※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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アルバートと少女の出会いと・・・・・・

クトゥルフが日本の犯罪増加の原因の1つであるイゴーロナクを取り逃したあの日から月日が経ち、日本では夏真っ盛りである8月になった頃、戦治郎が10月に行われる軍学校の入試に向けて追い込みをかけている中、日本から遠く離れたグリーンランドのとある場所では……

 

「ふんっ!!!」

 

以前ミッドウェーで戦治郎達と交戦し、本来自分達の切り札になるはずのゾアを翔に奪われてしまった事で、戦治郎達に敗北を喫する羽目になったアビス・コンダクターの幹部であるアルバートが、気合いの声と共に凄まじい速度で、刹那の内に数十回も手にしたエストックを突き出す

 

如何やらアルバートは戦治郎達に負けた事が余程悔しかったのか、打倒海賊団を胸にこうしてアビス・コンダクターの本拠地があるグリーンランドの何処かにあるとある海岸で、己を鍛え上げる為にこの様なトレーニングを朝から夕方まで続けているのである。尤も、肝心な海賊団はこの時点では既に解散し、大日本帝国海軍所属の長門屋鎮守府(仮)となっているのだが、その事実を今の彼は知らないでいたのであった

 

因みにこの時、彼の仲間であるエリカと駆はどうしているのかと言えば、駆はミッドウェーでの戦いで、太郎丸達に敗れ散って逝ったスティーラーズに代わる自身の駒を探す為に、なるべく目立たない様に細心の注意を払いながら世界中を巡っており、エリカの方は今まで信仰していたルルイエの面々に裏切られた事からようやく立ち直り、部下達を連れて自分達が新たに信仰するべき邪神の情報と魔道書を集める為に、駆とは別に世界中で動いている様である

 

そう言う訳で、流れで拠点に残る事となったアルバートは、この日彼のこれから先の人生を大きく変える切っ掛けとなる少女と出会う事となるのであった……

 

「ふぅ……、今日はこの位にしておくか……」

 

日が沈み始めた辺りで、アルバートはそう呟くとエストックを腰の鞘に収め、この日のトレーニングを切り上げて身を翻して拠点に戻ろうとするのだが……

 

「……ん?あれは……、人影か……?」

 

その途中で不意に視界に入ったものに気付き、不審に思いながらそう呟いて確認の為にそれがある方角へ歩みを進めるのであった

 

本来、彼等の拠点がある地域一帯には、人間と敵対してる彼等が一方的に虐殺の限りを尽くして駆逐した為、人間が誰1人として住んでいないのである。なのでアルバートはこの地で人影が目に映った事を不審に思ったのである

 

もしその人影が人間のものであった場合、彼はアビス・コンダクターの掟に従ってその人間をその場で殺害する事になるのだが・・・・・・

 

「あれは……、深海棲艦か……?何処かから流れ着いて来たのか……?」

 

アルバートの言葉通り、彼が発見した人影の正体は如何やら深海棲艦の様で、アルバートがその人物を手にかける様な事態には発展しなかったのであった

 

人影の正体が深海棲艦である事が分かったところで、アルバートは浜辺に倒れ込んでいるその深海棲艦の下へ駆け寄り、まだ生きているのかを確認しようとその手を取るのだが……

 

「かなり身体が冷え切っているな……、まあこの近辺の海は恐ろしい程冷たいからな……」

 

件の深海棲艦の手を取った瞬間に感じた、その手の冷たさに思わずアルバートはそう呟くと、温かく安全な場所で休息を取らせる為に、その深海棲艦の身体を抱きかかえて拠点に戻ろうとするのだが……

 

「……あそこにも浮かんでいる奴がいるな……」

 

件の深海棲艦を抱きかかえた直後、アルバートの視界に海にプカプカと浮かぶ深海棲艦の姿が映り込み、それに気付いたアルバートはやれやれと言った様子で頭を振ると、1度抱きかかえた深海棲艦を浜に寝かせ、海に浮かぶ深海棲艦を回収して背負った後、再度浜に寝かせた深海棲艦を抱き上げて拠点に帰還するのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?」

 

「む、起きたか……」

 

その後拠点に戻ったアルバートは、部下に頼んで準備してもらった部屋に設置されたベッドに先程連れて来た2人の深海棲艦を寝かせると、彼女達が目覚めた時の為に飲ませる温かい飲み物を準備しようと部屋を出て、以前人間の輸送船を襲撃した際に入手した紅茶セットを手に部屋に戻ったところ、丁度最初に助けた深海棲艦の少女が目を覚まし、辺りをキョロキョロと見回していたのだった

 

そんな彼女に対して、アルバートがこの様に英語で声を掛けると……

 

「اين يوجد هنا من انت(此処は何処?あなたは誰?)」

 

「済まない、出来れば英語で話してもらえないか……?」

 

彼女はアルバートに向かってアラビア語で返事をし、アラビア語が分からない元イギリス人のアルバートが、やや狼狽えながらこの様に返答したところ、彼女は不思議そうに小首を傾げるのであった……。如何やら彼女は英語が分からない様である……

 

こうしてアルバートは、ソマリア出身の少女、ファイザ=ルルーシュと出会い、後の彼女の行動によって、アルバートの運命は大きく変わってしまう事となるのであった……

 

因みに、生前艦これをやっていなかったアルバートには、ファイザが一体何と言う深海棲艦なのか分からず、1ヶ月後に帰って来た駆から教えてもらう事で、ようやく彼女は深海吹雪の転生個体である事が判明するのであった

 

また、彼女と共に流れ着いた深海棲艦は、アーヤン=アブディと言う名前のソマリア人らしく、駆が深海如月と呼ぶ深海棲艦に生まれ変わった彼は、生前は武装組織に所属していたらしく、武器の取引などにも関わっていた関係で、アラビア語も英語も分かると言う事で、アルバートは彼に頼み込んでアラビア語を学び、彼女とコミュニケーションを図る事が出来る様になると、今度はファイザに覚えていると便利だからと言う理由で、彼女に英語を教えてしっかりとマスターさせ、アビス・コンダクターの誰とでも気軽に会話が出来る様にするのであった

 

尚、アーヤンは如何やらトランスジェンダーの様で、自分の事はアーヤと呼ぶ事をアルバートや駆、そして彼等の部下だけでは留まらずアビス・コンダクターのトップであるエリカにまで強要するのであった……

 

こうして、アルバートに救われたファイザとアーヤンは、助けてもらった礼としてアビス・コンダクターに加入し、長旅の末エリカが連れて来た旧支配者と共に、ロシア国民と後に激突する事となる戦治郎達を大いに苦しめるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、アルバートとファイザが出会っていた頃、太陽系から遠く離れた宇宙の何処かでは……

 

「待っていろ長門 戦治郎っ!!!そして名も知らぬ戦士よっ!!!俺は必ずお前達との決着を付ける為にっ!!!!地球に舞い戻ってみせようぞおおおぉぉぉーーーっ!!!!!」

 

シゲの手によって遠い宇宙に放り出された防人の魂は、ブルブルとその身を震わせながらそう叫ぶのであった

 

そんな彼の叫びに呼応する様に、シゲの攻撃によって宇宙全体に撒き散らされた彼の身体を構成していた素粒子は、宇宙に存在する暗黒物質を吸収しながら彼の元へとゆっくりとゆっくりと、だが確実に集まり始めるのであった……

 

こうして戦治郎とシゲと再戦する為に復活を目論む防人は、暗黒物質を取り込んだ事で大幅にパワーアップし、1年近くと言う時間をかけて肉体を取り戻す事に成功すると、すぐさま地球に向かって尋常ではない速度で移動を開始し、軍学校を無事に卒業して長門屋鎮守府に着任した戦治郎に襲い掛かり、長門屋鎮守府に甚大な損害を与える事となるのだが、この時は誰もそんな事になるとは夢にも思っていなかったのであった……

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