※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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攻撃は最大の防御 防御は最大の攻撃

(くっそ……っ!このままじゃジリ貧じゃねぇか……っ!!)

 

呉大連合の艦娘達と航空戦を開始してからしばらく経過したところで、今の状況に対して戦治郎は内心でそう呟きながら舌打ちする

 

いくら鷲四郎達が優秀でも、数ではあちらが圧倒的に有利な為、戦治郎達は航空劣勢に陥ってしまい、気付けばこちらに向かって飛んで来る艦娘達の艦載機の数が増えていたのだった

 

そして艦娘達が放った艦載機達は、戦治郎達が展開する弾幕に叩き落される直前に搭載した爆弾や魚雷を発射し、それらが戦治郎達に向かって来る度に大五郎が庇う様に間に入り、戦治郎達の代わりに被弾するのである

 

そんな大五郎の姿を見た戦治郎は、これ以上大五郎に被弾させない様にするにはどうしたらいいかについて、ヨイチさんで弾幕を張りながら必死になって考える。

 

その時である

 

「……っ!?」

 

突然以前アイオワ(仮)が放ったデュラハライト砲が掠って出来た火傷痕が、何の前触れもなく疼き始めたではないか

 

(何だ……?突然火傷痕が疼き始めたが……、何かの前触れか……?)

 

戦治郎は火傷痕の疼きに耐えながら、この様な疑問を心の中で呟く。と、その直後である

 

「何だこりゃっ!?」

 

不意に弥七が声を上げ、それを聞いた戦治郎が思案する事を中断し、弥七の方へと顔を向けようとするのだが、そこで自身の視界に異様なものが映り込み、それに気を取られた戦治郎は思わずそちらの方へ視線を向け、それが何なのかに気付くと、戦治郎は弥七と自身の隣にいる太郎丸同様愕然としてしまうのであった

 

戦治郎達が見たものとは、全身が濃い紫色の光に包まれた大五郎の姿であった。一体大五郎の身に何があったのだ?戦治郎がそう思った直後、大五郎を包む紫の光はゆっくりと大五郎の2つある頭部へと集まり始め、全ての光が大五郎の頭に集まったところで、紫色の光は突如として消失してしまうのであった

 

その様子を見ていた戦治郎達が全く状況が掴めず混乱し始めた直後、今度は大五郎が徐に動き出し、前方に両手を置いて戦治郎達の頭上を自身のその巨大な身体で覆う様な姿勢を取ると、艦娘達の艦載機が飛び交う空を見据えながら、2つの口を大きく開き始める。するとどうだ、大きく開かれた大五郎の口から、先程消失したと思われた紫色の光の球体が姿を現したではないか

 

「……っ?!皆っ!急いで戻って来てっ!!!」

 

「お前らもだっ!!ソッコーで戻ってきやがれっ!!!」

 

その光を見た瞬間、戦治郎達の背中にゾクリとした感覚が走り、嫌な予感を覚えた太郎丸と弥七は大急ぎで艦載機達を収容し、気配を察知して帰還した鷲四郎も戦治郎の肩に止まり、戦治郎は先程より激しくなった疼きに必死になって耐え始めるのであった

 

そうして太郎丸達が艦載機を収容し終えた瞬間、大五郎の口から出現した2つの光球は、2つの巨大で暴力的な光の奔流へと姿を変えて、未だ上空を飛び交う艦娘達の艦載機に襲い掛かる……

 

大五郎が放った巨大な光の奔流は、次々と艦娘達の艦載機達を飲み込んでいき、光の奔流はその全てを喰らい尽くしてもまだ前進を続け、遂には天高くに浮かぶ雲を穿って見せたのであった……

 

これだけならば大五郎が巨大なビームを発射しました、で話は終わるのだが、恐ろしい事に話はこれだけでは終わらなかった……

 

先程大五郎が放ったビームによって、2つの風穴が開いた雲の周囲が明らかに異常な状態になっているのだ。具体的に言えば、ビームが放たれ雲に穴が開いたところで、周りの雲がまるでビームに引き寄せられるかの様に動き出し、その一部はビームが当たっている雲と同化してしまったのである。それにより、穴が開いた雲をビームを受ける前のものと大きさを比べると、明らかにサイズが大きくなっている……

 

その様子を見ていた戦治郎達が益々混乱する中、またしても大五郎が動き出し、今度は戦治郎達の前に立つなり、両手を前に突き出し始める。と、その時だ、艦娘達がいる方角から凄まじい数の砲撃音が鳴り響き、それと同時に恐らくこちらに向かって来ている砲弾のものと思われる飛来音が、戦治郎達の鼓膜を揺らす

 

「あいつら、あの距離から撃ってきやがったっ!?」

 

「艦載機がダメなら砲撃ってか?こっちは戦う気ねぇんだけどなぁ……」

 

砲撃音を聞いた弥七が声を上げ、戦治郎が面倒そうに大妖丸を引き抜いたところで……

 

「ぐおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

突然大五郎が咆哮を上げ、直後に大五郎の両掌からこれまで見た事も無い濃い紫色の結晶が出現し始め、それは瞬く間の内にそれはそれは巨大なタワーシールドとなる。そしてその結晶で出来たタワーシールドが完成したところで、砲弾が盾に吸い寄せられる様に飛んで来て、砲弾は次々と盾にぶつかり爆発するのだが、結晶の盾には煤こそ付くものの一切傷がつかなかった……

 

その後艦娘達の攻撃の中に魚雷も混ざる様になるのだが、それでも盾に傷を付ける事は出来ず、それからしばらくすると、艦娘達からの嵐の様な攻撃がパッタリと止んでしまうのであった……。恐らく向こうは全ての弾薬を使い切ってしまった様だ……

 

「攻撃……、止まったね……」

 

「ご主人、どうする?」

 

「取り敢えず行くか……、大五郎の件は道中でも聞けるからな……」

 

未だに呆然としている太郎丸と弥七が戦治郎に対してそう尋ねたところ、戦治郎は気の抜けた声でこの様な返答をし、この場を後にしようとするのだが……

 

「待てっ!!!」

 

背後から聞こえた声に反応し、戦治郎達は思わずその足を止めてしまうのであった。そして戦治郎がゆっくりと声が聞こえた方へ顔を向けると、そこには息を切らした武蔵が立っていたのだった……。どうやら砲撃が止んだ辺りでこちらに向かい始め、戦治郎達が移動を開始したところでダッシュして来たようだ……

 

「貴様っ!逃げる気かっ!!?」

 

「うんっ!!!!!」

 

呼吸が落ち着いた武蔵が、戦治郎に向かって怒りを露わにしながら叫んだところ、戦治郎は間髪入れずにそう答えた。この時戦治郎は、武蔵の目的は自分との一騎討ちだと予想したのだ。もしこれが本当だったならば、戦治郎としては非常に勘弁願いたいところなのである。何せ戦治郎は、ミッドウェーで自分の熱狂的なファン(ヘモジー(防人))と、散々同じ事をやっているのである、正直なところ一騎討ちはお腹一杯なのである……

 

「……私達の猛攻を凌ぎきるのだから、余程の猛者だと思っていたが……、とんだ見込み違いだった様だな……」

 

「ああ、はいはい、もうそれでいいよ……。こっちは急いで横須賀に向かわないといけねぇんだからよぉ……」

 

挑発する様に武蔵が言ったところで、戦治郎が面倒臭そうに応対し……

 

「それでこの武蔵が引き下がると思うか……?」

 

「思っちゃいねぇけど、出来ればここらで引いてもらえたらおっちゃん嬉しいな」

 

2人がこの様なやり取りを交わした直後……

 

「ふざけるのもいい加減にしろっ!!!」

 

武蔵がそう叫びながら、戦治郎に殴りかかる。だが……

 

「どっこいしょ~」

 

「なっ……!?がはっ?!」

 

戦治郎が殴りかかって来た武蔵の腕を掴み、見事な一本背負いで投げ飛ばしたのである。戦治郎に投げられた武蔵は、予想外の攻撃に驚きの声を上げた直後に海面に叩きつけられ、その衝撃で肺の中の空気を全て吐き出してしまうのであった

 

「俺は大和からお前の事頼まれてるんだわ、そんな訳で俺はお前と勝負して、お前に傷を付ける訳にはいかねぇんよ。って事で、あばよ~」

 

投げられた衝撃で動けなくなった武蔵に対して、戦治郎はそう言うと武蔵に背を向けて、横須賀に向けて勢いよく走り出す

 

「ま、待て……っ!大和から頼まれたとは……、どう言う……、事だ……っ!!」

 

そんな戦治郎の背中に向かって、武蔵は気力を振り絞って呻く様に叫ぶのだが、その声はこの場から遠ざかって行く戦治郎には届かず霧散してしまうのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、結局大五郎のあれは何だったんだ?」

 

「自分でもよく分かんないんだぁよ……、あの状況をひっくり返す力が欲しいって思ったら、なんか出来たんだぁよ~」

 

移動中、弥七が思い出したかのように大五郎に先程の件を尋ねたところ、大五郎は少々困りながらこの様に返答する

 

「もしかしたら、あれが大五郎の能力なのかもねっ!」

 

「もしそうだったら、おらぁ今まで以上にご主人をお守り出来そうだぁよ~。攻撃は最大の防御、防御は最大の攻撃だぁよ~」

 

「「なんじゃそりゃ……」」

 

それから太郎丸が何となしにそう言うと、大五郎は力こぶを作りながらそう答え、それを聞いた鷲四郎と弥七が思わず同時にツッコミを入れたところで、ペット衆は一斉にケラケラと笑いだすのであった

 

そんなペット衆の様子を眺めていた戦治郎は……

 

(しっかし、何であの時火傷痕が疼いたんだ……?)

 

大五郎があの力を振るった際、火傷痕が疼いたのかについて疑問に思うのだった

 

後にあのビームと結晶がデュラハライト粒子で作られている事を知ると、戦治郎は大いに驚くと同時に、火傷痕が疼いた理由に納得するのであった




守護神 (しゅごしん)

大五郎が得た能力で、効果はデュラハライト粒子の体内生成と生成したデュラハライト粒子を自在に操ると言うもの

デュラハライト砲を作ったサラ達は、デュラハライト粒子が持つ本当の力を引き出す事は出来なかったが、自身の体内で生成出来る様になった大五郎は、デュラハライト粒子が持つ本当の力をフルで引き出す事が可能となっている

そんなデュラハライト粒子の本当の力とは、粒子の1つ1つがまるで対象を死後の世界に引き込むかの如く引き寄せると言う物

実際、大五郎が吐き出したビームのせいで全滅した艦載機達の中には、ビームの射線から外れた場所にいたが、ビームに引き込まれて破壊されたものが幾つも存在する

因みに大五郎が盾にしたデュラハライト結晶は、ティルタニウム樹脂と並ぶほどの強度を持っていたりする。ただ、この結晶は妖精さん達でも作る事も加工する事も非常に困難で、恐らくまともに結晶を作ったり加工出来たりするのは、後にも先にも大五郎だけではないかと言われている
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