こうしてシゲにプレゼントを渡し終えたクトゥグアは、早速シゲを蘇らせる為の手順について話し始める
「これからシゲを蘇らせる訳なんだけど~、幾つか注意事項があるんだよね~」
「注意事項?そりゃ一体どんなのだ?」
クトゥグアの言葉を聞いたシゲが、不思議そうにクトゥグアに尋ねる
「先ずは~、シゲを蘇らせる方法に関してだね~。今から僕達が力を合わせてシゲが過去に戻れる様にするから~、シゲは自分が死んだ直後、シゲの身体から魂が抜け出たところで身体の中に入って欲しいんだ~」
「死ぬ前に入るのは駄目なのか?」
「それだと~、今のシゲと過去のシゲの魂が融合しちゃって~、シゲが僕と出会うって未来が無くなってしまうって言うタイムパラドックスが発生しちゃうんだよね~。そうなると今までやってきた事が~、ぜ~んぶパーになっちゃうよ~?」
「OK、タイミングが重要って事だな……」
「そうそう~、それが上手くいったら~、後はシゲの中にある僕の魔力が~、傷付いたシゲの身体の修復と~、魂と身体の結合を勝手に行ってくれると思うから~」
「了解、んじゃあ早速……」
シゲとクトゥグアがこの様なやり取りを交わし、その後早速シゲが動き出そうとするのだが、それにクトゥグアが待ったをかける
「まだ注意事項を全部話してないぞ~、早く生き返りたいのは分かるけど~、もうちょい落ち着け~」
「ああ、幾つかあるって言ってたもんな……、んで、残りはどんな感じなんだ?」
「次は生き返った後の話だね~、これはぶっちゃけちゃうけど~、復活した後のシゲは~、また死ぬと今度は魂ごと消滅するから注意してね~」
「はぁ?」
「今度死んじゃうと~、魂の中のエネルギーが暴走して~、身体も魂も太陽系もまとめて吹き飛んじゃうんだよね~。まあ~、要は二度目は無いぞって事~」
「要は生き返った後の俺は、誰にも負けられねぇって事か……?」
「大体そんなとこ~」
このやり取りの後、シゲは僅かな間困惑するのだが
「上等だっ!全身全霊全力全開で全戦全勝すりゃいいだけの話だっ!今の俺ならそれもきっと出来るだろうからなっ!!」
「うんうん~、その意気だよ~。強いて言うなら~全戦全局全璧全勝の方がいいかな~?って僕は思う~」
「あ、それいいな!よっし今度からそれ座右の銘にするわっ!」
こうしてシゲの座右の銘、『全身全霊全力全開 全戦全局全璧全勝』が誕生するのであった
その後、クトゥグアはシゲに最後の注意事項である『過去に戻る扉を潜った後は、出口だけを見て移動して欲しい』と言う警告をし、それにどういう意味があるのかを質問するシゲを無視して、クタニド達と共に過去に戻るゲートを作り始めるのであった
本来時空を歪める様なゲートを作り上げるには、外なる神クラスの力を必要とするのだが、クタニドの話によると如何やらクトゥグアは外なる神クラスの実力を持ちながら、旧支配者の座で落ち着いているのだとかなんとか……
実際、フーちゃんが生まれた事でやや落ち着いたクトゥグアの下に、自分達の軍門にクトゥグアを加入させようと考えたヨグ=ソトースが、直々に勧誘をしにコルヴァズのクトゥグアの屋敷に来た様なのだが……
「フーちゃんのお世話だけでも大変なのに~、アザトースの面倒まで見ろと言われても~、僕には出来っこないからその件はパスさせてもらうよ~」
クトゥグアはこの様に返答し、ヨグの誘いを断ったのだそうな……
さて、そうしている間に過去に戻る門が出来上がり、クトゥグアがシゲに対して最終確認を行い、それをシゲが了承して門に飛び込み、3柱がその姿を見送った後の事である
「ところでクトゥグア……、お前は一体何を企んでいる……?」
「企んでいる~?はて~?一体何の事やら~?」
不意にクタニドがクトゥグアに尋ねると、クトゥグアはお道化ながらこの様に返答する
「とぼけても無駄だ、幾らお前がシゲの事を気に入ったからと言って、あそこまでやってやる義理は無い筈だ」
「それ、翔さんにケープやエプロンだけでなく、魔道刀なんて代物まで作ってあげた上に、泊地解放の手助けまでしたクタニドさんが言います……?」
それに対してクタニドがクトゥグアを問い詰める様な言葉をぶつけ、それに反応したヴォルヴァドスがこの様な言葉を口にして、クタニドに余計な事を言うなとばかりにどつかれる
「やっぱりタニさんには分かっちゃうか~」
クタニドとヴォルヴァドスが漫才をやっていると、クトゥグアはやれやれとばかりに体を揺らしながら、観念した様に自分の企みを2柱に話すのであった
「僕はね~、シゲを僕のファミリーに加えたいと思ってるんだ~、それも幹部待遇でね~」
「シゲを物で釣るつもりだったか……、しかしそれがお前が思った通りに上手くいくと思うか?シゲは戦治郎をアニキと呼ぶほどに慕っている、そんなシゲがその程度でお前に靡くと思っているのか?」
「そんなの、シゲのあの執念から簡単に読み取れるっしょ~」
「まさか……、アレには何か仕掛けがあって、それを使ってクトゥグアさんは戦治郎さんを……っ!?」
クトゥグアとクタニドのやり取りを聞いていたヴォルヴァドスが、何かに気付いたのかハッとしながらこの様な言葉を口にすると……
「そんな事したら~、僕がシゲから心底恨まれちゃって~、仲間に引き入れるどころの話じゃ無くなるじゃないか~。ヴォルヴァドスってほ~んと馬鹿だな~」
クトゥグアはケラケラと笑いながら、ヴォルヴァドスに対してこの様に返答するのであった
「僕が狙っているのは~、戦治郎とやらとシゲが~、何等かの形で別れる羽目になった時かな~?それこそ死別とか~、仲違いとかね~。そうしたら~、さっきの贈り物をダシにして~、シゲをこっちに引き込もうってね~」
「それって、本当に出来るんですか……?」
「出来るさ~、少なくとも変な事故がなければね~。実際~、シゲの魂は今回の件で~、半分くらい
「はぁ……、口調はのんびりしているが、言っている事と考えている事はかなりあくどいな……」
「お褒めに預かり誠恐悦至極ってね~」
クトゥグアとヴォルヴァドスのやり取りを聞いていたクタニドが、頭を抱えて溜息を吐きながらこの様な言葉を口にすると、クトゥグアはヘラヘラしながらこの様に返答するのであった
このやり取りの後、クトゥグアは用事も済んだから帰ると言い放ち、クタニド達に背を向けると自宅と繋がる門へと向かい、そんなクトゥグアを見送ったクタニド達は、この件の報告書を作る為に事務所へと戻るのであった……
「おかえりなさいませ、ファーザー」
クトゥグアが門を潜ってドリームランドから自宅に戻ると、彼がシゲとフーちゃんを連れて庭から屋敷に戻った時同様、フーちゃんの世話を任せたルリム以外の多くの彼の部下達が扉の前で整列して彼を出迎え、その代表としてフサッグァがクトゥグアに対してこの様な言葉を口にする
「出迎えご苦労さ~ん」
そんな部下達に対してクトゥグアはこの様に返答し、フーちゃんがいるであろう部屋に足を運ぼうとするのだが……
「おや?先程の下等生物は何処へ……?」
クトゥグアとすれ違った際、シゲがいない事に気が付いたフサッグァが、何気なくこの様な事を口走った直後、突然フサッグァの身体を彼の身体を覆う炎とは全く別の炎が覆い尽くし……
「ぎゃあああぁぁぁーーーっ!!!」
炎すら焼き焦がす狂った炎に包まれたフサッグァは、その余りの熱さに思わず絶叫するのであった……
「シゲの事を下等生物扱いしてんじゃねぇぞこのクソボケが……、あいつはウチらファミリーの幹部候補なんだ、次にあいつの事をそんな風に呼んだら、只じゃおかねぇぞ……?分かったか……っ!?」
\承知しましたファーザーッ!!!/
フサッグァを覆う炎の発生源であるクトゥグアが、狂炎に焼かれて苦しみながら床を転がるフサッグァを無視して、殺気交じりに部下達に向かってこの様に言い放つと、彼の部下達はクトゥグアに向かって力強く返答するのであった
「分かったらいいよ~、んじゃ~各自持ち場に戻って~。僕はフーちゃんのとこ行ってるから~」
部下達の返答を聞いたクトゥグアは、納得した様にうんうんと頷いて見せた後、そう言い残してこの場を後にするのであった……
さて、ここで何故先程クトゥグアの部下達が、クトゥグアの事をご主人様ではなくファーザーと呼んだのか……、それは彼等がコズミック・マフィアを名乗る『クトゥグア・ファミリー』と言う集団で、クトゥグアがそのゴッドファーザーであり、最初に自分の事をご主人様呼びさせていたのは、自分達の素性をシゲに隠し警戒させない様にする為である
彼等はフロント企業としてフォーマルハウトに巨大な工業都市を築き、神話生物達の生活に欠かせない物を作る傍らで、一部の神話生物相手に法外な値段の付いた兵器の取引を行ったり、薬物取引と美人局以外の事なら大概手を出し、金さえ払えばどんな依頼でも受け、圧倒的な暴力で全て解決したりするかなりの武闘派集団なのである。そんな彼等を、宇宙に住む神話生物達は『宇宙ヤクザ』と呼び、恐怖の象徴として恐れているとかなんとか……
そんな集団をまとめ上げる
「フーちゃ~ん、今日フーちゃんが見つけた人間……、シゲって言うんだけど~、もしかしたら~、彼が僕達の家族になってくれるかもなんだよ~?」
「(ノ*゚▽゚)ノ」
「うんうん、やっぱり家族が増えるのは嬉しいよね~」
「ヾ(*´∀`*)ノシ」
「だね~、本当に楽しみだね~、うん……、本当にね……」
優しく抱きかかえた愛する息子、アフーム=ザーとこの様なやり取りを交わし、その途中でクトゥグアはシゲがファミリーに加入した光景を想像し、ついついニヤリと笑みを零すのであった……
一方、クトゥグアがこの様な事を考えている頃、クトゥグア達が作り出した過去へ向かうゲートを潜り、その中の歪な空間の出口に向かってひた走るシゲは……
「うへぇ……、何か此処気持ち悪ぃな……、何つーか……、目に映る物が皆変な角度してるっつーか……」
この空間の出口と思わしき炎の輪をしっかりと見据えながらも、視界の端に移り込んでしまう風景に対して、この様な言葉を零していた……
「っとぼやいても仕方ねぇっ!此処は一気に駆け抜けた方が得策だなっ!!俺は何としても生き返らなくちゃいけねぇからなっ!!!」
その後シゲはそう言って気持ちを切り替えると、全力ダッシュで出口へと向かい、特に何かに襲われる訳でも無く無事に炎の輪を潜り抜け、自分がジェットコースターの事故で墜落死する瞬間を目撃した後、手筈通りに魂が抜け切った直後の自身の身体に入り込み、何とか復活を果たすのであった……
「……中々強そうな奴の気配を感じて、ヨグの差し金かと思って来てみたが……、如何やら見当違いだった様だな……」
そんなシゲの様子を、クトゥグアが作り出したゲートの出口から見守っていた影は、この様な言葉を零していた……
「しかし、転生個体だったか……、たかが地球上の生物があれだけの力を持っているとはな……。ちょいと興味深ぇじゃねぇの……、えぇ……?」
その影、ティンダロスの王の最強個体と言われているミゼーアは、この様な言葉を口にすると思わず獰猛な笑みを浮かべるのであった……
「とりましばらくの間、あいつの事観察してみっか」
ミゼーアはそう言うと、自身の力でクトゥグアが作り出したゲートを閉じるなり、ニヤニヤしながらその場を後にするのであった……
もう少しで艦これに戻れそう……