと急行するのであった……、跳躍で……




オムナイトは高さ40cm、重さ7.5kg、戦治郎達が翔の首の事を心配するのは已む無し
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