さて、戦治郎の活躍によって、榛名のいじめ問題の主犯格は全員拘束された訳だが、彼女達のその後に触れる前に、整備科実習棟で戦治郎達が触れていなかった部分について、少しだけ触れておこうと思う
先ず戦治郎は那智達教官陣の協力を取り付けた後、部屋に戻ると大和達が装着したり手にしていた暗視ゴーグルと、犯人達の行動を監視しその映像を記録する監視カメラの製作に着手したのだった
監視カメラだけでなく、暗視ゴーグルまで準備した理由についてだが、それは犯人達の退路を断つ為と、犯人達を現行犯にするにあたって直接現場を見てもらう為に、教官達の内の数名を闇に紛れてあの場に潜ませる為である
尤も、犯人達が混乱して正常な判断が出来なくなり、戦治郎達に襲い掛かって武力鎮圧されてしまった為、暗視ゴーグルを準備した理由の半分くらいは、無駄となってしまった訳だが……
因みに無駄になったと言えば、今回の事を綾波と戦治郎から聞いて協力を申し出て、犯人達が実習棟の外に逃げ出した際、戦治郎達に代わって犯人達を取り押さえる為に、戦治郎が準備してくれた夜間戦闘用戦闘服を身に纏って外で待機していた磯風達とイクの4人も、骨折り損となっていたりする……
そうしてカメラなどを準備し終えたところで、大和と鹿島が言った様に、戦治郎達は整備科の教官達の協力を得て、実習棟に監視カメラを設置し、整備科の校舎の空き部屋に監視室を作り、そこでしばらく犯人達を泳がせて監視していたのである
犯人達をしばらく泳がせた理由は、犯人達の犯行時刻を正確に把握する為と、関東方面で開催された軍学校の校長達の会合に参加していた都合で、しばらく軍学校から離れていた校長の帰還を待ち、この事件の事を監視カメラの記録映像を添えて報告すると同時に、監視カメラの映像が偽物でない事を知ってもらう為に、カメラ越しとは言え実際に現場を見てもらう為である
因みに犯人達が言っていたが、ここしばらく榛名の艤装の調子が良かったのは、犯人達を監視室で監視していた整備科の教官と、戦治郎と特に仲が良いあの整備兵候補生3人組が、犯人達が細工を終えて戻った後、現場に急行して榛名の艤装を元の状態に戻してくれていたからだったのであった
その後、校長が江田島軍学校に戻り、この事件の事を知り、戦治郎達の提案に乗ってくれた事で、戦治郎の作戦は大成功して犯人を拘束する事に成功したのである
こうして戦治郎達に捕まった犯人達の自供により、この事件の関係者がどれ程いるのかが判明したのだが、それを聞いた戦治郎達は思わず愕然としてしまうのであった……
この事件に関わった者の数、驚きの80人オーバーなのである……
主犯格の戦艦艦娘候補生2人と整備兵候補生2人の他に、榛名と霧島のクラスメイトの9割7分5厘以上に加え、戦艦艦娘候補生達の教官の監視を担当していた者が5つある戦艦艦娘のクラスの内、榛名と霧島がいるクラス以外の3つに、大体4~5人ほどいたのである……
この事実を知った校長や教官達は、何故その統率力の高さをいじめなどに使ったのかと、思わず頭を抱えてしまうのであった……
そうして判明した事件の関係者達は、軒並み退学処分を受けてこの軍学校を去っていき、これにより生徒の数がおかしな事になった戦艦艦娘候補生達のクラスは再編され、戦治郎達の口から今回の事件の詳細を知った校長の判断により、今回の事件の被害者である榛名と、過去の経歴からそんな榛名をいじめから守れるだろうと判断された霧島は同じクラスとなるのであった
さて、ここまではあくまで関係者……、主犯格に協力した者達に対しての処分である……。ここからは主犯格4人に対する処分と、その後について触れていこうと思う
先ずこの4人も関係者と同じく退学処分にされたのだが、主犯格の艦娘候補生2人には艤装使用許可証の永久剥奪も科せられ、今後この艦娘候補生だった2人は、永久的に艤装に触れる事が許されなくなるのであった
更にこの4人は、校長から退学処分を言い渡され、軍学校の庇護下から離れるなり、校長達が現場に突入する直前に鹿島が呼んでいた警察にその身柄を渡され、榛名に対しての殺人未遂及び戦治郎に対しての傷害未遂の罪で逮捕され、その後開かれた刑事裁判で有罪判決を受けた4人は、しばらくの間刑務所の中で生活する羽目になってしまうのであった
尚、犯人達に下された判決は、その罪の中で最も重いものが適用されたのだが、それは被害者の中に戦治郎がいた為であったりする
戦治郎は現在表沙汰にはしていないが、イギリス、ドイツ、アメリカ、更には国ではないが穏健派連合、西方海域解放の関係で戦治郎達に深く感謝しているアフリカ諸国や、彼等の活躍で海の安全が確保されたオーストラリアやニュージーランド、護目炒飯基地のおかげで平和が保たれている台湾などから厚い信頼を得ている、国交のVIP中のVIPの様な存在なのである
しかし先程も言った通り、戦治郎が騒ぎになる事を恐れ、自身がその様な立場である事を公にしていない都合、警察は戦治郎に対しての攻撃=国の要人襲撃の件で犯人達を立件出来なかったのである
なのでその代わりとして、主犯格達に対しての判決は、最も重いものが適用されたのだった
因みに戦治郎は校長にいじめの件を報告するよりも早く、大和経由で警察にこの事を話し、証拠となる映像が入ったDVDと、軍学校側から連絡があるまでは犯人逮捕は待って欲しいと言う旨の手紙を送っていたりする。故に鹿島から通報があるなり警察は即座に行動を開始し、軍学校に到着するなり前もって準備していた逮捕状を見せて犯人達を逮捕して、パトカーで警察署まで連行して行ったのであった
こうして逮捕歴が付いた4人に対して、更なる追撃が加えられたのは言うまでも無い……
そう、いじめの被害者である榛名が、凄腕の弁護士である実の姉の影響で法にやたら詳しくなった戦治郎のアドバイスの下、主犯格4人を相手取って損害賠償を請求する民事裁判を起こしたのである。いや、榛名だけではない……、今回のいじめの舞台となった軍学校と、軍学校を管轄下に置く日本海軍までもが、主犯格4人に対して裁判を起こしたのである……
これにより主犯格4人は、多額の借金を背負う羽目になったのだが、まだまだ追撃は終わらない……
主犯格4人に地獄を見せてやろうと思った戦治郎が、護に監視カメラの映像を送り、その映像と映像の詳細を説明した文章を大企業だけでなく中小企業にも送る様に指示を出し、主犯格4人が刑罰を受け終えて塀の外に出て、背負った借金を返す為に働く事を阻止しようと行動を開始したのである
戦治郎の指示を受けた護は、今回もイオドと協力してこの映像と説明文を言われた通りに企業に送り、その映像を見た企業はすぐさま映像に映る人物達、主犯格4人の素性を調べ上げ、彼女達をブラックリストに登録すると、彼女達が面接を受けに来てもすぐに追い返す様にと人事課の者達に厳命し、彼女達の就職の道は戦治郎の思惑通り、完全に閉ざされてしまうのであった……
こうして多額の損害賠償によって所有する物全てを差し押さえられても尚、損害賠償を支払い切れず借金まみれとなるも、就職出来ないが故に借金の返済の目処が立たなくなってしまった主犯格4人は、親からも見捨てられ路頭に迷う羽目となり、塀の外に出た後の彼女達は行方不明となってしまうのであった……
これが嫉妬心を抑えきれず、過ちを犯してしまったばかりに、人生を棒に振ってしまった者達の最期であった……