※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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与り知らぬ場所にて・・・・・・

長門達と別れた後、戦治郎達はホノルルのサンド島でサラ達の研究所の復旧を手伝っていたのだが、その光景をワイキキのビーチから、ビーチパラソルの下に設置されたビーチチェアに寝そべりながら眺める存在がいた……

 

「気晴らしの為にここに来てみれば……、一体やってんだよあいつら……」

 

サングラス越しにサンド島の方角に視線を向けながらそう呟くのは、翔達によってルルイエを追い出されてしまったあのニャルラトホテプである。と言っても、今の彼の姿は翔達が知っている青年のものではなく、黒いビキニに包まれた豊満なボディーと銀色に輝くロングヘアー、そして右目がシアン、左目がマゼンタのオッドアイを持つ美しい女性のものとなっていた

 

ニャルラトホテプはルルイエを追い出された後、気晴らしの為にこのビーチに訪れていたのだが、そこに突然戦治郎達の気配が近付いて来たのである。戦治郎達の気配を感じ取った彼は、ここで見つかったらまたクトゥルフを呼ばれて殴られると思うと、即座に姿を変えてその場を凌ぐ事にしたのだ

 

ニャルラトホテプの視線の遥か先では、工事用メットを装着し汗水垂らしながら研究所の復旧作業を行う戦治郎達の姿が見え……

 

「労働の汗は美しいってか……?馬鹿馬鹿しい……。そんなのほっとけばいいだろうに……」

 

ニャルラトホテプはそう言い捨てると、戦治郎達から視線を外し己の手の中にある物を見つめる。それは不揃いな大きさの切子面を数多く備え、所々に赤い線が入った輝く黒い球状の多面体……、所謂輝くトラペゾヘドロンと呼ばれているニャルラトホテプの召喚に使われるもので、彼はそれを眺めながらこう呟く……

 

「取り敢えず翔達の事は、ほとぼりが冷めるまで放置でいいかな?今行ったら間違いなくあいつら呼ばれそうだし……、つかそれ以前にヨグから早く帰って来いって言われてるんだよな~……。アザがぐずり出したって……、そのくらいお前ら夫婦が面倒見たらいいだろうが……、ったく……。まあ?翔達の居場所は、これのおかげで常時把握出来る訳だし、状況が落ち着いてから『遊び』に行こうかね~」

 

そう、ニャルラトホテプはルルイエで翔と戦っている時に、翔の攻撃を防ぐ際に鼓翼を掴んだのだが、その時にニャルラトホテプは輝くトラペゾヘドロンを鼓翼に埋め込んだのである。クタニドが鼓翼を魔道刀【鼓翼】に作り変えた時に感じた違和感とは、ニャルラトホテプが秘密裏に鼓翼に仕込んだ、この輝くトラペゾヘドロンによるものだったのである

 

ニャルラトホテプが何故その様な事をしたのか……、それはほんの僅かとは言え自分を能力で威圧、拘束した翔を殺すリストに登録した為である。因みにその殺意は、彼が翔が戦治郎を暴走させる切っ掛けになる存在であると知った時、より高いものになっていたりする……

 

彼はニヤリと笑いながらそう呟くと、輝くトラペゾヘドロンを自身の胸の谷間に押し込んで輝くトラペゾヘドロンを手元から消した後、帰還予定時間までバカンスを楽しむ事にするのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてニャルラトホテプがバカンスを楽しんでいる頃、ワイキキビーチから遥か遠く離れた海の底では……

 

「待っていろ長門 戦治郎おおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

ゾアの力によって石化したはずの防人の肉片が、そう叫びながら海底を蠢く様にして爆走(?)していたのであった……

 

何とこの防人、持ち前の気合と根性と執念と闘志で、ゾアの石化を強引に解除してしまったのだ……。こうして石化が解除された防人の肉片は、ただただ戦治郎との再戦だけを望み、直感を信じて戦治郎の下へと急いでいたのであった……

 

「俺はまだ生きているっ!!!さぁっ!!!長門 戦治郎っ!!!死合の続きと洒落込もうではないかあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

防人の肉片はそう叫びながら、海底を這う様にして戦治郎の居場所を目指して移動をするのだが、この時防人は気付いていなかった……、己の身を狙う影が多数存在している事に……

 

「いざ行かんっ!!!戦いのb……ぬおおおぉぉぉっ!??」

 

防人がそう叫んだ直後、突如防人の肉片の頭上(?)から現れた舌が、防人の肉片を絡め取り、そのまま舌の持ち主の口の中に肉片を運び込んだのである

 

その後舌の持ち主はモゴモゴと口を動かして咀嚼し、なんと防人の肉片を食べてしまったのである……

 

「うげぇ……、まっず……」

 

防人の肉片を食べたソレが、思わずそう呟いたところ……

 

「ま~た拾い食いザンスか?流石にそろそろお腹壊すと思うから、その辺でやめておいた方がいいとミーは思うザンス……」

 

突然ソレの頭の中に、拾い食いを止めさせようとする声が響き渡る

 

「でもしゃ~ね~でよ……、何でもいいから食わないと、アッシが空腹で死んじまいそうだったんでよ……」

 

防人の肉片を食ったソレ……、護衛棲水姫の艤装が、自身の頭の中に響く声の持ち主、現在自身に格納されている護衛棲水姫の黒い丸い艦戦に向かってそう言うと……

 

「いや、だったらそこら泳いでる魚食えばいいじゃん……」

 

先程とは別の声、艦戦と同じく自身に格納されている欧州棲姫のエイの様な艦攻が、呆れ気味にそう言うのであった……

 

「あいつらすばしっこくて中々捕まえらんねぇんでよ……、だからこうして動きが遅い奴や止まってる奴を狙ってるんでよ~」

 

「だからって、人の腕とか大きな舌とか食べるのは止めて欲しいザンス……、アナタ元はカエルなんザンショ?」

 

「カエルが何で好き好んで肉食ってんだよ……、そこのザンスザンス言ってる元フクロウだったらまだ話は分かるが……」

 

「アッシはウシガエルだったんでよ、ちっさい蛇とかネズミとかも普通に食ってたでよ」

 

「「ああ、そう(ザンスか)……」」

 

「っと、それはそうとこのお肉、何か特別な力を持った奴の肉だったみたいでよ、今それっぽいの吸収した感じがしたでよ、後で早速試すでよ」

 

「ああ、腕と舌食った時もそんな事言ってたな……」

 

「案外、それがカエルの能力なのかもしれないザンスね」

 

「ああ~、俺にもそんな能力とかねぇかな~?」

 

「元コウモリのアナタの能力ってなると……、吸血か夜の戦闘関連になるんじゃないザンス?」

 

「いや、俺吸血コウモリじゃねぇし……」

 

「さって、多少腹も膨れた事だし先急ぐでよ、あの子の仇であるリコリス棲姫をぶっ飛ばす為にも、もっともっと力を付けるでよ~」

 

その後、防人の肉片を食べてしまった護衛棲水姫の艤装は、自身に格納している艦載機達とこの様なやり取りを交わしながら、この場を後にするのであった……

 

尚、防人の肉片だが動いていたのはこの1欠片だけでなく、世界中に飛び散ったもの全てが一斉に石化を解除して、行動を開始していたりする。その道中で、他の肉片もこの肉片同様魚や蟹などに捕食されたりするのだが、それでも肉片達はその足(?)を止める事無く移動し、途中で合流した肉片は次々と合体していき、徐々に人間としての姿を取り戻しながら、戦治郎のところへと向かうのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして戦治郎達の与り知らぬ場所で、この様に動く影が多数ある訳だが……

 

「おっしゃおめぇらっ!!!復旧ついでに研究所の守りも固めちまおうぜーっ!!!」

 

\応っ!!!/

 

「あ、あまりやり過ぎない様にして下さいね……?」

 

そんな動きがあるとは露知らず、戦治郎達は研究所の復旧に勤しむのであった

 

因みに、戦治郎達の働きによりサラの研究所は、重武装が施された大要塞と言っても差支えが無い様な建物へと変貌し、後に生き残ったアメリカ軍の中枢を成す拠点となるのであった

 

また、今回の件でアメリカ軍は艦娘の重要性を思い知らされ、艦娘を配備する方向で話を進めた後、桂島の騒動が収まった後の日本から艦娘に関する技術を提供してもらい、その礼として一部のアメリカの艦娘を日本海軍に送る約束をするのであった

 

尚、こうして送られたアメリカの艦娘の内の1人は、本人の強い希望により、戦治郎が提督を務める事となる、長門屋鎮守府に配属される事となるのであった

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