※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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阿修羅

「でぇありゃあああぁぁぁーーーっ!!!

 

防人が放つ黒い衝撃波を突っ切って、見事防人を殴り飛ばしたシゲだが、彼の攻撃はまだまだ続いた

 

クロとゲータのジェット噴射で吹き飛ばされる防人に追いついたシゲは、防人に飛びつくなり両足でその胴をギリギリと締め上げ、それと同時に防人の顔面に機関砲の様に拳打を浴びせる

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァっ!!!!!」

 

雄叫びを上げながら打ち出される燃える拳打は、本当に僅かな間に数十発……、いや……、数百発にまで及び、着実に戦艦水鬼改である防人にダメージを蓄積させていく……

 

「ぐぅ……っ!?」

 

これには防人も思わず呻き声を上げ、シゲの嵐の様な拳打に必死になって耐えるのであった

 

「これで……、死んどけやあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

それからしばらく防人を殴り続けていたシゲが、トドメの一撃を振るわんと力を溜め、叫び声と共にその燃え上がる拳を防人の顔面に叩き込もうとしたその時である……

 

「やらせんぞおおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

今までシゲから一方的に殴られていた防人が、突然この様に叫んだのである。そしてその直後、シゲの右頬に衝撃が走り、そのショックでシゲの両足の力が僅かに抜けてしまい、その隙に防人はシゲの拘束から逃れるのであった

 

今のは何だっ?!一体何が起きたっ!?突然の出来事に混乱したシゲが、己の右頬に視線を向けたところ、そこにはとてもではないが信じ難い物が存在していたのであった

 

そこにあったのは、何と先程シゲが吹き飛ばした筈の防人の右腕……、そう……、何と防人は何処かへ千切れ飛んだ腕を呼び戻し、それでシゲを殴り飛ばして見せたのである

 

こうしてシゲを殴り飛ばした防人の右腕は、反動を利用して防人の下へとクルクルと縦に回転しながら飛んでいき、5本の指だけで見事に海面に着水して見せ、その様子を見ていたシゲは……

 

「そんなのアリかよ……、おめぇはハンドくんかよ……」

 

生前に見た洋画に登場したキャラを連想し、思わずそう呟くのであった……

 

「はっはっはっ!!!中々やるではないかっ!!!これ程昂ったのは戦治郎以来だっ!!!貴様っ!!!名前は何と言うっ!?!」

 

そんな中、シゲの拘束から逃れた防人が、シゲと距離を取った後に嬉しそうに高笑いしながらシゲにその名を尋ねる

 

「どぅうぁあれが答えるかよぉっ!!!それ聞いたらおめぇ俺の事までアニキみたいに追いかけ回す気なんだろうがっ!!?」

 

「当然だろうっ!!!!!ここまで戦える者と戦わないと言う選択肢があると思っているのかっ!!?!?有り得んだろうっ!?!!?」

 

防人に名前を尋ねられたシゲが、防人に対して反射的に叫び返したところ、防人は即座にこの様に返答し、それを聞いたシゲは内心でガックリと肩を落とすのであった……

 

「貴様の名前が聞けなかったのは残念だが……、まあいいっ!!!それよりもだっ!!!」

 

そしてそんなシゲの事などお構いなしと言った様子で、防人はこの様に言葉を続ける

 

「ここまで戦える者がいるのならばっ!!!その相手に敬意を払わねばならんっ!!!これは本来戦治郎と戦う時の為にとっておくつもりだったが……、気が変わったっ!!!貴様にこの俺のとっておきを見せてやろうではないかっ!!!さぁっ!!!刮目するがいいっ!!!!!」

 

防人がそう叫んだ直後、防人の身体に変化が生じる……

 

先ず変化があったのは右腕……、前腕の真ん中から先が無くなった彼の右腕……、そこから黒い衝撃波と赤い衝撃波が発生し、本来腕があるべき場所に留まったそれは次第に形を変化させていき、赤と黒のストライプの様な模様が浮かんだ巨大で禍々しい腕に姿を変えたのである……

 

いや、それだけではない……、その腕は彼の肩から更に2対生えて来て、防人のシルエットをまるで阿修羅の様に変化させたのである……

 

そんな防人の左手には、この腕と同じ原理で作られたと思われる、赤と黒のストライプが入った柄を持ち、荒れ狂う赤と黒の衝撃波そのものを刀身とする薙刀が握られていたのであった……

 

「こいつマジかよ……、そんな事まで出来んのかよ……っ!?」

 

その様子を唖然としながら見ていたシゲが、思わずそう呟いたその直後、防人がこれまでにないくらいの速さでシゲの方へと突っ込んで来る

 

「これが俺の本気だっ!!!さぁっ!!!貴様は一体どれだけの間この攻撃に耐えられるかっ!!!いざ尋常にっ!!!勝負だあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

そう叫ぶ防人は、手始めに左手に握った薙刀を勢いよく振るい、先程までとは比べ物にならない破壊力を宿した赤と黒が混ざり合った衝撃波をシゲに向かって放つ

 

シゲは自分に向かって来る衝撃波を、自身が現在纏っているその炎で先程と同じ要領で捌こうとするのだが……

 

「っ!?」

 

この衝撃波が先程までのものとは全く違う事にギリギリのところで気付き、大慌てしながら紙一重のところで何とか回避するのだが、その直後に回避した際衝撃波と最も近い場所にあった腕に、先程よりも深い裂傷が幾つも付き、動揺したシゲはその痛みで思わず足を止めてその表情を歪めるのであった

 

そんなシゲの隙を、防人が見逃す訳も無く……

 

「油断大敵っ!!!!!」

 

いつの間にかシゲとの間合いを詰めた防人が、そう叫びながら再び薙刀を振るい、それを更に裂傷を負いながらも回避したシゲの腹に、衝撃波で形成された腕を叩き込む

 

「あ"がぁ"っ!??」

 

その直後、シゲは腹部に無数の裂傷を負うと同時に、何かの力で内臓が掻き回される様な激痛を感じながら、とんでもない速度で吹き飛ばされてしまうのであった……

 

(あいつ……、空さんの龍気みたいに衝撃波を相手の体内に流し込めるのか……っ!?あの状態から復活した事と言い、この攻撃と言い……、完全に人間辞めてやがるじゃねぇか……っ!!!)

 

防人の攻撃によって海面に叩きつけられたシゲは、この様な事を考えながらも起き上がってすぐさま体勢を立て直し、使い方を翔から教えてもらった魔力で自身の内臓の無事を確認する……

 

幸い、クトゥグアの魔力で復活し強化されたシゲの内臓は、先程の攻撃で傷付いてはおらず、それを確認したシゲは安堵の息を吐くのであった。もしここで内臓が損傷していたら、その痛みのせいで動きが全体的に鈍くなってしまい、その隙を突かれて間違いなく防人に倒されてしまうと思ったからである……

 

「まさかこの攻撃まで耐えるとはなぁっ!!!素晴らしいっ!!!素晴らしいぞ貴様っ!!!名前を聞けなかった事が本当に悔やまれるぞっ!!!!!」

 

再び戦闘態勢に入ったシゲを見た防人は、心底嬉しそうにそう叫び、先程以上の声量で高笑いし始めるのであった

 

(俺……、もしかして早まっちまったか……?こいつを1人でって言うのは無謀だったか……?いや……、出来る出来ねぇの問題じゃねぇ……っ!今は俺一人でやるしかねぇんだよ……っ!!でなけりゃこいつは本土に上陸して、父島以上の被害をもたらしかねねぇからな……っ!!!)

 

防人の想像を遥かに超えた尋常ではない強さに、シゲはつい弱気になってしまうのだったが、横須賀でシゲ達の帰りを待つ戦治郎達の姿が頭に過った瞬間、シゲは弱気を振り払う様に頭を振って、闘志を宿したその双眸でしっかりと防人を見据える……

 

そして……

 

「何勝ち誇ってやがんだっ!!!俺はまだ倒れちゃいねぇぞおおおぉぉぉーーーっ!!!!!」

 

シゲは全身全霊全力全開の力を以て、再び防人に攻撃を仕掛けようと突撃を開始するのであった……

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