※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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潰せ!裏取引

労働災害に関するミーティングが終わると、夜の帳が下りて無数の星々が空の上でキラキラと輝く時間となっていた為、ミーティングの参加者達は挙って食堂へ向かい、やや遅めの夕食を摂り始めるのであった

 

そんな中、空の隣で食事をしている護が、ふと思い出した様にこの様な事を口にする

 

「そう言えば、確か今日の夜だったッスよね?」

 

「何がだ?」

 

シゲの件で精神的に疲弊していた空は、護の問いに対して怪訝そうな表情を浮かべながら尋ね返す。すると護はやれやれと言った様子で肩をすくめた後、この様に返答するのであった

 

「まさか忘れてたんッスか?ほらあれッスよ、資源の裏取引の予定日時」

 

「そう言えばそんなものがあったな……」

 

それを聞いて空は、提督が行おうとしていた資源の裏取引の事を思い出す。如何やらシゲの件が余りにも衝撃的過ぎた為、すっかり忘れていた様である……

 

このやり取りの後、空達は矢矧から桂島全体が記された地図を借りて、提督の2台目のスマホのメールに書かれていた場所を確認すると、メンバーを集めて準備を整えた後に取引の予定地へ向かうのであった

 

 

 

 

 

 

「こんな所に資源保管庫があったのか……」

 

「泊地の艦娘達がこの場所を知らなかったのは、提督による情報規制と特定の艦娘以外を作戦行動以外で外に出さない様にしていたからでしょうね……」

 

「勝手に泊地の外に出た奴は、次の日すぐに俺達みたいに兵装を引っ剥がされて、激戦区へ遠征に向かわされてたっけな……」

 

目的地付近にあった茂みの中に身を潜めながら、桂島の西部、石切鼻付近に隠れる様に建てられた資源保管庫を見据える木曾がこの様な事を呟き、それを聞いた通が不快そうに顔を歪めながら言葉を口にし、通が想像した事が現実である事を裏付ける様に天龍がこう言うと、この場にいる全員が押し黙ってしまうのであった

 

現在、この場所には空、護、通、司、木曾、阿武隈、時雨、夕立、江風、そして天龍の計10名が集まり、保管庫の様子を観察していた

 

この時、時雨と天龍はそれぞれ夜間戦闘用の消音モードを起動したキュクロープスとポリ戦車に乗り込んでおり、それらに搭載された優秀なセンサー達が常に周囲に目を光らせてくれているおかげで、空達は安心して目の前の事に集中する事が出来たのであった

 

「ふむ~ん、あっちは50人くらいッスか~……、皆素人ではなさそうッスけど~……、まあ自分達の敵じゃないッスね~」

 

「あの人達が持っている武器が、アリーズウェポンじゃなければ、ですけどねぇ……」

 

保管庫の前にHMDの『むせる君』を装着したまま視線を向けていた護がそう言うと、阿武隈が不安そうな表情を浮かべながらこの様な事を呟く。戦治郎が陸軍兵が所持していたネメアーズレオンで撃たれて倒れた件で、かなりアリーズウェポンを警戒している様である。阿武隈の言葉の後に再び静寂が訪れた事から、恐らくこの場にいる者達全員が、阿武隈と同じ心境である事は容易に想像出来た……

 

さて、現在保管庫の前には今回の取引の相手だと思われる人間達の姿があり、彼等は空達の存在に気付いていないのか、ここに来る筈が無い提督を待つ間の時間潰しに思い思いに集まって談笑したり、持ち込んだブロック状の栄養食を齧っていたりしていたのであった

 

そんな彼等の目の前には、彼等が物資輸送用に準備した輸送船があり、それは空達が労災ミーティングをしている間に桂島に来たものだと予想された

 

「さて……、そろそろ仕掛けるか……」

 

「アイアイサー、作戦内容は取り敢えず全員とっ捕まえて、バックにいる連中をゲロらせた後、提督と憲兵達と一緒に突き出しちゃったりしちゃったりするんでしたよね~?」

 

「そうだ、だからこちらも誰1人として殺さない様に、十分注意する様にな」

 

\了解っ!/

 

「では……、いくぞ……っ!」

 

空がそう言って立ち上がり、その様子を見ていた司が作戦内容の確認の為に空に質問し、それに空が返答した後全員に注意を促したところで、作戦参加者達はターゲットに気付かれない様注意しながら返事をし、それを聞いた空はすぐさま号令を掛けて茂みから飛び出すのであった

 

「さて、先ずは1r……、む……っ!?」

 

茂みを飛び出して先制攻撃を加えようとした空は、攻撃の直前にあるものを発見し……

 

「ちょっ!?空さンっ?!」

 

「空さーんっ!何処行くっぽいーっ!??」

 

空は凄まじい速度でターゲットの横を通り過ぎ、その光景を見ていた江風と夕立が、びっくりしながら空に呼び掛けるのだが、その甲斐虚しく空はそのまま何処かへ走り去ってしまうのであった……

 

「一体何が……、ってコレは……っ!?」

 

突然の出来事でメンバーが動揺する中、空が何処かへ走り去った原因を見つけるべく周囲を見回していた通が、空の奇行の原因を発見するのであった

 

それはターゲットの内の1人の足元に落ちているブロック状栄養食の欠片と、それを巣に頑張って運ぼうとしている蟻さん達の行列であった……。そう、空は先程これを発見した為、作戦そっちのけで蟻さんの巣を破壊しに向かったのである……

 

「何やってんッスかあの人はあああぁぁぁーーーっ?!?」

 

「作戦よりも蟻の駆除って……、空さんはどれだけ蟻が嫌いなんだい……?」

 

「こうなっては仕方が無い……、皆さん、此処は私達だけで何とかしますよっ!!」

 

空の予想外の行動に思わず護がツッコミを入れ、時雨がショートランドで空が温泉を掘り当てた時の事を思い出しながらこの様に呟き、通は混乱するメンバーに向かってこの様な指示を出し、ターゲットとの戦闘を開始するのであった

 

その後、突然現れたかと思えば何処かに走り去ってしまった空の背中を、呆然としながら見送ったターゲット達は、通達の襲撃を受けてあっさりと拘束されてしまうのであった

 

因みにターゲット達が使用していた装備は、阿武隈達が警戒していたアリーズウェポンではなく普通の銃器であった為、通達にはまともにダメージを与える事が出来ず、その事実に恐怖を覚えてターゲット達が混乱し始めたところで、ターゲット達は通達に一網打尽にされてしまったのである

 

こうして通達はターゲット達の拘束に成功し、彼等のバックにはこの世界の大手企業が多数いると言う情報を引き出し、それから彼等を泊地まで連行した後、拘束したまま提督達が放置されている埠頭に彼等を転がすのであった

 

それからしばらく経ったところで、通の通信機に空から連絡が入る

 

「ワイルド達が、こちらに接近する複数の影を発見した。済まないがもう1度こちらに来て対処してもらえないか?」

 

この通信を受けた通達は再び西の資源保管庫へ向かい、其処でこちらに音も無く向かって来るワ級2隻を含む6隻の深海棲艦の艦隊を発見、通達はこの深海棲艦の艦隊を迎え撃つ為に海に飛び出し、問題の艦隊と対峙する事となるのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

尚、この時空は蟻さんの巣を無事発見し、巣に海水を流し込んだ後徹底的に巣を破壊する為に穴を掘り、またしても温泉を掘りだしてしまうのであった……

 

こうして空に発掘された温泉は、長門達と戻って来た輝の手によって建てられる事となる御殿の様な旅館と、現在艦娘寮として使用されている超高級リゾートホテルの名物となり、後に一般公開される事となる艦娘ランドがより賑わう様になる要因となるのであった

 

これにより、空が蟻を発見すると何かが必ず発掘されると言う伝説が、空が知らない間に生まれ、それは龍神伝説の1つとして後世に永く語り継がれていく事となるのであった……

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