※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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山風達御一行

「待てやゴルァッ!!!」

 

山風達一行を追うヤンキーの1人が、そう叫びながら手にしたキマイラの銃口を山風と集積地棲姫が乗るケートスに向け、ケートスを蜂の巣にしようと引き金に指を当てると……

 

「やらせるかよっ!」

 

刹那、その様子を見ていた集積地棲姫がこの様に叫び、手にしたリボルバー式拳銃のアリーズウェポンである『Delphynē(デルピュネー)』の銃口をヤンキーに素早く向けると、その引き金を躊躇い無く引き銃弾を発射、それに気付いたヤンキーは弾丸を回避する為に自身が乗るケートスを左側に傾け、大きく弧を描く様にして左側に曲げて集積地棲姫が放った弾丸を回避してみせるのであった

 

尤も、そのせいでヤンキーのキマイラの照準は大幅に狂ってしまい、そのヤンキーはその事実に舌打ちしながら再度キマイラを山風達の方へと向けようとする

 

「どうするんですか始さんっ!?このままじゃジリ貧ですよっ?!その水上バイクの燃料も残り少ないんですよねっ!?だったらここは私が囮になって……っ!!」

 

「ああもうっ!!同じ事何度も言わせるな面倒臭ぇっ!!!いいかっ!?例えお前1人が囮になったとしても、あいつらの誰かは絶対こっちに向かって来るんだっ!!!だったら無駄に犠牲が出ない方法取った方が幾分かマシに決まってるだろうがっ!!!つかそう言う事はその立派な大砲であいつらを傷つけてからいいやがれっ!!!」

 

「始っ!!うるさいっ!!!」

 

そんな中、日本刀を携えた比叡が集積地棲姫に向かってこの様な提案をしたところ、始と呼ばれた集積地棲姫は苛立ちながら比叡に向かって捲し立てる様にそう叫び返し、それを間近で聞いた山風もまた、その叫びのせいで集中力が途切れそうになってしまった為か、イライラしながら始に向かってそう叫ぶのであった

 

さて、ここでこの一行がどの様な経緯で共に行動しているのかについて、少しだけだが触れていこう

 

先ずこの始と呼ばれている集積地棲姫と山風だが、山風は日本海軍の鹿屋基地に所属しており、彼女がいた艦隊は南方海域での遠征任務中に強硬派深海棲艦の艦隊に襲われ、任務を遂行する為に必死になって応戦していたのだが、その最中にやたらハイテンションな奇声を上げながら移動する、金属片と思わしきものをこれでもかと言うくらいに巻き込んだ竜巻の様なものに突如乱入され、山風の艦隊はその存在に気付くなりすぐさま撤退を開始したのだが、突然の出来事に動揺してしまい1人逃げ遅れてしまった山風は、その不気味な竜巻に飲み込まれ、西方海域まで吹き飛ばされてしまったのであった……

 

その際、彼女の艤装は金属片と幾度となく衝突し、海上に浮かぶのがやっとと言うレベルまで破損してしまうのであった……。それでも尚、彼女が奇跡的に無事でいられたのは、恐らく辛うじて残っていた艤装に施された妖精さんの加護のおかげなのだろう……

 

そんな山風は西方海域にあるとある小島に流れ着き、そこで積 始(せき はじめ)と名乗る集積地棲姫と出会い、彼が水上バイクを保有している事を知ると、山風は始に自分を日本の鹿屋基地に連れて行って欲しいと、幾度となく頼み込むのであった

 

さて、山風にそんなお願いをされた始だが、最初は面倒臭いの一言で山風の頼みを断り、しばらくしてからは今の静かで平穏な無人島暮らしをブチ壊しにしたくないと言って断る様になるのだが、最後は山風が出した鹿屋基地の提督に始が快適な生活を送れる様にしてもらう様にお願いすると言う提案と、山風の必死さに根負けしてしまい、始は渋々と言った様子で山風を鹿屋基地に帰す為に、マダガスカルでの戦いの際戦治郎達が回収し損ねたケートスに跨り、日本に向かう事にするのであった

 

因みにこのケートスの燃料だが、ケートスが始がいた島に流れ着いた時には既に空っぽになっていたのだが、集積地棲姫である始の艤装の中にその燃料があったおかげで、ケートスは今こうして動いているのである

 

そうして移動している中、山風達は強硬派深海棲艦達に襲われ、艤装が壊れていて戦闘が出来ない山風に代わって、始がケートスのシートの下に格納されていたデルピュネーで何とか応戦していたところ、突如比叡が乱入して来て、ややぎこちない動きではあったが、始達を助ける様に強硬派深海棲艦達をバッサバッサとその手に持った日本刀で斬り捨てていったのであった

 

その後、始が訝しみながら比叡に自分達を助けた理由を聞いたところ、彼女は満面の笑みを浮かべながら

 

「少し前、ドロップ艦である私が深海棲艦に襲われて沈みそうになった時、深海棲艦であるはずの師匠が私を助けてくれたんですっ!それが切っ掛けとなって、私は師匠や貴方の様な訳アリな感じの深海棲艦は助けになれそうならば助ける様にする事にしたんですっ!!」

 

この様に言い放つのであった

 

因みにこの比叡、日本刀こそ持っているものの、その手の技術は一切持っておらず、先程の戦闘の際の動きも、自身が師匠と勝手に呼んでいる深海棲艦の動きを真似しただけなのだそうな……

 

そんな彼女はその師匠とやらに助けられ日本に送り返された後、本格的な剣術の教えを乞う為に、骨董品屋で買って来た日本刀を携えてその師匠とやらを探している様で、時々日本に帰還してはまた旅立つを繰り返しているのだとか……

 

尚、始が比叡にその師匠とやらについて尋ねたところ……

 

「見た目はすっごく変わっている方で、ほぼスッポンポンの状態でマントだけ羽織ってて、筒状の帽子を編み笠みたいに被ってて、手には仕込み刀が入った琵琶を持ってましたっ!そして艤装は黒い巨大な手みたいになっているのですが、それにはすごく大きな仏壇のアレ……、チーンって鳴らす奴ですっ!アレを持っていましたっ!!」

 

比叡はこの様に返答し、それを聞いた始と山風は比叡の正気を疑ったのであった……。2人はこの様な人物が本当に実在するのかどうかが信じられなかったのである……

 

その後、始達の事情を知った比叡が彼等に同行を申し出、山風がそれを承諾した事で3人は一緒に日本に向かう事となったのだが、彼等はその道中で運悪くカルメンの縄張りに入ってしまい、ヤンキー達に見つかるや否や襲われる羽目になってしまったのであった……

 

カルメンのヤンキー達と対峙した時、最初は始達も何とか応戦していたのだが、時間が経つにつれてヤンキー達の数が徐々に増していき、ヤンキー達の実力とその数からこちらが不利であると判断した始は、山風と比叡に撤退指示を出して逃げに入った訳なのだが、始が思った以上にヤンキー達は執拗に彼等を追い回し、その結果始達のケートスや比叡の艤装の燃料は、底を突きかけてしまうのであった……

 

(くそっ!こんな時、あいつだったらどう立ち回っているだろうか……っ!?)

 

この状況を打開すべく、始が内心で舌打ちしながらも思考を巡らせていると……

 

「始っ!前から何か来るよ……っ!」

 

突然ケートスを操縦していた山風が声を上げ、それに反応した始が前を見た瞬間、途轍もない速度で飛行する何かが始の視界に映るが、それは瞬く間の内に始達との距離を詰め……、いや、そう思っている頃には既に始達の横を通り過ぎていき……

 

「せいっ!!!」

 

それから飛び降りた人影が、そう叫びながらヤンキー達目掛けて飛び蹴りを放ち、その直撃を受けたヤンキーは桃色の水柱の中に消えてしまい、水柱が無くなった時には、その姿も完全に消え失せてしまっていたのであった……

 

「何だありゃ……?」

 

「飛び蹴りを受けた深海棲艦……、何処に行ったの……?」

 

突然の出来事に驚いた山風がケートスを停め、先程の飛行物体が飛んで行った方角に視線を向けていた始と山風が、思わずこの様な言葉を口にすると……

 

「飛び蹴りだけでアレかよ……、って事は俺と戦った時は相当手ぇ抜いてたって事だよな……?俺、もしかしてマジで命拾いした……、のか……?」

 

飛行物体がやって来た方角からやって来た空母棲姫が、山風のケートスの隣に止まるなりこの様な事を言い……

 

「あの……、貴方は……?」

 

「ああ、俺達は通りすがりのちょっと変わった空母棲姫だ。アンタらが困ってたみたいだから助けに入ったんだが……、おおう……、もう終わってらぁ……」

 

突然現れた空母棲姫である2Pに向かって比叡がこの様に尋ねると、2Pは比叡の質問に嘘偽りなく答えようとするのだが、その途中で戦闘が終わった事に気付くとやや引き気味にこの様な言葉を口にし、それを聞いた始達が2Pが向いている方へ視線を向けると、そこにはヤンキー達の返り血で真っ赤に染まった空の姿だけが存在していたのであった……

 

そんな空の姿を見た3人は、驚きの表情を浮かべたまま、只々呆然としてしまうのであった……

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