※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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鎮守府脱出寸前に・・・・・・

戦治郎が新しい能力の効果を把握したところで、横須賀鎮守府の今の状況に目を向けようと思う

 

後から後から押し寄せて来る陸軍兵達を蹴散らしながら、横須賀鎮守府の本庁内の廊下を突っ切っていた燎達は、通信指令室で籠城戦を展開していた利根達の救援に入り、何とか無事に彼女達と合流を果たすのであった

 

その際利根が燎に向かって通信士を取り逃した事を謝罪するのだが、利根達の状況を聞いた燎はそれを仕方が無い事として特に問題視する事は無く、寧ろ今まで皆をまとめ上げてよく耐えたと称賛するのであった

 

こうして燎達が利根達と合流したところで、燎の通信機に通信が入って来る。燎は今しがた自分に通信を入れて来た人物に当たりを付けて通信に出ると、通信機からは燎の予想通り綾波と吹雪の声が聞こえて来るのであった

 

『こちら、食堂へ向かった綾波です。食堂に残っていた給糧艦の皆さんは、無事鎮守府から脱出する事に成功しましたっ!!』

 

『工廠に向かった吹雪です!こちらは明石さんが先に動いてくれたおかげで、私達が到着した頃には明石さん以外皆鎮守府の外に退避し終えていました!!』

 

「了解、それじゃ後は俺達が脱出したらOKだな。って事で綾波達は先に合流予定ポイントに向かっててくれ、俺達もすぐに向かうからな」

 

『『了解っ!!!』』

 

普通の艦娘と違って出撃せずに鎮守府に残っていた、補助艦艇艦娘達の脱出の手助けの為に深雪と磯波、そして神風の3人を連れて食堂に向かった綾波と、白雪と初雪の2人を連れて工廠に向かい、工廠に残っていた明石と合流を果たした吹雪との通信を終えた燎は、この事を艦娘達と元帥に伝えた後、彼女達との合流予定ポイントに向かって移動を開始するのであった

 

その後何とか綾波達と合流した燎達が、鎮守府を脱出する為に行動を起こすのだが……

 

「霧が深過ぎて、碌に前が見えんな……」

 

「こんな中、綾波達はよく無事に目的地に着いたな……」

 

濃い霧の中を悪戦苦闘しながら移動する中、思わず長門と日向がこの様な事を零す

 

「目的地が歩き慣れた鎮守府の中にある場所だったので、何とか出来た所があると思います……」

 

「もしこれが市街地だったらと考えると、ゾッとするわね……」

 

「まあこの霧のおかげで、陸軍の連中に見つからずに移動出来たんだけどなっ!」

 

それに対して綾波、神風、深雪がこの様に返答したその時だ、霧の中から微かに機械音が聞こえた直後に、突然辺りの空気を震わせる様な大きな砲撃音が聞こえ……

 

「元帥っ!!!……づぁっ!!!」

 

ディープストライカースーツに取り付けられたセンサーのおかげで、突然の砲撃に反応出来た燎が、咄嗟に元帥を庇ってモロに謎の砲撃を受けてしまうのであった

 

「大丈夫かっ!?源中将っ?!」「燎っ!?」

 

「自分は問題ないです……、っつかあいつらあんなモンまで持ってたのかよ……っ!?」

 

燎が被弾した事に気付いた元帥と日向が、驚愕しながら燎に向かって叫んだところ、燎はこの様に返答しながら砲弾が飛んで来た方角に視線を送る……

 

そこには頭頂部の砲塔から突き出た砲口から硝煙を立ち昇らせる、饅頭に節足動物の様な足が4本生えた様な物……、小型多脚戦車であるキュクロープスの姿があったのである……

 

その後大して間を空けずして、砲撃音を聞きつけた陸軍の歩兵達とキュクロープスを駆る戦車部隊、そしてペーガソスを駆る戦車部隊が姿を現し、続々と燎達の下に集まり始め、一斉に銃口と砲口を燎達に向ける……

 

「これを切り抜けるとなりゃあ……、もしかすると死者が出るかもなぁ……」

 

燎は辺りを見回し自分達が完全に包囲されている事を確認すると、そう呟きながらディープストライカースーツの設定を対人用から対深海棲艦用に切り替え、彼のセリフを聞いた艦娘達も次々と艤装の設定を変更し始める……

 

「おめぇら、覚悟はいいか……?」

 

燎が皆に向かってそう尋ねると、艦娘達は真剣な表情をしながら無言で頷き返す。それを確認した燎が……

 

「それじゃあいっちょ、派手n……」

 

全員に戦闘開始の号令を掛けようとしたその瞬間……っ!

 

「この状況でも諦めねぇたぁ、おめぇら中々度胸あんじゃねぇか……」

 

元帥以外の燎達の耳に突如聞き慣れた声が聞こえ、霧の奥に人影が1つ出現する

 

「笑顔溢れる平和な世界、拝まぬ訳にゃあいかねぇもんなぁ……?」

 

その影は燎達の方へとゆっくりと歩みを進め、その声も次第に大きくなっていく……

 

「丁々発止の大立ち回りっ!種も仕掛けもございませんっ!!俺の新なる力をとくとご覧じろっ!!!」

 

やがてその影の輪郭はハッキリとしていき、声も更に大きく力強くなっていく……

 

「弩派手にいくぜぇっ!!!海賊団頭領の生き様っ!!!!大戦争の始まりよおおおぉぉぉーーーっ!!!!!」

 

影の正体である戦治郎は大妖丸を抜き払うと同時に『火災』と書かれたモヤを斬り捨て、そう叫ぶなり陸軍兵達の方へと大妖丸の切っ先を向ける。すると……

 

\ぎゃあああぁぁぁーーーっ!!!!!/

 

\ぐわあああぁぁぁーーーっ!!!!!/

 

\たっ助けてくれえええぇぇぇーーー!!!!!/

 

突然横須賀鎮守府を覆っていた濃霧が晴れると同時に、陸軍の歩兵達が何の前触れも無く火達磨になり、悲鳴を上げながら地面を苦しそうに転がり始めるではないかっ!!!

 

「な、何じゃっ!?一体何が起こったのじゃっ?!」

 

「もしかして……、これが戦治郎さんの能力……っ!?」

 

その光景を目の当たりにした者達は、全員驚愕の表情を浮かべながら硬直し、利根と妙高が思わずこの様な言葉を口にする……。それに対して戦治郎は……

 

「やっべこれこんな効果だったのかよっ!?てっきり建物が燃えるモンだと思ってたわっ!!!って言ってる場合じゃねぇ水、水うううぅぅぅーーーっ!!!」

 

物凄く動揺し、途轍もなく慌てた様子で陸軍兵達の火を消す為の水を探し……

 

「ねぇ、貴方のその能力とかで雨は降らせられないの?」

 

「おぉっ!!ナイス足柄っ!!!って事でこれでどうだっ!!!」

 

足柄にこの様に指摘されると我に返り、戦治郎はこの様に言いながら今度は『豪雨』のモヤを叩き割る。すると今度は横須賀鎮守府にだけ凄まじい勢いで雨が降り始め、火達磨になった陸軍兵達の炎をみるみるうちに消していくのであった

 

そんな戦治郎の様子を見て、横須賀の皆さんは只々呆然とするのだが、陸軍の皆さんは何とか我に返ると、その矛先を全てこの異常を起こしている原因であると思われる戦治郎に向けようとする

 

「おい戦治郎、あいつらの砲口がこっちを向いているんだが……?」

 

「おっちゃんに任せろーっ!!!次は~……吹雪でどうだっ!!?」

 

「えっ!?私ですかっ?!?」

 

「あぁ~、違う違う、チミの名前の大元の方の、自然現象の吹雪の方ね~。OK~?」

 

武蔵に尋ねられた戦治郎は、この様に返答しながら『吹雪』のモヤを叩く。その直後自分の名前を呼ばれたと思った吹雪が声を上げると、戦治郎はこの様に言葉を返すのであった

 

その直後、肌に当たれば痛みを感じる程の勢いで降っていた豪雨は、吹き荒ぶ吹雪に姿を変えて、この場にいる者達全てに襲い掛かる。その結果、雨で濡れていたところは徐々に凍り付き始め、やがて戦車の履帯と砲塔は碌に動かせなくなってしまうのであった……

 

そんな中、吹雪を発生させた戦治郎はと言うと……

 

「寒うううぅぅぅーーーいっ!!!」

 

寒さの余りそう叫びながらガタガタと震え、その寒さを少しでも紛れさせようと己の身体をその腕で必死になって摩っていた……

 

「おっまっ!?吹雪起こした張本人も寒いのかよっ!!!??」

 

燎はそんな凍える戦治郎の姿を見て、鼻水を垂らしながら思わずそう叫んでしまうのであった……




燎達と合流した時の戦治郎の口上は、パチスロの『盗忍!剛衛門』で使用されている曲である『超絶景』の最初の口上が元ネタとなっています
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