※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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作戦をスムーズに行う為に

戦治郎の案で陸軍がある程度持ち直してから時が経ち、暦が4月の中旬くらいを示す様になったある日……

 

「おっしゃ!出来た奴はガンガン運び出すぞっ!!!」

 

\おーっ!/

 

戦治郎達は工廠である物を大量に生産し、日本海軍の全ての拠点に送り出していたのであった

 

現在戦治郎達が作っているのは、艦隊旗艦の艦娘の艤装に取り付ける超小型カメラと、そのカメラが撮影した映像を、リアルタイムで映し出す為の大きなディスプレイである

 

3月下旬辺りに、戦治郎は戦治郎に経験を積ませようと考えた元帥の指示で、長門達の指揮を執る事になったのだが、そこで音声だけで長門達の指揮を執る事に大いに苦戦したのである

 

戦治郎が指揮を執る事に苦戦した理由だが、これまで戦治郎は自身が旗艦として直接戦場に赴き、戦場で見聞きして得た情報を基に仲間達に指示を出して戦っていたのだが、その時は提督として司令室から指揮を執る事となり、自分の所に入って来る情報が長門の通信だけとなったのである。その為判断材料となる情報の少なさから、作戦の立案と艦隊へ指示するタイミングが遅れると言う事態が発生してしまったのである

 

この時は長門達が機転を利かせてくれたおかげで、何とか艦隊に被害は出さずに済んだのだったが、戦治郎は今回の件でかなり悔しい思いをした様である

 

それから数日後、戦治郎はカメラとディスプレイの設計図を手に、元帥にこの様な提案をしたのであった

 

「誰もが戦況を正確に把握出来る様にする為に、護の衛星経由で戦場の様子を撮影した映像をリアルタイムで見る事が出来る装置を作ろうと思います。いいですよね?」

 

ハンマー妖精さんと共に考えたカメラとディスプレイの設計図を、元帥の執務机に叩きつけながら戦治郎はこう言い放つのであった

 

「それは別に構わんが……」

 

戦治郎の言葉に対して元帥がこの様な返事をした瞬間、戦治郎は早速装置の製作に取り掛かろうと工廠に向かおうとするのだったが……

 

「君達長門屋の面々は、それを作るにあたって必要な資格などをちゃんと取っているのか?幾ら出来るからと言って無資格者にそんな事をさせて事故などが起きてしまったら、後から私達が責任を追及される事になるのだが……、その辺りは大丈夫なのか?」

 

元帥の言葉の続きを耳にするなり、戦治郎はその足をピタリと止めてしまうのであった……

 

この辺りの事情については、修理工場を営んでいた戦治郎もよく理解している。なので生前の戦治郎は、業務の為に少々無理をしてシゲや護に資格を取らせた事があるのである

 

そうして戦治郎達が得た資格の数々は、戦治郎達がこちらの世界に来た瞬間に消滅、今はそれらを取り返す為に長門屋の面々は必死に資格試験の勉強をして、試験に臨んでなんとか資格を徐々に取り戻して来ているのだが、現状このカメラとディスプレイを作る際に必要な資格はまだまだ揃い切っていないのである……。故に戦治郎はその足を止めてしまったのである……

 

資格と言う壁に激突してしまった戦治郎が、この問題をどうやって解決するかについて考え始めたその直後……

 

「その様子だと、カメラとディスプレイの製作に必要な資格は揃っていない様だな……、ならばこの横須賀鎮守府で資格取得試験が出来る様に、こちらで手配しておこう」

 

「そうね、その装置があったら皆助かるでしょうからね。ねぇ元帥、このくらいの手助けはしてあげてもいいでしょ?」

 

戦治郎の様子を見ていた長門と陸奥が、思わぬ助け船を出してくれるのであった

 

如何やら長門と陸奥は、こちらが勧誘したにも関わらず、重いペナルティーばかりを背負わされる羽目になった戦治郎達を不憫に思ったらしく、何とか手助けしてやりたいと考えていたんだとか……

 

そんな長門と陸奥に頼まれては断れないと言う事で、元帥は長門達の提案を了承し、長門達は戦治郎から必要な資格を聞き出すと、すぐさま行動を開始するのであった

 

その結果3月末には準備が整い、戦治郎達はその資格取得試験を受け、見事カメラとディスプレイ製作に関係する資格を全て入手し、早速カメラとディスプレを完成させる為に行動を開始したのである

 

その最中、明石から話を聞いたのだが、如何やら日本海軍も同じ様な物を作ろうとした事があったらしいのだが、衛星を打ち上げようとする度に深海棲艦からの邪魔が入り、衛星製作と打ち上げに予算を圧迫され過ぎたせいで、この計画は頓挫してしまったのだとか……

 

「ガダルカナルで衛星を打ち上げた自分のおかげでこの計画が実行出来るんッスから、シャチョーも海軍の皆様方も、自分を崇め讃え祀っていいんッスよ~?」

 

明石からこの話を聞いた直後、偶々近くで話を聞いていた護がこの様な事をほざき、戦治郎は調子に乗るなと言わんばかりに、護にグラウンドコブラツイストをお見舞いし、横須賀鎮守府の工廠に護の悲鳴が響き渡るのであった

 

それからしばらくして完成したカメラを長門の艤装に取り付け、ディスプレイを作戦司令室に設置して、テストの為に実際に使ってみたところ、かなりいい結果が出る事となり、その報告を受けた元帥が戦治郎達にカメラとディスプレイを量産し、日本海軍の各拠点にカメラとディスプレイを実装する様に指示を出し、それを受けた戦治郎達は軍学試験の勉強と、今回取る事が出来なかった残りの資格を取り戻す為の資格取得試験の勉強の傍らで、何とかカメラとディスプレイの量産を行っている内に、暦は4月の中旬となってしまったのであった

 

こうして戦治郎達が完成したカメラとディスプレイを、日本海軍の各拠点に送る為に手作業で段ボールで梱包し、梱包を終えたものを輸送用トラックに積み込むと言う作業を行っていると、横須賀鎮守府の入口に見覚えのある顔が集まっていたのであった

 

「悪ぃ!ちょっち行って来るわっ!!」

 

それを見た戦治郎はそう言って後の事を空に任せ、入口の方へ走って向かって行くのであった

 

「ぅおおおぉぉぉーーーいっ!!!お前らあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

戦治郎がそう叫び、手を振りながら入口に駆け寄ると、それに反応した摩耶、木曾、阿武隈、龍驤の4人が戦治郎の方へと顔を向け……

 

\戦治郎さんっ!!/

 

4人は示し合わせた様に声を揃えて、驚きと再会を喜ぶような感情が混ざり合った様な声を上げるのであった

 

「意外と戻って来るの早かったな」

 

「俺達は関東圏に住んでるからな」

 

戦治郎が戻って来た4人にそう尋ねたところ、木曾が代表としてこの様に返答するのであった

 

「ちょっとばかし親の説得に手間取っちまったせいで、思ったより遅くなっちまったけどな……」

 

「ああ……、今の世間は横須賀の乱のせいで、艦娘は信じるけど軍は信用しないって感じだもんな……。加えてお前らの場合、揃いも揃って家出娘って感じだからな……、親御さんの説得も大変だったろうよ……」

 

「偶々溜まった有給消化する為に、日本に帰って来ていた姉ちゃんがいなかったら、あたしのとこの説得は無理だっただろうな……」

 

「摩耶の姉ちゃんって……、ああ、トラック泊地の愛宕か。お前運が良かったな……、ちゃんと姉ちゃんにお礼言ったか?」

 

「当然だろ?ついでに何か困った事あったら駆け付けるとも言っておいたぜっ!」

 

戦治郎と摩耶がこの様なやり取りを交わしたところで、戦治郎が突然摩耶達に下がる様に指示を出し、それを聞いた摩耶達が困惑しながら戦治郎の指示に従って横須賀鎮守府の入口を潜った直後、先程まで摩耶達が立っていたところに1台の車が突っ込んで来るのであった……

 

戦治郎達が突然現れた車……、三菱の黒いランサーエボリューションⅥ トミー・マキネンエディションを警戒する中、問題のランエボの運転席の扉が開き……

 

「川内さん、神通さん、横須賀鎮守府に着きましたよ?」

 

中から姿を現した扶桑が、車内の面々に対して目的地に到着した事を伝え……

 

「扶桑さんの運転に慣れていないせいか、2人共気絶していますね……」

 

助手席から降りて来た瑞穂が、後部座席を見て苦笑しながらこの様な言葉を口にする……

 

そんな瑞穂の視線の先、扶桑の車と思わしきランエボの後部座席には、目を回して気絶する川内と神通の姿があり……

 

「さ~て、俺は一体何処からツッコめばいいのかな~?」

 

その様子を見ていた戦治郎は、思わずこの様な言葉を口にするのであった……

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