※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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横須賀鎮守府を襲う天変地異

さて、飛龍達が追いかけていた通信士は、突如現れた怪傑ズインが見事捕まえてくれた訳なのだが……

 

「ねぇ……、あの人本当に信用してもいいと思う……?」

 

「先程あの方は、御自分の事を怪傑ズインと言っていましたけど……、果たして本物なのでしょうか……?」

 

飛龍達はズインから距離を取って団子の様に固まって、ズインの方をチラチラ見ながらひそひそ話をやっていた……

 

確かにズインの名前と彼が行って来た事は、横須賀に住んでいる飛龍達も聞いた事はある。だが目の前にいるこの人物が、彼が言う通り本当にズインなのかが分からず、警戒してしまっているのである

 

もしこの場に彼と面識がある妙高がいたら、恐らく話はスムーズに進んで今頃彼は彼女達と共に鎮守府に向かっていた事だろう……

 

(陸奥さ~ん……、妙高さ~ん……、お願いだから助けてくださ~い……、彼女達の視線が無茶苦茶痛いで~す……)

 

飛龍達の警戒心全開の視線を受ける度、ズインことムサシは決めポーズを取ったりするものの、内心では自身が他者を助ける立場であるにも関わらず、必死になって助けを求めていたのであった・・・・・

 

そんな中、スマホで何かを調べていた蒼龍の顔が引き攣り……

 

「ねぇ……、どうやらあの人は本当のズインみたい……」

 

蒼龍は引き攣った表情のまま、手にしたスマホの画面を飛龍達に見せる。そこに映し出されていたのは、過去にズインが解決した大規模な事件の1つである、天然成分100%オクスリカルテルによる警視庁襲撃事件後に行われた記者会見の一幕、警視総監とズインがガッチリと握手を交わした瞬間の画像であった

 

因みにこの事件後、当時ズインに面子を潰された件でズイン逮捕に躍起になっていた日本の警察は、ズインの今後の行動は基本的に見逃す方針で行く事にしたそうだ

 

余談だが、何故ズインが東京の警視庁のピンチに駆け付けたのかについてだが、当時ムサシはバイトが休みの日は陸奥からもらったバイクに跨り、よく東京に遊びに行っていたらしく、この事件に遭遇したのは本当に偶々だったんだそうな……

 

「うわ~……、マジか~……、あれが本物か~……」

 

「どうする……?話し掛けてみる……?私達の事情を話したら、もしかしたら協力してくれるかもしれないし……」

 

額を押さえながら呟く飛龍に対して、蒼龍がこの様な事を尋ねるのであった……

 

その後、4人でじゃんけんを行った結果、翔鶴がズインと話す事となり、彼女は恐る恐ると言った様子で彼に近付き……

 

「あの……、ズインさん……?」

 

警戒しながらズインに話し掛けたところ……

 

「どうしたのですかお嬢さん?何か困った事でもあったのかい?私でお役に立てるかな?」

 

ズインはズビシィッ!っとポーズを決めながら、翔鶴に向かってこの様な言葉を掛けるのであった

 

因みに、この時のムサシは……

 

(ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい生意気な事言ってごめんなさい、僕みたいな怪しい奴が上から目線で言ってごめんなさい!!!)

 

内心では必死になって翔鶴に謝り倒していたのであった……

 

その後、意を決した翔鶴が横須賀鎮守府の現状をズインに話して彼に協力をお願いしたところ、陸奥の依頼で最初から彼女達に協力するつもりでいた彼は、翔鶴の話を聞き終えた直後に即刻そのお願いを快諾するのであった

 

その直後、今まで沈黙を続けていた伊勢が、ある事について皆に尋ねる

 

「ねぇ皆……、通信士が捕まった今、冷静になって考えてみたんだけどさ……、何でこの場に警察が来てないの……?」

 

伊勢のその言葉を聞いた瞬間、飛龍達はハッとするなり慌てた様子で周囲を見回し、伊勢の言う通り周囲に警察……、いや、警察どころか民間人までいない事に気付くと、皆一斉に怪訝そうな表情を浮かべるのであった

 

「言われてみれば、公道でカーチェイスとかしてたのに、警察が来てないってのはおかしな話よね……」

 

「それどころか私達以外、辺りに誰もいないじゃない……。一体何があったの……?」

 

「ズインさんは何か知っていますか……?」

 

「いや、私にもさっぱり……。私がやったなら兎も角、君達がやった場合は間違いなく警察が飛んで来るはずなんだが……」

 

こうして5人が一体何が起こったのかについて話していると、不意に飛龍達の耳に何かが履帯を使って移動する様な音が聞こえ、警戒しながら急いでそちらに視線を向けると、そこには信じられない光景が存在していた……

 

彼女達が見た光景……、それは完全武装したバスを先頭に、大量の戦車とトラックがこちらに向かって来ていると言うものであった……

 

そんな光景を目の当たりにした飛龍達は、陸軍の増援が来たのかと思うなり、即座に戦闘態勢に入るのだが……

 

「えちょ……っ!?あれって……っ?!」

 

「光太郎さんと……、川内さん……?」

 

バスのフロントガラスから見える運転手の顔と、その隣に立ってこちらに手を振って来る人物の顔を見て、伊勢がびっくりしながらそう呟き、それに続く様にして翔鶴が問題の人物達の名を口にするのであった

 

そう、今飛龍達の目の前にいるのは、陸軍襲撃作戦に参加していた剛達なのである

 

剛達はロケットブースターで高速道路を短時間で突っ走って、そのまま横須賀入りしようとしたのだが、途中で剣持一派の兵達が横須賀救援に向かう為に東京に集結していると言う情報を聞いて、急遽東京の方で高速を降りて彼等と合流する事にし、彼等を引き連れて下道を走り、こうして横須賀入りを果たしたのである

 

因みにズイン以外の民間人がこの場にいない理由だが、剣持の直属の部下である弓取と情報系担当の盾井(たてい)陸軍中佐が協力し、横須賀市全体に横須賀から退避する様避難勧告を出して、横須賀市民を全て避難させたからだったりするのである

 

それから剛達はアルゴス号から降りて飛龍達と挨拶を交わした後、お互いの状況について情報交換を開始。その途中アルゴス号から降りて来た剣持の姿を見た飛龍達は、思わず絶句し、その場で硬直してしまうのであった……

 

まあ無理も無い話である、陸軍の武闘派の最頂点である軍神剣持の名と顔は、陸軍だけに留まらず海軍にも広まっているのである。そんな人物が自分達の仲間が乗っていたバスから姿を現せば、軍属の者だったら飛龍達の様になってしまうのは仕方が無い事なのである

 

その後ズインが捕まえた通信士の身柄は、剣持の部下達に預けられる事となり……

 

「それじゃ、いざ横須賀……、って何よあれ……?」

 

目的を達成した飛龍達と合流した剛が、横須賀鎮守府の方へ顔を向けた途端、まるで地表に雲が降りて来ているかの様に、濃い霧に包まれてしまっている横須賀鎮守府を見るなり、セリフを中断して目を丸くしながら固まってしまうのであった

 

「私達が通信士を追って鎮守府を出た辺りから、突然あの霧が出て来て……。あれって一体何なんでしょうね?」

 

鎮守府の方に視線を向けた伊勢がそう言った直後、突然状況が目まぐるしく変化し始めるのであった

 

横須賀鎮守府を覆っていた濃い霧が突然爆ぜる様に霧散し、しばらくすると今度は横須賀鎮守府の上空にだけ黒い雲が出現するなり貯水タンクを逆さにした様な豪雨を振らせ始めたかと思えば、いつの間にか雨が雪に変わって横須賀鎮守府にだけ猛吹雪が吹き荒れ、間髪入れずに雪が雹に変わって凄まじい勢いで氷の塊が横須賀鎮守府に容赦なく降り注ぐ

 

その光景を見ていた一同が混乱する中、横須賀鎮守府で発生している異常気象はより酷いものになっていく……

 

鎮守府が激しく上下に揺れ始めたかと思えば、何の前触れも無く鎮守府の傍の海が隆起して、そこから活火山が出現したかと思えば突如火山が噴火、火山ガスと火山灰が鎮守府を覆い尽くし、噴火の際に噴出された噴石が鎮守府に降り注ぎ……

 

「……?皆さん……、何か聞こえませんか……?……え……、えええぇぇぇーーーっ!!?」

 

「何よこれえええぇぇぇーーーっ!??」

 

突如上空から聞こえて来た音に反応して、翔鶴が皆に対してこの様に尋ねながら空を見上げ、ある物に気付いて驚きの声を上げ、そんな翔鶴の様子を見て釣られる様にして空を見上げた飛龍が、思わず絶叫する……

 

彼女達が見上げる空には、赤々と燃える3つほどの隕石の姿がっ!!!

 

その後隕石達は落下音を辺りに響かせながら、3つとも全てが横須賀鎮守府に直撃し、その衝撃で火山灰と火山ガスを一瞬の内に消し飛ばしてしまうのであった……

 

「……剛、本当にあの場所に行くのか……?」

 

剣持がドン引きしながら、剛に対してそう尋ねると……

 

「行かないと何が起こってるか分からないからね~……」

 

剛は頭を抱え溜息を吐きながらこの様に返事をし、一同は局所的に天変地異が発生している横須賀鎮守府に、重い足取りで向かうのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃横須賀鎮守府では……

 

「うっひょおおおぉぉぉーーーっ!!!これたっんのしいいいぃぃぃーーーっ!!!!!」

 

戦治郎が超極絶ハイテンションになりながらそう叫び、何かを払う様に腕を振る

 

「ちょっと戦治郎っ!?陸軍兵を殺すなって言ってたのは貴方でしょうっ?!これ本当に大丈夫なのっ!?!」

 

「ちょっ!?おめぇ戦治郎っ!!!ちったぁ加減しろ馬鹿っ!!!」

 

「おい戦治郎っ!!今何をしたっ?!!」

 

そんな戦治郎に向かって、足柄、燎、武蔵が声を荒げながら話し掛けると……

 

「悪ぃ悪ぃっ!!でもこれマジで面白いんだもんっ!!!」

 

戦治郎がこの様に返答した直後、戦治郎の目の前に突然大きな竜巻が姿を現すのであった……

 

そんな戦治郎の左目からは赤い炎が噴き出し、その中には『神』の文字が浮かび上がっており、更にその炎を交差する2つの輝く光の輪が囲んでいたのであった……

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