「そう言えば……、伊吹さん、さっき此処に運んで来た荷物なんですけど……、あれって一体何なんですか?」
シゲ達がペーガソスの改造を終え、休憩がてらこのクルマを陽炎に渡す方向で話を固めたところで、不意に明石が何かを思い出したかの様に伊吹に向かってこの様に尋ねる
因みに、伊吹は輸送船から降ろした荷物を工廠に運んだ時に初めて明石と出会った訳なのだが、その時明石は伊吹をシゲと勘違いし、昨日までは普通に話していたシゲが、何の前触れも無く突然広島弁を話し出したと思い込み、激しく混乱したのだとか……
「ああ、あれか……。あれはリチャードさんがワシら技術班に準備する様お願いした、戦治郎さん達宛てのプレゼントじゃ。まあ、一部違うモンが混じっちょるがのう」
明石に質問された伊吹が、何気なくこの様に返答したところ……
「なあ伊吹、そのプレゼントってどんなんか見せてもらえねぇか?」
「何じゃシゲ、中身が気になるんか?まあ見て減るモンでもないし……、ええで、ちょい待っとれ、持って来ちゃるわ」
プレゼントの内容が気になったシゲが、伊吹に向かってプレゼントを見せて欲しいと頼むと、伊吹は仕方ないと言った様子でそう返答しながら立ち上がり、件のプレゼントを置いている場所へと向かうと、目ぼしいものを幾つか引っ掴んでペーガソスの前に戻って来るのであった
「先ずはこれじゃ」
そう言って伊吹がプレゼントの包みを開くと、その中から変わった形をした大型の剣と、これまた少々変わった形状の大砲が姿を現すのであった
「何ッスかこれ?」
「これはワシが日向さん宛てに作った装備で、剣の方は『キョウフウゲーベル』、大砲の方は『セイランチャー』っちゅうんじゃ」
問題の品を見た護が不思議そうに伊吹に尋ねると、伊吹はニヤリと笑いながらこの様に返答するのであった
「ああ~……、言われてみれば……、どっちもよく見ると強風や晴嵐っぽいな……。ってまたSEEDネタか……」
「統一感あってええじゃろ?」
これらの武器の名前を聞いたところで、この武器達の形状と配色から元ネタを理解したシゲがやや呆れ気味にこの様な事を言うと、伊吹はニシシと笑いながらシゲにこの様に尋ねるのであった
その後、シゲ達は伊吹からこれらの武器の説明と、この水上機SEEDシリーズの第4弾が開発中である事を聞くと、次の包みの開封に移る様伊吹に促すのであった
そうして伊吹が次の包みを手にすると、突然シゲと護が目を見開きながら動揺し始める……。今伊吹が手にしている包みは、何処からどう見ても十字架の様にしか見えず、何故シゲ達が動揺しているのかが分からない摩耶達は只々不思議そうな表情を浮かべ、シゲ達の反応を見た伊吹は、先程以上にニヤニヤしながらこの十字架の包みを勢いよく剥がすのであった……
「やっぱそれかよおおおぉぉぉーーーっ!!!」
「パニッシャーキタ⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒(。A。)!!!」
「「「パニッシャー?」」」
「やっぱシゲ達は知っとったか……」
十字架の包みが剥がされてその中身が姿を現した途端、シゲと護が突然大声を上げながら驚愕し、パニッシャーを知らない摩耶達が揃って疑問符を浮かべる中、伊吹は相変わらずニヤニヤしながらそう呟くのであった……
「シゲ、そのパニッシャーってのは何だ?」
「これはある漫画作品に出て来た兵器で、作中では最強の個人兵装とか言われてる代物なんだ……」
摩耶がシゲにパニッシャーについて尋ねたところ、シゲはその身を震わせながらこの様に返答する……
「これが最強の個人兵装?只の十字架じゃないのかい?」
「そうじゃ、まあ今から見せちゃるからよ~く見とくんじゃぞ?」
シゲの返答を聞いたヴェルが不思議そうにシゲに尋ねると、激しく動揺するシゲの代わりに伊吹がこの様に返答し、パニッシャーを起動し始める……。するとどうだ、十字架の縦のアームの長辺側が真ん中からパックリと割れ、その中からかなりの口径を誇る機関砲が姿を現したではないか。これには流石の摩耶達も目を丸くして驚き、その視線はパニッシャーへと向けられるのであった
「他にもこんなんあるで?」
そう言って伊吹は短辺側を前に向けて再びパニッシャーを操作すると、今度は短辺側がパカリと開いて、その中からロケットランチャーが顔を見せるのであった
「機関砲とロケットランチャーが一体化した武器ですか……、このサイズでそれを実現するなんて凄いですね~……。あっ、ちょっとそれ持ってみていいですか?」
我に返った明石が、興味本位で伊吹にこの様に尋ねてみたところ……
「「「やめとけやめとけ(ッス)」」」
伊吹だけでなく、シゲと護まで声を揃えてそれを制するのであった
「え~……、ちょっとくらいいいじゃないですか~……」
「いやな、これ原作通りの代物だったら、間違いなくめちゃくちゃ重てぇぞ?多分伊吹だからこうして持てるんだと思うぞ?」
「これってそんなに言う程重いんですか……?」
3人に制止された明石が頬を膨らませながらぶぅ垂れ、そんな明石を宥めようとシゲが
この様な事を口にし、それを聞いた明石は訝しみながらシゲにそう尋ねるのであった。と、その時である
「何なら試してみるか?」
突然伊吹がこの様な事を言いながらパニッシャーを元の状態に戻すと、パニッシャーの長辺側を下にして、パニッシャーを工廠の床に立てようとする。そしてパニッシャーの先端が床に付いたところで伊吹がパニッシャーから手を放すと、パニッシャーはコンクリートで出来た工廠の床を粉々に砕き、見る見るうちに地面の中に沈んでいくのであった……
「「「……はっ!?」」」
「まあそう言う反応になるッスよね~……」
目の前の出来事に呆気にとられる摩耶達の姿を見た護は、思わず苦笑しながらそう呟くのであった……
「こいつは見た目はコンパクトだが、重量は軽く数tを超えてるんだよ……。因みにさっき見た機関砲、あれは弾1発で数mの厚さがある壁に人間と同じくらいの大きさの穴を開ける上に、そんなのを一瞬で数百発も吐き出せるんだぜ……?」
「ロケランの方も凄いで?何と砲弾一発で直径数百mの範囲を吹き飛ばし、大炎上させる程の焼夷能力があるんじゃ」
「離れればそれらの餌食になり、近付けば化物みたいな重量を持ったパニッシャーと、それを自在に扱えるほどの腕力で直接ブン殴られるッス……。故にパニッシャーは最強の個人兵装と呼ばれてるッス……」
パニッシャーに視線を向けたまま呆然とする摩耶達に向かって、シゲ達3人はパニッシャーがどう言う兵器なのかを説明し、それを聞いた摩耶達は更に驚愕の色を濃いものへと変えるのであった
その後、伊吹が尚も地面にズブズブと沈んでいくパニッシャーを片手で回収すると……
「因みにじゃが、実はこいつは少しだけワシの改造を加えとるんじゃ」
突然この様な事を口走ながら、パニッシャーを機関砲モードに切り替える
「はぁ?改造?パニッシャーを?何処をどうしたんだ?」
「それはな……、こうじゃっ!」
伊吹の言葉を耳にしたシゲが、怪訝そうに伊吹を見ながらそう言うと、伊吹はこの様に返答しながら更にパニッシャーを操作して、砲身の下から長さ60cm程の白と黒の縞模様が浮かんだ刃を出現させてみせるのであった
それを見た直後……
「「ダマスカスブレードだとおおおぉぉぉーーーっ!??」」
「そうじゃ、ワシの能力の応用で、トライガンのパニッシャーと銃夢のダマスカスブレードを再現して、こんな感じに組み合わせて斬撃も可能にしてみたんじゃ。どうじゃ?中々かっこええじゃろ?因みに輸送船の中にワシ用の奴があるで」
戦治郎が持っていた漫画で知ったダマスカスブレードを目の当たりにしたシゲと護が、それはそれは凄まじい声量で絶叫し、そんな2人の反応を見た伊吹は、満面の笑みを浮かべながら2人にこの様に尋ねるのであった……
尚、このパニッシャー改は重量のせいで艦娘や護や望、通や藤吉と言った軽量級の転生個体ではまともに扱えず、自分の武器は自分で作りたいと主張する戦治郎や、格闘主体の空やシゲに受け取りを拒否されてたらい回しになった結果、剛の艤装の下から生えている腕の専用装備となるのであった