※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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ウィリアム・サウスパーク

アルバートがファイザとアーヤンを保護していた頃、アビス・コンダクターの本拠地があるグリーンランドから遠く離れたフランス領南方南極地域にあるウエスト島にあるカルメンの本拠地に、最近よく話題となるエデンの頭領であるアリーは、ウィルの義手の定期メンテナンスの為に訪れていた

 

『んもう……、貴方最近義手を酷使し過ぎじゃな~い?』

 

『仕方ねぇだろうがよぉ、ここでやっていく以上外部の連中の相手だけじゃなく、内部抗争もやんなきゃなんねぇんだからな……』

 

カルメンの本拠地内にあるウィルの部屋で、やや困った表情を浮かべるアリーが、やけにボロボロになったウィルの義手を修理しながらそう言うと、アリーに義手を修理してもらっているウィルは苦々しそうな顔をしながらこの様に答えるのであった

 

ウィルが言う通り、カルメンは実力至上主義の組織であり、自身の格を上げる為の内部抗争が日常的に行われているのである

 

そんなカルメンの中で、今のウィルは信じられないかもしれないのだが、実質カルメンのナンバー2的なポジションに立っているのである

 

ワンコの所にいた時は三下の様なキャラだったウィルが、カルメンと言う組織の中で何故この様な地位に立っているのかと言えば、それはアリーから渡されたこの義手と、カルメンのこの荒々しい方針に揉まれた事で発現した、ウィルの能力に依る所が非常に大きいのである

 

そうしてこの2つの力を駆使してナンバー2の座に上り詰めたウィルは、カルメンのトップである可奈子の首を虎視眈々と狙う傍らで、各種資源や食糧を集める為に人間や深海棲艦の輸送船を襲いながら、隙あらば自身の地位を狙って襲い掛かって来る連中の相手を毎日の様にしているのである。なのでウィルの義手は、アリーが想定していたよりも早いペースでボロボロになってしまうのである

 

『それにしても、まさかあの垂れ流しウィルちゃんが、カルメンのナンバー2になるなんてね~』

 

『ハンッ!そんな事が言えるのは今の内だけだと思ってなっ!!何時の日か俺がカルメンを手中に収めたら、真っ先にてめぇらのとこを叩き潰してやからなっ!!!』

 

ウィルの義手を修理している最中に、ふと思い出した様にアリーがそう呟くと、自分の黒歴史ワードとも言える『垂れ流し』に反応したウィルが、苛立ちを隠そうともせず語気を強めながらこの様に返答するのであった

 

このアリーの呟きについてだが、実のところアリーは割と本気でウィルが今の地位にいる事が信じられず、無意識の内に本音を呟いてしまったのである

 

実際、ウィルにカルメンを紹介したアリーは、ウィルにこの高性能な義手を与えたところで、カルメンの内部事情に嫌気が差してすぐに脱走して野垂れ死ぬか、雑兵の1人として非常に地味な最期を遂げる事だろうと考えていたのだが、現実は全く逆の方向に進んでしまったのである

 

そして正直なところ、アリーは今のウィルを多少なれど警戒していたりするのである。

その原因は偏に、カルメンで揉まれた事で彼に備わったその能力のせいである……

 

今のウィルが持つその能力は、ウィル自身が強くなれば強くなるほど、そしてその能力を使い込めば使い込むほど厄介になる代物で、何かしら対策を練っていなければ、彼が言う通りエデンはウィルの手によって壊滅させられる危険性があるのである……

 

とまあこんな事を言ってはいるが、アリーはこの時点で既にウィル対策の為に、ある計画を進めているのである。その計画の名前は『Project・Hekatoncheir(プロジェクト・ヘカトンケイル)』と言い、その内容は現在アリーが所有している大型人型艤装のアリーズウェポンであるハデスの量産計画である

 

もしこの計画が滞る事無く順調に進めば、例えウィルが能力を発動させたとしても、アリーは量産型ハデスであるHekatoncheir(ヘカトンケイル)に1つ命令を下せば、ウィルを完封出来ると踏んでいるのである

 

『あらやだこわ~い』

 

『ふんっ!俺の恐ろしさが分かったんなら、大人しく俺の義手の修理をしやがれっ!』

 

そんなウィルの言葉に対して、アリーが心にも無い事を言いながら身をくねらせると、アリーが既に自身に対しての対策を立てている事を知らないウィルは、この様に言いながら普段自分が寝床として使っているベッドに腰を下ろす

 

その後、特にやる事がなかったウィルが、何気なしに部屋の窓の方へと視線を向け、窓から見える風景を目にすると……

 

『しっかし、いつ見ても物騒なオブジェだな……』

 

思わずそう呟くのであった……

 

先程彼が言及した物騒なオブジェとは、カルメンのメンバー達が設置した、股間から頭に向かって串刺しにされた艦娘や深海棲艦の遺体で作られたバリケードの事である

 

これらはカルメンの本拠地近くを通りかかった者達全員にプレッシャーを与えると同時に、自分達の実力を世に知らしめる為に設置されているのであり、ウィルはこれを初めて見た時、思わず吐き戻してしまったのだとか……

 

『あら、カルメンのナンバー2であるウィルちゃんがそんな事言うなんて~』

 

『生憎俺にはああいう趣味はないんでな、俺は此処に加入してから1度も艦娘や深海棲艦の遺体を、あんな風に串刺しになんかしてねぇんだよ』

 

『あら意外~、私はてっきり率先してやってると思ってたわ~』

 

『てめぇ……、俺の事を何だと思ってやがんだ……?』

 

『人を見下す事と女の子が大好きな変態さん、ってところかしらね~?』

 

『このアバズレ……、ホント好き勝手言いやがって……、覚えてやがれよ……、俺がカルメンのトップになったら、二度とそんなクチだ叩けねぇ様にしてやらぁ……』

 

ウィルの呟きに反応したアリーがこの様な事を言った後、2人はこの様なやり取りを交わし、アリーに図星を突かれたウィルは、アリーに対してこの様に言い返すと、自身の膝に肘をついて不機嫌そうな表情を浮かべるのであった

 

それからしばらくするとアリーが義手の修理に集中し始め、今まで憎まれ口を叩き合っていた2人の間には静寂が訪れ、アリーが義手の修理を終えると早速義手をウィルに手渡し、ウィルは修理を終えたばかりの義手を装着すると、手を握ったり開いたりして義手の具合を確認し始める。と、その時である

 

「おいウィルッ!!人間の輸送船がこの近くに来てるらしいぞっ!!」

 

突然部屋の入口の扉が勢いよく開き、現在のカルメンのトップである可奈子が、この様な事を言いながらズカズカとウィルの部屋の中に入って来るのであった

 

「へいへい、奴らから物資を奪ってくりゃいいんだな……?」

 

「分かってるんなら早く行けっ!!!でなけりゃ今日のてめぇの飯はねぇからなっ!!!」

 

そんな可奈子に対して、ウィルが不快さを全開にした表情を浮かべながら答えると、可奈子は語気を強めながらそう言って、出撃を促す様にそれはそれは巨大で鋭い爪が付いた指で、ウィルの部屋の入口を指差すのであった

 

因みに、可奈子が現れるまでの間、ウィルとアリーは英語で会話をしていたのだが、可奈子が登場したところで、使用する言語を日本語に切り替えていたりする

 

カルメンに加入した直後のウィルは、日本語を話す事が出来ずこれまで通り英語で話していたのだが、それが英語が全く分からない可奈子の癇に障ったのか、可奈子から殆どの国の言語を知ってるアリーから日本語を学ぶ様に、暴力を織り交ぜながら命令され、ウィルは強制的に日本語をマスターさせられ、可奈子の機嫌を損ねて不用意に殴られない様にする為に、彼女が近くにいる時は日本語で話す様にしているのである

 

「あいあいまむ~ってな、ってな訳で丁度義手の具合も確かめてぇところだったし、ちょい行って来るわ~」

 

「いってらっしゃ~い、今度はメンテナンスで済むくらいの使い方を心掛けてちょうだ~い」

 

「おう、前向きに検討して善処するわ~」

 

こうしてウィルは、アリーと日本語でこの様なやり取りを交わした後、出撃の準備を済ませると自室を出て輸送船襲撃の為に出撃し、輸送船の護衛をしていた艦娘達を能力と義手を用いて瞬殺、6人全員を瞬く間の内に暗い海の底へと沈めてしまうのであった……

 

「義手の調子は上々っと……、おめぇら感謝しろよ、もし俺以外の連中に倒されてたら、おめぇら全員オブジェの仲間入りしてたんだからな……」

 

戦闘後、ウィルは義手の調子を再度確かめた後、自分が仕留めた艦娘達が立っていた場所に向かってそう呟くと、自分と共に出撃したカルメンのメンバーと合流して輸送船の貨物を奪い取り、本拠地へと帰還するのであった……

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