「戦治郎~、言われた通り来たぞ~」
「お~う、ってありゃ?何か人数減ってね?」
戦治郎から投げ渡された提督をそこらに適当にポイ捨てした輝達が、戦治郎達が待つ執務室に到着すると、メンバーが減っている事に気が付いた戦治郎が、輝達に対してそう尋ねて来る
「これ以上留守にしているのは不味いと言う事で、加賀さん達佐世保鎮守府所属の皆さんは佐世保鎮守府に、クタニドさん達はそれぞれの拠点にお帰りになりました」
「んで、悟は龍田の治療の為に、泊地に到着するなり天龍連れて医務室に直行したぞ」
「せかせか、加賀達やクタニドさん達には、次会った時お礼言わねぇとだな~……。そして龍田の方は、現状悟に頑張ってもらうしかねぇか……。っとまあ今いないメンバーの事は把握した、んで、取り敢えず今ここにいるメンバーで、話し合いを始めるとしますかね。って事でまずは海賊団の艦娘の諸君、調査結果の報告よろしこっ!」
戦治郎の問いに対して大和と輝がこの様に答えると、戦治郎は承知したとばかりにウンウンと頷いた後、泊地の調査を頼んでいた海賊団所属の艦娘達に、調査結果を報告する様に促すのであった
さて、戦治郎に泊地の調査を依頼された艦娘達だが、彼女達は調査を開始するにあたって2手に分かれて調査を行う様にし、摩耶、木曾、神通、川内、阿武隈の5人と白露型3人による巡洋艦チームは地上の工廠の中を、扶桑、龍驤、龍鳳、瑞穂の4人と陽炎型3人による大型艦チームは本庁内にある資料室を調査したそうだ
そしてまず大型艦チームの扶桑がチームの代表として、資料室を調べた結果を報告するのだが……
「それらしいものは見つからなかったか……」
「はい……、申し訳ありません……」
正規の軍人である龍鳳に確認してもらいながら、資料室をひっくり返す勢いで調査したものの、何の成果もあげられなかった事を扶桑が伝えると、扶桑だけでなく大型艦チームの全員が申し訳なさそうにションボリするのだった……
「何、気にすんな、執務室の方も電話番号と思わしき数字が書かれたメモくらいしか収穫なかったからな」
「恐らくここの提督は、大本営の監査の目が届きそうな所には、証拠になりそうな物を置かない様にしていた様だな。実際、地下の方には碌でもない資料が山ほどあったからな……」
「ああ……、確かクローン関係の資料と、クローン達が使ってた小型艤装の資料だったか……」
落ち込む扶桑達を励まそうと、戦治郎が執務室の調査結果を口にしたところで、戦治郎の言葉に続く様にして戦治郎達が到着する前に工廠の地下を調査していた空がこの様な事を言い、それを聞いた戦治郎はガサ入れ前に空に見せてもらった資料の内容を思い出しながらそう呟く
「それってどんなのだったんだ?」
「ふむ……、なら少し話しておくか……」
戦治郎の呟きを聞いた木曾が、資料の内容について尋ねたところ、問題の資料を発見した空が資料の内容について話し始める……
まずクローンについてだが、これは使い捨てる事を前提に作られた兵器である事が、空達が入手した資料から判明したのだった
このクローンは強靭な肉体を手にする為にベースとなる遺伝子の情報を操作し、出来上がった遺伝子を基に受精卵を作り上げ、それを濃度調整した高速修復材……、所謂バケツの効果を利用して受精卵から胎児、胎児から大人の2段階に分けて急速成長させて作られており、この遺伝子操作とバケツによる急速成長が原因で、クローン達の寿命は僅か1ヵ月程度しかない事が、資料に記されていたのであった……
そしてこの資料にはこのクローンの運用例が記されており、その内容は悟が見ていたら間違いなく怒り狂う様な、本当に酷いものであった……
『このクローンは大量に生産して、数で相手を押し潰す戦法がオ・ス・ス・メ♪そして相手を制圧出来ないまま作ってから1ヵ月経ちそうになったら、強力な爆弾でも持たせて相手組織や敵対国の主要人物や主要施設に嗾けて自爆させたら効果的だと思うの~。遺伝子操作のおかげで銃弾程度じゃ倒れないし、バケツが混ざった培養液の中で育った影響で、かなりのレベルの自己修復能力も備わってるから、かなりの確率でターゲットの所に辿り着けるでしょうね~』
資料にはこの様に書かれていたのである……、原文がこれなのである……。これを見た途端剛が大激怒し、クローンを作るカプセルに向けてテュポーンを乱射し、1人で殆どのカプセルを破壊したのであった
さて、そんな短命なクローン達が使用していた小型の艤装だが、あれは見た目こそ駆逐艦用の艤装の様に見えたのだが、れっきとした大和型戦艦の艤装だったのである
空達がクローン製造用の部屋の隣にあった艤装製造用の部屋から入手した資料によると、この艤装はアリーが保有する大型人型艤装『ハデス』を作る際のテストの一環で作られた物らしいのである
何でも『ハデス』は普通に作ると、光学兵器関係の都合で全長及び全高が200mでは済まないサイズになってしまうのだとか……。それはそれで魅力的ではあるが、取り扱いが難しくなると思ったアリーは、何とか『ハデス』を小型化しようと考えたそうだ
そしてアリーは手始めに艦娘の艤装の小型化を開始し、それからどんどんステップアップしていき、そうして入手したデータを基に200mオーバーになるはずだった『ハデス』を全高8.8mクラスにまで小型化する事に成功したそうだ
こうした流れで誕生した小型艤装だが、実はかなり厄介な代物だったりする。何が問題かと言えば、この艤装は女性であれば艦娘適性が無くても動かす事が出来てしまうのだ……。言ってしまえば、これは艤装型のアリーズウェポンなのである……
こんな物が世に出回ればドロップ艦問題に拍車がかかってしまうだろう……。そう考えた空達は、即座にこの艤装の製造プラントも破壊し尽くすのであった
「俺達が見つけた資料の内容については以上だが……、何か質問はあるか?」
話を終えた空が皆に向かってそう尋ねるのだが、艦娘達は資料の内容に愕然とするばかりで空の言葉に反応する事は無かった……
「まあ、そう言う反応になるわな~……。っと次の摩耶達のとこで最後か、って事で報告頼むっ!!」
「……あっ、悪ぃ悪ぃ……、んで、あたし達のとこは成果があったぜっ!!」
艦娘達の反応を見た戦治郎が、摩耶に結果報告する様に促したところ、我に返った摩耶がそう言いながら戦治郎に資料を手渡す
「それは工廠の隠し部屋の中にあったの、私が工廠の中の空間と外から見た工廠の大きさに違和感を感じてね、それがどうしても気になったから皆に協力してもらって工廠の中を調べたところ、隠し部屋の入口を見つけたの」
「隠し部屋の中には、その資料と大量のアリーズウェポン、そして……」
「脚が生えたお饅頭みたいな物があったっぽい!」
摩耶から渡された資料に目を通す戦治郎に向かって、川内と神通が資料を発見した経緯と、資料と一緒に発見した物を報告している最中に、夕立がこの様な事を口にするのであった
「饅頭 is 何?」
「饅頭とは、小麦粉を練って作った生地に……」
「そこの甘味
夕立の言葉を聞いた戦治郎が、思わず資料をめくる手を止めながら夕立にこの様に尋ねたところ、甘味が大好きな空が光の速さで戦治郎の言葉に反応して饅頭の解説を始めようとし、すかさず光太郎がツッコミを入れて饅頭の解説を中止させる
「あれについては、直接見てもらった方がいいかな……?」
「だな……、正直あれが何なのか、江風達には分かンないからな……」
「脚が生えた饅頭、めっちゃ気になるが……」
時雨と江風の言葉を聞いた戦治郎が、資料を閉じた後顔を顰め後頭部をバリバリと掻きながらそう呟く
「何か他に気になる事があるんですか?」
「あぁ、未だに見つかってない人身売買関係の資料の在り処が、どうしても気になってな~……。ゾア、おめぇが力貸したって言う亡霊達の中に、提督に売られたって艦娘がいたんじゃないか?」
「うむっ!!提督に売られ大勢の男に輪姦されて亡くなった者、豚や馬と交わるところを見世物にされた挙句それが原因で発症した病で亡くなった者、闇医者による臓器摘出手術中に麻酔が切れてそのショックで亡くなった者などがいたぞっ!!!」
「OK、想像以上だったわ……。っとまあこれで提督が生贄関係以外でも人身売買やってたのは確定したが、その証拠となる書類が見つかってないってのがおかしいんだわ。こう言う違法で入手した大きな金がある場合、裏帳簿付けててもおかしくないからな」
戦治郎の様子を見た阿武隈が不思議そうに尋ねると、戦治郎は阿武隈の問いに答えた後にゾアに対してこの様な質問をし、ゾアの回答を聞くなり僅かの間表情を引き攣らせた後、気を取り直してこの様な言葉を口にするのであった
「取り敢えず、提督を軍法会議に突き出す際の証拠は艤装の奴は悪用される可能性あっから後で燃やすとして……、これとクローンの奴、それと人身売買関係の奴がどうしても欲しいとこなんだわ。って事でちょっち人身売買関係の証拠ありそうな場所について話し合うか」
こうして、戦治郎達は人身売買関係の資料がありそうな場所について、意見を出し合うのであった。そんな戦治郎の手には、先程摩耶から渡された『対深海棲艦用兵器の取引先リスト』と表紙に書かれた資料が握られていたのであった
E-1、何とかクリア……、あの幼女攻撃避け過ぎ……
次はE-2の輸送ゲージか……