※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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親友(とも)の声に導かれて

ルルイエの騒動を解決し無事に自身の身体に戻って来た翔は、目を閉じたまま身体と精神が同調した事を確認すると、すぐさま勢いよくその両目を開く。するとその視界には海賊団にはいなかったはずの春雨と暁の顔が、ドアップで映し出されるのであった……

 

「きゃぁっ!?」

 

「眠ってた人が起きたっ!?」

 

突然翔が目を覚ましたところを見て驚いた2人が、思わずそう叫んだところ……

 

「何ぃ!?翔が起きたのかぁっ?!!」

 

その叫びと共に、悟が医務室のベッドを仕切るカーテンを勢いよく開けながら姿を現す

 

「あ……、その……、おはようございます……」

 

「……ようやく起きたか寝坊助がよぉ……、全く……、何しても起きねぇもんだからよぉ、冗談抜きで心配したんだぞぉ……?」

 

その直後、悟の姿を見た翔が苦笑しながらそう言うと、悟は心底安心した様な表情を浮かべた後この様な言葉を翔にかけるのであった

 

「ご迷惑をおかけして本当に申し訳ありません……、それで早速で悪いんですけど……、今の状況を教えてもらえますか?」

 

翔は悟の言葉を聞いた後謝罪の言葉もそこそこに、ルルイエで見た光景と現状を照らし合わせる為に、悟に向かって表情を引き締めながらそう尋ねる

 

そんな翔の態度と翔が纏う名状し難いオーラに気圧された悟が、困惑しながら翔に現状を伝えると……

 

「なるほど……、魔法陣が歪だったのは代用したものが多かったからか……」

 

「あん?魔法陣……?歪……?翔よぉ、おめぇ突然何言ってんだぁ?」

 

翔は眉間に皺を寄せてそう呟き、それを聞いた悟は翔が何を言っているのかが分からず、余計に困惑してついこの様な感じで尋ねるのだった

 

「ああっすみません、アビス・コンダクターとか言う人達が、何を召喚しようとしているのかが分かったので……」

 

翔のこの言葉を聞いた瞬間、悟だけでなくこの部屋にいる春雨と六駆の4人までもがピクリと反応し……

 

「確か翔さんだったか……、貴方は本当にあいつらが何をしようとしているのか分かったのかい……?もしそれが本当なら是非あいつらが何をしようとしているのか教えて欲しいんだが……」

 

ヴェールヌイが皆の代表とばかりに翔にそう尋ねたところ……

 

「詳しい事は僕と一緒に来てくれたら教えてあげるよ」

 

翔はこの様に答えるなりベッドから出て、鼓翼を手にすると医務室を出ようとするのであった。それを見た悟が慌てて翔を止めようとするのだが……

 

「大丈夫ですよ、今の僕には途轍もなく心強い仲間がいるので……っ!」

 

翔はそう言うと医務室を飛び出して行ってしまう、その直後翔の言葉を信じた春雨達がその後を追い、その様子を見た悟は扶桑達に応援を要請した後、かなり遅れて翔達を追い始める……。それから扶桑達と合流し、しばらく走ってようやく翔に追いついた悟は、とても信じられない光景を目にするのであった……

 

浜辺に佇む翔が鼓翼を鞘から抜いた瞬間、鼓翼の刀身から真っ黒い液体の様なものが溢れ出すなり、翔の身体に纏わりついていきそれはやがてケープの様な形状になる。そして翔が多くの刻印が付いた漆黒のケープを纏ったところで、翔が鼓翼の刀身を左手甲に置いて何かを呟き始め、その直後に翔の目の前に金色に輝く魔法陣が出現し……

 

「おいおいおいぃ……、こりゃ一体何だってんだよぉ……?」

 

魔法陣から出現する巨大な怪獣を目にした悟は、驚愕の表情のままそう呟くのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し時間を遡り、翔が消えた後のルルイエでは……

 

「鳳翔よ、翔に何か言わなくてもよかったのか?」

 

先程まで翔が立っていた場所を、心配そうな表情で見つめる鳳翔に向かって、クタニドがそう尋ねていた

 

「はい……、翔さんには戦闘に集中して欲しかったので……」

 

「まあ確かにな……、鳳翔の事を考えて油断していたら、相手に討ち取られてしまいました~なんて事になったら、洒落にならんからな……。尤も、ガタノトーアが合流したらその心配はなさそうだが……」

 

鳳翔の答えを聞いたクタニドは、何とも言えない表情をしながらこの様な言葉を口にする。その後クタニドは鳳翔と鳳翔の護衛に参加する神話生物達を集め、作戦内容の再確認と細かい打ち合わせを開始するのであった

 

そんな中、この後翔の下に向かう事になっているガタノトーアはと言うと……

 

「父上、少々お話が……」

 

毅然とした振舞いで、クトゥルフに話し掛けていた

 

「……言ってみろ」

 

「我はこの後翔の下に向かいますが、戦いが終わった後はそのまま翔と行動を共にしようと考えているのです」

 

「理由を言ってみろ」

 

「はい、先ずは友である翔の傍に常に付き、あらゆる厄災から翔を守ってあげたいと言うのが1つ、もう1つは今回の件で我は翔の弟子となったので、翔と共に行動しその間に翔から教えを乞うと共にその技術を盗み、立派な料理人となりその技術をルルイエの統治に役立てようと考えているます。そして最後の1つは、翔と旅をする事で己の見聞を広めようと言うものです」

 

ガタノトーアの言葉を聞いたクトゥルフが、眉をピクリと動かした後理由を尋ねたところ、ガタノトーアは毅然とした態度を崩す事無く、クトゥルフに自分が翔と行動を共にしようとしている理由を正直に話す

 

「ふむ……、続けろ」

 

「今回の件でルルイエの外の物事に関する知識や神話生物の実力など、今まで触れる事が無かったものに触れた事で、我が本当に世間知らずである事を自覚しました……。そしてそれと同時にルルイエの未来を背負う立場としてこのままではいけないと、もっと見聞を広め多くの知識を身に付けなければと、そう思ったのです」

 

「そうか……」

 

「理由については以上です、それで……、翔に同行する件の許可を頂きたいのですが……」

 

2柱がこの様な会話を交わしたところで、クトゥルフはゆっくりとガタノトーアの下へと歩み寄り……

 

「まさか本の虫だったお前がここまで成長するとはな……」

 

そう言ってガタノトーアの殻を優しく撫でながら……

 

「構わん、行って来い。我らの盟友である翔を守護し、しっかりと己を磨いて来い。そしてそれらを全て成し遂げて無事にルルイエに戻って来た暁には、お前を私の後継者にする件について前向きに検討しよう」

 

この様に言い放つ、それを聞いたガタノトーアは一瞬満面の笑みを浮かべた後、表情を引き締め……

 

「父上、恩に着ますっ!!!」

 

そう言って深々と頭を下げるのであった

 

その直後、ガタノトーアの目の前に金色に輝く魔法陣が出現し、その中から彼の親友の声が聞こえると共に黒いクトゥルフ文字が次々と姿を現し、ガタノトーアの身体に張り付いていくのであった

 

「時間の様だな……、行くがよいガタノトーア、翔がお前の事を待っているぞ」

 

「はいっ!!!父上っ!!!母上っ!!!行って参りますっ!!!」

 

魔法陣を見たクトゥルフがそう言ってガタノトーアの背中を押すと、ガタノトーアは大きな声でそう叫び、魔法陣に飛び込んでいくのであった

 

 

 

こうして魔法陣の中に飛び込み、魔法陣と魔法陣の間に作られた不可視の道を通って翔の下に駆け付けるガタノトーアの身体には、鼓翼から剥がれ落ちた漆黒のクトゥルフ文字が次々と張り付いていき、その姿を黒く染め上げながら完全に覆い尽くす。そしてガタノトーアの身体が黒い塊状になると、今度は文字が張り付いていく度に塊が巨大化し、それはやがてただの黒い塊から巨大な怪物へと姿を変えていくのであった……

 

「膨大な魔力が……、翔の思いが……、我の身体の中に流れ込んでくる……っ!その度に全身に力が漲って来る……っ!!これが……っ!!我と翔の絆の力か……っ!!!」

 

滾る心を抑えながらガタノトーアがそう呟いたところで、彼の目の前に再び魔法陣が姿を現し、ガタノトーアがその魔法陣をくぐると、彼の視界には見知らぬ光景が広がると同時に、見知った人物の姿が見えるのであった

 

「本当に来てくれたんだね……、ありがとう、ガタノトーア……」

 

その人物が、ガタノトーアの親友である翔が柔らかい笑みを浮かべながら、ガタノトーアに向かって話し掛けると……

 

「当たり前だっ!!我と翔は親友なのだからなっ!!!」

 

ガタノゾーアへと変貌したガタノトーアは、ニカッと笑いながら力強くそう返すのであった

 

尚、その光景を目にした悟達は、当然の事ながら大混乱に陥るのであった……




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