激闘の末に和解した剣持と共に、福岡駐屯地の格納庫に向かった剛達は、先程剣持が言っていた大型のアリーズウェポンを見て、思わず目を丸くするのであった
「あらやだ……、ホントにおっきいのね……」
「これ、あのボックスに収納……、いや、それ以前にアルゴス号の中に入れられないんじゃ……?」
目の前に鎮座する大型アリーズウェポンを目の当たりにした剛がこの様に呟き、それに返答するかのように川内がこの様な言葉を口にする……
今問題となっている大型アリーズウェポン……、それは1輌の戦車とその砲塔に取り付けられた主砲だったのである……
一応戦車とは言ってはいるものの、目の前にあるそれは明らかに普通の戦車とは異なる外見をしていた……。言うのもこの戦車には履帯が付いておらず、代わりに蜘蛛の様な足が左右それぞれに4本ずつ、計8本生えているのである……。それさえ除けば普通の戦車なのだが、この蜘蛛の様な足が非常に強く自己主張している為、どう見てもゲテモノ戦車にしか見えないのである……
尚、この頃には既に泊地の方では、これよりサイズが小さい同じ多脚型戦車であるキュクロープスが発見されただけでは留まらず、量産型のピロシキまで作られているのだが、この事実を剛達はまだ知らないのであった……
「これは……、実戦で使えるのでしょうか……?」
「それについてだが、こいつを受け取ってすぐ部下達が試運転を行い、こいつがそこらの戦車より有用である事が実証されているぞ。こいつは150km/hで走行可能な上、壁などに張り付いての移動も出来、悪路だろうと構わず走破出来るだけでなく、かなりの頑丈さを持ち合わせているそうだ。欠点があるとするなら、その外見の異様さと砲塔だけを旋回させる事が出来ない事くらいだそうだ」
「この子が走っている姿は、あまり想像したくないですね……」
神通の呟きに対して剣持がこの様に答え、その隣で瑞穂がこの様な言葉を口にするのであった……。どうやら瑞穂はこの戦車が走る姿と、蜘蛛が走る姿を重ねてしまったようである
さて、戦車の事はこの辺りにして、次は主砲について触れようと思う
この戦車に取り付けられている主砲は、戦車用と言うには余りにも巨大なものとなっていた。その事を剛が剣持に尋ねたところ、剣持は恐ろしい事を口走るのであった
「この主砲だが戦車の主砲でありながら、4点バースト射撃が可能となっているんだ。原理としては砲身内に弾を3つほど蓄え、主砲発射時に即座に砲身内の弾を装填し続け様に発射、それを繰り返して戦車主砲による4点バーストを実現させている様だ。尤も、この様な構造の為弾の装填にやたら時間が掛かるのが、こいつの唯一の弱点だな……」
もしこの場にシゲがいたら、恐らくこの主砲の事をこう呼んでいた事だろう……、『機神憤怒砲』と……
剣持の話を聞いて誰もが呆然とする中、ふとある事に気付いた不知火が、我に返ってこの様な事を言う
「この主砲……、アルゴス号で運用するのはどうでしょうか?アルゴスの装填速度なら、その弱点をカバー出来ると思うのですが」
「アルゴス……?」
「あのバスに付いてる砲塔の事です、あれもアリーズウェポンの1つなんですよ」
不知火の言葉を聞いた剣持が、眉間に皺を寄せながらそう呟いたところ、光太郎がアルゴスの方へ親指を向けながらそう答えるのであった
「ふむ……、あれならあの主砲を使いこなせると言うのだな……」
それからしばらくの間アルゴスを眺めていた剣持はそう呟くと、整備兵達を呼び集めてアルゴス号の主砲と、この蜘蛛型戦車の主砲を交換する様に指示したのであった
因みにこの戦車砲のテストの際使用された戦車は、この主砲が取り付けられていた蜘蛛型戦車だった訳だが、どうやらこの戦車にはアルゴスほどの自動装填装置が付いていない様である。この事から、剛はこの主砲の問題を解決する為に、アルゴスが生まれたのではないかと推測していた
「さて、主砲の方は何とかなったんだけど~……、この戦車の方はどうしようかしら~……、生憎今のメンバーの中で、まともに運転が出来そうなのって光ちゃんくらいなのよね~……。アタシの場合、足の代わりに腕が1本生えてるだけだから、とても車の運転なんか出来そうにないのよね~……」
アルゴスに蜘蛛の様な多脚戦車である『
「ならば俺の部下に頼んで、桂島泊地に届けさせよう」
「いえ、それは止めておいた方がいいと思います……。多分自分達の仲間達が、敵襲と勘違いして攻撃して来そうなので……」
「ふむ……」
「こうなったら仕方ないわね、やる事やってから回収しに来ましょう」
剛の言葉に対して剣持がこの様な提案をしたところ、光太郎が即座に却下し剣持は他に手段はないか考え始める。その様子を見た剛がこう言った直後である
「剣持大将っ!!大変ですっ!!!」
剣持の部下と思わしき男が、慌てた様子で格納庫の中に飛び込んで来るのであった
「何があった?」
怪訝そうな表情を浮かべながら剣持が部下にそう尋ねたところ、剣持の部下は1度深呼吸して落ち着いた後、驚くべき事を剣持に伝えるのであった
「先程、桂島泊地の提督の傘下にある陸軍兵達が、一斉蜂起し横須賀鎮守府に対して総攻撃を仕掛けましたっ!!!」
「何だとっ!!?」
部下の伝令を聞いた剣持は、その表情を驚愕の色に染めながら思わずそう叫ぶ
「横須賀が……、攻撃されてるだって……?」
「剛さん……、どうなさいますか……?このままでは横須賀鎮守府の皆さんが……」
そして剣持の傍で話を聞いていた光太郎達が愕然とし、瑞穂が剛に自分達はどう動けばいいか尋ねると……
「これはアリーズウェポンの回収どころじゃないわね……、よし、アタシ達はアリーズウェポンの回収を中断し、これより横須賀鎮守府の救援に向かうわっ!!!」
\了解っ!!!/
剛は1度渋い顔をした後、海賊団のメンバーに対してこの様な指示を飛ばし、それを聞いたメンバーは力強く返答するのであった
「待て」
剛の号令の下、海賊団が動き出そうとした直後、不意に剣持が剛達を呼び止める
「どうしたのかしら?」
「俺も連れて行け、陸軍が起こした問題を陸軍大将の俺が見過ごす訳にはいかんからな」
「あら、素敵な提案ね、こっちとしても心強いわ~。それはそうと、車1台乗りそうな輸送機って無いかしら?」
「それが……、空港にあった輸送機は全部桂島傘下の兵達が、横須賀に向かう為に……」
「あらら……、じゃあアタシ達は陸路で向かうしかないのね~……。っと言う訳だから付いて来るなら早いとこアルゴス号に乗って頂戴」
剛が剣持と剣持の部下とこの様なやり取りを交わし、剣持に対して早くアルゴス号に乗る様に促したところ……
「いや、その前にやる事がある……」
剣持はそれを手で制してこう言った後、格納庫から外へ出て……
「聞けぇっ!!!今から俺は逆賊共を討つ為に横須賀に向かうっ!!!それに賛同する者達は姿を現せっ!!!」
力の限りに、こう叫ぶのであった。その直後、何処からともなく兵達が剣持の下へ集まり出し、剣持の前に整列するのであった
その後、剣持は集まった部下達に対して、ある者達には剛達の代わりにアリーズウェポンを回収する様に、ある者達にはアルゴス号での移動をし易くする為に高速道路を封鎖する様にと、次々と指示を出していくのであった。そして……
「弓取っ!!!お前はこの事を他の連中に伝えて来いっ!!!」
「了解ですっ!!!」
先程格納庫に飛び込んで来た
「待たせたな」
一言述べた後、アルゴス号に乗り込むのであった
こうして剣持陸軍大将とその部下達を味方に付けた剛達は、最寄りの九州自動車道に乗り、横須賀鎮守府を目指すのであった
その道中で、剣持のおかげで本当に一般車両が高速道路にいない事を確認した光太郎は……
「このまま走ってても多分間に合わない……、だから……っ!!!」
そう言ってシゲがアルゴス号に取り付けたロケットブースターを起動し、自分達以外誰もいない高速道路を、500km/hで爆走し始めるのであった
これにより川内の速さに対する恐怖に関する頭のネジが外れ、不知火はその衝撃と恐怖で気絶寸前に陥り、そんな不知火を瑞穂が看護し、神通は前のシートにしがみつきながらはしゃぐ川内を制しようとし、剛は少々驚きながら光太郎のドライビングテクを称賛し、その様子を見ていた剣持は……
「全く……、騒がしい連中だ……」
この様に呟くのであった……
恐らく戦治郎達のところに集まる戦車に、まともな物はないんじゃないかと思われます
因みにペーガソスの元になった戦車は、メタルマックス ゼノに登場する砲神マルチレグで、メタルマックス ゼノは戦治郎達が死んだ後に発売された(2018年4月19日発売)設定なので、シゲ達は砲神マルチレグの事を知らなかったりします