さてここで改めて今回の戦いのルールを説明しよう
シゲとクトゥグアの勝負は、ぶっちゃければ某弾幕STGの弾幕ごっこの様なものである
シゲは5分と言う制限時間の間、クトゥグアが放つ弾幕を何とかして躱し、時間まで生き延びる事が出来たならばシゲの勝利となり、シゲがクトゥグアの攻撃を受けて死亡してしまった場合、クトゥグアの勝利となりシゲの蘇生は無かった事になるどころか、シゲはこの世界から完全に消滅してしまう事となっていた
因みに、もしシゲが3分以上生き延びる事に成功した上で、5分に達する前に死んでしまった場合、クトゥグアからの餞として摩耶や戦治郎達の記憶や艦これ世界の記録から、シゲが存在していた事実を完全に焼き尽くし、シゲと言う存在が最初から存在しなかった事にし、戦治郎達がシゲ関係の事で悲しまない様にしてくれるのだとか……
クタニド達の事務所があるビルから出て、戦いにうってつけの場所に到着しルールを改めて聞いたシゲは、一瞬だけ何とも言えない表情を浮かべるのだが、自分がそんな情けない表情をしている事に気付くと、思いっきり自分の両頬を叩いて気合いを入れ……
「上等だコラアアアァァァーーーッ!!!とっととかかってこいやオラアアアァァァーーーッ!!!」
クトゥグアに向かってそう叫び、それを聞いたクトゥグアは……
「調子こいてっじゃねぇぞボキャアアアァァァーーーッ!!!おまぶっ殺すぞゴルァアアアァァァーッ!!!」
シゲに向かって威勢よく、口汚く叫び返すのであった……。そして……
「ア"ァ"ッ!?やってみろやあああぁぁぁーーーっ!!!」
「いくぞオラアアアァァァーーーッ!!!くたばれクソがあああぁぁぁーーーっ!!!」
この罵り合いの直後、クトゥグアが自身を中心に渦を巻く様に小さな火球を放ち始め、シゲはその隙間を縫う様にしてその火球を回避し始めるのであった……
最初の1分はシゲも余裕をもって火球の弾幕を回避するのだが、途中からクトゥグアがシゲを一直線に狙った熱線を放ち始め、シゲは限られたスペースで熱線を回避する事に苦戦を強いられる様になるのであった……
そして2分が経過したところで、今度はシゲを追尾するやや大きめの火球が追加され、シゲは周囲の弾幕に悪戦苦闘しながらも、何とかこれを乗り切った……。と思った矢先に、更に追加でシゲを執拗に追尾する熱線が放たれる様になり、これによりシゲは逃げ場を塞がれそうになる機会が多くなり、徐々に追い詰められ始めるのであった……
(弾幕と追尾熱線のせいで、上手く回避が出来ねぇ……っ!)
戦闘開始から3分が経過したところで、シゲは内心でこの様な事を呟き舌打ちするのだが……
「……っ!?」
火球の隙間を縫う様に移動しながら追尾熱線と追尾火球を捌いていたシゲが、弾幕の中にあるとある火球とすれ違った瞬間、嫌な予感を察知して急いでその火球から距離を取る……。その直後、件の火球が突然膨張し大爆発を起こしたのであった……
(まさか……、俺を感知したら爆発する火球を混ぜ込んでいるのか……っ!?あいつ俺をマジで殺しにきてんじゃねぇか……っ!!)
背中に冷たいものを感じながら、熱線と追尾火球と追尾熱線を捌くシゲが、内心でそう呟いた直後……
「死ねやオ"ルアアアァァァーーーッ!!!」
突如クトゥグアが咆哮を上げながら天高く上昇し、今までは二次元的に放たれていた弾幕が、三次元的に放たれる様になった挙句、弾速も僅かながら上昇するのであった……
「っざっけんなゴルアアアァァァーーーッ!!!」
その様子を見たシゲが、驚愕した後思わずそう叫んだところ……
「イモってんじゃねぇぞダボがあああぁぁぁーーーっ!!!」
クトゥグアにこの様に返され……
「クソがあああぁぁぁーーーっ!!!」
それを聞いて諦めがついたシゲは、この様に絶叫しながら最早弾壁と呼んでも差支えが無さそうな弾幕に挑むのであった……。この時点で、時間は3分30秒ほど経過していたのであった……
こうして弾幕が三次元的に放たれる様になり、センサー火球の爆発がそこかしこで発生し、大型の火球とグネグネと動く熱線が踊り狂い、時々弾幕と言う球体から直線状の熱線が噴き出す様になった頃、遂にシゲの動きが鈍くなり始めるのであった……
その原因は、弾幕を形成する火球が放つ熱である
能力の関係で温度変化に鈍感になったシゲでも、弾幕火球が放つ熱は熱いと感じる様で、それによりシゲの体力はジワジワと削られていたのである……
そんな中で激しく動き回っていたシゲの体力は、とっくの昔に限界に達していたのだが、シゲはそれを気合いと根性で何とか捻じ伏せて回避行動を行っていたのである。しかし、シゲはそれすらも不可能な状態に追い込まれ、遂に右足に火球を受けてしまったのである……。クトゥグアとの戦いが始まってから、4分が経過した頃の出来事である……
「がぁ……っ!?」
回避行動中に火球を受けたシゲが、苦悶の声を上げながら勢いよく転倒、被弾した箇所をシゲが確認したところ、そこには膝から下が消滅してしまっている自身の右足が存在していた……
その直後、まともに動けなくなってしまったシゲに向かって弾幕火球、追尾火球、追尾熱線が殺到し……
(やっば……っ!!)
それに気付いたシゲが内心でそんな事を考えた瞬間、突然シゲに迫り来るあらゆる攻撃が消失してしまうのであった……
(……?)
被弾を覚悟し身構えていたシゲが、何時まで経っても被弾しない事を不思議に思い、恐る恐ると言った様子でクトゥグアの方へ顔を向け……
「……はぁっ!?」
クトゥグアの現在の行動を見るなり、思わず驚愕の声を上げてしまうのであった
現在クトゥグアは、先程まで放っていた弾幕を全て消し去り、代わりに自身の頭上で有り得ないくらいの大きさの超巨大火球を作り出していたのである……。シゲの目測にとると、その火球は直径200mはあったのだとか……
「シゲよぉ……、おめぇよくここまで耐えたな……、ホント大したモンよ……。そんなおめぇをあんなしょっぱい攻撃で殺すのは、流石に粋じゃねぇわなぁ……。そんな訳でよぉ、今から俺は餞としておめぇにとっておきの攻撃を仕掛ける……っ!俺を失望させてくれんなよ……っ!!」
呆然とするシゲに向かって、クトゥグアはこの様な事を言い放ち、1度大きく息を吸った後……
「漢の魂……、燃やし尽くして何とかして見せやがれえええぇぇぇーーーっ!!!!!」
有り得ない程の声量でこの様に叫ぶと同時に、右足を失いまともに動けなくなってしまったシゲ目掛けて超巨大火球を放つのであった……
(あっ、これダメな奴だ……、俺もここまでか~……)
自分に向かって来る超巨大火球を目の当たりにしたシゲは、内心でこの様な事を呟くとこれまでの人生を振り返り始めるのであった……
母親に育児放棄されて地獄を見た幼少期……、母親から盗んだ金と恐喝で集めた金で何とか入学するも、結局中退して大天狗と言う暴走族を結成し暴れ回った高校時代……、そして目尻に涙を浮かべた可奈子に殴られ、別れを告げられた瞬間……
(あ~……、ここまで碌な思い出ねぇな~……)
何か嫌な事ばかり思い出して若干凹んだところで、兼続達と出会った中学時代の思い出や、大天狗解散後戦治郎に拾われた時の思い出が脳裏に過り、最後は自分に向かって笑顔を向ける摩耶の姿がシゲの脳内に映り……
(……そうだ……、俺は……)
摩耶の姿を思い浮かべた瞬間、シゲの全身が熱くなり始め……
(何としてでも……、あっちに戻らなきゃなんねぇんだ……っ!)
内心でこの様に呟いた直後、身体だけでは留まらず、シゲの心までもが熱く燃え滾り始め……
(この勝負……、俺はぜってぇ負けられねぇんだ……っ!!!)
シゲがそう思った時には、シゲの身体は勝手に動き、シゲは両腕をこれでもかと言うくらいに大きく広げ……
「上等だあああぁぁぁーーーっ!!!やあああぁぁぁってぇやるぜえええぇぇぇーーー!!!!!」
シゲがこの様に叫んだ直後に超巨大火球はシゲに激突し、シゲは全身全霊全力全開の力を込めて、超巨大火球をその両腕で受け止めて見せるのであった……
その瞬間、遠くからこの戦いを見守っていたクタニドとヴォルヴァドスの目には、一瞬だけだがシゲの背中から燃え盛る炎で出来た、巨大な鳥の翼が映ったそうな……