ここまで来たら後には引けない!っと言う事で、大和達や鳳翔が所属する泊地は鹿児島県にある桂島(かつらじま)に建てられた泊地と言う設定で貫きます!!!
「ふぅ……」
アイスクリームパーティーが開催された謁見の間の一角で、翔はやや疲れ気味の吐息を吐きながら目頭を揉む。そんな翔の手にはクタニドが保管している筈のオリジナルコアの日記が……、そう、翔はつい先程までクタニドから渡されたこの日記を読んでいたのである
パーティーが始まってしばらくしたところで、翔はクタニドに呼ばれて部屋の一角に向かい、その場にいたクトゥルフとガタノトーアの目の前でクタニドが別空間から取り出した日記を手渡されたのである
この時クトゥルフは1度クタニドを止めるのだが……
「翔には知る権利がある、いや……、翔達にとってこれは知るべき事、知っていなければいけない事だと、私はそう判断したから翔にこの日記を読ませる事にしたんだ」
クタニドはそう言ってクトゥルフの制止を振り切って、翔に日記を手渡したのである。その後もクトゥルフは食い下がろうとするのだが……
「言い忘れていたがこいつは……、翔は長門 戦治郎の関係者なんだぞ……?」
クタニドのこの一言を聞くと、クトゥルフは目を見開いて驚愕した後、翔が日記を読み終わるのを黙って待つ事にするのであった……
それからしばらく時間が経過し、翔が読んでいた日記を閉じて冒頭の様な行動を取ったところで……
「翔が知りたかった事は、全て知る事が出来たか?」
様々なフレーバーのアイスを楽しんだ痕跡を、アイスが入っていた容器を自身の周囲に大量に転がしているクタニドが、日記を読み終えた翔に向かってすかさず尋ねる
「転生個体の事も、クタニドさん達が戦治郎さんの事を警戒していた理由もよく分かりました……。転生個体が深海棲艦に生まれ変わった異世界の人間と言う単純なものではなく、異世界の人間の魂を基に艦娘の艤装の大元であるはずのオリジナルコアによって作られた、2つの世界を滅ぼす為の彼女の兵隊である事、そして戦治郎さんがとんでもない爆弾を抱えている事も、本当によ~~~っく分かりました……」
クタニドの質問に対して、翔は肩を落としてゲンナリしながらこう答えるのであった
「戦治郎の能力に施された細工に、ニャルラトホテプが翔の事を『鍵』と呼んだ事……、もしやその細工が発動する条件に翔が関わっていると言うのか……?」
翔が発言したその直後、翔の頭の上で翔と一緒に日記を読んでいたガタノトーアが、触腕を組み難しい顔をしながらそう呟くと……
「厳密には翔はその条件の1つと言ったところだろうな、ニャルラトホテプは『鍵』の1つと言っていたのだから、恐らくその『鍵』は複数あると考えていいだろう……」
それを聞いた特大バケツサイズのストロベリーアイスの容器を抱えたクトゥルフが、アイスを頬張りながら自身の考えを述べるのであった。因みにこのクトゥルフ、このアイスをクティーラから受け取った際
「皆の事を助けてくれて本当にありがとうっ!!!お父様の事、本当に大好きだよっ!!!」
この言葉と共に頬にキスを送られ、嬉しさの余り思わずその頬を緩めてしまい、そこを眷属達や奉仕種族達に見られ、一同からニヤニヤとした笑顔や温かい視線を送られてしまっていたりする
「僕がその『鍵』だと気付くなりあの腐れ外道があんなに大喜びするくらいだから、きっと細工された能力と言うのは碌でもないものなんだろうな~……」
「腐れ外道とはニャルラトホテプの事か……?」
「随分と辛辣だな……」
「楽しい食事の邪魔をする、料理を冒涜する、他人の努力を踏みにじる、知人友人を傷つける……。奴は翔が嫌がる事を上から順に、クワトロ役満を叩き出したのだから仕方が無いんだがな」
クトゥルフの言葉を聞いた翔が思わずそう呟くと、それを聞いたガタノトーア、クトゥルフ、クタニドが思い思いの言葉を口にするのだった
「っと、こんなところで愚痴ってても仕方ないか、この事を早く皆に知らせないと……」
それから大して間を置かず、翔がそう言って立ち上がろうとしたその時だった
「翔さん、読書は終わりましたか?」
不意に背後から声を掛けらてた翔は、ビクリと身体を震わせて驚くなりすぐに視線を背後に向ける。その視線の先には2人分のアイスを手にした鳳翔が、柔らかい笑顔を浮かべながら立っていたのであった
どうやら鳳翔は翔が日記を読んでいる最中に1度こちらに来たらしいのだが、真剣な表情で日記を読む翔を邪魔しては悪いと思い、すぐにこの場を離れたのだそうだ。その後、鳳翔は翔が日記を読み終える頃合いを見計らって、こうして再びこの場に姿を現したのだそうな
「あっはい、僕が知りたかった事は、ほぼ全部この日記に書いてありました」
翔が鳳翔からアイスを受けとりながらそう答えると、鳳翔はほんの僅かにその表情を曇らせながら……
「そうですか……、それでは私達はここでお別れなのですね……」
本当にか細い声で、弱々しい声でそう呟くのであった……。翔はその様子を怪訝な表情で見ていたのだが、ここである事を思い出すなりその顔色を見る見るうちに悪くしていくのであった……
「あの……、クタニドさん……?」
「どうしたんだ?何か急に顔色が悪くなったが……、何があったんだ?」
不意に尋ねて来た翔に対して、クタニドがやや困惑しながら返事をすると……
「僕と鳳翔さんって、確か精神だけこっちに連れてこられているんですよね……?」
「あ、ああ……、確かカレーを食べている時に説明したと思うが……」
更に質問を重ねる翔に対し、クタニドはこの様に返答するのであった。因みに今更ながら翔達の状態を説明すると、翔達はクタニドの魔法により精神だけがこちらに連れてこられており、今の肉体はクタニドの魔力から作り出された仮初の身体なのである。その為艦娘である鳳翔が海中であるにも関わらず、問題なく呼吸が出来る様になっているのだ
「だったら、僕達の本来の身体って誰かが動かさない限り、眠気に襲われた場所にあるって事ですよね……?鳳翔さん、鳳翔さんは眠気に襲われた時何処にいたか分かりますか……?」
「は、はい……、確かあの時は……、桂島泊地の執務室ですね……。その日は大規模作戦に参加する大和ちゃんの代わりに、私が秘書艦を務める事になりましたので……」
不意に翔に質問された鳳翔が戸惑いながらそう答えると、ここで翔が言いたい事を理解したクタニドが大慌てしながら呪文を唱えると、翔達の目の前に突然巨大なスクリーンの様な物が出現するのであった
「ここで適当に人材をチョイスしたのが仇になったかっ!!!このままでは鳳翔の身体がゲロ臭い提督の魔の手にかかるかもしれんっ!!!」
そう叫びながらクタニドが本来の鳳翔の身体の在り処を映し出す様にとスクリーンに念じると、スクリーンに徐々に映像が映し出られていき……
「これは……?」
「病院……、ですか……?」
その映像を見た翔と鳳翔は、思わず怪訝そうな表情を浮かべながらそう呟く……。と、その直後、クタニドが突然大声を張り上げるのであった
「場所の特定が出来たっ!!!今鳳翔の身体は佐世保市内にある病院の中にあるぞっ!!!」
クタニドの言葉を聞いた翔が、何故鳳翔の身体がそんなところにあるのかについて疑問に思っていると、鳳翔が何かを思い出したのかハッとしながら声を上げる
「そう言えば……っ!確かその日は大規模作戦の件で、佐世保オパンチュパラダイス鎮守府のオパンチュ大天使モモロウ提督が、桂島泊地にいらっしゃる予定でしたっ!!」
「ちょっと待って、何?その酷い名前の鎮守府と提督さんは……?後鳳翔さん、恥ずかしげもなくそんな言葉口にしちゃいけませんっ!!!」
「何だその卑猥な名前の提督はっ!?そいつは大丈夫な奴なのかっ?!」
鳳翔の言葉を聞いた翔とクタニドが思わずツッコミを入れ、直後に鳳翔が佐世保の提督の無害性を1人と1柱に説明し、何とかその場を鎮めるのであった
「取り敢えず、しばらくの間は大丈夫そうだな……。だが恐らく桂島の提督にも鳳翔の居場所は伝えられているはずだから、奴が動き出すまでに何とかしなければならんな……」
何とか冷静さを取り戻したクタニドが、そう言って鳳翔の身体をどうするかについて思案し始めたところで……
「すまんクタニド、私に分かり易く現状を説明してくれないか……?」
1柱だけ置いてけぼりを喰らったクトゥルフが、クタニドに向かって状況の説明を求めると、クタニドの代わりに翔、鳳翔、ガタノトーアが状況説明を開始する。そしてそれを聞いたクトゥルフは……
「翔達への借りは案外早く返せそうだな……」
獰猛な笑みを浮かべ、両の拳を打ち鳴らしながらそう呟くのだった。それを見た翔達は慌てて殺気立ったクトゥルフに大量のアイスを食べさせて、何とか彼を落ち着かせるのに成功するのであった……