「うわぁ、何あれ……?まるで変身した光太郎さんみたいになってる……」
「見たところ、あれはパワードスーツとは違うみたいだね……」
剛と剣持の闘いをアルゴス号の中から見ていた川内が、剣持の今の姿を見て思わずこの様な言葉を口にし、それに対して光太郎がそう返答するのであった
「それはつまり……、あの人は自分の身体を何らかの手段を用いて改造し、あの様な姿になっていると言うのですか……?」
「恐らくね……、って言うかそうでないとあの移動の速さや、斬撃の威力、そして剛さんの攻撃に耐える頑丈さの説明が付かないからね……」
それを聞いた神通が光太郎の方を向きながらそう尋ねると、光太郎は神通の方へ視線を向ける事無く1度頷くと、この様な事を口にするのであった
「剛さん……」
そんな中、不知火は剛達の闘いから一切目を離さずに、剛の勝利を願う様にそう呟くのであった……
それからどれだけの時間が経っただろうか……、剛と剣持は一切疲労を見せないまま、激闘と言っても過言ではない程に、それはそれは熾烈なぶつかり合いを続けていたのであった
お互いの間合いが開けば剛が保有する銃器達と艦載機達、そして剣持が手にしているケルベロスと剣持の体内に内蔵された銃器達が一斉に火を噴き、間合いが詰まれば剣持の太刀と剛の銃剣が激しくぶつかり合って火花を散らす……
因みに剣持の体内に内蔵されている銃器だが、両腕からは軽機関銃が、胸からは4門の機関砲が、両脹脛からはロケット弾、そして両太ももと腹部からはミサイルが発射出来る様になっていた。尚、下半身の火器を使うにあたって、剣持はズボンを自ら脱ぎ棄てて褌一丁になり、その光景を目にしてしまったアルゴス号内の艦娘達に悲鳴を上げさせたそうだ……。余談だが、剣持の褌の色は穢れを知らぬ純白だった模様
その時、剛は突然ズボンを脱ぎ捨てた剣持に対して、長引く戦いのせいで頭がおかしくなってしまったのかと言った感じの哀れみ満載の表情を向けたのだが、直後に全身からミサイルやら銃弾を飛ばし始めた彼の姿を見て
「何だこれは……っ!?まるでマジンガーZじゃないか……っ!?!」
驚愕の表情をその顔に貼り付けながらそう呟くと、すぐさま我に返って表情を引き締め、こちらに向かって来る剣持の攻撃に対処し始めるのであった
その後、剣持が自身が展開した弾幕に紛れ込んで剛に突撃を仕掛け、剛はそれを銃剣で受けながら、剣持にある疑問をぶつけるのであった
「貴様のその身体……、まさかとは思うが……、アリーに改造されたのか……っ?!」
「アリーが誰かは知らんが……、その問いに答える義務は無い……っ!!もし聞きたければ……、先程も言ったが……っ!俺を屈服させる事だっ!!!」
(アリーを知らない……?ではこれはアリーがやったものではないのか……?ならば一体誰が……?)
鍔迫り合いの最中に自身の疑問に対する剣持の返答を聞いた剛の中に、また新しい疑問が芽生え、剛は内心で不思議そうにそう呟く
「……せめて1つくらいは……、教えてくれてもいいんじゃないか……?よく言うだろ……?冥途の土産って……っ!ねっ!!!」
新たな疑問が生まれたところで、剛は剣持に対してそう言うと、艤装に付いた腕で彼の腹を殴り飛ばして、強引に間合いを開ける事に成功する。そして寸でのところで剛の攻撃を防御し、剛の拳の威力を軽減させる為に当たった直後に後方に飛び退いた剣持は
「深海棲艦風情がその様な言葉を知っているとはな……、いいだろう……、それに免じて1つくらい教えてやってもいいな……、冥途の土産として……、な……」
そう言うと、自身の身体がこうなった経緯について話し始め、剛はその一字一句を聞き逃すまいと、真剣な表情をしながら集中して剣持の言葉に耳を傾け、その内容に思わず驚愕してしまうのであった……
剣持の身体を改造した人物……、恐るべき事にそれは何と妖精さん達だったのである……
世に艦娘が生まれ陸軍の立場が無くなりかけた頃、当時まだ一兵卒だった剣持は、ある日偶然にも駐屯地付近で野良の妖精さん達を発見したのだそうな……
そして艦娘の誕生に妖精さん達が関わっている事を知っていた剣持は、妖精さん達に自身を生身でも深海棲艦と戦える様にして欲しいと頼み込んだのだとか……
最初は剣持の頼みを断っていた妖精さん達であったが、剣持が最終手段としてある行動を行った結果、妖精さん達は渋々ながら彼の望み通り、生身でも深海棲艦と戦える様に彼の身体を改造したそうだ……
「流石の妖精達も目の前で腹を切られれば、俺の命を助ける為にも嫌でも改造を施すだろう……。そう考えた俺は、躊躇なく自身の腹を妖精達の目の前で切って見せた……。そうして手に入れたのが、この身体だ……」
剣持の言葉を聞いた瞬間、剛の背中に冷たい物が走る……
(想像以上にとんでもない奴だな……、一体何が彼をその様な行動に走らせたんだ……?)
一筋の脂汗が頬を伝う中、剛は愕然としながら内心でそう呟き……
「何故そうまでして深海棲艦と戦おうとしているんだ……?貴方はそれほどまでに深海棲艦を恨んでいるのか……?」
剣持に対して彼の事を真っ直ぐ見つめながらそう尋ねたところ、剣持は剛を逃すまいとしっかりと見据え、ゆっくりと太刀を構えながら、この様な言葉を言い放つのであった
「深海棲艦に恨みなど無い……、俺が力を欲した理由……、それは偏に……、護国の為だ……っ!!!」
「……はぁ~~~……」
気迫溢れる剣持の言葉を聞いた剛は、しばらく間を空けた後に長い溜息を吐き、肩の力を抜いて今まで使っていた装備を全て収納してしまうのであった
「何のつもりだ……?」
「仕方ないじゃない、貴方と戦う理由がなくなっちゃったんだもの。アタシは日本と言う国の為に、そこまで出来る貴方とはこれ以上戦えない、そんな貴方ならきっと、アリーズウェポンを上手く運用出来る……。そう思っちゃったのよ、だからアタシ達はこの辺りで退く事にするわ」
剛はそう言うと剣持に背を向け、アルゴス号の方へ向かって移動を開始する。するとその直後……
「……待て」
剣持が剛を呼び止め、剛はその声に反応するなりその足を止め、振り返って剣持の方へと視線を向ける
「貴様に聞きたい事が出来た……」
「そう、ならその太刀を早く仕舞って頂戴。でないと安心して情報交換出来そうにないわ~☆」
剣持が臨戦態勢のまま剛にそう言うと、剛はこの様に返答しながら剣持に向かってウインクをする。その後、剣持が太刀を収めた事を確認した剛は、彼の方へ歩み寄ると情報交換を開始するのであった
剣持が先ず最初に剛に尋ねたのは、剛達が駐屯地を襲撃している理由についてであった。それに対して剛は自分達がアリーズウェポンの回収と、桂島の提督の傘下にいる陸軍兵にお仕置きして回っている事を伝えると、剣持は今度はアリーズウェポンについて尋ねて来るのであった
「つまりこれらは、先程お前が言っていたアリーと言う転生個体と呼ばれる深海棲艦が、戦火を拡大させる為に作り上げた兵器なのだな……?」
「ええそうよ……、それは艦娘の存在意義を崩壊させ、艦娘の存在は必要か否かで人々を争わせる切っ掛けを作る恐ろしい代物なのよ……」
「そうして争い始めた人類を扇動し、言い争いを戦争に発展させ、そうして発生した戦争を自分達の手で管理し、戦争が永遠に続く世界を作り上げようとしているのが、アリーとやらが組織した『エデン』と言う組織の目的か……」
「その通りよ、そしてアタシはアリーの目論見を阻止する為に、桂島の提督が対深海棲艦用兵器の名で取引していたアリーズウェポンを回収して回っているの」
「そうか……」
剛が剣持にアリーズウェポンとその製作者であるアリー、そしてエデンの事を伝えると、剣持はそう呟くなり持っていたケルベロスを天高く放り投げ、即座に太刀で真っ二つに斬り捨てる
「あの男……、とんでもない物をばら撒きおって……っ!!!今すぐに叩き斬ってくれよう……っ!!!!!」
「その提督なら、今は泊地でアタシ達の仲間からお仕置きされてるはずだから、何とかそれで堪えてもらえないかしら?」
その後怒り狂う剣持を剛が宥め、何とか怒りが静まったところで剣持が、剛に対してこの様な言葉を掛けるのであった
「取り敢えずお前達の事情は把握した、俺が入手したアリーズウェポンとやらは格納庫の方に保管しているから、好きにするといい。ただ、中にはかなりの大きさの物があるが……、それはどうするつもりだ?」
「ご協力感謝するわ~。ん~……、そのおっきいのがどれくらいおっきいのか分からないのよね~……。だからどうするかは、現物を見てからになると思うのよね~。そういう訳で取り敢えず、アタシ達はここの格納庫の場所を知らないから、出来たらそこまで案内してもらえないかしら?」
剣持の言葉を聞いた剛は、考える様な素振りを見せた後、剣持に対してこの様な事を言い、剣持が剛の頼みを了承すると、2人は揃ってアルゴス号の方へと歩き始めるのであった
こうして剛と剣持の闘いは幕を閉じ、剛はアルゴス号の中にいるメンバーに事情を話した後、剣持をアルゴス号に乗せて福岡駐屯地の格納庫に向かうのであった