「そんじゃあ今からこのサバゲーのルールの説明を、別府にやってもらうんで皆しっかり聞くんだぞ?んじゃ別府、頼んだっ!」
「了解、それじゃあ今からルールの説明を開始するよ」
シゲがこのサバゲーの優勝賞品について話した後、ヴェルがそう言って参加者達に向かってルールの説明を開始する
まずこのゲームは4人で1組のチームを作り、そのチームの内の誰かが泊地内の何処かに設置された提督を、相手チームより早くピロシキの脚で思いっきり蹴飛ばせば勝利となる、4対4のチーム戦となっている
そして、それぞれのチームの開始地点はコイントスとくじ引きで決定する事となっている。具体的に言えば、まず泊地の敷地を4×4程度に区切り、コイントスで表が出れば東西に、裏が出れば南北に分かれる様にし、コイントスの結果を言い当てた側がどちらの陣地を取るかを決定、そこから今度は自分達の陣地8マスに1~8の数字を割り振った後に両チームの代表がくじを引き、そのくじに書かれている数字の場所を自分達のスタート地点にすると言った感じである
因みに試合開始前のコイントスは、キュクロープスに乗ると形代が不機嫌になるからと言う理由で、参加を見送った扶桑が行う事となっている
さて、これはサバゲーと言う事なので、当然相手への砲撃は許可されている。ピロシキに装填されているペイント弾に被弾した場合、被弾した者は即座にスタート地点に戻り、ボディーに付着した塗料をしっかり落としたら、ようやく再出撃出来る様になっている
尚、提督に対して砲撃を当てた場合、特にペナルティーは無いが勝利条件は満たせない様になっている
こうして戦いを繰り返し最後の1チームになると、最後はそのチームによる優勝者を決める為の殲滅戦ルールによる個人戦が行われる流れとなっており、これで最後まで勝ち残った者がこの大会の優勝者となり、めでたくキュクロープスを手にする事が出来るのである
「ルールについては以上だよ、何か質問はあるかい?」
ルール説明を終えたヴェルが、参加者達に向かってそう尋ねたところ、摩耶が挙手して疑問を投げかける
「なぁ、どうしてこんな事しようと思ったんだ?キュクロープスって奴もいつもみたいにあたし達が持ってっていいんじゃねぇか?あたしは誰が使うかって聞いた時、あたし達海賊団の誰かが使うっての前提で聞いてたし……」
「それについては、俺から話すわ」
摩耶が疑問を言い終えると、ヴェルの代わりにシゲがこの大会の意図について話を始める
シゲがこの大会をやろうと思った理由……、それはまず泊地の艦娘達に大いにはしゃいでもらいたかったから、提督に酷使された事で溜まった欝憤をこの大会で発散して欲しかったからである
シゲは悪石島で死んだ魚の様な目をした彼女達を初めて見た時、人はここまで疲弊し絶望出来るものなのかと本気で驚いたのである
そして戦治郎達の手によって提督が拘束された今でも、まだその表情に暗い影を落とす彼女達の気分を少しでも楽にしてあげたい、その為にはどうしたらいいかを、シゲは自分の足りない頭(比較対象:戦治郎、空、悟、護など)で必死になって考えていたのだ。そんな時に摩耶がキュクロープスの所有権について尋ねて来て、シゲはこの大会を思いついたのである
他にも理由はある、シゲはこの大会で集めたピロシキのデータを用いて、キュクロープスに更に手を加えるつもりでいるのである
今回の大会で使われるピロシキは、キュクロープスの頭頂部の砲塔上部の機関砲2門と、ボディー右側に取り付けられていた閃光迎撃神話1門が外されている事以外は、キュクロープスと全く違いが無いのである。これなら泊地の艦娘達の気晴らしついでに駆動系の耐久性などのデータも取れる、そう思ったシゲはこの大会の開催を決定するのであった
そしてこれは最後の理由、どうせ誰かに渡すならキュクロープスを上手く扱える奴に渡したい、この大会を通じて艦娘達の操縦テクニックを見極めたいと言う、キュクロープスを作り上げたシゲのちょっとした我が儘なのである
「っとまあこんなとこだな、分かってもらえたか?」
「お、おう……、つか、シゲも色々考えてんだな……。正直意外だったわ……」
「うっせバ~カ、っと、他に質問は無いか~?……無いみてぇだな、って事で質問タイムはこれで終了、次はトーナメント表作るからチームの代表者はこっち来な~」
シゲの回答を聞いた摩耶が、驚きを隠そうともせずにそう言ったところ、シゲはこの様に返事をした後、トーナメント表を作る為の抽選を開始するのであった
それからしばらくして、トーナメント表が完成しサバゲー大会が開始され、泊地内をいくつもの鋼鉄の饅頭が疾走し、時には壁に激突して大穴を開けたり、勝利条件を満たせないと分かっていながらも提督に執拗に砲撃を当てたりしながらも、大会は滞りなく進んで行き、ゾアの精神攻撃のせいで絶叫し続ける全裸の提督を何回宙に舞わせたか分からなくなった頃、チーム戦での決勝戦に参加する2つのチームが決定する
片方は時雨をリーダーとした陽炎、天津風、江風の4人からなる海賊団駆逐チーム、もう片方は天龍をリーダーとした初霜、暁、雷で構成された泊地チームである
因みに、夕立が参加していない理由はキュクロープスに乗っていたら折角空から教えてもらった格闘術が使えないからであり、ヴェルが参加していないのは自分はキュクロープスを操縦する立場より修理する立場でありたいからだそうだ
尚、摩耶、木曾、阿武隈、龍驤の4人もこの大会に参加していたのだが、ピロシキの手綱を上手く握れなかったのか、しょっちゅう転んだり壁に激突したりしている間に、相手チームに提督を蹴飛ばされてしまい、初戦で敗退してしまっていたりする……
「シゲさん、この勝負……、どっちのチームが勝つと思う?」
「さあな?勝敗って奴は、いつもやってみるまで分かんねぇモンだからな。ただまあ……、個人的には時雨達に頑張ってもらいてぇところだな~……。特に時雨は何か考えてるみてぇだしな~……」
戦闘エリア外に設置された実況席から対戦カードを見たヴェルが、隣に座るシゲの方へ視線を送りながらそう尋ねると、シゲはこの様に返答すると大会開始前の事を思い返すのであった
そう、時雨はシゲがこの大会を開催する事を宣言した直後、シゲにこの様な事を尋ねて来たのである
「シゲさん、キュクロープスの装備は基本あれで固定なのかい?」
「いや?一応ボディー左側のS-E穴がまだ空いてるからそこに1つ装備を付けられるし、希望があったら他のとこも希望通りに乗せ換え出来るぞ?」
時雨の問いに対して、シゲがこの様に返答したところ……
「そっか……、分かったよ、ありがとう。それを聞いてやる気が出て来たよ」
時雨はそう言うと、その瞳をやる気で静かに燃やしながら、シゲに背を向けて離れていく。そんな時雨の背中を、シゲはただただ不思議そうな表情を浮かべながら見送るのであった
「おめぇらっ!!!建物関係の修理に関しては、俺と藤吉がいるから気にしなくていいぞっ!!!だから派手で豪快な戦いを見せてくれよーーーっ!!!」
時雨とのやり取りの事を思い返していたシゲが、大会の途中に帰って来て大会を観戦する事にした輝の声で我に返り、両チーム共に準備が整っている事に気付くと……
「悪ぃ悪ぃ、ちょいボーっとしてたわ……。っと気を取り直して……、チーム戦での決勝戦……、戦闘……、開始だあああぁぁぁーーーっ!!!」
シゲの叫びと共にヴェルが目の前に設置されたゴングを打ち鳴らし、多脚戦車によるサバゲー大会のチーム戦の最終戦が開幕するのであった……
E-3の1本目のゲージの破壊に成功、後2本破壊したらE-4からは丙なり丁なりに難易度を下げて、イベント完走を目指そう……