※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

461 / 655
デモ隊との衝突

戦治郎が入学式の直後に体力テストを行っている頃、佐賀県鹿島市に長門屋鎮守府を建築している空達はどうしていたかと言えば……

 

「鎮守府建築反対っ!!!」

 

「これ以上有明海を汚すなーっ!」

 

「平和な佐賀県に兵器を持ち込むなーっ!!」

 

「……」

 

長門屋鎮守府建築に反対するデモ隊の相手をしていたのであった……

 

それは空達が何とかこの土地を、鎮守府建築に耐えられる土地に作り変え終えた頃であった

 

如何やらこちらの事情をよく分かっていない者達が、空達が七浦干拓に鎮守府を建築している事を聞きつけるなり、空達が鹿島市と漁協の依頼でやって来て、周囲一帯を深海棲艦から守る為の防衛拠点となる鎮守府を造っている事などお構い無しに、こうして無駄に立ち上がり抗議活動を行っているのである

 

彼等は最初の頃は鎮守府建設予定地のすぐ傍で、プラカードなどを手にギャーギャーと騒ぎ立て、夕方くらいになれば勝手に解散して帰っていたのだが……

 

「此処から出ていけって言ってるだろっ!!!」

 

「今の海軍に好き勝手させねぇぞっ!!!」

 

ここ最近になってからは、その活動が過激化したのか、空達に向かって石などを投げつけて来る様になったのである……

 

これは流石に危険だと判断した空は、艦娘達にデモ隊の相手は自分達転生個体の者達がやるので、こちらの事は気にせず作業を続ける様にと指示を出し、それを聞いた艦娘達はデモ隊に対しての怒りをその表情に滲ませながらも、素直に空の指示に従って鎮守府建築作業に集中し、こう言った経緯でデモ隊の相手をする事になった空達は、黙ってデモ隊の抗議活動に耐え忍んでいたのであった

 

一応、空達は自分達は市と漁協の要請で鎮守府を建てている事を、彼等に対して真剣に説明したのだが、彼等は自分達の主張を押し通す事に必死なのか、空達の言葉に一切耳を傾けなかったのであった

 

これが原因で空や輝が中々作業に参加出来なくなり、その結果鎮守府建築の進捗は滞ってしまい、早く鎮守府を完成させたいと思っている空と輝は、この事態に対して思わず頭を抱えてしまうのであった……

 

そうして抗議デモが過激化して数日経った頃、遂にこのデモ隊がやらかしてしまうのであった……

 

ある日、投石は空達に効果が無いと悟ったデモ隊が、何と火炎瓶を持ち出して来て、それを艦娘達が作業している現場に投げ込み、それが建材として使われている乾燥木材に引火し、火災が発生してしまったのである

 

この火災は事態に気付いた光太郎のおかげで、即座に消火され事なきを得るのだが……

 

「お前達が早く撤収しないからこんな事になるんだっ!!!」

 

「いい加減佐賀から出ていけっ!!!」

 

火災が発生した原因であるデモ隊の者達は、一切悪びれる事もせずに、空達に向かってこの様な言葉を浴びせるのであった……

 

「てめぇら……、その辺にしとかねぇと仕舞いにゃ全員まとめて叩き潰すぞ……?」

 

これにより、我慢の限界に達したシゲが遂にブチギレ、デモ隊に向かって鬼の様な形相を向けながら、この言葉と共に威圧感をぶつけ始めるのだが……

 

「遂に本性を出したなっ!!!」

 

「俺達に何かしてみろっ!!すぐに警察呼んでお前達全員逮捕してもらうからなっ!!!」

 

「それが嫌ならとっとと工事を中止して、この佐賀県から出ていけっ!!!」

 

そんなシゲの様子を見るなり、デモ隊はまるで鬼の首でも取ったかの様に騒ぎ始めるのであった……

 

「上等d」

 

「待てシゲ、それでは奴等の思うつぼだ……」

 

その言葉を受けて完全に冷静さを失ったシゲが、何か言いながら彼等に襲い掛かろうとするのだが、それを空がこの様な事を言いながら腕を伸ばして制し……

 

「分かりました、ではこうしましょう。貴方達が鎮守府を建てる以外の方法で、有明海を深海棲艦から守る為の代替案を提示して頂ければ、私達はすぐにでも貴方達の提案を呑み、此処から撤収した後一切この土地に足を踏み入れない様にしましょう。もしそれが出来ないと言うのであれば、私達の作業を二度と妨害しない様約束して頂きたい。よろしいですか?」

 

空はデモ隊に対してこの様な提案をするのであった

 

それを聞いたデモ隊は、ニヤリと笑みを浮かべると空に今一度先程の発言について、スマホなどで音声を録音しながら確認を取り、空がそれを確約する様な発言をすると、代替案を考える為にこの場を後にするのであった……

 

その後、シゲが空に先程止めた件を抗議しようとするのだが、デモ隊の姿が見えなくなったその直後、空が放ち始めた怒りのオーラに圧倒されてしまい、シゲは思わず押し黙ってしまうのであった……。如何やら、空はシゲ以上に好き勝手に振舞うデモ隊に対して、狂えるほどの怒りを覚えていた様である……

 

そして次の日、空に提示する案を手にしたデモ隊が、意気揚々と七浦干拓に姿を現し、空に向かって代替案をまとめた書類を投げつける様にして渡すのだった。それを手にした空が、静かに書類を読んでいる間、デモ隊はニヤニヤしながらその様子を眺めていたのだが……

 

「……これでは不十分ですね」

 

空のこの言葉を聞いた瞬間、デモ隊は先程まで浮かべていたニヤケ顔を引っ込めて一斉に眉を顰め、その様子を見ていた空は、彼等が作った書類を手にしたまま、問題点の指摘と言う名の反撃を開始するのであった

 

空は先ず、彼等が考えた代替案の問題点を次々と上げていき、更には彼等が代替案を考える際に使用したデータが、統計学に基づいたものではない出鱈目なデータであった事まで指摘、続けて書類に書かれた内容が綺麗にまとまっておらず、何が言いたいのか分からないとまで言い放ち、挙句の果てには誤字脱字がある事まで発見した事を彼等に伝え、最終的に空は文章表現がおかしい点や、図面の僅かなズレなどと言う細かいところまで含め、約1万箇所の問題点を片っ端から指摘し、彼等を唖然とさせるのであった

 

その後、我に返ったデモ隊が逆上し、こうなれば実力行使だと言わんばかりに空に殴りかかろうと一斉に動き出そうとするのだが、その直後に辺りに複数のパトカーのサイレンが鳴り響き始め、それを聞いたデモ隊が何が起こったのか分からず動揺していると、すぐさま複数のパトカーが彼等の傍に止まり……

 

「あんた達か?そこの作業してる最中の工事現場の作業を妨害した上に、火炎瓶投げて火事起こしたってのは。ちょっと署まで来てもらえる?」

 

パトカーから降りて来た警察官はそう言うと、顔を真っ青にしたデモ隊全員をパトカーに乗せ、この場を去って行ったのであった……

 

「いや~、上手くいったッスね~」

 

「よくやった護、これでようやくまともに作業を進める事が出来るな」

 

警察に連行されて行ったデモ隊を見送っていた空の傍に、護がこの様な事を言いながら歩み寄って来ると、それに気付いた空が護に向かってこの様な言葉をかけるのであった

 

そう、先程の空の大指摘祭は、護が呼んでいた警察が、此処に到着するまでの時間稼ぎだったのである

 

因みに警察が彼等が火災を起こした事を知っていたのは、護が昨日火災の件を警察に通報した際、通信機のカメラでこっそりと撮影していた火災の映像と、その時に録音していたデモ隊の音声データを警察に送っていたからである

 

又、その映像と音声データと共に、護は自身が装着しているHMD型超高性能コンピュータである『むせる君』を経由して、通信機に内蔵されたカメラの映像をリアルタイムで観る事が出来るモニターとモニターの説明書を警察に送り、空のカメラを通して警察に彼等の様子を監視してもらっていたのである

 

尚、警察が空達に快く協力してくれたのは、市の方から警察に空達の事を伝えられ、彼等に出来る限り協力する様に頼まれていた為である

 

この件以降、デモ隊は空達に対しての抗議活動を止め、空達は清々しい気分で鎮守府建築に臨み、艦娘達が寝泊りする艦娘寮と自分達が食事をする為の食堂を完成させるのであった

 

尚、食堂の奥に部屋を作った翔以外の野郎共が寝泊りする場所は、相変わらず仮拠点である掘っ立て小屋である模様

 

因みに今回騒ぎを起こしたデモ隊は、如何やら鹿島市どころか有明海とも全く無縁の土地の者達ばかりで結成されており、その正体は桂島の件が公表された事で海軍のアンチと成り果てた者達の集まりであった事が、後の護の調べによって判明したそうな……




食堂の奥にある翔の部屋は、稼働編や鳴神 ソラさんとのコラボ話でも少々触れている弥七が管理している食肉処理場と食堂を繋ぐ通路からも、出入り出来る様になっています
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。