思わぬ形で戦争で使ってはいけないABCも裸足で逃げ出す様な、超極絶危険物を4つも手に入れた翔なのだが……
「それでこれ……、どうやって使えばいいんです……?」
「原稿を手にしていれば勝手に知識が流れ込んで来て、その知識の中にある魔法を頭の中で思い描けば使える様になるんだが……、そのままだと戦闘中に使う時ちょっと難儀しそうだな……。よし、クトゥルフ!少し力を貸せっ!!」
「何をする気だ……?」
この真・魔道書の使い方が分からなかった為使い方をクタニドに尋ねてみたところ、クタニドはこの様な事を言ってクトゥルフを呼び、呼ばれたクトゥルフは怪訝そうな表情を浮かべながらクタニドの元へ歩み寄るのであった
「私達の魔力を使って原稿を一纏めにするぞ、流石に4つもあると私だけの魔力では足りんからな。そういう訳でお前の魔力も貸せ、肉弾戦ばかりやっているのだからどうせ有り余っているのだろう?」
「そう言う事か、ならば構わん。それで、どれに纏めるのだ?」
「ん~……、おっ!丁度良さそうなのがあるなっ!」
クタニドとクトゥルフがこの様な会話を交わし、クタニドが思案顔で辺りを見回して、翔の腰に差してある鼓翼を見つけると、クタニドはそう言って翔の下へ歩み寄り……
「少し借りて行くぞ」
短くそう言って鞘から鼓翼を引き抜くと、先程までいたところまで戻るなり床に鼓翼を突き立て、クトゥルフとクタニドが鼓翼を挟む様にして立った後、2柱は同時に何かの呪文を詠唱し始める……
するとどうだ、突然翔が手にしている4つの大きく分厚い茶封筒が一斉に開き、中から大量の原稿用紙やら漫画の原稿やらが勢いよく飛び出し、クタニド達の周りを漂い始めたではないかっ!!
それからしばらくすると原稿達は謎の発光を開始し、次々と鼓翼に飛びついていきまるで熱した鉄柱にぶつかった氷の様に、溶ける様にして消えていく……
こうして全ての原稿が翔の視界から消えた時、鼓翼の刀身からは次々と黒いクトゥルフ文字が浮かび上がってはジワリと滲んでいき、滲み切った文字はやがて黒い雫となるなり刀身を伝って床へと流れ落ちて床を黒く染め、その染みはしばらくすると床に吸い込まれる様にして消えていく様になっていた
「よしっ!成功だっ!!」
その後クタニドが鼓翼の様子を観察し、思った通りに出来た事を確認すると、鼓翼を床から引き抜いて、翔の方へ柄を向けて黒い雫が滴る鼓翼を渡して来るのであった
「翔の刀……、鼓翼だったか?それと先程翔が貰った4つの原稿を、全て融合させたぞ。これにより、翔はこの鼓翼……、言うなれば『魔道刀【鼓翼】』を手にしている間は、原稿を手にしている状態と同じ状態になるようになった。これなら鼓翼で斬った張ったしながら魔法を行使出来るはずだっ!!更に原稿の魔力のおかげで、深海棲艦どころか神話生物にも、鼓翼による斬撃が良く効く様になっているはずだっ!!!」
「何か鼓翼が凄い事に……、これを戦治郎さんが見たらなんて言うだろう……?」
翔が鼓翼を受け取ったところでクタニドが今の鼓翼の状態を説明し、それを聞いた翔は引き攣った表情をしながらそう呟くのであった……
「む?それは戦治郎が作った刀だったのか?施術している時何か違和感があったが……、原因はそれか……?」
「いや、僕に聞かれても分かりませんよ……」
翔が呟いた直後、クタニドはそう言って考え込み始めるのだが、翔の返答を聞くなりクタニドはそれ以上考えるのを止めるのだった。この時、クタニドが違和感の正体を探っていれば、先の未来で翔が厄介事に巻き込まれる確率が、かなり減っていたかもしれない……
こうして真・魔道書の問題が片付き、いよいよもって翔を元いた場所へ戻そうとしたその時である
「そう言えば気になった事が……」
不意に翔が恐る恐ると言った様子で挙手しながら、ある重要な事に関して質問する……。その場にいる神話生物達が、何事かと思いながら翔に視線を向けていると、翔はゆっくりと自身が抱いた疑問について話すのであった
「ガタノトーアを召喚する時って、やっぱり生贄とか儀式とか必要なんですか……?」
\……あっ!!!/
翔の言葉を耳にした神話生物達が、忘れてたとばかりに一斉に声をあげる……
「集合ー!お前ら全員集合だー!」
直後にクタニドが声を張り上げて神話生物達を集め、団子の様に固まってから何かゴニョゴニョと話し合いを始め、それが終わるとクタニドが翔の下へとやって来て……
「ちょっと手を借りるぞ」
そう言って翔の左手を取るなり詠唱を始め……
「……っ!?クタニドさんっ?!一体何を……っ!??」
翔の左手の手の甲に、魔法で何かを描き始めるのだった。その光景を目にした直後、翔の手の甲に突如痛みが走りだし、翔はその痛みに耐えながらクタニドに一体何をしているのかを尋ねるのであった
「すまんな翔、その辺の事情をスッカリ忘れていた……。で、今私がお前に施したのはちょっと変わった印でな……、これに鼓翼を当てながら私達を召喚すれば、生贄も儀式も使わずに私達を呼び出す事が出来るんだ。ただ、呼び出せるのは今のところ私達だけ……、厳密に言えばお前と信頼関係を築き上げている神話生物、信頼しているお前の為なら無償で動いても構わないと考えている奴だけだ」
「つまりこれって……、皆さんの僕に対する信頼の証って事でいいんですか……?」
詠唱を終えたクタニドが、一息ついたところで印についての説明を始め、それを聞いた翔は今しがた自身の左手甲を眺めながらそんな事を言い……
「そう受け取ってくれて構わんよ」
翔のその言葉を聞いたクタニドは、微笑を浮かべながらそう言って翔の肩を軽く叩く。すると突然翔が羽織っているケープの一部が光り出し、光っている部分からクタニドの刻印が浮かび上がって来るのであった
「あの……、これは……?」
「これは私個人の信頼の印ってところだな!」
翔が怪訝そうにしながらクタニドに尋ねると、クタニドは今度はニカリを笑いながらそう返すのであった
その後翔とクタニドのやり取りを見ていた神話生物達が、我も我もと押しかけて翔が羽織るケープに触れて己の刻印を刻んでいき、最終的には翔のケープにはクタニド、クトゥルフ、ガタノトーア、クティーラ、イダー=ヤアー、カソグサ、ムナガラー、ダゴン、ハイドラ、オトゥームの刻印と、奉仕種族達の刻印の代わりとしてルルイエの国章の様な印が刻まれるのであった
「……凄い事になったな……」
「こりゃハスターのとこやゴキブリの関係者以外の神話生物は、翔に襲い掛かって来なくなるんじゃないか?」
翔が羽織るケープを見たクトゥルフが思わずそう呟き、それに対してクタニドがケラケラと笑いながらそう返すのであった
こうしてようやく翔の方の準備が整い、クタニドが翔を戻す為の呪文を唱え始める。すると翔の身体が淡く光り出すなり、翔の姿が徐々にこの場から消えていく……
「翔っ!あちらに戻ったらすぐに我を呼ぶんだぞっ!!いいなっ!?絶対だぞっ!!?」
そんな翔に向かって、ガタノトーアがそう叫び……
「分かったっ!絶対に呼ぶからっ!!それまで大人しくここで待っててねっ!!!決してそこの銀色の魔法陣には触れないでねっ!!!」
その叫びを聞いた翔がこの様に叫び返したところで、翔はルルイエから姿を消してしまうのであった……
こうして翔のルルイエの旅は終わり、翔は1度世界を救うと共に強大過ぎる仲間を数多く得たのであった……
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