会合に参加するメンバーが会議室に向かった後、その場に残された者達は各々に行動を起こし始めるのであった
横須賀鎮守府所属の艦娘達は、要人に何かがあっては不味いと言う事で、前もって与えられていた鎮守府周辺の警備任務に移り、翔を中心とする食堂組は、クトゥルフから会合が終わるまでは自由にしていいと言われたクティーラとの再会を喜び合った後、会合の後に開かれる事になっている会食の準備の為に、自ら手伝いを申し出て来たクティーラと共に埠頭を後にして食堂に向かうのであった
因みにこの時、クティーラは食堂で意外な人物と再会する事となるのだが、この話は後に触れてる事にする……
今回の話の中心となるのは……
「何じゃこのクルマはあああぁぁぁーーーっ!?興味深過ぎるにも程があるじゃろうがあああぁぁぁーーーっ!!!」
リチャードが準備した戦治郎達の日本到着を祝う為の品々の説明の為に、リチャード達に同行した熊野 伊吹と……
「だろっ!?だろっ?!伊吹~!やっぱお前ならそう言うと思ってたっぜ~?!」
伊吹の隣で、彼と共に剣持達が連れて来たペーガソスを前にしてはしゃぐシゲの2人となっている……
輸送船に積んでいる荷物を全て下ろし終えた伊吹が、シゲを発見するなり彼の下へ駆け寄り、右、左の順でハイタッチをした後に横にした拳でお互いの拳を上から打ち合わせ、最後にグータッチすると言う彼等なりの挨拶を交わしたところで、不意にシゲがペーガソスの方を指差し……
「伊吹……、あいつを見てくれ……、どう思う……?」
伊吹に向かってそう尋ねると、伊吹はシゲが初めてペーガソスを見た時と同じ様な反応を示し、それを見たシゲは満足そうに頷いて見せた後、伊吹と共にはしゃぎだしたのである
「シゲさんが2人いる……?」
「違うッスよヴェル、あいつは重巡夏姫の転生個体で、伊吹って言う穏健派の技術班のアタマッスよ」
「まあ、初めて見たらそんな反応になるよな……」
そんな中、伊吹の事を初めて見るヴェルが目を丸くしながらそう呟き、それを聞いた護と摩耶が、それぞれこの様に返答するのであった
「のうっ!このクルマは乗っても大丈夫なんかっ!?」
そんな中、伊吹がペーガソスにここまで乗って来た操縦手にそう尋ね、操縦手からこのクルマは既に長門屋の物になっていると聞くと……
「よしシゲッ!このクルマで工廠向かうぞっ!!そんでこいつを徹底的に分析するんじゃあああぁぁぁーーーっ!!!」
「おっしゃ任せろっ!!!っとマモと別府も来るかっ?」
伊吹がこの様な事を提案し、それに乗ったシゲは意気揚々とペーガソスに乗り込もうとするのだが、上部ハッチを開けたところでふと思い出したかの様に護とヴェルにそう尋ねるのであった
「そうッスね~、どうせ此処にいても暇なだけだし、いいッスよ、付き合うッス」
「分析って事は、それを一度バラすのかい?だったら手伝うよ」
「おいシゲッ!あたしを除け者にすんなっ!」
シゲの問いに2人がこの様に答えたところで、その様子を見ていた摩耶が慌てた様子でこの様な事を言い出し、その結果この5人でペーガソスの分析を行う事が決定し、シゲと伊吹が操縦席に乗り込んだ後、護と摩耶は何気なしにペーガソスの車体の後部に飛び乗るのであった
この時、ヴェルが中々乗って来ない事に気付いた摩耶が、ヴェルの方へと視線を向けてみると、そこにはポリたんを踏み台にしてペーガソスの車体に乗ろうとするのだが、中々上手くいかず両手を真っ直ぐ上に伸ばしたままの姿勢で、プルプルと震えるヴェルの姿があったのであった……
その後、摩耶がペーガソスの上からヴェルを引き上げ、ペーガソスの分析会に参加するメンバー全員がペーガソスに乗り込んだところで、シゲは工廠へ向けてペーガソスを発進させるのであった
こうしてペーガソスに乗って工廠へ向かうシゲ達に、羨望と救いを求める視線を向ける存在がいた……。そう、今自分の目の前で発生している修羅場をどう対処したらいいか分からず、翔鶴とサラが放つ威圧感に圧倒されながら困惑している空である……
「出来れば……、俺にも声を掛けて欲しかった……」
ダラダラと脂汗を流しながら、空は思わずそう呟くのであった……
「すみません明石さん、ちょい場所借りていいです?」
「シゲさん?一体何を……」
その後工廠に到着したシゲが、丁度中で作業をしていた明石に声を掛けたところ、明石はシゲに何をしようとしているのか尋ねる為にシゲの方を向くのだが、シゲの後方に控えているペーガソスを目の当たりにするなり目を丸くして驚き硬直した後……
「これって横須賀の乱の時、陸軍の連中が乗ってたって奴じゃないですかっ!?もしかして今からそれ
目を輝かせながら早口でこの様な事を捲し立てた後、今まで作業していた場所の片付けを始め、そのスペースをシゲ達に譲ってくれるのであった
その後、シゲ達は明石を加えた6人でペーガソスの分解、内部構造のメモと言う意味合いが強い設計図を引いた後、このまま只戻すだけではつまらないと言う事になり、ペーガソスに魔改造を施し始めるのであった……
その結果、改造を施されたペーガソスの姿は、今まで以上に異様なものへと変化し、変わり果てたペーガソスの姿を見たシゲ、護、伊吹の3人は、腹を抱えて大爆笑するのであった
車体の前方部分に存在する車体と同化した砲塔の上に、更に旋回可能な砲塔を外付けで取り付け、先程ヴェル達が乗っていた車体の後部には、細長い棒の様な物が上に向かって伸びており、外付け砲塔より高い位置にある棒の先端には、真ん丸な砲塔が取り付けられていた
因みにペーガソスに外付けされている砲塔だが、これは護が1度は諦めたアルゴスの再現を全力で試みた結果出来上がったアルゴスの劣化コピー品で、その名を『アデリー』と言うらしい……
これだけでもかなり異様な姿をしているペーガソスだが、これに装備が加わる事でその異様さは更に強化される……。何せこのペーガソス、アデリーの上に取り付けられた閃光迎撃神話の除けば、その全ての装備がシゲが量産する事に成功したバーストセイバーで構成されているのである……
しかもその数が尋常ではない、車体から1門、固定砲塔から3門、アデリーから5門、そして後部の丸砲塔から1門の、合計10門のバーストセイバーがこのペーガソスには取り付けられているのである……
これにより、ペーガソスは1度砲を発射しようものなら、瞬く間の内に30発もの砲弾を相手に浴びせ、短時間で全ての砲の砲弾の再装填を完了させる事が出来る怪物多脚戦車へと変貌したのである……
更に更に、改造の際護が関わっている為、例によって例の如く電子系も大幅に強化されており、姿勢の電子制御だけでなく、広範囲の情報をかき集める事が可能なレーダーやソナーまで搭載している始末……。尚、ソナーはあるが爆雷投射機は付いていない為、潜水艦を攻撃する際は、1度外に出て爆雷を投げる必要があるが、そこはご愛敬なんだとか……
こうして完成したペーガソスの前に座り込んで休憩していたシゲ達は、これを一体誰が使うのかと言う話が上がると真剣に話し合いを始め、その結果キュクロープス争奪戦で準優勝した陽炎に渡す方向で話を固めるのであった
因みに、ペーガソスを受け取る時に陽炎がシゲ達に対して、何故この様な姿になったのかを尋ねたところ……
「おめぇ確かキュクロープスの時言ってたろ?特別な何かが欲しいって。ほら見ろこの見た目、すっげぇ特別感がするだろ?スペックの方もかなり特別な感じだから、おめぇの望み通りだぞ?」
流石にノリと勢いで改造したとは言えず、シゲは陽炎から怪訝そうな視線を浴びながらも、こう言って何とか誤魔化して見せるのであった……
尚、この時シゲ達が引いたペーガソスの設計図だが、これは後に空の事を『大将』と呼び慕う存在の装備であり、空の強化武装となる物の製作の際、大いに役立つ事となるのであった……