※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

424 / 655
長門屋鎮守府(仮)結成

「あ~……、死ぬかと思った……」

 

「光太郎さんの時はアルゴス号の装甲が強固であった事と、他に車がいなかったのでまだ良かったのですが……、今回はその……、車内に後付けしたと思われるロールバーはあるものの、それ以外に安心出来る要素が無い上に、私達以外にも車が走っていたもので……」

 

「物凄い速度で他の車が迫って来てたよね……、そしてそれを涼しい顔でスイスイ避けていく扶桑さん……、いつもとギャップがあり過ぎる事に驚いたけど、それ以上に恐怖心の方が強くてね……」

 

扶桑達と再会してからしばらくしたところで川内達が目を覚まし、戦治郎が光太郎のロケットダッシュを経験したにも関わらず、気絶してしまった川内型の2人に話を聞いてみたところ、川内達はこの様な回答をするのであった

 

「ごめんなさい……、また皆さんと共に戦えると思ったら、ついスピードを出し過ぎてしまって……」

 

そんな川内達の言葉を聞いた扶桑は、申し訳なさそうな表情を浮かべながら縮こまってしまうのであった

 

因みに、川内達が扶桑の車に乗っていた理由だが、如何やら扶桑達の実家と横須賀鎮守府の間に川内達の実家があるらしく、海賊団解散後、記念としてもらった通信機で元海賊団のメンバーがやり取りをしている時にその事実が発覚し、黄泉個体であるが故に軍属となった扶桑と戦治郎達と共に戦い続ける決意を固めた瑞穂が、横須賀に向かうと言う話になった際、元々軍属である川内と扶桑と同じ理由で横須賀に戻る必要がある神通を、道中で拾って一緒に向かう事になったからである

 

「大和達の車の話が出た時、姉様が食い付いて来たのはこう言う趣味があったからなのな~……、ってすげぇ……、納車した瞬間から改造が完了しているとか言われてるトミマキエディションに、更に改造加えてあるじゃねぇか……」

 

「扶桑さんは車の免許を取った後、練習の為に瑞穂と妹さんを連れて色々なところを走っている内に、車やバイクと言った乗り物が大好きになったそうで……。この車以外にも『隼』と言うバイクもお持ちだったのですが、そちらは扶桑さんが行方不明になった後、妹さんが名義変更して現在使用していると言う事で、そのまま妹さんに譲って来たそうです……」

 

川内達の話しを聞く傍らで、扶桑の車のボンネットを開いて中を見ていた戦治郎がそう言うと、瑞穂が苦笑しながら扶桑が乗り物好きになった理由を話すのであった

 

因みに瑞穂が言うには、扶桑は瑞穂達と共にこの車で色々なところを走っている時に、各地の走り屋達に勝負を挑まれ、それを悉く打ち破って行く内に地元では名の知れた走り屋となっていたそうな……。本人の意思とは無関係に、である

 

その後、戦治郎が戻って来た皆を誘導しようとしたその時である

 

「ありゃ?もしかして私達が最後だったりする?」

 

「如何やらその様ですね……」

 

「これはまあ、仕方が無いんじゃないかな?ここにいるメンバーは実家と横須賀鎮守府との距離が離れているからね」

 

「私達のところは、実家と言う程良いものじゃないんだけどね……」

 

「ああ、確かお前達は孤児院出身だったか……」

 

「そんな事より早く空さんに会いたいっぽい!」

 

「ふふっ、夕立ちゃんは本当に空さんが大好きなんですね」

 

横須賀鎮守府の入口に集まっている戦治郎達の姿を見た陽炎、不知火、時雨、天津風、江風、夕立、そして龍鳳が、この様なやり取りを交わしながら姿を現すのであった

 

「軍属である龍鳳や白露型は兎も角、陽炎達も戻って来たのか」

 

陽炎達の存在に気付いた戦治郎が、彼女達に向かってそう尋ねたところ

 

「当然よ、知らない方が幸せでいられる様な、物凄くどす黒い世界の事情を知らされて、黙ってなんかいられるもんですかっ!」

 

「不知火達は戦治郎さん達にそれらに抗う為の力付けてもらったり、抵抗する方法を教えてもらっていますからね。それらを十二分に発揮するには、海軍に入隊し再び戦治郎さん達と共に戦うべきだと考えました」

 

「この事を孤児院の連中に話したら、私達を盛大に送り出してくれたわ。戻って来た時には凄く嫌そうな顔をしていたのにね、ホント見事な掌返しだったわ」

 

陽炎達はそれぞれの言葉で、この様に返答するのであった。尚、陽炎の発言の直後、その場にいた元海賊団のメンバー全員が、真剣な表情で一斉に頷いて見せたのであった

 

因みに、不知火が剛から仕込まれたスニーキング技術を駆使して、孤児院の事を独自で調査したところ、不知火達がいた孤児院は孤児院の子供達を艦娘として世に送り出し、間引きすると言う事は褒められた事ではないのだが、年々増える戦災孤児の関係で経営が苦しくなっているにも関わらず、戦災孤児受け入れの為に孤児院を潰す訳にはいかないと言う孤児院側の事情や、人身売買などの犯罪行為に手を染めていない事、孤児院の子供達も望んで艦娘になろうとしている者が多い事を考慮した結果、白みがかったグレーと言う結論に落ち着いたそうだ

 

こうして元長門屋海賊団の艦娘が勢揃いしたところで、戦治郎が再び彼女達を横須賀鎮守府の方へ誘導しようとすると……

 

「ここにいたんですね、提督」

 

今度は横須賀鎮守府の方から、まだ提督になっていない戦治郎を提督呼びする大和が現れるのであった

 

「大和か、済まんな持ち場から離れて……。んで、俺に何か用か?」

 

「ええ、長門さんから伝言を預かっています」

 

「伝言とな?」

 

「はい、え~っと確か……、『件の話、5月上旬に実行出来そうだ』だそうです」

 

「そうかそうか5月上旬にな……、あいつら相当頑張ったみたいだな……」

 

このやり取りで大和の口から長門の伝言を聞いた戦治郎は、心底愉快そうにニヤリと笑みを零すのであった

 

「何の話だ?」

 

話の内容に興味を持った木曾が、未だにニヤニヤする戦治郎に向かってそう尋ねたところ……

 

「ん?な~に、ちょっちアクセルとセオとリチャードさんとジョシュアの旦那とクトゥルフさんが、この横須賀鎮守府に来るってだけよ」

 

\はぁっ!?/

 

戦治郎はこの様に答え、その口から飛び出したメンバーの名前を聞いた瞬間、そのメンバーがどんな人物であるかを知っている艦娘達は、思わず驚愕の声を上げながら硬直してしまうのであった

 

そう、これは戦治郎が通信機でアクセル達と雑談を興じた際、この通信で知り合ったのも何かの縁と言う事で、日本の艦娘の技術を提供してもらう為に日本に訪れる予定となっていたジョシュアが、どうせだからアクセルとセオドールもこの日に横須賀鎮守府を訪問し、日米英独の会合を開こうではないかと提案し、アクセルとセオドールがそれに賛同した直後、ならば自分は戦治郎達が無事に日本に辿り着けた事を祝して、物資と伊吹達が新しく開発した兵装をプレゼントする為に横須賀に向かうとリチャードが言い出し、ならば自分は息子の様子を見に行くついでに、翔の料理を堪能しようと言ってクトゥルフが便乗した結果、実行される事となった計画なのである。因みにこの会合の主目的は、取り敢えず元帥にジャブを打ち込んでおこうと言うものだったりする……

 

そしてこの事を戦治郎が長門を通して元帥に伝え、長門とアクセル達が通信機を使ってスケジュール調整を行った結果、5月上旬にこの会合が開かれる事になったのだそうな……

 

「っとそれは兎も角、帰還組は今から入隊手続きすっから俺に付いてこ~い」

 

その後、戦治郎がそう言って横須賀鎮守府の本庁の方へと歩き出し、その声で我に返った木曾達帰還組は慌ててその後を追い、長門を介して入隊手続きを済ませるなりすぐに戦治郎達がやっているカメラ&ディスプレイの生産&搬送作業を手伝い始めるのであった

 

この時に、摩耶が元海賊団のメンバーに対して、大和に倣って自分達も自分達の未来の提督である戦治郎の事を、今からは提督或いは司令官呼びしようと提案、それに元海賊団のメンバー全員と、作業を手伝っていた戦治郎のところに配属予定となっているヴェルや天龍と言った元桂島泊地の艦娘達が賛同した事で、横須賀鎮守府内に長門屋鎮守府(仮)が結成される事となったのであった

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。