※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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香川県の方、本当に申し訳ございません……


天変地異

鈴谷を学費稼ぎの為にロードトレイン砲製作のバイトに参加させる事が決まり、戦治郎が支払う事となっているバイト代を宝くじを当てて稼いだ頃には、暦は5月から6月に移り変わっており、テレビに映る気象予報図上には梅雨前線が描かれ、それによって作られた雨雲が、日本中に雨を降らせていたのであった

 

因みにこの頃には鈴谷も病院を退院し、元気な姿で軍学校に復帰していたりするのだが、鈴谷の退院は悟が施した治療によって病院内で大混乱が発生した都合で、予定よりもやや遅くなっていたりする……

 

まあこれは仕方が無い事である、本来なら鈴谷が患っていた病気は、長期に亘って治療を施さなければ治らないはずのものだったのだが、それがものの数日の間に突然治ってしまっていたのである。当然の事ながらこれによって悟の能力の事を知らない病院内は激しく混乱し、その原因の調査の為に鈴谷の退院は先延ばしされてしまったのである……

 

さて、それはそうと戦治郎は鈴谷が退院した事を熊野から聞くと、すぐさまロードトレイン砲製作時のバイトの話を彼女に持ち掛け、今回の病気のせいでこれまでやっていたバイトを全て辞めさせられた鈴谷は、戦治郎から聞いた作業内容がどうも気に入らなかったのか、渋々と言った様子でそれに応じるのであった……。いくら作業内容が気に入らないとは言え、現状これ以外に学費を稼ぐ方法が無い鈴谷は、嫌でもこの話に応じるしかなかったのである……

 

そうして鈴谷の参加が決まった日の夜、雨が降りしきる中雨合羽を纏った戦治郎はグラウンドの真ん中で天を仰ぎ、その様子を赤い雨傘を差した大和が少し離れた位置から、少々不安そうな表情を浮かべながら眺めていた……

 

「その……、提督……?本当にやるんですか……?」

 

「ああ、ホントは7月になってから、梅雨が終わってから作業を開始する予定だったんだが……、鈴谷の為にもちょっちでも早く始めた方がよさそうだからな……」

 

不安そうな表情を浮かべたまま、大和が戦治郎に向かってそう尋ねると、戦治郎は天を見上げた姿勢のまま、大和の問いにこう答えるのであった

 

その後、戦治郎は天を見上げるのを止め、目を閉じたまま正面を向くと……

 

「そんな訳で、作業の邪魔になる雨雲様達には、しばらくの間余所に行っててもらいますかねっ!!」

 

そう言いながら勢いよく双眸を開き、両腕を突き出す様に前に伸ばすと同時に神帝之型を発動させ……

 

「オ"オ"オ"ォ"ォ"ォ"……ッ!!!」

 

それはそれは険しい表情をその顔に浮かべながら、地を這う様な低い唸り声の様な声を上げ、前に真っ直ぐ伸ばした両腕を何かをこねくり回す様に動かし始める……

 

そう、戦治郎は今、神帝之型の力を使って強引に気圧を変化させ、広島県どころか中国地方全域から雨雲を一時的に退けようとしているのだ……っ!実際、これにより中国地方を覆っていた雨雲達は、その全てが戦治郎の意思によって四国にある香川県上空に集められていた……っ!

 

因みに雨雲を完全に消さず、一時的に退けようとしている理由は、それによって中国地方全域が水不足に陥る様な事態を避ける為である

 

そして雨雲の移動先が何故香川県なのかと言えば、戦治郎が知る限りこの世界の香川県は、夏になる度水不足に陥り、その度に近隣の県から水を送ってもらっていたからである……。そう、戦治郎が雨雲を香川県上空に集めたのは、今年くらいは香川県の水不足を解消してあげようと言う、本当にささやかな心遣いなのである……っ!

 

尤も戦治郎のこの心遣いは、大量に降る雨に歓喜するこの世界の香川県民の皆様が、この喜びを分かち合う為に行ったうどん祭が原因となり、その殆どが無駄となってしまっていたりするのだが……、これは今はそこまで重要な事では無いので、この話はこの辺りにしておこう……

 

さて、こうして順調に雨雲を中国地方から退けていた戦治郎だが……

 

「あやっべ……っ!」

 

此処に来て何かをやらかしたのか、一瞬ビクリと身体を震わせたかと思うとこの様な事を言い、その次の瞬間……

 

「きゃあああぁぁぁーーーっ!!?」

 

「スマン大和おおおぉぉぉーーーっ!!!」

 

突如地面が恐ろしい程に激しく揺れ始め、その揺れに耐えられなかった大和は、手にしていた雨傘を投げ捨てて、驚きと恐怖が入り混じった悲鳴を上げながら地面にへたり込み、そんな大和の様子に気付いた戦治郎は、大規模な地震が発生する中慌てて彼女の方へと駆け寄るのであった……

 

如何やら戦治郎は両腕で雨雲を動かしていた際、誤って地震と地殻変動のモヤに触れてしまったらしく、雨雲の操作に集中する為に大和の事も意識から外していた結果、大和にも地震の影響が及んでしまったのである……

 

これにより軍学校にいる者達全てが避難の為にグラウンドに集まって来た為、戦治郎は雨雲操作を中断する事となるのであった……。尤も、雨雲の操作はこの時点でほぼ完了していた為、地震が収まりはぐれた者がいないかを確認する為の点呼が終わり、ラジオから流れる気象庁による余震の心配は無いと言う発表を聞いた後、教官達から自室に戻って室内の片付けを行う様にと言う指示を受けた戦治郎は、大和と共に部屋に戻るとすぐさま部屋の掃除を開始し、それが終わるとすぐにシャワーが動く事を確認し、シャワーを浴び終えた戦治郎は神帝之型を発動させた影響なのか、強烈な睡魔に襲われるなり即座にベッドに潜り込むと、深い眠りにつくのであった……

 

 

 

因みにこの地震、如何やら日本全土を揺らしたらしく、翌日戦治郎は今回の地震の原因が戦治郎にあると察した多くの者達から、大量のお叱りの言葉を貰う羽目になるのであった……

 

尚、この地震の影響で長門屋鎮守府建設予定地付近に、ちょっとしたサイズの山が出来上がり、この山が後に長門屋鎮守府に大きな影響を及ぼす事となるのだが、これについての詳細は、時が来た時に話そうと思う……

 

さて、こうして若干のトラブルこそあったものの、戦治郎の手によってロードトレイン砲製作の邪魔になる雨雲は見事中国地方からしばらくの間取り除かれ、中国地方はしばらくの間梅雨入りしているにも関わらず、快晴の日が続く事となるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~……、昨日の地震は一体何だったんですかねぇ……?おかげで小生の部下達が掘ったトンネルの一部が崩れてしまったのです……。まあ徹夜で修繕したついでに補強したので、あの規模の地震がまた来ても、もう崩れる事はないはずなのです」

 

戦治郎の不手際に因って地震が発生してから一夜明け、長門屋鎮守府建設予定地の地下深くにて、何者かが昨日の地震に対してぼやいていたのであった……

 

「さて、それはそうと今日も巣作りを頑張るのですっ!そう言う訳でお前達っ!今日もキビキビ働くのですっ!!」

 

その存在がそう叫んだその直後、地下トンネルのあちこちから、大小様々な蜘蛛の様な生物達が姿を現し、その一部は下に向かってトンネルを掘り始め、一部はつい先程蜘蛛達が掘ったトンネルを補強し始めるのであった

 

そうして蜘蛛達が作ったトンネルを、その存在は巨体を揺らしながら悠然と歩いていき……

 

「ストーップ!この辺りで止まるです!此処に大きな空洞を作って、そこにこの間の奴よりも大きな巣を作るですっ!!」

 

ある程度進んだところで、それは蜘蛛達に向かってこの様な指示を出し、それを聞いた蜘蛛達はその指示に従い、この場所に大きな空洞を掘り始めるのであった

 

「以前の奴はサイズが思ったより小さかったのか、何も起こらなかったですからね~……、今度はしっかりしたものを作るですっ!」

 

その最中、人間並……、いや、それよりも巨大な蜘蛛の姿をしたそれは……、旧支配者の1柱であるアトラク=ナクアは、今回作る予定の巣に思いを馳せながら、この様な言葉を口にするのであった……

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