自身の方へ向かって来たシゲの姿を見た防人は、高笑いを止め……
「来るかっ!!!いいだろうっ!!!全力でぶつかって来るがいいっ!!!」
そう叫びながら先程と同じ様に手にした薙刀を勢いよく振るって衝撃波を発生させ、シゲの方へと飛ばすのであった
「同じ手に2度もかかるかよっ!!!」
防人が衝撃波を飛ばして来た事を確認したシゲは、そう叫ぶとクロとゲータの口を前に向け、荒れ狂いながら突き進んで来る衝撃波に熱線を集中的に浴びせる。するとどうだ、シゲの熱線の温度によって熱線を受けた部分の軌道が狂い始め、それが切っ掛けで衝撃波に隙間が発生するのであった
「だっしゃあああぁぁぁーーーっ!!!」
「やるではないかっ!!!ならばこれならどうだっ!!!」
思惑通りに衝撃波を突破出来たシゲが、自分に向けた歓声の様な雄叫びを上げたところで、その様子を見ていた防人はこの様に叫ぶと、今度は薙刀から発した衝撃波に衝撃波で作り上げた腕から発した衝撃波4つを重ねて放って見せるのであった
「出力上げただけで如何にかなるとか思ってんじゃねえええぇぇぇーーーっ!!!」
防人に向かってそう叫び返したシゲは、今度は自身の腕からも熱線を発射して先程と同様に衝撃波を打ち破って見せる。只この時、シゲの熱線は衝撃波にやや押され気味であったが、その事実をシゲは無視する事にする。そうしなければ、自身の心に焦りが生じてしまい、それが原因で防人に敗北してしまう可能性がある事を、シゲは知っていたから……
こうして防人の攻撃を捌いて来たシゲは、次第に防人との距離を詰めていき、遂に腕を伸ばせば届きそうなくらいに防人に接近する事に成功する。だが、シゲが得意としているインファイトに持ち込める間合いに辿り着かれたにも関わらず、防人は不敵な笑みを浮かべていたのであった……
「遂にここまで辿り着いたかっ!!!いいだろうっ!!!貴様が得意とする間合いで相手をしてやろうではないかっ!!!!!」
防人はそう叫ぶと衝撃波で出来た4本の腕を伸ばし、千切れた右腕まで駆使してシゲを迎え撃とうとするのであった
しかし、シゲはそれを悉く躱して見せる。薙刀がメインである防人の拳打は、腕に纏わりつく衝撃波さえ何とかする事が出来れば、所詮は素人の力任せのパンチと何ら変わらないのである。少し前に防人がシゲに拳打を当てる事が出来たのは、飽くまでシゲが油断していたからに他ならないのである
そしてそんなものでは空手経験者であるシゲを捉える事は難しく、頼みの綱の衝撃波も腕に纏っているものは薙刀から放ったものよりも威力が劣っている為、シゲが纏う炎の鎧によって軌道を捻じ曲げられ、決定打を与えられない状態となっているのであった
そうしている内に、遂に決着の時がやって来る……
「だぁらあああぁぁぁーーーっ!!!」
防人の攻撃を捌き切ったシゲが、雄叫びを上げながら遂に防人に組み付いたのである
「ぬっ!?これは何のつもりだっ!?」
シゲの不可解な行動に困惑する防人が、拘束を解こうとシゲの身体に何度も拳を叩きつけるのだが、シゲは防人の攻撃に一切動じず、寧ろ防人の身体を決して離すまいと両腕に一層力を込め、更にクロとゲータまで巻き付けて防人の胴をギリギリと締め上げるのであった
「確かおめぇ……、身体を粉々にされても復活したんだよな……?」
「それが今の行動とどう繋がると言うのだっ!!?」
そんな中、不意にシゲが防人に対してこの様に尋ね、防人はシゲに拳を叩き込みながらこの様に返答する。するとどうだ、突然シゲの身体が尋常ではないくらいに熱くなり始め、防人は胴を締め上げられる苦しみと、余りの熱さに思わず呻き声を上げ始める……
「俺は思ったんだよ……、だったらその時以上にお前の身体をバラバラにすりゃぁ……、流石に復活出来ねぇだろうって……なぁっ!!!」
この言葉の後、シゲは一気に自身の温度を限界近くまで引き上げ、防人の身体に3兆度の熱を送り込むのであった
「ぬおおおぉぉぉーーーっ!??」
その直後、防人の身体からプラズマジェットが噴き出し始め、防人は断末魔と共にその姿を消してしまう……。そう、防人の身体は防人の身体に組み付いているシゲが放つ3兆度と言う熱により電子、陽子、中性子にまで分解され、空気中に漂っている状態となってしまったのだ
「これで終わりだと思ってんじゃねぇぞおおおぉぉぉーーーっ!!!」
防人の身体を素粒子レベルにまで分解して見せたシゲは、そう叫ぶと空気中に漂う防人の身体を構成していた素粒子に追撃を仕掛ける……
シゲがこの様に叫んだ直後、シゲを中心に直径1kmにも及ぶ巨大なプラズマジェットの柱が出現し、それは防人の身体だった素粒子と防人の魂を取り込んで天高く昇り始めたのである
そしてプラズマジェットの柱は雲を貫き、天空を突き抜け、星の海に飛び出しても更に前進を続け、遂には太陽系すらも超えてしまうのであった……
そうして太陽系を超えたプラズマジェットの柱は、ある点まで至るとそこに集まり始め、巨大なプラズマジェットの塊となる……
「これでトドメだあああぁぁぁーーーっ!!!」
地球でシゲがそう叫んだ次の瞬間、プラズマジェットの塊は凄まじい勢いで膨張を始め、遂には超新星爆発を彷彿させる程の大爆発を起こすのであった
この爆発により、防人の身体を構成していた素粒子は広大な宇宙空間に撒き散らされ、それと共に宇宙空間に投げ出された防人の魂は、凄まじい勢いで太陽系とは反対方向へと吹き飛ばされるのであった……
「……ここまでやりゃぁ、流石にもう復活しねぇよな……?」
防人を素粒子レベルにまで分解した上に、見事太陽系の外まで放り出して見せたシゲは、肩で息をしながら、一抹の不安を抱えながら、この様に呟くのであった……
「これでもし、あいつが地球に戻って来たら……、そん時は流石にアニキ達に協力してもらうか……。そんな化物……、流石に俺だけじゃ荷が重いからな……。っと、何時までもここにいる訳にはいかねぇな、さっさと父島に向かって光太郎さん達と合流しねぇと……」
それからこの様に言葉を続けたシゲは、少々フラフラしながらも、光太郎達が待っているであろう父島へと向かうのであった
「よーーーーーしよしよしよしっ!!!さっすがシゲッ!!!君ならきっとやれると思ってたよーーーっ!!!」
そんなシゲの様子をコルヴァズから見ていたクトゥグアは、その結果に満足しながらこの様な叫び声を上げるのであった
「あの……、ファーザー……?」
「ん~?どったのフサッグァ~?」
そんなクトゥグアを見ていたフサッグァが、恐る恐ると言った様子でクトゥグアに話し掛け、それを聞いたクトゥグアはフサッグァの方に向き直りながら返事をする
「その~……、そいつもいい加減反省してると思うので……、そろそろ解放してやれませんか……?」
「流石にそれ以上は……、可哀想な気がするのですが……」
クトゥグアが自分の方へ視線を向けた事を確認したフサッグァは、この様な事を言いながらクトゥグアの手元を指差し、フサッグァの言葉に続く様にしてルリムが口を開く……
「ん~?それってどっこと~……、おっほぅっ!?」
フサッグァ達の言葉の意味が分からなかったクトゥグアが、フサッグァが指差す自身の手元へ視線を落とし、そこにあったものに気付くと思わず驚きの声を上げるのであった
そんな彼の手の中には、シゲの戦いに夢中になっていたクトゥグアにシガーカッターでカットされまくった結果、球体から正立方体に形が変わってしまった炎の精の姿が……
「あ~……、これは~……、その~……、ごめんね~?」
これにはクトゥグアも流石に罪悪感を覚え、炎の精に向かって謝罪の言葉を述べるのであった