※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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初めての合同実習 決戦編

紅葉との対戦が決まった直後、戦治郎は綾波に作戦会議をする時間が欲しいと申し出て、それを受けた綾波は戦治郎へ笑顔を向けながら作戦会議の時間を設ける事を許可し、それを聞いた戦治郎は綾波に一言礼を言って磯風達の下へ戻ると、すぐさま対紅葉戦に向けての作戦会議を始めるのであった

 

因みに、綾波が作戦会議を行う時間を設けてくれたのは、提督候補生と艦娘候補生のコミュニケーション能力を向上させる事を目的としてそれを軍学校側が推奨しており、候補生から申し出があった場合は必ずそれを了承する様にと、合同実習前に上からお達しが来ていたからである

 

実際、提督と艦娘の双方が上手くコミュニケーションを図れず、作戦の際それが原因で不和が生じて問題が発生し、作戦行動中に大惨事に発展されてしまうと目も当てられない状況になってしまうのである……

 

それを未然に防ぐ為に、軍学校側は作戦会議と言う交流の機会を設ける事を推奨しているのである

 

さて、作戦会議が認められた経緯はこの辺りにして、戦治郎達の作戦会議の様子を少しだけ覗いてみようではないか

 

「はい、この中で紅葉の戦いを見てた人、挙手して~?」

 

作戦会議開始直後、戦治郎が磯風達に対して紅葉の戦いを見ていたかどうか尋ねたところ、磯風と浦風は苦笑しながら戦治郎から目を逸らすのであった……。如何やらこの2人は、戦治郎との会話に夢中になり過ぎていた為、紅葉の演習を見ていなかった様である……

 

そんな中……

 

「宮島候補生の戦い方ですが、相手の動きをよく観察した後、3対1の状況に持ち込める様頻繁に艦娘達に指示を出し、各個撃破で手堅く勝利を掴んでいる感じでしたね……」

 

「サンキューハッマ、よく見ててくれた。おっちゃんとっても嬉しい」

 

控えめに挙手した浜風が、戦治郎達と話をしながらも、陽炎によって鍛え上げられた感覚を用いて集めた紅葉の情報を報告したところ、戦治郎は何度も頷きながらこの様な言葉を口にする

 

尚、戦治郎の方は紅葉の戦いを見ていたのかと言えば、悲しい事に磯風達同様話に夢中になり過ぎてしまった為、完全に見逃してしまっていたのであった……。故に、戦治郎はこの件に関しては、磯風と浦風に対して強く出る事が出来なかったそうな……

 

「さてさて、手堅くやってたって事は~……、……うっし良い事思いついた!おめぇらちょっち耳貸せ……」

 

浜風の話を聞いた戦治郎は、この様に呟いた後しばらく作戦を考える為に黙って思考を巡らせ、何かを思いつくとパッと顔を上げながらそう言うと、戦治郎の方へ耳を寄せて来た3人に向かって、先程考えた作戦をコソコソと説明し始めるのであった……

 

「ほう……、それはそれは……」

 

「確かに……、それなら……」

 

「ちょっと相手の子が可哀想な気がせんでもなぁけど……、ウチらも勝ちたいけぇね、今回はちょっと堪えてもらうとするかねぇ……」

 

「うし、んじゃ決定っ!したら準備整えたら早速やりますかっ!!」

 

\了解っ!!!/

 

戦治郎から作戦を聞いた3人が思い思いに言葉を口にすると、それを聞いた戦治郎はこの作戦で紅葉に挑む事を決定し、それを受けた磯風達は力強く返事をすると準備を整えてから指定の位置に向かい、合図があるまでその場で待機するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あちらは何か企んでるみたいだけど……、まあ定石通りにやれば何とかなるでしょ。実際、あっちも一部変なところがあったけど、それ以外は比較的普通だったからね)

 

作戦会議をしていた戦治郎達を見ていた紅葉が、所定の位置に着くなりこの様な事を考えていると、戦闘開始の合図である綾波の声が辺りに響き渡り、それを耳にした紅葉はすぐに気持ちを切り替えて、戦治郎との戦いに集中しようとするのだが……

 

「えちょ……、何よあれ……っ!?」

 

戦治郎のチームに所属する磯風が手にしていた物を目の当たりにするなり、紅葉は思わずこの様に呟きながら驚愕し、混乱してまともに思考を巡らせる事が出来なくなってしまい、紅葉と同じ物を見た彼女のチームの艦娘候補生達も、動揺を隠そうともせずにただただポカンとした表情を浮かべながら、思わず呆然としてしまうのであった……

 

「ふっ……、如何やらあちらは激しく動揺している様だな……」

 

「まあ……、無理も無いですよね……」

 

戦闘開始直後、作戦通り敵陣に真っ直ぐ突っ込み始めた磯風が、紅葉の様子を見るなりこの様な事を言い、それを隣で聞いていた浜風は苦笑交じりにこの様に返事をする

 

そんな磯風が現在手にしている物、紅葉や相手の艦娘候補生達が動揺する切っ掛けとなった物……、その正体は先程の作戦会議の後、準備と称して磯風が戦治郎から受け取った、戦治郎が朝練の際使用している竹刀なのであった……

 

「もらったぞっ!!!」

 

相手の艦娘候補生達が立ち直るよりも早く、敵陣に突っ込んだ磯風が自身の間合いに入るなり竹刀を振るい、相手の1人の胴に小気味のいい音を辺りに響かせながら打ち付けると、即座に相手の艦娘候補生に轟沈判定が出るのであった

 

この音によって残った相手の艦娘候補生達が我に返り、磯風の方へ砲を向けようとするのだが……

 

「甘いですね……っ!」

 

この一言と共に、磯風と共に敵陣に突撃していた浜風が相手の1人に組み付き、砲を持った腕に関節技を極め、その痛みによって相手の艦娘候補生は苦悶の声を上げながら手にした砲を取り落とし、浜風は相手を無力化させる事に成功するのであった

 

こうして浜風の存在に気付いた最後の1人が、浜風に照準を合わせようとするのだが、浜風が組み付いている相手を盾にした事で、思わず攻撃してもいいのか判断に困り、指示を喘ごうと紅葉の方へと視線を向けるのだが、残念ながら紅葉は今起こっている事を正確に把握する事にいっぱいいっぱいの様で、とてもではないが彼女に指示を出せる様な状態では無かったのであった……

 

これにより相手の艦娘候補生が、判断に困ってアタフタしていると……

 

「トドメじゃっ!!!」

 

磯風達の後方を航行していた浦風が、大声でそう言いながら演習用のペイント弾を手にした主砲から放ち、見事ヘッドショットを決めて相手の1人に轟沈判定を与える事に成功して見せるのであった

 

その後、浜風が組み付いている相手の頭に向けて磯風が竹刀を振り下ろし、それによって最後の1人にも轟沈判定が出た事で、この戦いは戦治郎達の勝利で終わろうとするのだが……

 

「ちょっと待ってっ!!!これは流石にノーカンでしょっ!?艦娘が竹刀振り回すとかおかしいでしょっ?!関節技を極めるってどう言う事っ!?って言うかその竹刀さっきは使って無かったでしょうにっ!?何処から持って来たのよっ?!この戦い、やり直しよやり直しっ!!!」

 

ようやく我に返った紅葉が、戦いの内容に不満があったのか異議を申し立て、再戦を希望するのだが……

 

「残念ですけど、再戦は認められません……」

 

「どうしてですかっ!?理由をお願いしますっ!!!」

 

綾波が申し訳なさそうに紅葉の再戦希望を却下したところ、紅葉はその表情に怒りの感情をジワリと滲ませながら、再戦が認められない理由を綾波に対して、声を荒げながら尋ねるのであった

 

「竹刀などの近接武器は、艦娘の兵装として正式に認められているんです。実際、横須賀鎮守府の伊勢さんや日向さん、佐世保鎮守府の皐月さんは日本刀で深海棲艦と戦っていますからね。なのでそれに倣って近接武器の持ち込みも、この演習での使用も認められているんです」

 

「なら関節技は……、っ!?」

 

「格闘術の使用に関しては、それが有効だと判断される場合許可されていますよ?実際、綾波はいけると判断した時、積極的に格闘戦を仕掛けていますよ?」

 

綾波から理由を聞いた紅葉が、尚も食い下がろうと今度は関節技の件を取り上げて、再戦の許可をもぎ取ろうとするのだが、紅葉が全ての言葉を口にするよりも早く、合気道をベースにした投げ技を得意とし、接近戦が多くなる夜戦の際多くの深海棲艦を投げ飛ばし海面に叩きつけ、相手が痛みによって動きが鈍くなったところに、しこたま砲弾や魚雷を浴びせて戦果を挙げて来た綾波が、只ならぬオーラを放ちながらそう答えると、そのオーラに圧倒された紅葉は言葉を詰まらせ、口を噤んでしまうのであった……

 

そんな中戦治郎達はと言うと、紅葉達から離れた場所にて、磯風達と勝利の喜びを分かち合うハイタッチを交わしていたのであった

 

その後の演習でも戦治郎達は快進撃を続け、最終的にこの合同実習を全戦全勝と言う結果で終わらせるのであった




因みに磯風が使った朝練用竹刀は、戦治郎が腰に装着している格納ボックスの中に、大妖丸、51cm対艦ライフル、ヨイチさん、アンカークロー、ジェスターと共に格納されていました
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