※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

457 / 655
あな懐かしや・・・・・・

少々トラブルこそあったものの、何とか無事にトイレに駆け込む事に成功した戦治郎は、このトラブルの際に知り合ったイクと共に、大和達との待ち合わせの時間まで校内を見て回る事にするのであった

 

因みに、用を足しているところを戦治郎に見られたイクだが、トラブルの後に何とか用を足してトイレから出たところ、先程あれ程までにパワフルな事を行った戦治郎が、冷静さを取り戻したついでに自身の膀胱が尿意に苛まれている事を思い出したのか、真っ青になった顔にびっしりと脂汗を浮かべながら蹲り、ガチガチと歯を打ち鳴らしている姿を見ると、イクは戦治郎が余程切羽詰まった状況にあった事に気付き、完全に怒る気力を失ってしまったのだとか……

 

その後、イクと入れ替わる形でトイレに駆け込み用を足した戦治郎は、それはそれは穏やかな表情を湛えながら、トイレの鍵と扉の取っ手を格納ボックスから取り出した工具を手にして瞬く間の内に修理し終えると、工具を片付けた直後にイクの方へと向き直り、その場で天高く跳躍すると空中で後方1回転に1捻りを加えながら土下座の姿勢に入り、土下座のポーズのまま地面に着地してみせると……

 

「先程は誠に申し訳ございませんでしたあああぁぁぁーーーっ!!!」

 

窓ガラスがガタガタと震える程の大声を出しながら、イクに向かって謝罪の言葉を述べるのであった……

 

さて、戦治郎のウルトラCクラスの土下座を目の当たりにしたイクはと言うと、余りの出来事に思わず驚き、しばらくの間ポカンとしてしまうのだが、何とか我に返ると慌てて戦治郎に顔を上げる様に促し、戦治郎の行為を取り敢えずは許す事にし、どうしても詫びがしたいなら一緒に行動する様にと提案、それを聞いた戦治郎は即座にその提案を受ける事にしたのであった

 

こうしてイクと行動する事になった戦治郎は、歩きながらお互いに自己紹介を行い……

 

「そう言えば、戦治郎はどうして他のトイレに行かなかったの?イクは偶々あのトイレが近くにあったから使っただけだけど、戦治郎の場合他のトイレにも行けたはずなのね。どうして他のトイレに行かなかったのか教えて欲しいのね」

 

その最中にイクが投げかけて来た尤もな質問に、戦治郎は苦笑しながら自身は身体は女であるが、心が男であると言う事実を織り込みながら、自身はアルビノ体質であり、トイレに入った際に周囲から好奇の目を向けられる事を避けたかったからなどと、自身が転生個体である事を伏せながら、嘘塗れの答えを口にするのであった

 

その後、2人は雑談を交えながら校内を歩き回り、軍学校の構造をしっかりと頭の中に叩き込むのであった

 

因みにこの時戦治郎は、小学校の頃トイレで大きい方をしているところを、同じクラスの男子に見つかりウンコマンと言うあだ名を付けられ、その事実を知った空と輝が報復としてその生徒をシバきまわそうと画策する事態に陥ったが、その生徒が皆が教室に集まっている授業中にウンコと小便を漏らし、恥ずかしさの余り泣いているところに……

 

「いや~……、まさか皆が集まっている教室の中でウンコするなんてなぁ~……、こりゃたまげましたわぁ~……、流石にこれは俺には真似出来ませんわぁ~……、これはもうウンコマンである俺を超えるウンコマン、スーパーウンコマンの称号を与えざるを得ませんわぁ~……」

 

幼き戦治郎がそう言った瞬間、教室内が大爆笑に包まれると同時にスーパーウンコマンが烈火の如く泣き出し、直後に戦治郎は先生からこっ酷く怒られ、仕舞いには校長室に呼び出された事を懐かしみながらイクに話したのだとか……

 

尚この事件だが、事の真相を知った校長が長門コンツェルンからの圧力を恐れ、事件を隠蔽した事で有耶無耶になり、この事件を目撃した戦治郎のクラスの生徒達は、スーパーウンコマンと呼ばれるよりウンコマンと呼ばれる方がまだマシだと思う様になり、以降堂々とトイレに行く様になったのだとか……

 

こんな調子で戦治郎達が雑談しながら校内を歩き回っていると、あっという間に時間は過ぎていき、気付けばもう大和達と合流する時間となっていたのであった

 

その事に気付いた戦治郎が、イクに向かって人を待たせているからと言って、イクとこの場で別れようとするのだが、この後に特に予定がないイクは好奇心からその提案を拒否し、結局戦治郎と共に大和達との合流地点へと向かうのであった

 

こうしてイクと共に大和達との合流地点に向かった戦治郎は、そこに懐かしさを感じる顔ぶれがいる事に気付くと小走りになりながら近付き……

 

「那智っ!五十鈴っ!久しぶりだなっ!!」

 

大和、綾波、鹿島の3人と共に合流地点にいた、トラック泊地所属の那智と佐世保鎮守府所属の五十鈴にハッキリと聞こえる声で再会の挨拶を掛けるのであった

 

「久しぶりね戦治郎さん、横須賀の件で撃たれて瀕死になったって聞いてたけど……」

 

「その様子なら、心配するまでも無かった様だな」

 

「ああ、心配かけて済まなかったな……、俺は皆のおかげで何とか後遺症も出る事無く、こうして提督になる為に此処に来る事が出来たぜっ!!!」

 

如何やら大和辺りから聞いたのだろう、五十鈴と那智が戦治郎に気付くなりこの様な事を言い、それに対して戦治郎は笑顔を浮かべながらサムズアップを行い、自身が無事である事を2人にアピールしながら返答するのであった

 

こうして戦治郎は南方海域で出会った那智と五十鈴との再会を果たし、その頃の事を懐かしみながら2人と会話をする戦治郎を穏やかな表情で見守っていた大和は……

 

「え?え?これは一体どう言う事なのね……?何で戦治郎は今日初めて会ったはずの教官達と仲睦まじく話をしてるのね……?」

 

戦治郎達が楽し気に会話する光景を目の当たりにし、この様な事を呟きながら混乱するイクの存在に気付き……

 

「それは提督が世界中を駆け巡り大日本帝国海軍に大いに貢献し、その件で元帥から直々にスカウトされた方だからですよ?」

 

「それ本当にどう言う事なのねっ?!その言葉のせいで余計戦治郎が何者なのか分からなくなったのねっ!?」

 

イクの呟きに対して大和がこの様に答えると、イクは益々混乱しながら声を荒げるのであった

 

そんなイクの叫びを聞いた戦治郎が、イクを連れて来ていた事を思い出すと一瞬しまった!っと言った調子の表情を浮かべ、どうやってイクを納得させようかと考え始めたところで、不意に那智が戦治郎に自分の方に顔を近付ける様にと人差し指をクイクイと動かすハンドサインを送り、それに気付いた戦治郎が大和にイクの気を引き付ける様にと言った旨のアイコンタクトを送り、大和が頷いて見せた事を確認するとハンドサインに従って那智に顔を近付け、その様子を見ていた綾波達もそれに倣って那智の方へ顔を寄せると……

 

「私達の事を教官と言っていたあの娘……、艦娘候補生なのだな?」

 

「ああ、あいつは此処の潜水艦の艦娘候補生のイクだ。んで、それがどうしたんだ?」

 

「潜水艦か……、なら都合が良いな……。どうだ戦治郎、あいつも協力者としてこちらに引き込まないか?」

 

「あ~……、そういや潜水艦と空母系の協力者がいなかったな……」

 

那智はイクの事について戦治郎に尋ね、戦治郎はイクが此処の艦娘候補生である事を伝えると、那智はこの様な提案を戦治郎に行い、それを聞いた戦治郎はこの様な事を口にするのであった

 

そう、先程戦治郎が言った様に、現在の協力者の艦種には幾つか抜けがあるのである

 

何故この様な事を気にする必要があるのかと言えば、それは軍学校の授業の1つである合同実習が深く関わっている

 

この合同実習とは、それぞれの候補生達がお互いに上手く提携出来る様にする為の訓練であり、この時は提督候補生と艦娘候補生、提督候補生と整備兵候補生と言った具合に、複数の科の候補生達が一緒になって授業を行う事になっているのである

 

そしてこの実習、艦娘候補生の方は艦種別で行われる事となっており、もしここで戦治郎の協力者がいない艦種との実習になった場合、トラブル発生時に戦治郎が現場に駆け付けられる可能性が大幅に低下してしまうと同時に、何かの拍子に戦治郎の正体がバレてしまう危険性があるのである

 

この件に関して、最初は元帥や燎の権限で教官全員を協力者にしたらどうかと言う意見があったのだが、命令で無理矢理協力させるのは可愛そうだし、何より赤城含めて戦治郎と面識が無い者達に、自分の背中を預けるのは少し抵抗があると言う戦治郎の意見により、この意見は没になったのだとか……

 

こう言った理由がある為、那智はイクを協力者に引き込み、現在抜けている潜水艦の枠を埋めようと考え、この様な提案をしたのである

 

「よし、ならイクをこっちに引き込むか。幸い、イクの事はここ来る前にたっぷり聞いてどんな奴が把握してっからな、話聞いててあいつは信頼出来ると思ったし、多分問題無いだろうよ」

 

その後、戦治郎がイクを協力者として引き込む事を決定し、戦治郎達はイクに戦治郎の事情を話す為にイクを教官寮の大和の部屋に連れて行き、そこで戦治郎の正体を明かすと共に彼の事情を打ち明けると、沢山深海棲艦を沈める事で名を馳せようと考えていたイクは、戦治郎に付いて行けば最前線で戦う事が出来、多くの深海棲艦を沈められるだろうと思い、協力者になる事を了承するのであった

 

こうして戦治郎達はイクを協力者に引き込み、戦治郎の正体をより隠しやすくする事に成功するのであった

 

尚、この時イクを味方に付けた事は、本当に正解であったと戦治郎は後に語っている……。何しろ彼女の存在がなければ、榛名が引き起こした羅針盤事故の発覚が遅れ、榛名、鈴谷、瑞鶴、鹿島、瑞鳳、そしてイクの6人はそこで轟沈していたかもしれなかったのだから……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。