戦治郎が鈴谷が抱える問題を解決する為に、呉鎮守府に出向中の武蔵の協力を得て彼女の事情を探ったり、偶然広島に研修に来ていた悟の力を借りて彼女の病気の治療を行ったり、彼女の学費を肩代わりする為に複数の宝くじを当てて金策した上で、少し前から計画していたロードトレイン砲『布都御魂』の製作を大規模化し、それを鈴谷に手伝わせる事でバイト代と言う形で彼女に援助していた頃、戦治郎の能力の影響を、地震と言う形でちょっぴり受けた九州地方にある、佐賀県鹿島市で長門屋鎮守府を建設している長門屋の面々はどうしていたかと言うと……
「梅雨に入ってから、思う様に作業が進まんな……。尤も、今の俺にはその方が好都合なのだがな……」
工廠に併設された自宅の寝室で、空は食堂で朝食を摂る為の準備として、身支度を整えながらこの様な言葉を呟いていた
空が言う様に鎮守府の建築作業は、頻繁に雨が降る梅雨になってからは、作業場の安全面の観点からしょっちゅう作業中止となり、キャシー襲来や空のパンツ調査の件、更には戦治郎のミスによって発生した大規模地震もあってか、輝が建築開始時から想定している進捗状況より、かなり遅れているのだとか……
因みに、耐震性も考慮した輝の設計のおかげで、地震に因る鎮守府の建物への被害は一切無く……
「そんな生っちょれぇ揺れで、俺が設計した建物がオシャカになるとか思ってんじゃねぇぞっ!!!この腐れ地震がよぉっ!!!」
鎮守府の建造物全般を設計した輝は、地震が収まった後そんな事を言いながら、地面に向かって中指を突き立て唾を吐きかけたのだとか……。傍から輝の様子を見れば、完全に変人の奇行そのものだが、これについてはあまり深く言及しないでおこう……
それはそうと、先程の空の発言について触れていこう
梅雨に突入し建築作業が滞り出した事で、建築作業に参加していたメンバー達に、自由時間を多めに取る機会が増え、空はそれを利用してある計画を実行に移したのだ
皆さんはゾアが長門屋入りする切っ掛けとなったミッドウェーでの戦いの後、空がサラから超極薄型のパワードスーツが格納されているブレスレットを受け取った事を覚えているだろうか?
そう、空はこの機会を利用して、このパワードスーツの改造を行っていたのである
空は先ず、このパワードスーツの解析と分析を行い、このスーツが持つ力を徹底して調べ上げ、スーツが持つ力と自分の構想を上手い具合に組み合わせ、スーツに改造を施したのである
具体的に言えばスーツの材質を、スパナ妖精が新たに加わった事で開発能力が向上した妖精さん達によってもたらされた、防火性、防弾性、防刃性、断熱性、更には耐衝撃性にも防水性にも優れ、周囲の環境に合わせて通気性と気密性を変化させる事で、身に纏う者や建材として組み込まれた家屋に、最高クラスの安全性と快適さを与える夢の様な繊維、『バンシー繊維』に変更したり、ヘルメットやブレスレット、スーツの防御力向上の為に、このスーツの売りである機動力を損なわない程度に取り付けた追加装甲の材質を、オベロニウム鋼とティルタニア樹脂にしたりと言った具合である
これによりこのパワードスーツの性能は格段に上昇し、空はこれを身に付ける事で、このスーツに最初から付いているパワーアシスト機能と、龍気の防御力向上効果と攻撃時の反動と負荷軽減効果を合わせて、自身の身体能力強化と防御力の更なる向上、更には全力攻撃時の自身へのダメージを無くす事に成功したのである
尤も、この事はブレスレットを受け取った際、その場にいた翔以外には伏せられていた。もしこの事を戦治郎に知られれば、戦治郎がしばらくの間拗ねてしまうかもしれないと言う、空なりの配慮の為である
そう言った訳で、空はこの機会を利用してパワードスーツの改造を行っており、昨晩遂に強化パワードスーツのプロトタイプが完成し、空は表情には出さないものの、上機嫌な状態でその日の朝を迎えたのである
そんな訳で上機嫌なまま身支度を整え終えた空が、曇天の中用心の為に持って来た雨傘を片手に、パワードスーツの完全版の完成に思いを馳せながら、それはそれは軽い足取りで食堂に向かっている途中、彼はある物を発見してしまうのであった……
空が発見してしまった物……、それは食堂から伸びる小さな黒い点の行列……、そう、食堂から砂糖の粒を持ち出し、巣に戻ろうとしている蟻さん達の行列であった……
それを目の当たりにしてしまった空は、大急ぎで自室に引き返すと、雨傘の代わりに少し大きめのスコップを手にし、雨が降って来た時に備えて雨合羽を着用すると、朝食の事等スッカリサッパリ忘れて、巣で待つ者達の為に今日もエッホエッホと頑張る蟻さん達の追跡を開始し、彼等……、いや、働き蜂や働き蟻のほぼ全てがメスである事を考慮すれば、彼女達が正しいか……、彼女達の巣穴を発見すると、すぐさまその巣の破壊の為に穴を掘り始めるのであった……。如何やら空の蟻に対してのトラウマは、相当根深いもののようだ……
それからしばらくの間、空は一心不乱に穴を掘り、蟻さん達の巣が既に壊滅していてもその手を止めず、只管その穴を深く深く掘り下げていき……
「ぬぉ……っ!?」
その途中で突如空が立っていた地面が崩れ、それに僅かながら驚いた空は即座にそれに反応し、壁にスコップを突き立てる事で、間一髪のところで足場の崩落に巻き込まれる事を回避したのであった……
「突然足場が崩れるとは……、ん……?」
壁に突き立てたスコップにぶら下がる空が、そう呟きながら先程崩落した足場に視線を移したところ、そこには謎の空間が広がっており、それを目の当たりにした空は、怪訝そうな表情を浮かべながら小首を傾げるのであった
「こんな所に空間があるとは……、ふむ……、今後の事を考えれば埋めておくべき……、いや、大黒丸のドック建設の際、これを流用するのも手か……。むぅ……、ならばこの空間がどれ程のものなのか確認しておくべきだろうな……」
その後空は独りで思考を巡らせながらそう呟いた後、この空間の広さがどれ程のものなのかを確認する為に、壁からスコップを引き抜いて地下の空間に降り立つと、着ていた雨合羽を脱いでスコップ共々ライトニングⅡの中に格納し、地下空間の探索を開始するのであった……
「これは一体どこまで続いているんだ……?まるで終わりが見えないのだが……」
探索を開始してかなりの時間が経過したところで、かなり深い所まで潜ったと思う空は、未だに底を見せようとしない地下空間に少々驚きながら、この様な事を呟くのであった
「これだけ広ければ、大黒丸のドックどころか他にも何か作れそうだが……、いや、それにしたってこれは流石に広すぎる……、ぬ……?」
その後、そんな事を呟きながら更に歩みを進める空は、視界の隅に蠢くものを発見し、つい反射的にそちらへ視線を向けてしまうのであった
そこには灰色のタランチュラくらいの大きさの蜘蛛がおり、その蜘蛛は空の視線を浴びるなり、驚いたかの様にビクリと身体を震わせた後、逃げる様にして地下空間の更に奥の方へ、カサカサと走って行ってしまうのであった……
「何故こんな所に蜘蛛が……?もしやあの蜘蛛……、この地下空間と何か関係があるのか……?ならば、この地下空間の事を詳しく知る為にも、後を追う必要性がある様だな……」
逃げる蜘蛛を視線で追っていた空は、そう呟くと先程逃げ出した蜘蛛……、アトラク=ナクアの眷属である灰色の織り手の後を追い始めるのであった……
現在コラボ中の、鳴神 ソラさんの『憑依天龍が行く!』が更新されました
果たして、仮面ライダークウガライジングアルティメットに変身したアレディと剛との戦いは、どの様な結末を迎えたのか……っ!?