※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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元帥防衛戦と横須賀の英雄

剛達が横須賀を目指して高速道路を爆走し始めた頃、横須賀鎮守府はどうなっているかと言うと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしっ!元帥の執務室に着いたぞっ!!」

 

「きっと元帥はこの中にいるはずだっ!!」

 

「もし元帥を討ち取れば、桂島の提督からがっぽり褒賞金を貰えるはずだっ!!!」

 

「俺は金よりとびっきり可愛い艦娘を、こっちに回してもらいたいとこだわ」

 

通信士が自身の逃亡の時間稼ぎの為に呼び寄せた陸軍兵の内の4人が、既に桂島の提督が戦治郎達の手によって拘束されているとも知らずに、横須賀鎮守府内にある元帥の執務室の前で、この様なやり取りを交わしていた。そして……

 

「おっしゃ!一番槍頂きっ!!」

 

そう言って1人の陸軍兵が執務室の扉を蹴破って室内に突入し

 

「あっ!?てめぇっ!!」

 

「抜け駆けすんなっ!!!」

 

「一番槍さん、弾除けよろ~」

 

それに続く様にして、3人の陸軍兵達が執務室の中に突入するのであった

 

「さあ元帥っ!その首貰い受け……、え……?」

 

「あ……?何だありゃ……?」

 

「俺が知るかよ……」

 

「あらやだ……、逞しいモノ♂が付いてるじゃない……///」

 

そして最初に部屋に突入した陸軍兵が、キマイラを構えながら威勢のいいセリフを吐こうとするのだが、彼は部屋の中央に鎮座するそれを見て思わず困惑しそこで言葉を切ってしまい、続く3人もそれを目の当たりにして疑問を抱く……。いや、1人反応がおかしい気がするがこの際捨て置こう……

 

こうして陸軍兵達が困惑し始めたところで……

 

「Welcome……」

 

『それ』はまるで呟く様に、この様な事を口にする。そして……

 

「ぐはぁっ!!?」

 

「なっ?!撃ってkごっはっ!?!」

 

「こいつまsあばばばばばっ?!!」

 

「あっあっあっ……ンアッー!!!」

 

『それ』は突然頭部のバルカン砲を発射して陸軍兵の1人を吹き飛ばし、その光景を見て動揺した兵に対しては手にしたマカロニでゴム弾を浴びせ、我に返って『それ』に対してキマイラの銃口を向けた兵には頭部に取り付けたスタンインコムをぶつけて感電させて沈黙させ、最後の1人には情け容赦無く主砲砲身ユニットをぶっ放して豪快に吹き飛ばすのであった

 

「はんっ!!戦場での油断は命取りなんだよばっきゃろう共がよぉっ!!!っつか最後の奴きったねぇなおいぃっ!!?」

 

『それ』は先程鎮圧した陸軍兵達に向けて、右手の中指を突き立てながらそう叫ぶ

 

そう、『それ』とは自慢のディープストライカースーツを纏った、元帥の補佐官である源 燎中将だったのである

 

彼は工廠での話し合いの後、この日の為に対人用に武装の威力を妖精さん達に調整してもらったこのディープストライカースーツを、元帥の執務室の隣の部屋に置いておいたのである

 

因みに、ディープストライカースーツを隣の部屋に置く際、隣の部屋の扉と壁の一部は一時的に取り壊され、スーツの設置が完了したところで修繕、そして襲撃が始まると燎は隣の部屋でスーツを装着すると、壁を突き破って元帥の執務室に入ったのであった。そのせいで、今も元帥の執務室の壁には、大きな穴が開いていたりする

 

「こういう時、お前のそれは頼もしいな」

 

燎が陸軍兵達に向かって叫んだ直後、燎の背後から艤装とズーイストライカーを装着した日向が姿を現し、この様な言葉を燎に向けて言うと……

 

「こいつは何時でも頼もしいだろうがっ!」

 

「ああ、そうだったな。この先の活躍も期待してるぞ」

 

燎はこの様に返答し、それを聞いた日向は薄っすらと笑みを浮かべながら、この様な言葉を口にするのであった

 

源夫妻がこの様なやり取りを交わす中、日向同様艤装を装着した長門が燎のディープストライカーの脇から顔を出して周囲を警戒した後

 

「執務室に来た連中は、先程の4人だけの様だな……。元帥、立てますか?」

 

ディープストライカーの背後に隠れていた元帥に向かって、この様に言いながら手を差し伸べるのであった

 

「ああ、私は大丈夫だ……。しかし、まさか本当に陸軍が襲撃して来るとはな……」

 

元帥は未だに陸軍の襲撃が信じられないと言った様子で、この様な事を呟きながら長門の手を取り立ち上がる。どうやら彼は、陸軍兵達がこの部屋に突入して来た際、驚きの余り腰を抜かしてしまっていた様である

 

「うっし、そんじゃそろそろ此処を離れて、利根達と合流するか」

 

「そうだな、何時までもこの場所にいると、何時か手榴弾や火炎放射器を持って来られるかもしれないからな」

 

「元帥、これから移動しますので、絶対に源中将の後ろから出ない様にして下さい。いいですね?」

 

「ああ、分かった……」

 

4人はこの様なやり取りを交わした後、執務室から飛び出して利根達がいるであろう通信指令室へと移動を開始するのであった

 

その道中で燎達は陸軍兵と遭遇するのだが、燎達はそれを易々と蹴散らして先に進んでいくのであった

 

燎達の基本的な戦い方は、ヌ級の一件の後装甲を大幅強化した燎のディープストライカースーツを盾にして陸軍兵の攻撃を凌ぎ、弾倉交換などの為に出来た隙を突いて、燎、長門、日向の3人がマカロニなどで確実に相手を仕留めていくと言うものであった

 

さて、ここで1つ疑問が浮かぶはずである……

 

非常識なものを引っ張って来て戦う燎は兎も角、何故艦娘である長門と日向が、この様な戦闘のプロとも言える陸軍兵相手に、まともに戦えているのかについてである……

 

それについては、現在アルゴス号で高速道路を爆走している剛が関係している

 

剛はミッドウェーで長門達と別れる前に、彼女達にマカロニと共にある物を渡していたのである。それはアメリカ陸軍の特殊部隊にて『猟犬』と恐れられたあの剛が書き綴った、彼の知識と技術の全てを分かり易くまとめた『陸上戦闘虎の巻』と銘打った1冊のノートであった

 

そう、長門達はミッドウェーから帰還し報告と会議を済ませた後、時間がある時はそのノートの内容を基に、陸上戦闘の訓練を密かに行っていたのである

 

この様な事があった為、彼女達はこの難局を乗り越える為の力を手にし、今こうして陸軍兵相手にまともに戦えているのである

 

こうして順調に歩みを進めていく燎達が、ふと外の様子を廊下の窓から窺ったところ、外にはそれはそれは濃い霧が立ち込めていた……

 

「何だこの妙な霧は……?先程まであんなに晴れていたのに……」

 

「かなり濃い霧だな……、翔鶴達は大丈夫だろうか……?」

 

突然出現した霧を見て、日向と長門が不意に足を止めて、この様な言葉を口にする

 

「あいつらならきっと大丈夫だろうよ、それより今は利根達と合流する事を優先すんぞ」

 

そんな2人に対して燎はこの様な事を言って利根達との合流を促し、2人が頷いて見せたところで、再び横須賀鎮守府の本庁内の廊下を突き進むのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、横須賀市と金沢区の境界付近では……

 

「コラーッ!!!あんたいい加減止まりなさーいっ!!!蒼龍っ!もっとスピード出せないのっ!?」

 

「これ以上は無理ーっ!!もうアクセルべったりだよっ?!」

 

蒼龍が運転する車に乗った飛龍と……

 

「あいつもホント往生際が悪いね~……、ねぇ翔鶴、どうにかあいつの足止め出来そうに無い?あの例の艦載機とか使ってさ」

 

「流石にこの状況で噴式を飛ばすのはちょっと……」

 

伊勢が運転する車に乗った翔鶴の4人が、前方を走る通信士の車と壮絶なカーチェイスを展開していたのであった

 

彼女達は利根達から通信士が逃亡を開始した事を聞くと、すぐさま横須賀鎮守府が保有しているハーフトラックに乗り込み、通信士の追跡を開始したのである

 

件の通信士は市街地を走る事で、彼女達が持っているマカロニと艦載機による走行妨害を封じ込め、何とか彼女達を振り切ろうと必死になってアクセルを踏み込んでいた

 

「あーっ!もうっ!!これじゃ埒が明かないじゃないっ!!!」

 

中々変化しない状況に苛立ち始めた飛龍が、そう叫んだ直後である

 

「えぇっ!?あのバイク、真っ直ぐこっちに向かって来てないっ?!」

 

前方から突如姿を現したバイクを見て、蒼龍が思わず驚きの声を上げる

 

「ちょっとっ?!このままだとあのバイク、通信士の車と激突するよっ!!?」

 

「そこのバイクーッ!危ないから避けてーっ!!!」

 

伊勢が驚愕の表情を浮かべながらこの様な事を口にし、飛龍がバイクに避ける様叫んだその刹那……

 

「とうっ!!!」

 

驚くべき事にバイクに乗っていた人物は、バイクのシートの上に両足を乗せると、掛け声と共に前方に飛び出す様にバイクから飛び降り、通信士が運転する車のフロントガラスを蹴破り、そのまま通信士に飛び蹴りをお見舞いしたではないかっ!!!

 

そしてその人物は飛び蹴りの姿勢のまま、足にシートに座った通信士をくっ付けたまま、今度は車の後部を突き破って飛び出して来て、アスファルトの上をシートに座った通信士に飛び蹴りの姿勢のまま乗った状態で、しばらくの間滑走するのであった

 

その後、この人物がバイクから飛び降りた直後にブレーキを踏んで、何とか車を停止させた蒼龍達の目の前で件の人物が止まると、その人物は蒼龍達の方へ向き直り……

 

「怪傑ズイン、参上っ!!!」

 

漆黒のレザージャケットとレザーパンツを纏い、漆黒のマントを羽織って白文字でデカデカとZの文字がプリントされている真っ黒な覆面を被った不審者が、声高らかにそう名乗るのであった……

 

そう、彼こそが、犯罪者が蔓延っていた横須賀の街で、平和の為にたった独りで戦い続けた横須賀の英雄(ヒーロー)、怪傑ズインその人なのである……

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