※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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友達と仲間

自身の目を見て動けなくなったニャルラトホテプ目掛けて鼓翼を振り下ろした翔が、これで皆の無念を晴らせると思った瞬間だった、何とニャルラトホテプは突然動き出しその手で振り下ろされる鼓翼を掴んでみせたのである

 

「どうやら紛い物の能力とやらは、馬鹿に出来ないものみたいだね~……」

 

そう呟くニャルラトホテプの顔を見た翔は、思わず舌打ちをしながらもニャルラトホテプを叩き斬ろうと、鼓翼に力を込める

 

何故ニャルラトホテプが突如動ける様になったのか、それは翔の能力によって指先1つ動かせなくなる直前に、翔の目から自身の視線を外す為に全身全霊の力を込めて目を閉じたからである。これによりニャルラトホテプは完全に精神が恐怖に飲み込まれてしまう前に、本当にギリギリのところで何とか僅かばかりの自我を残す事に成功し、その自我を使って自身の精神をリカバリーして、こうして再び動ける様になったのである

 

「いやね、ホント超ギリギリだったよ~。もしもうちょっとでも長くその目を見ていたら、完全に君の術中にハマっちゃうところだったよ~。っとそれはそうとさ~……、何で君そんなに怒ってるの?僕何か君に対してやったっけ?」

 

目を閉じたニャルラトホテプがしれっとした様子でそんな事をほざくと、翔は尚も鼓翼に力を込めながら、ニャルラトホテプに向かって叫ぶ

 

「ああやったよっ!!料理を楽しむ場所を滅茶苦茶にしてっ!!僕が作った料理もぐちゃぐちゃにしたっ!!!そして何より許せないのはっ!!!ガタノトーアが頑張って作った料理を冒涜した挙句っ!!!ガタノトーアや眷属の皆をっ!!!僕の友達や仲間を楽しみながら傷つけたっ!!!僕はそんなお前をっ!!!絶対に許さないっ!!!例えもう二度と包丁が握れない身体になろうともっ!!!!お前だけはっ!!!!絶対に打ち倒してみせるっ!!!!!」

 

翔の怒りの咆哮を聞いたニャルラトホテプは、鼓翼を掴んだまましばらくの間硬直した後大声で笑い始め……

 

「友達?仲間?僕に踏まれてるお坊ちゃんと、そこらに転がってる眷属達が?仮にも神格であるこいつらが君の友達や仲間だって言うの?」

 

そう言った次の瞬間……っ!!!

 

「人間とも深海棲艦とも言えない紛い物の分際でおこがましいにも程があるだろうがよぉっ!!!」

 

ニャルラトホテプは口元だけ笑顔を浮かべながら、ガタノトーアを踏んでいた足で翔に蹴りを放つ。その蹴りは凄まじい速度で、目を閉じているにも関わらず物凄い精度で翔に襲い掛かるのだが、なんと翔はそれを自身が直掩機として放った艦載機を自身に勢いよくぶつけて、自身を吹き飛ばす事で回避して見せたのである。その際、翔は艦載機を使ってニャルラトホテプに踏まれていたガタノトーアを救出し、艦載機から自身の頭上に投下されたガタノトーアの身体を優しく抱き止めるのであった

 

「翔っ!?何と無茶な……、身体は大丈夫なのかっ?!」

 

今しがた救出されたガタノトーアが、心配そうにしながら翔に声を掛けると……

 

「僕の方は大丈夫、それよりもガタノトーアの方こそ大丈夫なの?身体の至る所がボロボロになってるけど……」

 

逆に翔に心配されてしまうのであった……

 

「……正直に言えば、身体を動かすのが億劫なほど全身が痛い……。だが、そんな事を言っていられる状況ではないからな……っ!っと、それよりもだ、先程翔は我の事を友達と、眷属達を仲間だと言っておったが、それは本気で言っておるのか……?」

 

翔に対して自身のコンディションを正直に伝えた後、ガタノトーアはこの様な問いを翔に投げかけるのであった

 

「うん、本気だよ。僕は本当に皆の事を仲間だと思ってるし、ガタノトーアの事を友達だと思ってる。……もしかして迷惑だったかな?」

 

「いや!迷惑ではないっ!!だが、一体何を根拠にそう言えるのだ……?」

 

ガタノトーアの問いに対して翔がこの様に返答すると、ガタノトーアは再び翔に問い掛ける。すると翔は……

 

「戦治郎さんが生前に言ってたんだ、同じ釜の飯を食った奴は友達で、同じ目的の為に力を合わせた奴は皆仲間だって。僕もこの意見に賛同している、だから僕は一緒にカツカレーを食べたガタノトーアとクタニドさんは友達だと思っているし、クトゥルフさんの説得の為に協力した皆の事は仲間だと思ってる。こんな理由じゃ駄目かな?」

 

自身が持つ友達や仲間の定義を述べた後、ガタノトーア達が友達だと、仲間だと思っている理由をガタノトーアに向かって話すのであった。それを聞いたガタノトーアは、痛む身体をブンブンと振った後……

 

「駄目ではないっ!むしろ駄目なのは我の方ではないのかっ?!我はルルイエの統治の為に翔を利用しようとしているのだぞっ!?そんな輩が友達で本当にいいのかっ!!?」

 

必死の形相を浮かべながら、口早にそう捲し立てるのであった。しかし、ガタノトーアの言葉を聞いた翔は、ゆっくりと左右に首を振った後……

 

「料理を教えるって約束した時言ったでしょ?料理に興味を持った理由については気にしてないって。だから僕はそれを理由に友達にならないなんて言うつもりはないよ」

 

ガタノトーアに向かって笑顔を浮かべながら、翔はこの様に答えるのであった。それを聞いたガタノトーアがポロポロと涙を零し始めたその時だ

 

「うっわ!青臭っ!!何?邪神と紛い物の友情ごっこ?君達マジでふざけてんの?一部の連中にはウケると思うけどさ~、僕こういうの大っ嫌いなんだよね~。って言うかさ~、今サラッと戦治郎とか言った?もしかしてそこの紛い物って長門 戦治郎の関係者だったりすんの?」

 

目を閉じたまま眉間に皺を寄せるニャルラトホテプが、そんな事を口にするのであった

 

「それがどうした……?」

 

ニャルラトホテプの言葉に対して、翔が怒気を込めながらそう返したところ、ニャルラトホテプは再び大声で笑いだし……

 

「まさかこんなところに『鍵』の1つがあるなんてっ!!!幾ら何でも今日は最高過ぎるでしょ~~~っ!!!ホントは適当なところで帰るつもりだったんだけどさぁっ!!!此処に『鍵』があるって事なら予定変更~~~!!!『鍵』をぶっ壊してから帰りますわ~~~っ!!!」

 

妙にハイテンションになりながらニャルラトホテプはそう叫び、翔に向かって魔法による攻撃も織り交ぜながら、文字列を投げつけ始めるのであった

 

「『鍵』……?何だそれ……?」

 

「教えて欲しい?ねぇ教えて欲しい?んん~~~……、ダンメ~~~☆これは簡単に教えていい様なもんじゃないからね~~~♪もし知りたかったら~~~……、僕を倒してみやがれぇっ!!!」

 

『鍵』と言う単語に反応した翔が思わずそう呟くと、ニャルラトホテプはニヤニヤと不気味な笑みを零しながらこの様に答えると、攻撃を熾烈化させるのであった……

 

それから翔はガタノトーアを抱えたまま、ニャルラトホテプの猛攻を凌ぎながら、どうやってニャルラトホテプを倒すかについて考えていた

 

このまま奴の弾切れを待つか……?いや、奴は文字列が爆発したりした時に発生する音からも文字列を回収するので、弾は無限にある様な物だからそれは悪手だ……

 

何とかして能力でもう一度拘束してから仕掛けるか……?いや、正直自分の攻撃は決定打に欠ける……。ガタノトーアにお願いする手もあるが、あまり無理をさせたくないから無し……

 

翔が必死になって頭を回していると、不意に頭の中に声が響いて来る……

 

『私の声が聞こえるか……?聞こえたなら頭の中だけで返事をしろ……、声に出して奴に気付かれる訳にはいかんからな……』

 

『父上かっ!?』

 

(えっ?クトゥルフさん?)

 

『ああそうだ、っとそれは今はどうでもいい、今からお前達に奴に一撃喰らわせる為の策を伝える、1度しか言わんからしっかり聞いておけ、いいな?』

 

翔達の頭の中に語り掛けて来たクトゥルフは、そう言って作戦内容を翔達に伝え始めるのであった……

 

 

 

 

 

『作戦内容を頭に叩き込んだな?ではいくぞっ!!!』

 

作戦を伝え終えたクトゥルフが作戦開始の号令をかけるや否や、ガタノトーアと翔はロイガー族と艦載機をありったけ召喚若しくは発艦させるなり、妙に音を立てながら自分達の周りに密集させ1つの塊を作り始める。それを肌と聴覚で感じ取ったニャルラトホテプが、怪訝な表情を浮かべると……

 

「「「うおおおぉぉぉーーーっ!!!」」」

 

突然その塊が3つの雄叫びと上げながら、ニャルラトホテプに向かって突撃して来るではないかっ!!?内心で驚いたニャルラトホテプが更に耳を澄ますと、塊の中から足音が1つだけ聞こえて来る……

 

「何じゃこりゃぁっ!??」

 

思わずそう叫んだニャルラトホテプが塊目掛けて文字列を投げつけると、文字列は塊より手前で爆発し、塊にダメージを与えられなかった事を感知するのであった

 

「ちょいちょいちょいっ!!!一体何が起こってんのよっ?!!」

 

ニャルラトホテプはそう叫ぶなりようやく目を見開いて状況を確認、すると目の前には既に件の塊が迫っており……

 

「ぅおっほぉっ!!!??」

 

ニャルラトホテプが思わず塊を払い除けようと右手を左から右へと振るうと、塊の正面部分に引っ付いていたロイガー族と艦載機が吹き飛ばされ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それによって出来た隙間から能力を発動させた翔の双眸が姿を現し、それを見たニャルラトホテプは驚愕の表情を浮かべながら硬直する

 

「かかったっ!!!」

 

ニャルラトホテプが硬直したところを確認した翔が声を上げると、ロイガー族と艦載機達は翔達から離れていき、塊の中身が明らかになる。それを目にしたニャルラトホテプは、思わず顔色を真っ青にするのであった……

 

そう、塊の中にはガタノトーアを頭に乗せた翔と、足音を立てない様する為に宙に浮いている人間形態のクトゥルフが入っていたのである。因みにクトゥルフが翔達と合流したタイミングだが、それはロイガー族と艦載機を集めている最中、ロイガー族の羽音に紛れながらの合流で、足音対策をしていたのは合流の際ニャルラトホテプにクトゥルフの存在を気付かせない様にする事と、突撃時の足音の数と雄叫びの数を一致させない様にして、ニャルラトホテプを攪乱する為だったりするのである。そして文字列が塊の手前で爆発したのは、クトゥルフが突撃前に張っておいた障壁によるもので、これはニャルラトホテプの目の前に迫るまでの間塊を保護する為であると同時に、更にニャルラトホテプを混乱させ閉じた目を使わせる為のものだったりする

 

その後、翔達は突撃時の勢いに乗ったまま、翔がニャルラトホテプの額に爪が互い違いになったフォークを柄の部分まで突き刺し、刺したフォークを手首を使って捻った後、翔の後ろに控えたクトゥルフがそのフォークの柄尻を、全身全霊の力を込めてグーで殴りつけてニャルラトホテプの頭部にフォークを埋没させ、最後は殻に籠って高速回転を始めたガタノトーアが、ニャルラトホテプの顔面目掛けて突撃し、ニャルラトホテプを豪快に吹き飛ばしてみせるのであった……

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