※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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初めての合同実習 演習編

さて、今回の合同実習で、戦治郎は陽炎達の知り合いと言う磯風達と組む事になったのだが、その顔触れをみるなりとある疑問が頭に浮かび、戦治郎はその疑問を解く為に磯風達にこの様な質問をする

 

「そういや、谷風はいないのか?もしいたら今期は第17駆逐隊が勢揃いしてるって事になるんだが……」

 

「それについてだが……、谷風は如何やら入試の成績が芳しくなかった様でな……」

 

「合格発表の際、自分の番号だけが無かった事が相当悔しかった様で……。今は来年の入試に向けて猛勉強をしていますね……」

 

「こればっかしは、ウチらじゃどうしようもなかったんじゃ……。艦娘科は提督科と同じくらい狭き門じゃからね……。一応、ウチらも勉強を見てやったりはしとったんじゃが……」

 

「うん……、何かその……、ごめんな……?」

 

その直後、磯風達は暗い表情を浮かべながら周囲にどんよりとした雰囲気を放ちながらこの様に答え、それを聞いた戦治郎は、磯風達の触れてはいけない部分に触れてしまった事を、素直に詫びるのであった

 

戦治郎達がこの様なやり取りを交わしていると、駆逐艦の艦娘候補生達の教官を務める綾波が、戦治郎と他の候補生の名前を呼び、今からすぐ傍にあるプールでチームを組んだ艦娘候補生達に指示を出しながら、演習を実施する様指示して来るのであった

 

「早速出番か……、おめぇら気合入れろよ?」

 

「了解だ、この戦い、必ず勝利してみせよう」

 

「勝利に貢献出来る様、尽力します」

 

「ここはウチらに任しとき♪」

 

こうして指示を受けた戦治郎は、磯風達とこの様なやり取りを交わした後、磯風達にとある指示を出し、それを聞いた磯風達が戦治郎に了承の意を伝える為に頷いて見せ、それを確認した戦治郎が1度頷き返して見せると、それぞれ所定の場所につき、綾波の合図の下演習を開始するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お~……、あいつらいい動きしてんなぁ……。きっと孤児院に戻った陽炎達に、とことん鍛え上げられたんだろうな~……」

 

演習が始まってしばらくしたところで、磯風達の戦いの様子を見ていた戦治郎が、磯風達の動きに対して思わず感嘆の声を上げるのであった

 

さて、この演習が始まる前、戦治郎が磯風達に出した指示の内容だが……

 

「今回の戦いだが、おめぇらの実力を見極める為に、俺は敢えておめぇらに指示を出さない。だからおめぇらは思い思いに行動し、その実力の全てを俺に見せてくれ」

 

戦治郎は磯風達にこの様な指示を出し、彼女達の実力がどれ程のものであるかを確認する事に専念、そうして戦治郎は彼女達の実力の程を正確に把握する事に成功し、次の戦いから作戦を立て易くするのであった

 

さて、そんな戦治郎が感嘆の声を上げた磯風達の戦いぶりについてだが、先ずは磯風が先陣を切って相手に砲撃を行って相手の気を引き、その隙に浦風が魚雷の発射準備を整えながら相手の死角に入り込む。そして司令塔として相手の様子を注意深く窺っていた浜風が他の2人に向かって、相手に気付かれない様に合図を送ると、浦風が先程準備した魚雷を相手の候補生の1人に向かって発射し、それに気付いた相手の提督候補生が指示を飛ばし、それを聞いた艦娘候補生が回避行動に移ろうとするのだが、それを磯風が正確無比な砲撃で妨害し、相手の艦娘候補生は浦風の魚雷の直撃を受けて轟沈判定をもらってしまうのであった

 

これにより、残った2人の対戦相手の内の1人が逆上し、提督候補生の指示を無視して浦風に向かって砲を向けがむしゃらに砲撃を行うのだが、浦風は特に動揺した素振りも見せず、冷静にその候補生が撃ち出す砲弾を全て回避して見せたのである。そんな浦風の姿を見て、それを挑発と受け取った相手が激昂した直後、彼女の頭部に磯風が狙い澄まして放った数発の砲弾が直撃し、それで轟沈判定を受けた対戦相手は我に返ると、みっともない姿を見せてしまった事に赤面しながら、すごすごとプールから退散するのであった

 

そんな中、対戦相手の最後の1人が流石にこれは勝てないと判断し、こっそりと逃げ出そうとするのだが……

 

「何処に行こうと言うのです?」

 

周囲を警戒していた浜風には彼女の行動はバレてしまっていた様で、浜風は彼女の進行方向の先で、彼女に向かって砲口を向けながらこの様に尋ねるのであった

 

その後、事態に気付いた磯風と浦風も浜風と合流し、彼女達は3人で1人の対戦相手を囲んで砲を向けて威嚇したところ、対戦相手の提督候補生が降参し、この戦いは戦治郎達の勝利と言う形で幕を閉じるのであった

 

 

 

 

 

「お疲れさん、いい戦いっぷりだったぜ?んで、おめえらの戦い見てて思ったんだが、おめぇら陽炎達に何か仕込まれたか?」

 

「見ただけで分かるのか?」

 

「モチのロンよ、だってあいつらに戦い方仕込んだのは俺達なんだぜ?」

 

「確かに……、そうなりますね……」

 

「戦治郎さんの言う通り、ウチらは此処に来る前に、陽炎達から艦娘としての戦い方を教えてもらったんよ」

 

最初の演習を終えて戻って来た磯風達に、戦治郎が先程の戦いを見て思った事を尋ねたところ、磯風が驚きながらこの様に尋ね返し、それに対して戦治郎が返答したところ、浜風が納得した様にこの様な事を言い、それに続く様にして浦風が戦治郎の推測が合っている事を肯定するのであった

 

具体的な話を聞いたところ、如何やら浜風は陽炎から全身の感覚を研ぎ澄まし、どの様な状況になっても迅速に対応出来る様にする術を教えてもらい、磯風は不知火の剛直伝の驚異的な精度を誇る射撃術を徹底的に叩き込まれ、浦風は天津風から相手の攻撃を上手く捌き切る方法を仕込まれた様であった

 

因みに、不知火が磯風に射撃術を仕込んだ理由だが、如何やら本来の磯風はそこまで射撃が得意だった訳ではなかったらしく、それを少しでも上達出来る様に磯風の指導役に不知火を付けたところ、磯風は谷風を含んだ4人の内の誰よりも射撃が上手くなったのだとか……。これに対して磯風は……

 

「正直、射撃は性に合わないんだがな……、だが、幾ら心得があるからと言って、深海棲艦相手に剣術で挑むのは無謀だろうと思い、少しでも生存率を上げる為に不知火の指導を受ける事にしたんだ」

 

この様な事を口走り、それを聞いた戦治郎が……

 

「剣術で深海棲艦とやり合う事が無謀だと、一体何処の誰が言ったんだ?俺や木曾、通に神通、佐世保の皐月は剣術でバッサバッサと斬り捨ててるし、姉様も薙刀をこれでもかってくらい振り回して深海棲艦叩き斬ってるし、空や夕立に至っては格闘術だぜ?やろうと思えば結構出来るもんだぞ?ってか、陽炎達からそこまで聞いてなかった?」

 

「何っ!?剣術でも深海棲艦と渡り合えると言うのかっ?!」

 

「格闘術で戦っている人もいるのですね……、少々興味深いですね……」

 

この様に切り返したところ、磯風どころか浜風までもが話に食い付き、2人がその詳細を戦治郎に尋ねると、戦治郎は休日の早朝にやる気があるならばと前置きした後、戦治郎が軍学校の見学をしていた際に発見した、誰にも見つからずに訓練が出来そうな場所の位置を2人に教え、そこで磯風には本格的な剣術を、浜風には戦治郎が出来る限りの格闘術を教える約束をするのであった

 

因みに浜風だが、如何やら彼女はその身体目当てで寄って来る変質者対策の護身術として格闘術……、それも関節技(サブミッション)に関するものを多く体得しているらしく、軍学校を卒業してしばらく経った後、長門屋鎮守府に着任し、空の指導の下その技に磨きをかけた結果、『蹴り夕立』『投げ綾波』『拳打朝潮』に続く第4の格闘駆逐艦『極め浜風』と呼ばれるサブミッションマスターとなり、人型深海棲艦の関節の破壊者と恐れられる事となるのであった……

 

こうしている内に、再び戦治郎の名前が呼ばれ、戦治郎が先程と同じ様に綾波の所に向かったところ、そこには紅葉の姿があり……

 

「次の対戦は、貴方方2人でお願いします」

 

綾波は戦治郎と紅葉に向かって、この様な指示を出すのであった




恐らく陽炎が浜風に自身のスキルを伝授したのは、浜風が変質者に対して過敏になっていた事に目を付けたからかもしれませぬ
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