※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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鬼は人を喰らいて鬼帝と成る

大和のクローンの群れを目の当たりにした戦治郎の心は、桂島の提督に対しての激しい怒りに瞬く間の内に飲み込まれてしまった

 

(深海棲艦との戦争に何としてでも勝ちたいと言う気持ちは理解出来る……、その為に手段を選ばない事も多少は分かる……、しかし手段を選ばないにしても、ものには限度と言う物があるだろう……っ!クローン技術を用いたこれは、いくら何でもやり過ぎだろう……っ!!)

 

戦治郎が辛うじて残った理性でここまで考えた直後、自身と同じ顔をした艦娘の群れを見た大和が、激しく混乱し始め海面に座り込んでしまう……

 

「あれ……?どうして大和があんなに沢山……?大和は……、大和は……?……大和は大和なのでしょうか……?」

 

戦治郎が大和のこの呟きを耳にした瞬間、心の中で燃え盛る怒りが更に勢いを増していき……

 

(……あれだけ苦しんでいた大和に、更に追い討ちをかける貴様を……、俺は絶対に許さないっ!!!)

 

戦治郎が頭の中でそう呟いた直後、戦治郎の頭の中は激しく燃え盛る炎に包まれてしまうと完全に理性を失い、彼の左目からは『鬼』の文字が浮かび上がる血の様に赤い炎が、勢いよく噴き出し始めるのであった……

 

 

 

 

 

「ぐごおおオおOぉォぉぉoーーーっ!!!」

 

咆哮する戦治郎が大妖丸を横薙ぎに振るえば、たった一振りで30人ものクローン大和が胴体を断ち切られ絶命し、海の底へと姿を消して逝く。この攻撃の恐ろしいところは、実際に大妖丸の刃に触れたクローン大和の数が、精々5人程度しかいなかった事である……。他の25人のクローン大和達は、戦治郎が大妖丸を振るった際に発生した衝撃波によって、胴体を押し潰される様にして両断されてしまったのである

 

そんな戦治郎が大妖丸を振り切ったところで、クローン大和達は一斉に戦治郎の方へと主砲を向け、まるで嵐の様に砲弾を叩き込み始める。いや、クローン大和達の攻撃は、これだけには留まらない。発艦していた水戦達を自分達の砲撃の合間を縫う様に操作して、戦治郎に機銃による一斉射まで浴びせているのである

 

こうしてクローン大和達は、数百発以上もの砲撃を戦治郎に浴びせ続けるのだが……

 

「GUギャ∀あアAあぁァaαぁーーーっ!!!」

 

まるで怪物の雄叫びの様な声を発すると、戦治郎はクローン大和達が作り出した爆煙を吹き飛ばし、辺りを飛び交う水戦達を声だけでまとめて薙ぎ払い、最も近くにいたクローン大和に途轍もない速さで突撃し斬りかかって見せる。そんな戦治郎の身体には、凄まじい数の試製51cm砲の砲撃を受けたにも関わらず、傷1つ付いていなかった……

 

 

 

 

 

「なあ……、戦治郎さんってあんなに強いのか……?」

 

「いや……、あんな戦治郎さんは、俺達でも初めて見るんだが……」

 

戦治郎がクローン大和達を相手に大立ち回りする一方で、海賊団と桂島泊地の艦娘達が、暴れ回る戦治郎の姿を遠巻きに呆然と眺めていると、不意に天龍が木曾に向かってこの様な事を尋ね、木曾は驚きの表情のままこう返答するのであった……

 

「戦治郎さんは、一体どうしちゃったんでしょうか……?」

 

「分からん……、だが今の戦治郎に近付かない方がいい……、それだけは間違いない……」

 

「多分誰も近付こうなんて思わないと思うわ……、まるで化物みたいだし……。下手に近付いたら、あの大和さんのクローンごとバッサリ斬り捨てられちゃいそう……」

 

「ちょっ……!?天津風っ!!空さんの前で化物は……っ!!」

 

「構わん、銀龍で陸の一部を消し飛ばしてしまって以降、受け入れる事にしたからな……」

 

木曾達が会話し始めたのと同じタイミングで、阿武隈が不安そうにしながら空に尋ね、それに対して空が返答したところで今度は天津風がこの様な事を口にし、それを聞いた陽炎が天津風に注意しようとしたところで、空がこの様な言葉を口にする

 

「あれは……、本当に不知火達が知る戦治郎さんなのでしょうか……?」

 

「戦う姿……、度々上げる咆哮……、今の戦治郎さんは、まるでおとぎ話に出て来る鬼の様ですね……」

 

空達がこの様なやり取りを交わすすぐ傍で、不知火と瑞穂が会話を交わしていると……

 

「鬼……?まさか……っ!?」

 

不意にシゲがハッとするなり、この様な言葉を口にする。その様子を見て怪訝に思った護が、シゲに何があったかを尋ねてみると、シゲは海水浴の時にチラリと見た戦治郎の背中の事を話し始めるのであった

 

「海水浴の時、アニキが大和さん連れて泳いでた時に偶然見ちまったんだよ……、アニキの背中に鬼って文字が増えてたのをな……」

 

「まさか……、あれは能力による暴走なのか……!?」

 

「シャチョーは1人で2つの能力持ってたんッスか……、クソチートじゃねぇッスか……」

 

「いや……、よく思い出してみやがれぇ、戦治郎の背中にはもう1つ空白があったはずだろうがよぉ……。もしかしたら戦治郎は1人で3つ以上の能力を持ってる可能性があるかもしれねぇぜぇ……?」

 

「なんじゃそりゃっ!?オリジナルコアの奴贔屓し過ぎだろっ!!?そんな事するくらいだったら、1つくらい能力が無ぇ俺に回しやがれってんだっ!!!」

 

「輝さんの場合、まだ能力が発現していないだけでは……?」

 

シゲの言葉を聞いた光太郎が驚愕し、護が思わず不平を漏らし、悟が考えたくない可能性を示唆し、それを聞いた輝が声を荒げ、そんな輝に通がツッコミを入れる

 

と、その時である

 

「皆さんっ!北の方から増援ですっ!!」

 

「えぇいっ!!また大和の偽物共かっ!!!一体どれだけ数を揃えておると言うのだっ!!?」

 

艦載機を飛ばしていた翔とその大きな体で周囲を警戒していたゾアが、この場にいる者達全員に増援が来ている事を伝え、その報告を聞いた者全員がそちらに視線を向けると、先程と同じ規模のクローン大和の群れがこちらに押し寄せていたのであった……

 

「空さん、どうするのですか?」

 

「あの様子を見る限り、恐らく桂島泊地の何処かにクローン大和の製造プラントがあるはずだ……。それを……」

 

扶桑が暴走した戦治郎の代わりに空に指示を仰ぎ、空がそれに答えようとしたところで、空……、いや、ゾアと混乱する大和を除いた全員が、まるで死神の処刑鎌を首筋に当てられた様な感覚に襲われ、思わず口を噤み息を呑む。一同がこの様な感覚に襲われたのは、我を忘れ荒れ狂う戦治郎が、丁度増援が来ている方角に視線を送った瞬間であった……

 

戦治郎は増援部隊がいる北の方角へ視線を向けると、ほんの僅かな間だけ動きを止めるのだが……

 

「……っ!?全員、衝撃に備えろっ!!!」

 

何かを直感した空が即座に全員に指示を飛ばし、全員が空の直感を信じて身構えたその刹那……

 

「―――――――――――――――!!!!!」

 

突如戦治郎が最早人間が出す声とは思えない様な声で咆哮を上げ……

 

\きゃあああぁぁぁーーーっ!?/\うおおおぉぉぉーーーっ?!/

 

戦治郎の周囲からは円を描く様に高波が発生し、その咆哮によりかなり離れた位置にいるにも関わらず艦娘達全員の艤装が中破に追いやられ、翔やクローン大和が飛ばしていた艦載機は粉々に吹き飛び、戦治郎のすぐ近くにいたクローン大和達は艤装を大破させられた上に、まとめて数十mほど後方に勢いよくぶっ飛ばされてしまうのだった……

 

「ちょいちょいちょいっ!?今の一体何なんですっ?!」

 

「おかしいやろっ!?大声出しただけで艤装ぶっ壊すとか、洒落になっとらんでっ!!?」

 

戦治郎の咆哮でひっくり返ってしまった龍驤を起こす司が慌てた様子で声を上げ、司の手を借りて起き上がった龍驤が司に続く様にして叫び……

 

「あ、あれは……?」

 

「龍鳳さんどうしたの?何かあったの?」

 

咆哮の衝撃で尻もちをついていた龍鳳がそう呟いたところで、艤装から黒煙を上げている川内がそう尋ねると、龍鳳は戦治郎の左目の炎の方を指差す。そしてこの2人のやり取りを聞いていた全員が、思わずそちらに視線を動かすと、そこには左目の炎から太陽のプロミネンスの様な物を発しながら、静かに佇む戦治郎の姿が映るのであった

 

「炎の形が……、変わった……?」

 

「ぽい~……、何かすっごく嫌な予感がするっぽい~……」

 

その様子を見た時雨が驚愕しながらそう呟くと、続く様にして夕立が何か危険を察知したのか、プルプルと身体を小刻みに震えさせながらそう呟く……

 

その次の瞬間、突然戦治郎がゆっくりと右足を持ち上げると、勢いよく海面に向かって踏み下ろし、それが海面に触れた直後に戦治郎を中心に巨大な津波が発生する……!

 

「司さーーーンっ!!!」

 

「任せてちょーだいっ!!!」

 

その大き過ぎる津波を見た瞬間江風が叫び、それに呼応する様にして司も津波を発生させ、戦治郎が生み出した津波に己が発生させた津波をぶつける事で、何とかその場を凌いでみせる……

 

因みに、先程の戦治郎のアクションで発生した衝撃波によって、この場にいるクローン大和達は全て血煙となり、一掃されてしまうのであった……

 

「これは1度撤退した方がいいのではないでしょうか……?」

 

「そうね……、あの人を大人しくさせるのは困難でしょうし、私達も皆中破してるものね……」

 

今の状況を見た神通が空に撤退を進言し、それに大和を落ち着かせようと奮闘していた矢矧が同意する

 

「そうだな……、ならばこうしよう……」

 

2人の意見を聞いた空は、そう言うと全員に向けて次の様な指示を飛ばすのであった

 

光太郎、悟、護、翔、望、藤吉、ゾアの6人と1柱は艦娘達を連れて鳳翔達と合流し、艦娘達の艤装の修繕と桂島泊地の艦娘達のメンタルケアなどを行い、残った長門屋のメンバーは荒れ狂う戦治郎とクローン大和達の猛攻を潜り抜けて桂島泊地に向かい、クローン大和の製造プラントを破壊する、これが空が皆に指示した内容である

 

「恐らくクローン大和の製造プラントをどうにかしない限り、戦治郎を止めるのは難しいだろうからな……」

 

「それでも戦治郎が止まらなかった時は、我が相手をする事になるのか……、これは骨が折れそうだな……」

 

「済まないな……、現状海賊団の最高戦力はお前だからな……、これに関してはお前にしか頼めそうにないんだ……」

 

空の言葉を聞いたゾアがやや渋い顔をすると、空はそう言ってゾアに向かって頭を下げる

 

「構わぬ、戦治郎のあの姿を見た時から、こうなる気がしていたからなっ!」

 

そんな空の様子を見たゾアは、そう言って空の顔を上げさせて、空の頼みを了承するのであった

 

その後、増援のクローン大和達がこの場に到着したところで、一行は空の指示通りに行動を開始、光太郎達は鳳翔達との合流を果たす為に南に移動を開始し……

 

「いいかっ!?何もあの中を突っ切って行く必要は無いっ!!クローン大和達の攻撃を分散させる為に二手に分かれ、大きく外を回って行けばこちらの被害は抑えられるはずだっ!!!その後は各自襲ってくるであろうクローン大和を撃破しながら泊地に侵入するぞっ!!!」

 

\承知っ!!!/

 

空が叫ぶ様にして指示を出し、それを他のメンバーが了承した後、空達は目の前に広がる地獄に向かって駆け出す……

 

「―――――――――――――――!!!!!」

 

空達がこの様なやり取りを交わす中、戦治郎は獣の様な咆哮を上げ、その両目から血の涙を流しながらも、クローン大和達を一方的に虐殺し続けるのであった……




鬼神紅帝 鬼之型 (きしんこうてい おにのかた)

戦治郎の能力の1つ

効果は自身の全ステータスを25倍に跳ね上げるが、理性が激情に支配されてしまう為暴走してしまうと言うもの

発動中は戦治郎の左目から赤い炎が噴き出し、その炎の中に『鬼』の文字が浮かび上がる



鬼神紅帝 鬼帝之型 (きしんこうてい きていのかた)

戦治郎の能力の1つで鬼之型の上位版、帝之型と鬼之型が同時に発動している状態

鬼が人を喰う様に、鬼之型が帝之型の力を喰らい強化された状態で、全ステータスが50倍に跳ね上がるが、鬼之型同様暴走してしまう

発動中は鬼之型同様、『鬼』の文字が浮かぶ赤い炎が左目から噴き出すが、その炎が更にプロミネンスの様な物を発している



因みに鬼之型をNの能力と比較すると……

頑丈な身体※和訳 (がんじょうなからだ)

食人鬼ヌ級ことNの能力

耐久と装甲が10倍になる



この様に鬼之型はヌ級の能力を倍にした上で、火力関係と速度まで強化されているので、発動すると止めるのが非常に大変で、その上位の鬼帝之型を発動した場合、下手したら邪神の力を借りなければ止められなくなるかもしれない……

但し、これはオリジナルコアが細工して付けたものではない。鬼之型がメラ、鬼帝之型がメラミだとすると、オリジナルコアが付けたものはフルMPでのマダンテ相当のものである……。又、メラゾーマ相当の型も、メラガイアー相当の型も存在する可能性も……
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