※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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会議の前に・・・・・・ 食堂編その2

「私と間宮は、こんな感じで出会って別れた感じだね~」

 

給糧艦艦娘達や彼女達に加勢する扶桑達が、慌ただしく会食の準備を進める中、テーブル席に腰を下ろしてグラスに入ったジュースを手にしたクティーラは、対面の席に座る翔とゾアに向かって、間宮と出会った経緯と別れた理由について説明するのであった

 

何故クティーラ達は、こんな忙しい時にテーブル席に座ってリラックスしながら話をしているのかと言えば、間宮に飛びついたクティーラの様子を見るなり、伊良湖や扶桑達が間宮とクティーラの間には何かある事を察し、この場は自分達任せクティーラ達はゆっくりしてて欲しいと申し出てくれたのである。その結果、クティーラ達はこの様に落ち着いた雰囲気で、1人と1柱の関係について話す事が出来ているのである

 

「……地上に行ったお前が、間宮のところで世話になったのは分かったが……、それは一体何時の話なのか、詳しく聞かせてもらえるか?」

 

「あ~……、やっぱりそうなるよね~……」

 

クティーラの話を静かに聞いていたゾアが、不意にクティーラに向かって少々視線を鋭くしながらそう尋ね、それを聞いたクティーラは、苦笑しながら観念した様にこの出来事が何時の出来事だったかを話すのであった……

 

「……あれ?」

 

そうしてクティーラの話を聞いた翔が、話の内容に何か引っかかりを覚えると、思わず不思議そうな表情を浮かべながら疑問の声を上げる

 

「クティーラちゃんの話を聞く限り、クティーラちゃんと間宮さんが別れたのは2年前みたいだけど……、クトゥルフさんの説得の為にルルイエに来ていた僕達と出会ったのはちょっと前だったよね……?」

 

「うむ、我はあの時クティーラと会うまで、クティーラは木星に向かったものと思っていたのだ。つまり、クティーラは我らが父上の説得の為にルルイエに向かった時に、ルルイエに戻って来た事になるのだ……」

 

そう、翔が感じた引っかかりの正体、それはゾアが指摘する通り、クティーラが間宮と別れてからルルイエに戻るまでに、タイムラグが存在する事だったのである……

 

「クリス……、じゃなくてクティーラちゃん?クティーラちゃんは私と離れてお家に帰るまで、何処で何をしていたの……?」

 

これまで静かに1人と2柱の話を聞いていた間宮が、クティーラに対してこの様に質問したところ……

 

「え~っと……、その~……、世界中を見て回ってたの……」

 

「「「……はい?」」」

 

クティーラはこの様に返答し、それを聞いていた翔達は予想外の言葉を耳にした途端、呆気に取られたのか目を丸くしながらクティーラに視線を集中させるのであった

 

クティーラが言うには、如何やら彼女は間宮の所に居候している間に、テレビなどを通じて人間達が今立たされている状況を知り、間宮と別れた後にこの世界の現状を実際にその目で確かめる為に、世界中を駆け回ったのだそうな……

 

最初に向かったロシアでは、クトゥルフとクタニドのコンビとクロエの戦いによってボロボロになった場所の、未だ続けられている復旧作業を目の当たりにし、アフリカでは実際に深海棲艦と遭遇し戦闘になったり、当時激戦区と言われていた南方海域では、艦娘、強硬派深海棲艦、穏健派深海棲艦、そして転生個体による四つ巴の凄惨な戦いを、彼女達に気付かれない様その身を隠しながら傍観し、中部海域では何と転生個体と激戦を繰り広げたそうな……

 

「私が実際に戦った転生個体は、多分それなりに強い方の個体だったのかも。お父様やお母様から格闘術や魔法の手解きを受けていなかったら、恐らく負けてたかもしれない位にね……。それでよく分かったんだ、この世界の状況がね……」

 

クティーラが転生個体との戦いを思い返し、苦々しい表情を浮かべながらこの様にコメントした後も、クティーラの話は続くのであった……

 

何とこのお転婆姫、中部海域での転生個体との戦いの後、強硬派深海棲艦の総本山であるアメリカに、単独で偵察に向かったと言ったのである……っ!

 

「取り敢えず行ってはみたんだけど、流石に守りの兵の数が多過ぎて、とても上陸は出来なかったんだけどね~……」

 

苦笑しながらそう言うクティーラは、更に言葉を続ける……

 

アメリカにある海底都市イハ=ントレイの跡地を見ようと思うも、強硬派深海棲艦の守りが余りにも堅かった為、直接アメリカに上陸する事を諦めたクティーラは、南アメリカ大陸の方へと向かい、陸路でアメリカへの侵入を試みようとしたのだとか……

 

そして何とか強硬派の目を盗んで上陸を果たしたクティーラは、そこで信じられないものを目にする事となるのであった……

 

「何か、アリーズウェポンだったっけ?剛さんが使ってるあの武器、まあそれで武装した危なそうな人達が、南アメリカの殆どを占拠して好き勝手やってたんだ。で、その人達の関係者と思われる人達が、アメリカまでの道を封鎖してたもんだから、結局陸路でもアメリカに行く事は出来なかったね~……」

 

「危なそうな人達……、南アメリカ……、まさか……、メキシコにある何処かのカルテルが、シャングリラと取引して……?」

 

「可能性は十分あるな……、全く……、ミッドウェーの時と言い、桂島や横須賀の件と言い、シャングリラやエデンは本当に碌な事をしないのだ……」

 

クティーラの話を聞いた翔とゾアは、話の内容に目を見開いて驚いた後、我に返ると真剣な表情でこの様なやり取りを交わし、会議の後にこの事実を戦治郎と剛に伝える事を決意し、互いの顔を見合わせながら頷き合うのであった

 

こうして世界中を巡って今の世界の状況を痛いくらいに実感したところで、ようやくルルイエに向かい無事に到着した後、翔達と合流した事をクティーラが口にしたところで……

 

「と、取り敢えず……、クティーラちゃんは親御さんの所に無事に戻れたのね……」

 

「うんっ!!って言うか、そうじゃなかったらここにいないって」

 

今までの話に追いつけず、只々呆然としていた間宮が安堵の息を吐きながらこの様に零し、それを耳にしたクティーラは間宮に笑顔を向けながら、この様に返答するのであった

 

こうしてクティーラと間宮の関係についての話が終わると、先ずはゾアがクティーラを預かってくれていた件について、間宮に対して深々と頭を下げながら礼を言い、その後翔達はこれ以上扶桑達だけに会食の準備を任せておくのは流石に申し訳ないと言う事で、早速扶桑達に合流し会食の準備を進めていくのであった

 

その最中、会食に出すスープを担当していたゾアは

 

「流石にクティーラが世界中を独りで巡っていたと言うのは予想外だったのだ……、最初に日本に到着した時、独りで不安になったと言っていたのは何処にいったのだ……?まあそれは兎も角、この様な経験をしているのならば、クティーラの性格が変わった事に納得してしまうのだ……」

 

思わずこの様な事を呟き……

 

「もしかして、クティーラちゃんが羨ましかったりする?」

 

それを耳にした翔が、ゾアに向かってこの様に尋ねる。するとゾアはスープ作りの手を止め、翔の方へと視線を向けると……

 

「まあ、多少はな……。翔よ……、我もクティーラの様に世界中を巡って、己の見聞を広げる事が出来ると思うか……?」

 

やや不安そうな表情を浮かべながら、翔に向かってこの様に尋ね、それを聞いた翔は……

 

「大丈夫、きっと機会は巡って来るさ」

 

不安そうなゾアに対して、ゾア同様調理する手を1度止めてから、柔らかい笑みを浮かべながらこの様に答えるのであった

 

このやり取りの後、作業を再開した翔達は次々に会食に出す料理を仕上げていき、何とか会食の準備を無事に終了させる事に成功するのであった

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