久方振りの翔の料理を堪能した一同は僅かな食休みを挟んだ後、戦治郎の呼び掛けに応じて会議室に集まっていた
そこで戦治郎が大和の許可を得てから、自身が大和から聞いた話を皆に聞かせ……
「それじゃあ皆~、桂島の提督をボコってもいいかな~?」
この場に集まった者達に向かって、この様に尋ねてから皆の返答が良く聞こえる様にと、自身の耳に手を当てて返答を待つと……
「いや、流石にそこまで行くと殺しても問題ねぇんじゃねぇか?」
「ついでだ、そいつの親族にもその責任を負ってもらおう」
「そいつとそいつの実家及び親族の住居を区画ごと滅ぼすつもりなら、我に任せるがよいっ!!!すぐにでもその地を死の大地に変えてみせるぞっ!!!」
「ゾア~、そん時は自分も混ぜてもらうッスよ~。ゼウスサンダーの本気って奴を見せるいい機会ッスからね~」
「いっそ今から出向いてそっちを先に焼き尽くしてから、ホノルルの再建やった方がいいんじゃないです?」
やたら殺る気に満ち溢れた返答が返って来て、思わず戦治郎はドン引きする……
「おめぇら……、気持ちは分かるけど殺気立ち過ぎぃっ!!!いや、俺もそうしたいのは山々なんよ?けどそれを衝動に駆られてやっちまったら、俺達はお仕舞いな気がするんだわ。桂島の提督には、ちゃんと生きてその罪を償ってもらわねぇといけねぇと俺は思うんよ、だからここはちょっち堪えて?ね?これおっちゃんのお願い……」
「いや、多分軍法会議に出すまでもないと思うよ?多門丸もこれは国家反逆罪だって、極刑だって言ってるよ?」
「まさか現在の国防の要である私達を犠牲にして、世界征服などと言う絵空事を企むなんて……、流石に頭にきました……」
「プロフェッサーだかプロセッサーだかと組んでいるからって、それだけでそんな事が可能だと思ってるの?だったらそいつは相当な馬鹿なんじゃないかな?」
戦治郎がこう言って殺意MAXな海賊団の面々を宥めていると、今度は目が全く笑っていない飛龍、加賀、蒼龍の空母トリオが物騒な物言いをし、それを聞いた戦治郎と彼女達の指揮艦である長門が、同時に頭を抱えてしまう
「確かに皆が桂島の提督に殺意を抱くのは分かる、だが冷静になって考えてくれ。あちらには今、人質となっている艦娘達がいるんだ、私達が今すぐに桂島に仕掛けた場合、誰が人質の命を保障してくれるんだ?」
「それだけではない、世界征服などと言う事を企んでいる男の手札が、泊地の艦娘とアリーズ・ウェポンで武装した陸軍の兵だけだとは考えにくい……。恐らくまだ何かを隠し持っているのではないか?」
空母トリオの気迫に気圧されて、思わず黙り込んでしまった戦治郎に助け船を出す様に、日向がこの様な発言をし、日向の発言を聞いて気を取り直した長門がこの様な言葉で続き
「そういやぁよぉ、確か飛行場姫は俺の能力を模倣した兵器ってのを使ってたとか言ってたよなぁ?それの入手経路はプロフェッサーだったかぁ?んでよぉ、桂島の提督もプロフェッサーとつるんでるらしいじゃねぇかよぉ……。最悪、量産された俺の能力のバッタモンが、そいつの手に渡っている可能性って奴も十分考えられるんじゃねぇかぁ?」
長門の話を聞いた悟が、桂島の提督が飛行場姫が持っていた兵器と同じ物を所有しているかもしれないと言う可能性について指摘する。と、その時である
「戦治郎さん、ここにプロジェクターの様な物はあるのでしょうか?」
不意に大和が戦治郎に対して、プロジェクターの有無について尋ねて来るのであった。それを聞いた戦治郎がすぐさまプロジェクターを準備すると、大和はプロジェクターの上に懐から取り出した1枚の何かの書類を乗せ、プロジェクターを起動してその書類に書かれた文章をスクリーンに拡大しながら映し出し、それを見た者達全員を驚愕させるのであった
その書類の中央には大き目の文字で【強化クローン製造計画】と書かれ、書類の隅の方にはアリー=稲田の名前が記されていたのである……
それを目にした途端、剛が目の前の机を殴って叩き割り……
「戦争の為ならば命を冒涜する事すら厭わないと言う気かっ!!!見損なったぞっ!!!アリイイイィィィーーーーーッ!!!!!」
荒れ狂う激情に身を委ね、鬼の様な形相を浮かべながら絶叫するのであった。その声量は凄まじいもので、剛の隣に座っていた不知火と瑞穂を、声だけで椅子から転げ落としてしまう程であった……
その後、剛が何とか落ち着いたところで、大和がこの書類について話し始める
「これはあの男とプロフェッサーが繋がっている事に、大和が気付く切っ掛けとなった書類の表紙のコピーです。大和がいつもの様に執務室に入った時、この書類があの男の執務机の上に投げ置かれていていたんです。大和はつい興味本位でこの書類を手に取ったのですが、直後にあの男が執務室に近付いて来る気配を感じて、大和は思わずこの書類を懐に仕舞って、執務が終わった後そのまま持ち出してしまったんです……」
その後大和は自室でこの書類に目を通し、この書類の内容が如何に危険な物であるかを知ると、大和はこの書類を桂島の提督を告発する為の証拠にしようと思い立つのであった
そしてこの書類に関する事を書類の提供者が提督に尋ね、提督が書類の存在に気付く前に書類をコピーして原稿を元の場所へ戻そうと考えた大和が、コピーが完了した表紙を1枚だけ懐に仕舞ったところで、大和は書類の存在に気付いた提督に捕まり、罰としてその純潔を散らされてしまったそうだ……
「あの男が優秀な人材を集めようとしているのは、恐らくこれが関わっているのではないかと思われます……」
「クローンを作る機材はプロフェッサーから購入して、大和さんや長門さんみたいに優秀な艦娘のクローンで捨て艦戦法やったり、サラさんみたいな若くて優秀な技術者のクローンを、オリジナルに何かあった時の予備として準備しておくってところか……。いくら何でも他人の命を軽く見過ぎだろ……」
「ねぇ戦治郎、やっぱこいつ私達で仕留めた方が良くない?」
大和の言葉を聞いた光太郎が、怒りでその身を震わせながら自身の推論を口にし、それに続くようにして、再び飛龍が慈悲の無い発言をするのであった
「えぇい落ち着けぇいっ!!!さっき日向が言っただろっ!?あっちには人質がいるってっ!!!」
飛龍の発言に多くの者が同意する中で、戦治郎がやや苛立ちながらそう言うと……
「あの~……、1つ確認したい事があるんですけど~……」
不意に翔がオズオズと挙手しながら、この様な言葉を口にする。そんな翔に戦治郎が発言の許可を出すと、翔は一礼した後大和へ視線を送りながら、この様な事を尋ねる
「確か、桂島泊地には鳳翔さんがいらっしゃるんですよね?」
「ええそうよ、大和と大鳳はあの男に鳳翔を人質に取られて、言いなりになっていたのよ」
翔が大和に向かって質問したところ、鳳翔の事を心配して表情を曇らせる大和の代わりに、矢矧が翔の質問に対してこの様に答える。すると翔は大きく頷いた後、驚くべき事を言い出すのだった
「だったら人質の事は心配しなくて良さそうですね、ですので僕達は泊地襲撃の準備を急いだ方が良いと思います」
「Hey 翔!!!その根拠は一体何処から来るんだい?是非おっちゃんに教えて欲しいんだけどぉ?」
翔は何と人質を無視して攻め込むべきだと言い出したのである、それに対してすかさす戦治郎がその理由を尋ねると……
「今の鳳翔さんの傍には、問題解決に協力してくれたお礼として、旧神のリーダー格であるクタニドさんと、鳳翔さんに懐いちゃったクティーラちゃん、そしてクティーラちゃんのお世話係のダゴンさん夫妻が付いてくれているんです」
「ごめん翔……、ちょっと何言ってるか分からないです……」
「あの……、翔さん……?翔さんが言う問題と言うのは一体何の事ですか……?それと鳳翔さんはその出来事に関わっているのですか……?」
翔の発言のせいで会議室の中が大混乱に陥る中、戦治郎と大和が何とか気力を振り絞って翔に尋ねると、翔はケロッとした態度でこの様に答えるのだった
「僕と鳳翔さんが巻き込まれた問題、それは長い間戦争を続ける人類と深海棲艦に対して、ゾアのお父さんでありルルイエの支配者でもあるクトゥルフさんが、怒りの余り眷属を集めて全面戦争を仕掛けようとしていた事です。僕と鳳翔さんはクタニドさんのお願いで、クトゥルフさんの説得をするクタニドさんのお手伝いをする事になったんです」
「その結果、翔達は我やクタニド殿の想像を遥かに超える活躍をし、翔達はルルイエの者達と良好な関係を築き上げたのだっ!!!」
この発言の後、翔とゾアは自分達の身に一体何が起こっていたのかについて、時折談笑を挟みながら語り始めるのであった……