自己紹介を終えたシゲが、現状確認の為にクトゥグア達に自分の身に起こった出来事と地球の現状について話したところ
「ふ~ん、そんな事あったんだ~。でも残念だけど、僕はシゲに起こった出来事についても、最近の地球の事情もよく分かんないんだよね~。シゲと僕は今日が初めましてな関係だし、僕の地球に関する一番新しい記憶って言えば、人間に
クトゥグアからはこの様な返答が返って来るのであった
因みにこの時、フーちゃんはクトゥグアが作り出した炎の蝶を捕まえようと、シゲ達の傍を無邪気に走り回っていたのであった
「要は俺の事や地球の事情にそこまで興味が無いから、地球や俺の身に何が起ころうと知ったこっちゃねぇって事か……?」
「そんなとこ~」
クトゥグアの返答を聞いたシゲが、苦い顔をしながらクトゥグアに尋ねたところ、クトゥグアはあっけらかんとしながら返事するのであった
「……じゃあその辺の事情に詳しい知り合いっているか?」
「ん~……、タニさんなら何か知ってるかもね~?」
「(タニさんって誰だよ……?谷風か……?いや、その前にこいつは人間に興味ねぇっつってたし……、マジで誰だよ……?)なら、そいつのとこに案内してくれ」
「別にいいよ~、じゃあ僕の屋敷に行こうか~。って事でフーちゃ~ん、お散歩はこのくらいにしてお家に戻るよ~」
その後、シゲとクトゥグアはこの様なやり取りの後、クトゥグアに呼ばれて戻って来たフーちゃんと合流し、シゲはクトゥグアの案内で彼の屋敷へと足を運ぶのであった
その道中、クトゥグアがシゲに向かってある疑問を口にする
「そう言えばシゲって、フーちゃんに触った?」
「あ、ああ……、こいつg」
シゲがクトゥグアの問いに答えていると……
「フーちゃんだ……、二度とフーちゃんの事をこいつ呼ばわりすんじゃねぇぞ……?いいな……?」
「お、おう……」
シゲがフーちゃんを『こいつ』呼ばわりした瞬間、クトゥグアの口調が唐突に荒くなり、彼が纏う威圧感と殺気が爆発的に上昇する。如何やらフーちゃんがこいつ呼ばわりされた事が、凄まじく癪に障った様である……
クトゥグアの威圧感と殺気に圧倒されたシゲが、その気配に気圧されながら返答したところ、クトゥグアは普段の調子に戻るなりシゲに続きを話すよう促すのであった
「あ~……、あの庭で俺を見つけたフーちゃんが、俺の腹に乗っかって来たみたいなんだよ……」
「ああ~、フーちゃんはフォーマルハウトやコルヴァズにいる身内以外、見るのは初めてだからね~、好奇心でやっちゃったのかもね~。んで、何でシゲはフーちゃんに触れて無事なの?普通あの子に触れたら、問答無用で一瞬で氷漬けになるはずなのに~」
「あい……、フーちゃんそんなにスゲェのかよ……?」
「何たって僕の子供だからね~☆」
このやり取りの後、シゲは驚愕の表情をその顔に貼り付けながら、クトゥグアの周囲をまるで衛星の様にクルクル回るフーちゃんに視線を向けるのであった
それからシゲが、クトゥグアに自分に炎と熱を操る力があり、その能力の関係で身に付いた温度変化に対しての耐性のおかげで、自分はフーちゃんに氷漬けにされずに済んだのではないかと話すと……
「シゲは炎と熱が操れるんだ~……、へぇ~……」
クトゥグアは意味深な言葉を口にしながら、何度か頷いて見せるのであった
因みにこの時、シゲがクトゥグアに対してクトゥグアも見た目通りに炎や熱が操れるのか尋ねたところ……
「そうだよ~、僕も炎と熱を操るのが得意なんだ~。これに関してだけは、絶対に誰にも負けない自信があるよ~」
クトゥグアは自慢げにそう答えるのであった。事実、彼は今この瞬間も自身が発する熱を完全に制御し、シゲやフーちゃん、そして自分の屋敷が自身が発する熱の影響で炎上しない様にしていたりするのである
そんな話をしているとシゲ達はクトゥグアの屋敷に到着し、それに気付いたのか屋敷の中からクトゥグア達を出迎える様に2つの影を筆頭に、何かがワラワラと出て来るのであった
\おかえりなさいませクトゥグア様っ!!!/
「うむ~、苦しゅうないぞ~」
そしてそれらが声を揃えてクトゥグアに出迎えの挨拶をすると、クトゥグアは相変わらず気の抜けた声でこの様に返答するのであった
「これ……、全部お前の眷属って奴なのか……?」
「今の契約だとそうだね~、でも今フーちゃんのお世話係をやってるルリム・シャイコースやその部下である冷たきもの達は、フーちゃんが大きくなったらフーちゃんの部下にするつもりだよ~」
その様子を見ていたシゲが驚きながらクトゥグアに尋ねると、クトゥグアは巨大な白い蛆虫の様な姿をしたルリム・シャイコースに視線を送り、それに勘付いたルリム・シャイコースはシゲに向かって一礼するのであった
「クトゥグア様、そこにいるのは一体何なのですか?見た所地球の下等生物の様ですが……?」
シゲとクトゥグアがこの様なやり取りをしている最中、クトゥグアよりも一回り小さくフーちゃんよりも一回り大きい炎の塊の様な姿をした、フーちゃんより一回り小さい火の玉である炎の精達の長であるフサッグァが、恐る恐ると言った様子でクトゥグアに尋ねたところ……
「何かの拍子で此処に迷い込んで来た地球の生物みたい~、んで地球に帰りたがってるみたいだから、今から僕がタニさんのところに送ろうと思うんだ~。って事でフーちゃんと屋敷の事よろよろ~」
クトゥグアはこの様に返答し、ルリムにフーちゃんを預け、シゲを連れて屋敷の中に入ろうとするのだが……
「その様な事ならば態々クトゥグア様がお手を煩わせずとも、この私めが……」
それを制する様にフサッグァがシゲ達の前に立ち塞がり、この様な言葉を口にするなりシゲの腕を強引に引っ張って何処かに向かおうとするのだが……
「俺がやるっつってんだろうがボケが……、てめぇは俺が言う通り此処でイイ子してりゃいいんだ……。分かったか……?」
クトゥグアがその様子を見るなり、シゲがフーちゃんをこいつ呼ばわりした時同様、殺気と威圧感を爆発させながら、フサッグァに対してこの様な言葉をぶつけるのであった
その後フサッグァはクトゥグアの気配に恐怖したのか、言われた通りシゲの腕を放してシゲの身柄をクトゥグアに渡し、クトゥグアは何事も無かったかの様に振舞い、シゲをある場所へと案内するのであった
「おめぇ、意外と口わりぃんだな……。つか、何で俺の事部下に任せなかったんだ?」
「フーちゃんが生まれるまでは、僕もやんちゃしてたからね~。んで、シゲの事は~……、ちょ~っとシゲの事が気になったから、僕もタニさんから話聞こうと思っただけ~」
クトゥグアの豹変ぶりに驚いたシゲが、クトゥグアに向かってこの様に尋ねてみたところ、クトゥグアは少し恥ずかしそうにこの様に返事をするのであった……
それからしばらく屋敷の中を歩いたシゲは、クトゥグアに促されるままある扉を潜り、その先にあったオフィスビル群を目の当たりにして、地球に帰ってこれたのかと内心で歓喜するのだが……
「は~い、此処がドリームランド、旧神達の本拠地だよ~」
クトゥグアのこの言葉を聞いた瞬間、シゲは脱力し膝から崩れ落ちてしまうのであった
「マジか……、ビルの群れ見て地球だと思ったのに……」
「どうも旧神達は人間達に感化され過ぎちゃったみたいでね~、あっちの技術を取り入れて本拠地をこんな形にしちゃったみたいだよ~」
シゲの呟きを耳にしたクトゥグアがこの様な事を言い、シゲを連れてオフィスビルの1つに入ろうとすると、警備員の格好をしたナイトゴーントに止められてしまうのだが……
「どけ」
この一言でクトゥグアはナイトゴーントを黙らせ、シゲを連れてオフィスビルの中を移動し、目的の場所へと辿り着くのであった
「お邪魔しま~す」
そしてクトゥグアは元気一杯に挨拶しながら、扉を開いてある部屋の中に入って行くのだが……
「クトゥグアかっ!?生憎今こっちは忙しくて手が離せんっ!!フーちゃん自慢は後日聞いてやるから、今日は済まんが帰ってくれっ!!!」
「済みませんクトゥグアさんっ!ちょっとこっちで緊急事態が発生してしまって……っ!!ホント申し訳ないですが、今日の所はお引き取りくださいっ!!!」
部屋の中で修羅場っているクタニドと、最近その補佐役に抜擢されたヴォルヴァドスに、この様な事を言われてしまうのであった……
「え~?折角タニさんの知り合いっぽい奴連れて来たのに~」
「いや、流石にこの状況で俺の事頼むのは無理あるだろ……。つかお前が言ってたタニさんって、クタニドさんの事だったのな……」
ぶぅ垂れるクトゥグアをシゲが宥め、この場を後にしようとしたその時だ
「その声……、まさかシゲかっ!??」
「何でシゲさんが此処にいるのおおおぉぉぉーーーっ!??!?」
シゲの声を聞いたクタニドとヴォルヴァドスが、勢いよくシゲの方へ顔を向け、2柱同時に叫び声を上げるのであった
その後シゲは何とか落ち着いた2柱に自分に起こった出来事を話すと、2柱は沈痛な面持ちを浮かべ、シゲから視線を外すのであった。そんな2柱の態度が気になったシゲが2柱に何があったか尋ねたところ、真剣な表情をしたクタニドがこの様な言葉を口にするのであった
「シゲ、いいか?よく聞け……、お前はそのジェットコースターの墜落事故で死亡し、それが原因で戦治郎に掛けられていた仕掛けの鍵が1つ解除されてしまったんだ……。今のお前の身体は、死んだ際身体から抜け出してしまった魂だけの状態なんだ……」
クタニドのこの言葉を聞いた瞬間、シゲの視界は真っ暗になってしまうのであった……
そんな中、クタニドのデスクの上に浮かぶクタニドの魔力によって作られたディスプレイには、桂島泊地にある魂が抜けてしまったシゲの身体に向かって、意識を取り戻させようと懸命に呼び掛ける摩耶の姿が映されていたのであった……