「すぅー……、はぁー……。すぅー……、はぁー……」
クトゥルフ達に出す料理が決まり、その準備を整え終えた翔が、まるで精神統一でもするかの様に深呼吸を繰り返す
「翔の奴……、凄まじく気合いを入れておるな……。カレーを作った時とまるで気迫が違うぞ……」
「そりゃそうでしょ、今回翔さんが失敗したら、世界が滅んじゃうかもしれないからね……。っと、それはそうとお兄様?翔さんのカレーって美味しかったの?」
「うむっ!それはもう美味だったぞっ!!余りにも美味し過ぎてついついこの身体で、最終的には10杯食べたが、それでも食い足らぬと思ったほどだっ!!!っと言うかクティーラよ、何故お前はカレーを知っておるのだ?」
「木星行きから抜け出した後、しばらく人間社会に紛れ込んでて、その時にね~」
そんな翔の姿を見たガタノトーア兄妹は、この様なやり取りを交わし
「翔さん……」
鳳翔は翔の事を心配そうに見つめつつ、思わず翔の名を呟くのだった
この時、カレーはおろか料理を知らないダゴンとハイドラは
「なあハイドラ、お前カレーって何か分かるか?」
「あんたが知らない事を、アタイが知る訳ないだろうっ!!」
夫婦でこの様な会話を交わしていたのであった
一方その頃……
「あんれ~?ここさっき通ったよね~?ちょっとここの廊下、複雑過ぎでしょ~……?これじゃあ僕が辿り着く前に、パーティーが終わっちゃうじゃないか~……」
先程城にスキップしながら侵入して来た影は、侵入者対策の為に迷路状になっている城の廊下で、迷子になっていたのであった……
「よしっ!」
精神統一を終えた翔が、気合十分と言った様子で声を上げると、それに続く様にしてこの場にいる者達全員を見渡しながら、1つ質問を投げかける
「僕達はこれから料理を開始しますが……、その前に皆さんに1つだけ聞いておきたい事があるんです」
「聞いておきたい事?」
翔の言葉に対してクティーラが『チョリーッス!って此処何処よ?』、不思議そうな顔をしながら尋ね返すと、翔はクティーラに向かって1度頷いて見せた後『あんりょ~?確かパーティー会場に向かうようワープしたはずなのにな~?』、質問の内容をこの場にいる全員に聞こえる様に、大きな声で話すのであった『ってこれ何~?もしかしてパーティー会場の様子~?』
「今この場にいる方の中で、クトゥルフさんに胸の内を正直に伝えた方はいますか?」
翔の言葉を聞いた全員がざわつき出し『それじゃあホント此処は何処なの?いやホントマジで』、その中でたった1柱、ガタノトーアだけが天を穿つ様に真っ直ぐに触腕を上げる『ん?ん~?』
「やっぱり……、誰も話してないんですね……?」
どうやら翔はこの結果を予想していたのか『あ、此処地の文だっ!』、その表情を暗くし『冗談抜きで変なとこ飛んじゃったぞこれ~』ながらそう呟く……
「正直、殿の事を止めようとは思ったんだけどよぉ……、何か今回の殿は余りにもマジ過ぎてな……、完全に委縮しちまって何も言えなかったんだわ……」
「同じく……」
翔の言葉を聞いたダゴン夫妻が『ん~……、ここまで来るのに結構歩いたし……』、この様な事を『丁度いいから此処で休憩していこっと♪』口にし……
「私も同じだな……、本来ならば騎士として、道を踏み外そうとしている主を止めるべきなのは分かっているのだが……、その気迫に圧倒されてしまって……」
『って事でオッスお願いしま~す☆』ダゴン夫妻の言葉に続くようにして、『んでんでんで、これどんな状況~?』オトゥームが悔しそうな表情を浮かべながら言葉を紡ぐ……『何?クトゥルフのとこの下僕共が何かやらかしたん?』
「こんな調子で、眷属衆は誰1人クトゥルフ様に意見出来ず仕舞いで終わってしまっておるのですよ。当然ながら、私もその中に含まれておる訳ですがね……」
渋い顔をしながら『プハッ!だっせぇっ!!』そんな事を口にするのは、『クトゥルフが怖くて意見出来ないとかマジだっさ~い☆』クトゥルフの右腕と呼ばれているムナガラー『君、それでもあいつの右腕な~ん?』
「本来、妻である私達が真っ先に夫の暴走を止めなければいけない立場なのですが……」
クトゥルフの『ふむふむ~』1番目の妻であるイダー=ヤアーが、ションボリしながらそう言うと……『ほ~~~ん?』
「スクタイさんの件があったからね……、変な事言ったら殺されるんじゃないかって……、それがホントに怖くて、どうしても兄さんに意見出来なかったんだよね……」
クトゥルフの妹でもあり3番目の妻『こいつもビビって駄目だったんか~い!』でもあるカソグサが、『まあ僕にとってはどうでもいい事だけどね~♪』続いてそう発言するのであった……
そんな中クティーラが、1柱だけ挙『お?お?』手したガタノトーアに対して
「凄い!お兄様の触腕が燦然と輝いて見えるっ!!」
なんて『キャー!お兄様カッコイー!』事を言っていたが、そんな事今は些末な事『いや知らんけど』である
さて、『つかそこの君ぃ……』この場にいる旧支『さっきから僕の事スルーしてたりする~?』配者達の言葉を聞い『どうなのっ?!』た翔だが、目を閉じて1人でウンウンと一頻り頷いた後……『ねぇ聞いてる~?』
「皆さんの話を聞く限り、この場にいる方でクトゥルフさんの意見に賛同している方は、全くいないって事でいいですか?」
目を開いて旧支配『もっしも~し』者達に向かっ『ってあれ?僕のセリフの色薄くなった?』てそう尋ねると、一同は一斉に首を縦に振るのであった『いやんマジで薄くなってるぅっ!?』
「分かりました、ではいい機会なので、皆さんの胸の内をしっかりとクトゥルフさんに伝えちゃいましょう」
「は?どうやって?今殿はクタニド殿と話し合いしてんだろ?まさか今から皆で一斉に押しかけんのか?」
旧支配者『ちょっとっ!?これどっことっ?!』達の様子を見た翔がこの様な発言をすると、すかさずダゴ『ねぇ聞いてるっ!?』ンが翔に向かってそう尋ねる。すると翔は首を『無視か~い!!』横に振ってから、自身の考えを皆に伝え始めるのであった『って遂に真っ白になっちゃったしぃっ!?!』
「それに関してですが、僕に考えがあるんです。先ずその作戦を皆さんに伝える前に、皆さんの中に日本の会席料理が分かる方っていますか?」
翔がこの様『つかマジで白はどうかと思うよ~?』に尋ねたところ、鳳翔と給糧妖精さ『これじゃあ変な余白があるって言われちゃうじゃん!!』んだけが挙手する。その様子
「これで知ってもらえたと思うんですが、日本の会席料理はお酒を楽しむ為のコース料理なんです。で、僕は今回クトゥルフさん達には、この会席料理を振舞おうと考えているんです」
「ふむ……、それで翔よ、それと父上への意見具申がどう繋がるのだ?」
「今回は喰い切り方式、クトゥルフさんの食の進み具合を見ながら料理を順番に出していく方式でやろうと思ってるんです。因みにクトゥルフさんの食の進み具合に関しては、クタニドさんからテレパシーを使って随時報告してもらおうと考えてます。んで、僕達は前菜、吸物、刺身、焼き魚、煮物、揚げ物、蒸し物、酢の物、ご飯、そして最後に水物と順番に料理を作っていきますから、皆さんにはそれを1柱1品ずつ、これと一緒にクトゥルフさん達のところに持って行ってもらいたいんですよ」
翔はそう言う
「そいつは何だい?」
「日本のお酒です、それで皆さんには料理を運んでもらった後、これをクトゥルフさんに呑んでもらって、クトゥルフさんの気が良くなったところで、皆さんの胸の内をクトゥルフさんにぶつけてもらおうと考えているんですよ」
日本酒を見
翔の考えを聞いた旧支
前菜……オトゥーム
吸物……ダゴン
刺身……ハイドラ
焼き魚……ムナガラー
煮物……ガタノトーア
揚げ物……クティーラ
蒸し物……カソグサ
酢の物……イダー=ヤアー
ご飯……鳳翔
水物……翔
この順番で料理を運ぶ事が決まるのであった。因みに鳳翔と翔までもが料理を運ぶ事になったのは、単純に人数不足とどうせだから2人も何か言っておけばいいと言う話の流れが理由だったりする
それからしばらくすると、翔達が前菜を完成させ、オトゥームは2人前の前菜と杯が乗った盆と、日本酒の一升瓶を手にクトゥルフ達が話し合いを行っている、
今回限りとは言え、本当にふざけ過ぎたと思います、はい……
本当に申し訳ありません……