※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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戦闘狂再び

日米英独の4ヵ国+穏健派連合+αによる会談の開催日時が絞り込まれてからしばらく経過し、暦がそろそろ5月に移り変わろうとしている4月下旬のある日、横須賀鎮守府に緊急の通信が入るのであった……

 

発信元は横須賀の乱の際、横須賀鎮守府と大湊警備府の艦娘達が避難していた父島、その時に艦娘達が横須賀と連絡を取り合う為に即席で設置した通信施設からの通信であった……

 

『助けてくれっ!!突然海から人型の深海棲艦が現れて、俺達の集落を……』

 

通信機からは島に住んでいた中年の男性が、必死になって助けを求める声が聞こえて来るのだが……

 

『お"お"お"ぉ"ぉ"ぉ"ーーーっ!!!』

 

『ひっ!?う、うわあああぁぁぁーーーっ!!!』

 

その直後に突然とんでもない大きさの声が通信機から鳴り響き、中年男性の怯えた声が聞こえたと思った瞬間、中年男性は断末魔の悲鳴を上げ、その直後から通信機はノイズを吐き出し始めるのであった……

 

この通信を聞いた元帥が、横須賀鎮守府内の艦娘達を緊急招集し、急いで艦隊を編成し父島に向かわせようとしたその時である

 

「元帥のじっちゃん、その艦隊に俺を加えてくれねぇか……?今の声、ちょっち聞き覚えがあるんだわ……」

 

真剣な面持ちをした戦治郎が、元帥に自分も出撃させて欲しいと頼み込んで来るのであった

 

しかし、元帥はそれを却下するのであった。理由は提督を目指す戦治郎は、この様な事態になっても提督として司令室で指揮を執り、事態を冷静に対処するべきだと言う事であった

 

それを聞いた戦治郎が『ふざけるなっ!!』と、元帥に向かってそう叫ぼうとしたその時、シゲと光太郎が静かに挙手してこの様な事を述べるのであった

 

「アニキがダメってんなら俺が行きます、最近は資格取得の勉強ばっかで身体が鈍っちまいそうだったし、何よりちょいと試してみたい事があるんですわ」

 

「出来れば俺も向かわせてもらえませんか?もし要救助者がいた場合、俺なら適切な応急処置を施す事が出来ますし、リヴァイアサンですぐにこちらの病院に搬送する事だって出来ますから」

 

2人の言葉を聞いた元帥は、提督志望でない2人ならばとこの申し出を許可し、長門を旗艦とした、シゲ、光太郎、飛龍、蒼龍、そしてシゲが行くならと申し出たヴェルによる6人編成の艦隊が、父島へ向かう事となるのであった

 

因みに、ヴェルが申し出た際に摩耶も艦隊への参加を申し出たのだが、もし道中で潜水艦に遭遇した場合、防空重巡洋艦がどうやって潜水艦の対処をするのかと元帥に尋ねられ、それに対して閉口してしまった摩耶は参加を諦めるのであった……

 

 

 

「うわー!光太郎さんのリヴァイアサン、はっや!」

 

「私のケートスでは、この速度はとても出せないな……」

 

「しかも水上バイクなのに、殆ど揺れないね~」

 

「怪我人の搬送もコンセプトに組み込まれている俺専用の水上バイクだからね、揺れのせいで怪我を悪化させない様にしてあるんだよ。これに関しては戦治郎達にホント感謝しないとだよ」

 

光太郎が駆るリヴァイアサンに乗った飛龍、長門、蒼龍の3人が、光太郎にリヴァイアサンに乗った感想を述べ、それに対して光太郎はこの様に返答する

 

「まあ、光太郎さんのリヴァイアサンも凄いけど……」

 

蒼龍がそう言ってリヴァイアサンの隣に視線を移すと、そこにはヴェルをおんぶしてクロとゲータの口を後方に向け、ジェット噴射で海上を高速移動するシゲと、それにジェットエンジンを用いて追随するヴェルのポリたんの姿があった

 

「シゲのそれ、一体どうなってんの?」

 

「私としては、ヴェルのポリたんの方が気になるのだが……」

 

「まあちょいとばっかし修行して身に付けたってとこだな、んで、ポリたんの製作者は空さん……、後は解るな……?」

 

「それで納得しちゃう自分が悔しい……」

 

「自分の艤装が何故飛べるのかも謎なんだったか……、相変わらず非常識な男だな……」

 

シゲに向かって飛龍と長門が疑問をぶつけたところ、シゲにこの様に返答されて2人は思わず納得しながらそう呟くのであった……

 

そんな中、シゲにおんぶされているヴェルはと言うと……

 

「ハラショー、素晴らしい眺めだね。……このまま何事も無く、父島に着けたらいいんだが……」

 

シゲの背中の上で、この様な事を呟いていた

 

 

 

そんなヴェルの願いは、邪神様達なら聞き届けてくれたかもしれないが、世間一般的に知られている神様には届かなかった……

 

「……ん?」

 

「光太郎さん、どうしたんです?」

 

「しっ!静かに……っ!」

 

何かに気付いた光太郎が怪訝そうな表情を浮かべ、それに気付いたシゲが何事か尋ねたところ、光太郎はシゲ達に静かにする様に指示した後、前方を指差して見せるのであった

 

「んなっ!?」

 

「あれって……、もしかして……っ!?」

 

「嘘でしょ……、何であいつがここにいるのよ……っ!?」

 

その直後、ミッドウェーの決戦に参加した長門達が驚きの声を上げ……

 

「あいつは確か……、ゾアにやられた……」

 

「ああ……、アニキがヘモジーとか呼んでいる戦艦水鬼改だ……」

 

「まさか……、あの状態から復活したのか……」

 

ヴェル、シゲ、光太郎の3人は、その存在の正体について言及するのであった……

 

そう、今彼等の前には、ミッドウェーでゾアが石化させた後粉々にして欠片を世界中にばら撒いたはずの、ヘモジーこと陸奥守 防人が存在していたのである……

 

ゾアの力によって石の欠片となった防人は、その不屈の闘争心でゾアの石化を強引に解除し、途中で魚に餌と間違われて食べられながらも、道中で合流した肉片を吸収しながら戦治郎の気配を追ってこの場所まで移動し、遂に人の姿を取り戻すと同時に、現在戦治郎がいる日本に辿り着いたのである……。そんな防人は……

 

「何処だ長門 戦治郎おおおぉぉぉーーーっ!!?近くにいるのは分かっているのだぞおおおぉぉぉーーーっ!!!この際あの時の巻き貝の化物でも構わんっ!!!今すぐ俺の前にその姿を現せえええぇぇぇーーーっ!!!そしてすぐにこの俺と戦ええええぇぇぇーーーっ!!!!!」

 

この場にいない戦治郎とゾアに向かって、狂った様に叫んでいたのであった……

 

「よりにもよってこんな時に……、急がないと要救助者達の命が……」

 

「どうします?迂回してやり過ごします?」

 

防人の姿を見た光太郎が、舌打ちしながらそう呟くと、シゲがこの様な提案をする。だが……

 

「……ねぇ……、あいつ……、こっち見てない……?」

 

直後に蒼龍が震えながら防人の方を指差し、それに即座に反応したシゲと光太郎がそちらへ視線を向けると、そこにはこちらをじっと見つめる防人の姿が……。その次の瞬間、防人がニヤリと笑みを浮かべると……

 

「戦治郎と戦う前の準備運動に丁度良さそうだなっ!!!お前達っ!!!俺の相手をしてもらうぞっ!!!!!」

 

この様に叫び出すのであった……

 

その直後、背筋に嫌なものを感じた光太郎とシゲが、彼の前から逃れる様に突然動き出す。するとどうだ、防人の口から黒いオーラを纏った衝撃波が発射され、先程までシゲ達が立っていた海面が、ものの見事に抉れてしまうのであった

 

「叫び声でこれかよっ!?」

 

「ソニックブラストとかふざけんなっ!!おめぇはアカムトルムかってんだっ!!」

 

先程の防人の攻撃を見た光太郎とシゲが、思わずそう叫ぶ。そしてその直後、防人がこちらに向かって突進し始め……

 

「……ちぃっ!!」

 

「ちょっ!?シゲさんっ?!」

 

その様子を見ていたシゲは、舌打ちすると突然おんぶしていたヴェルの襟首を掴み、光太郎の方へと投げ渡す。そしてシゲはヴェルを長門が受け止めた事を確認すると……

 

「ここは俺が何とかしますっ!!だから光太郎さん達は父島へっ!!!」

 

光太郎達に向かって背を向けながらこの様に叫び、言う事を言い終えるとクロとゲータのジェット噴射を使用しながら、一気に防人へ接近するのであった

 

「あれを1人でとか、流石に無茶でしょっ!?私達もすぐに援護を……」

 

「いや……、ここはシゲに任せよう……」

 

「だね……、今は父島の方を優先しよう……」

 

その様子を見ていた飛龍が、慌ててシゲの後を追おうとするのだが、それを長門と光太郎がそう言って制するのであった

 

「本当に大丈夫なの……?」

 

「正直何とも言えないな……、だが、こんな所で私達が足止めを喰らってしまえば、助けられる命も助けられなくなってしまう……」

 

「飛龍さん……、蒼龍さん……、今だけは、シゲを信じてもらえませんか……?」

 

単騎で防人に挑みに行ったシゲを心配した蒼龍が、長門と光太郎にこの様に尋ねると、2人は苦い表情をしながらもこの様に答え、それを聞いた二航戦は耐える様な表情を浮かべながらも光太郎に頷いて見せ、それを見た光太郎はすぐに父島に向かって移動を開始するのであった

 

「シゲさん……」

 

その道中、シゲの事が心配で仕方が無いヴェルは、そう呟いた後天にシゲの無事を祈るのであった……

 

 

 

 

 

「……ん?もしかしてシゲが戦闘しようとしてるのかな~?」

 

その時コルヴァズの自宅にて、ヘマをした部下の炎の精にケジメを付けさせようと、シガーカッターに炎の精を突っ込んだ葉巻を咥えたクトゥグアが、何か感じ取ったのかこの様な事を呟く

 

「これはちょっと気になるね~、よっし、ちょっと覗き見しよう~」

 

クトゥグアはそう言うと炎で出来たスクリーンを作り出し、シゲの身体に埋め込まれたクトゥグア焔晶を介して、シゲの様子を見る事にするのであった

 

その直後、クトゥグアは無意識の内に動かしたシガーカッターで、炎の精の身体をほんの少しだけカットするのであった

 

 

 

 

 

「なんだ?お前だけか?」

 

「ああそうだよ、おめぇの相手なんざ俺一人で十分だからな……」

 

シゲと対峙した防人が、怪訝そうな表情を浮かべながらシゲに向かってそう尋ねると、シゲは余裕ぶった態度をとりながら、この様に返答するのであった

 

(やべぇ……、近くで見て気付いたけど……、こいつ気持ち悪すぎる……)

 

しかし、シゲは内心ではこの様な事を呟いていた……

 

言うのも、防人の顔の右半分は表皮が無く筋肉が露出した状態になっており、右目に至っては、瞼を魚に食べられてしまったせいで押さえが利かなくなり、本来あるべき場所からボロリと零れ落ち、視神経によって吊り下げられている状態となっているのである……

 

(アニキがこいつの事嫌ってた理由、何となく分かったわ……)

 

シゲが心の中でそう呟いた直後、突然防人が大声で笑い出し……

 

「図に乗るなあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

大笑いが収まった途端に、そう叫び右目をブラブラさせながら、シゲに向かって突進してくるのであった。そんな防人の姿を見たシゲは

 

「上等だゴルァッ!!!かかってこいやあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

自身に向かって来る防人に対して、この様に叫び返しながら気合いと共に自身のスイッチを入れ、クトゥグアからもらったコルヴァズの拳とコルヴァズの具足を呼び出し、戦闘態勢に入るのであった

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