※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ポリタンクに思いを乗せて

夜中に輝達が横須賀鎮守府に向かった後、日が昇り朝を迎え現在泊地にいる者達が全員ホテルのレストランに朝食を摂りに集まったところで、空は昨晩の通信の事を皆に伝える

 

その話の中で戦治郎が倒れた事を話したところで海賊団の艦娘達に動揺が走るのだが、空が戦治郎は何とか一命を取り留め生きている事を伝えると、海賊団の艦娘達は揃って安堵の息を吐き出すのであった

 

その後空は輝から自分が不在の間の艦娘ランドの建設を任された事を話した後、今日の日程について話し始めるのであった

 

その時、話を聞いていたヴェルと天龍が協力を申し出た事を皮切りに、泊地の艦娘達が次々と艦娘ランド建設を手伝いたいと申し出て来た。空が話を聞いたところ、如何やら彼女達は提督の呪縛から自分達を助けてくれただけでなく、とても快適な生活環境を提供してくれた海賊団に何か恩返しがしたいと言う事であった

 

実際、今の彼女達の生活環境は今までのものとは比べ物にならない程、快適なものとなっているのである

 

食事は軍用食ばかりだったものが、超常の存在とも言える神話生物達すらも虜になってしまう程の絶品料理が食卓に並び、寝床に関しても近い内に崩れてしまうのではないかと心配される程ボロボロだった艦娘寮から、生涯の内に1度泊まれるか否かと言えるレベルの超高級リゾートホテルのスイートルームの様な部屋と、全身を優しく包み込んで瞬く間の内に夢の世界へ誘う程ふっかふかの羽毛布団が各自に与えられ、衣類についても今までは出撃と遠征が忙しくて洗濯も修繕もままならない状態だったものが、今では綺麗に洗濯されている上に、ほつれや破れも綺麗に修繕されたものが毎日準備され、更には欲しい服があれば司にお願いすれば即座に作ってくれる様になっているのである

 

因みに艦娘達の衣類の洗濯と修繕は、我らが司が丹精込めて行っている模様

 

艦娘達の話を聞いた空は、これは流石に無碍には出来ないと判断し、司に彼女達の作業服を作る様に指示を出し、泊地の艦娘達には司から作業服を受け取った者から現場に入って欲しいとお願いすると、泊地の艦娘達は自分達の申し出を受けてもらえた事が余程嬉しかったのか、満面の笑顔を浮かべながら元気よく返事をするのであった

 

その後、空は改めて今日の予定について話を進め、話が終わると食事を済ませ次第すぐに作業服に着替えて現場に向かう様に指示を出し、それを聞いた者達は力強く返事をした後早速目の前に並んだ朝食に手を付け始めるのであった

 

 

 

 

 

それからしばらく経ち、作業開始前に現場で点呼をしていると……

 

「空さン、時雨の姉貴がまだ来てないみたいだぜ?」

 

「こちらも天龍さんの姿が見えません……」

 

「そう言えば響の姿も見えないわね……」

 

時雨と天龍が現場に来ていない事に気付いた江風と初霜、そして暁が現場の責任者である空に向かってそう伝えたところ……

 

「あの3人にはある事を頼んでおいたんだ」

 

空が2人に対してこの様な返事をした直後、ガシャンガシャンと言う音と共に工廠の方から4つの影が姿を現し、音に反応した艦娘達がそちらに視線を向けると、そこには少し姿が変わった時雨のキュクロープスと見慣れない異質な存在が、ヴェルを先頭にこちらに向かって歩いて来ていたのであった

 

因みに先程暁がヴェルの事を響と呼んでいたが、ヴェル以外の六駆の3人は名前が変わっても響は響と言う理由で、ヴェルの事を今でも響と呼んでいるのである

 

「済まないなヴェル、最終調整をお前だけに任せてしまって……」

 

「構わないさ、寧ろ最後の仕上げを自分の手で出来た事が嬉しいくらいだ」

 

空がヴェルに向かって申し訳無さそうにそう言うと、ヴェルは薄っすらと笑みを浮かべながらこの様に返答すると、彼女の傍にいる謎の物体がピョンピョンと飛び跳ね……

 

「マジでありがとうなヴェル、俺の為にこんな立派なモン作ってくれてよ……」

 

直後にヴェルの傍にいる謎の物体をでっかくした様なBIG謎の物体から、突如天龍の声が聞こえ、それを聞いた現場にいる者達は困惑しながら騒めき始めるのであった

 

 

 

 

 

この物体は、本当に異様な姿をしていた……。単刀直入に言えば、関節が付いた棒切れの様な足がくっついたポリタンクである。でっかい方もちっこい方も、見た目は灯油などを入れて持ち運ぶあのポリタンクなのである……

 

このポリタンクの正体は一体何なのか……?それはズバリヴェル用の工具箱と、キュクロープスを基にして空とシゲが設計し、ヴェルが天龍の為に作り上げた多脚戦車なのである

 

ヴェル用工具箱であるポリタンク、通称『ポリたん』は機械いじりに興味を持ったヴェルに空が作ってあげたもので、かなり高性能な工具箱となっている。その性能はスケールダウンした大五郎のハコと言っても差支えが無いもので、大きさは18ℓポリタンクくらいのサイズなのだが、妖精さんの技術を使って一般的な工具だけでなく、ガス溶接とアーク溶接に使う機材一式や、コンプレッサーまでもが内蔵されているのである

 

尤も、設備の規模ではやはりハコには敵わず、洋上で中破までの修理が限界の様である……

 

更にこのポリたん、何と戦闘である程度ヴェルを単独で援護出来るのである。水上歩行は当然として、斜めになった口の方には12.7cm単装高角砲を備え、平らになった方の口から61cm四連装酸素魚雷発射管、三式爆雷投射機、25mm三連装機銃、22号対水上電探改四(後期調整型)、13号対空電探改が状況に応じて出たり引っ込んだりするのである。因みに爆雷投射機のお供であるソナーは、四式水中聴音機が内蔵されていたりする

 

尚、この後響だけズルいと言う理由で、空は空いた時間に他の六駆用のポリたんを作り、雷には調理セット、電には救急セットが内蔵されたポリたんが、暁にはまだ用途が決まっていないからと言う理由で、特別な装備が備わっていないポリたんが与えられるのであった

 

因みに暁のポリたんには、後に誰もが予想しなかったものが取り付けられる事になるのだが、この時は製作者である空も、持ち主である暁も、それを知る術を持ち合わせていないのであった……

 

さて、ポリたんについてはここまでにして、今度は現在天龍が乗っていると思われるでっかいポリタンクに話を移そうと思う

 

こちらは先程も言った様に、空とシゲが現在時雨が保有しているキュクロープスを基に設計し、龍田の為にキュクロープスを手に入れようとしていた天龍の為に、ヴェルが頑張って作り上げた代物なのである

 

提督によって苦しめられていた頃、天龍は多くの駆逐艦娘達の面倒を見たり、落ち込んでいる時には励ましたりしており、ヴェルも何度かそんな彼女に救われた事があった為、天龍がキュクロープスを欲しがった理由を知ったヴェルは、その時の恩を何とか返したいと思って空達にこの事を相談したところ、ならば天龍用の戦車を作ろうと言う話になり、輝が悟に呼び出される前辺りに時雨のキュクロープスの改修を終えた後、この戦車を作り始めたのである

 

『ポリ戦車(タンク)』と名付けられたそれは、斜めになった口とボディーの前面にはシゲが死ぬ気で完成させたメタルマックスシリーズに登場する3連バースト射撃が可能な主砲である『バーストセイバー』を3門、更に前面の2門の主砲の下にはアルゴス号にも取り付けていたノラバルカンが2門、更にその下にはブレード代わりにツインドリルが備え付けられており、平らになった口には閃光迎撃神話が1基取り付けられている。そしてその両側面にはテュポーンが2基ずつ、魚雷としても使用出来るシーハンターが1基ずつ取り付けられている

 

内部の方はと言うと、Cユニットを2つとエンジンを2つ、更に大型の対空電探と水上電探にソナーを内蔵しているにも関わらず、大の大人が2人悠々と乗り込める程車内スペースには余裕があるのである。また、時雨のキュクロープスを基にしている為、この戦車も天井や壁面、そして水上も問題なく歩行出来る様になっている

 

因みにこの魔改造に魔改造を重ねた結果、原作のデザインからかけ離れた姿をした巨大ポリタンクを見た時雨は

 

「凄い戦車だね……、でも特異性では僕の戦車も負けないはずだ……っ!」

 

この様にコメントし、格納庫付き蒸気カタパルトを新たに搭載した自身のキュクロープスに視線を向けたとかなんとか……。尚、この格納庫には空が翔鶴に送った噴式3点セットが、オマケとして付いて来ていたそうだ

 

 

 

 

 

その後、空が事情を話して皆を落ち着かせると、再度今日の作業内容を安全と確認の為に説明し、早速準備に取り掛かる。そして……

 

「全員、準備はいいか?!」

 

\応っ!!!/\はいっ!!!/

 

全員が配置に着いたところで、空が大声で皆にこの様に尋ね、全員が力強く返事をした事を確認すると……

 

「よし、ならば……、総攻撃っ!開始っ!!!」

 

先程より大きな声で号令を掛け、それを聞いた者達は一斉に砲撃や艦載機による爆撃を開始して、泊地の本庁と工廠以外の元々泊地にあった施設を次々と破壊し、瓦礫の山へと変えてしまうのであった。そしてその様子を見た空は……

 

「攻撃止めっ!ではこれより瓦礫の撤去を開始するっ!!!」

 

\了解っ!!!/\はーいっ!!!/

 

この様な指示を飛ばした後、皆で仲良く瓦礫の撤去作業を開始するのであった

 

そう、今日の作業は不要な施設を撤去し、整地した後に母港エリアと駆逐艦エリアを作る事だったのである。時雨と天龍に戦車を持って来させたのは、戦車の馬力を使って大量に出た瓦礫をまとめて移動させる為だったのである

 

その結果作業は思った以上に進み、空達は日が沈む頃には母港エリアと駆逐艦エリアだけでなく、補給艦エリアと海防艦エリアまで作り上げる事に成功するのであった




ポリたんとポリ戦車の元ネタは、メタルマックスシリーズ及びメタルサーガシリーズに登場する、うろつきポリタンとその仲間達となっております
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