飛行場姫の隠し部屋を後にした剛達は、ケンタウロスの分析に協力して欲しいと言う護の頼みを聞いて、この拠点にある工廠へと向かうのであった
「さてさて~、こいつをしっかり分析して、予備パーツを自作出来る様にするッスよ~」
「確かにそれが可能となれば、わざわざアリーさんの顧客となっている人達を探し出して、予備パーツを奪う手間が省けますね」
「アタシとしてはそっちの方が都合がいいんだけどね~……、まあパーツの消耗と供給が釣り合わなくなって、パーツを供給して修理出来る様になるまで使えませんなんて状況になったらお話にならないものね。これについては仕方が無い事だと割り切っておくわ~」
「アリーさんが作り出した兵器を回収する事も大事ですが、自分達の身を守る事はもっと大事ですからね……」
護達がこの様なやり取りを交わしながら工廠の中に足を踏み入れると、そこには戦治郎、シゲ、輝の3人が、とある兵器を目の前にしてウンウンと唸っている姿があった
「何やってるんッスか?3人揃ってこんなところでウンウン唸って……、トイレなら向こうッスよ?」
「護バッカおめぇちげぇしっ!何が悲しくてこんなところで野郎ばかり3人並んで糞せにゃならんのだっ!!!」
そんな3人の姿を見た護が不思議そうにそう尋ねると、戦治郎が怒りを露わにしながら反論するのであった
その後、落ち着いた戦治郎から話を聞くと、どうやら戦治郎達は目の前にある兵器をどうするべきかで悩んでいたそうだ
「長門達にこの拠点にも閃光迎撃神話を付けて欲しいって頼まれてな、数必要だから今からでも少しずつ作っておこうって思って工廠に来たら、中央にこいつがデンッ!ってあった訳よ」
「何だこりゃっ!?て思って調べてみたら、どうやらこいつはアリーさんが作った奴みたいで……」
「んで、今俺達が唸ってたのは剛さんにこいつ見せた後、こいつをどうするかって考えてたとこなんだわっ!」
戦治郎達から話を聞いた剛が、その目つきを鋭くして件の兵器を見据える。その視線の先には、1人の人間が運用するには余りにも大き過ぎる砲、140mmクラスの滑腔砲が取り付けられた戦車の砲塔が鎮座していたのであった
「……砲と砲塔だけ?車体とかなかったの?」
件の兵器を目にした剛が、怪訝そうな顔をしながら戦治郎に尋ねると……
「残念ながらそれしかありませんでした……、周りの状況から推測すると、恐らく飛行場姫はこいつを艤装に取り付けるつもりだったんじゃないかと思われます」
「そう……、ちょっと調べさせてもらうわね~」
戦治郎の返答を聞いた剛は、そう言ってこの戦車砲と砲塔を調べ始めるのであった……
「威力は間違いなくこれまでのアリーズ・ウェポンとは比較にならないものがあるみたいだけど……、これを実際に運用しようと思ったら、大五郎ちゃんくらいのサイズの艤装が必要ね」
「「「やっぱりか~……」」」
それからしばらく経った後、戦車砲と砲塔を調べ終えた剛の調査結果を聞くなり、戦治郎達はそう言いながらガックリと肩を落とす
「改造して小型化したり、砲だけを取り出して運用する事は出来ないのですか?」
「残念だけど、あの砲はライフリングもされてないただのおっきな筒だから、単体で運用する価値は無いわ~。この兵器の本体は砲塔の方で、こっちはとても厄介な事になってるわ~。砲弾の自動装填装置と弾倉、更には各種センサーとそれらを制御する電子制御システム用の装置がみっちり詰め込まれていて、これ以上小型化させる事が出来なくなっているのよ~……」
「電子制御の奴、自分も見せてもらったッスけど……、完全敗北ッス……、弾道ミサイルの制御プログラムがどれだけ手抜きだったかを、まざまざと見せつけられたッス……。アリーさんってマジで天才なんじゃないッスか……?これ自分がどう頑張っても、これ以上電子制御系を小さくするのは無理ッスよ……」
剛の言葉を聞いた不知火がふと思った事を口にすると、渋い顔をする剛と得意分野で敗北した事でショックを受けた護がこの様に答える
「それで、こいつはどうします?大五郎なら使えそうって事ですけど、個人的にはそれは無しでお願いしたいんですよね……。大五郎の装備については、飼い主である俺が何とかしてやりたいってのがあるので……」
「分かったわ~、けどそうなるとどうしようって話よね~……。このままだと誰も使えないし……、だからって壊すのは勿体ないのよね~……。ん~……、車体があったら戦車として拠点制圧戦の時使えると思うのだけど~……」
気を取り直した戦治郎と剛が、この砲塔をどうするかで話し合っている傍らで、シゲが独りで何かをブツブツと呟いていた。そして……
「砲塔……、車体……、戦車……、あっ!」
「ん?何か思いついたのか?」
シゲが何かを思いついたのか突然声を上げ、それに反応した輝がシゲに対してそう尋ねると……
「輝さん……、戦車とか欲しくないですか……?」
シゲは輝に対して、唐突にそんな事を尋ねて来るのであった……
「出来たあああぁぁぁーーーっ!!!」
シゲの意味深な発言からしばらく時間が経過した頃、工具を手にしたシゲが両腕を上げ、天を仰ぎながら叫ぶ。どうやらシゲはあの発言の後何かを作っていた様である
「シゲ……、これがお前が言う戦車なのか……?」
「ウッス!!」
輝がシゲが作り上げた戦車とやらの姿を見て、やや呆然としながらシゲにそう尋ねると、シゲは力強く頷きながら元気よく返答する。そしてその戦車とやらを見た戦治郎と護は……
「ぶっひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!これ野バスじゃねぇかっ!!!」
「あっしゃっしゃっしゃっしゃっしゃっ!!!確かに原作だと戦車扱いッスけどもぉっ!!!」
腹を抱えて大爆笑し始めるのであった
そう、シゲはあの発言の後、輝の艤装の中に収納されていたアフリカで購入したワンボックスカーとオーストラリアで購入したバス、そして件の砲塔を使ってメタルマックスと言うゲームに登場した『野バス』と言う戦車を作り出したのである
シゲはまずワンボックスカーを解体してそのパーツと資源を使用してバスの装甲を補強、そして駆動系に関してはとことんまでいじり倒してなんとダブルエンジン仕様に改造してしまったのである。しかも搭載するエンジンにも手を加え、ワンボックスカーとバスに搭載されていたエンジンを、自身が伊吹から購入したリュウセイに搭載されているエンジン、メテオドライブに作り変えてしまったのだ。その結果、シゲが作り出したこの野バスと呼ばれる戦車の積載量は、車体とエンジンの重量を差し引いても150tを超える事となるのであった。そしてそんな怪物染みたバスの天井の中央に、件の砲塔は取り付けられていた
「ホントは防弾タイヤとか履かせたかったんですけど、そんなモンここにはないですからね~……、っと取り敢えず車体の方はこれでOKとして……、マモッ!何時までも笑ってねぇで手伝えっ!!!」
今しがた出来上がった野バスを眺めていたシゲが、突然そんな事を言いながら笑い転げる護の首根っこを引っ掴んで移動し始める
「ファッ!?手伝えって、これ以上何するんッスか?!」
「CユニットだCユニットッ!!車体の制御用Cユニット作るんだよっ!!!そっちはお前の得意分野だろうがっ!!!」
突然の出来事に混乱護がシゲに尋ねると、シゲは護の身体を引き摺りながらそう答えるのだった
「ちょっ!?別にそんなの無くてもいいじゃないッスかっ!!!そんなの付けたら砲塔の電子制御システムと干渉して動きがチグハグになる可能性あるんッスよっ?!」
「だったらシステム同士を連動させりゃいいだけだっ!!!大丈夫マモなら出来るっ!!!」
「流石に無茶振りが過ぎるッスよおおぉぉぉーーーっ!!!」
護の悲痛の叫びも空しく、結局護はシゲと共に野バスの車体制御用Cユニットを製作する事となり、野バスの所有者である輝の意見を取り入れて、迎撃補助能力を持つCユニット『ニューロPAC』を完成させ、『ニューロPAC』による車体制御と『
因みに、野バスはこの後更に手を加えられ、140mm滑腔砲1門の他に、スモールパッケージ3基、閃光迎撃神話1基で武装する事となったのだった
アルゴスの電子制御システムの性能は、メタルマックス2:リローデットに登場するCユニット『ダロス3000』☆3のフル改造相当と言う設定です。Cユニット特性のトリプルアタッカーも付いてます