※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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増援(笑)

長門屋鎮守府(仮)のメンバーに、新たに旧支配者であるアトラク=ナクアのエイブラムスとその眷属達が加わって1週間が過ぎた頃、佐賀県武雄市にあるマンションの一室では、その部屋の主である中間棲姫が、ブツクサと愚痴を零しながら部屋の掃除をしていたのであった

 

「今日はバイトが休みだったから、海賊団の連中が建築していると言う鎮守府の様子を見に行こうと思ったのに……。この天気じゃとても鹿島市まで行けそうにないわね……」

 

部屋の隅に床置きタイプの除湿剤と、忌々しいゴキブリを駆除する為の某ホイホイを設置した後、リビングの隅々に掃除機をかけていた彼女は、掃除機のパイプ部分に付いた取っ手を握るその手を止めて掃き出し窓から外の様子をチラリと伺い、空を覆う雨雲がパラパラと雨を降らせている事を確認すると、うんざりしながら深い溜息を吐き、部屋の掃除を再開するのであった……

 

先程彼女が言った様に、今日は彼女のバイト先のスナックバーが店休日であった為、彼女はこの機会を利用して長門屋鎮守府建設予定地へと赴き、リコリスに報告する為の情報を集めようとしていたのだが、天気が生憎の雨であった為、建設予定地までの移動方法が原付である彼女は、事故を起こして下手に目立って正体がバレてしまう事を恐れて予定を中止し、その代わりとしてこうして普段はあまり出来ないでいた部屋の掃除を行っているのである

 

そう言った訳で中間が部屋の掃除をしていると、不意に彼女が持つ強硬派深海棲艦が連絡を取り合う為に使用する通信機が、通信が入っている事を知らせる為の電子音を鳴らし始め、それに気付いた中間は慌てて通信機を手にすると、恐る恐ると言った様子で通信機を操作し、応答し始めるのであった……

 

何故彼女は恐る恐ると言った様子でこの通信に応答し始めたのかと言えば、中間が任務に集中出来る様にと言う事で、現在この通信機ではある人物以外とは通信出来ない様になっているからである……

 

そしてその人物と言うのが……

 

「中間棲姫、今ちょっといいかしら?」

 

「はい、全く以て大丈夫です。それでリコリス様、一体如何なさったのですか?」

 

中間が現在所属する組織、強硬派深海棲艦のトップであるリコリス棲姫であり、リコリスが中間にこの様に尋ねると、中間は通信機越しであるにも関わらず、思わず背筋を真っ直ぐに伸ばしながらこの様に返答するのであった

 

その後リコリスは用件を手短に伝えて通信を切り、通信を終えた中間は今までのうんざりした様な表情がまるで嘘だったかの様に、その顔に心から嬉しそうに、喜びの笑顔を浮かべていたのであった

 

先程のリコリスからの通信の内容を簡単に説明すると、如何やら以前から中間がリコリスにお願いしていた援軍が、1隻だけだが今日ここにやって来るとの事だった

 

因みに中間が援軍を要請した理由だが、それは単純にバイトで疲れて帰宅する自分の代わりに、家事をやってくれる者が欲しくなってしまったからである……

 

今日この日から、面倒な朝のゴミ出しや部屋の掃除、毎日の洗濯と味気ないコンビニ弁当から解放されると知った中間が、喜びの余り思わずリビングで小躍りしていると、不意に彼女の部屋の入口に設置された呼び鈴が鳴り、直感的に件のお手伝いさんが来たと感じ取った中間は、小躍りを止めて小走りになりながら玄関に向かい、1度咳払いをして気分を落ち着かせ、表情を引き締めながら玄関の扉を開くと……

 

「久しぶりね、中間棲姫……」

 

そこには変装しているせいでパッと見ではすぐに分からなかったが、リコリスの右腕であるはずの空母棲姫の姿があり、不満さ全開の表情を浮かべる空母棲姫は、中間の顔を見るなりこの様な言葉を口にするのであった……

 

これには中間も思わず驚き、その場で固まってしまうのであった……

 

(えぇ……?何でリコリス様の右腕である筈の彼女が此処に……?え?もしかして彼女が援軍なの……?普通に考えたら此処は人型のイロハ級を送るところよね……?ホント一体どう言う事なの……?)

 

「ねぇ……、取り敢えず入ってもいいかしら……?」

 

激しく混乱する中間が内心でこの様に呟いていると、玄関先に立たされたままとなった空母棲姫が怪訝そうな表情を浮かべながら中間にこの様に尋ね、それによって我に返った中間は空母棲姫に部屋に入る様に促し、彼女をリビングに通しバイト代でつい最近購入したソファーに座らせると、彼女に出すコーヒーの準備の為にキッチンへ向かうのであった

 

 

 

「待たせたわね、それで……、貴女がこの偵察任務の援軍……、なのよね……?」

 

「ええ……、全く以て不本意だけどね……」

 

「……もしかして貴女……、何かやらかしたの……?」

 

2隻分のコーヒーが乗ったトレーを手にしてリビングに戻って来た中間が、空母棲姫の前にあるテーブルの上に彼女のコーヒーを置きながらそう尋ねると、空母棲姫は相変わらず不満そうな表情を浮かべながらこの様に答え、彼女が出されたコーヒーに口をつけたところで中間がこの様に尋ねると、空母棲姫は1度ビクリを身体を震わせた後、心底不快そうな表情を浮かべながらも、自分が此処に来る羽目となった経緯について、ポツリポツリと話し始めるのであった……

 

如何やら彼女は空のパンツ調査の犠牲になって以来、原因不明の不調に陥ってしまい、何度も仕事のミスを繰り返した結果、こちらに飛ばされてしまった様である……。因みに彼女の後釜には、最近実力をつけてきたと言う空母水鬼が入ったとかなんとか……

 

尚、パンツ調査の話を聞いた時の中間の表情は、これまでに無いくらいに引きつっていた模様……

 

「まさか貴女がそんな目に遭うなんてね……、何というかその……、心底同情するわ……」

 

「何で私がこんな目に……、それもこれも、あの海賊団のサブリーダーの……っ!?」

 

空母棲姫の話を聞き終えた中間が、空母棲姫に向かって同情の視線と言葉を送ると、彼女はその双眸に涙を湛えながら、この場にいない空に向かって呪詛の言葉を掛けようとするのだが、彼女が頭の中に空の姿を思い浮かべたその直後、彼女の身体は再びビクリと震えた後、完全に固まってしまうのであった……。そして彼女の頭の中に現れた、彼女が思い描く空は……

 

『豚の様な悲鳴を上げろ、この雌豚が……っ!』

 

まるでゴミを見る様な視線を彼女に向けながら、とても本物の空が口に……、口に…………、口にしそうに無い様な言葉を浴びせ……

 

「ん……っ!」

 

空母棲姫が自身がイメージする空から汚物を見る様な視線と罵倒を浴びたその直後、彼女の全身は急に火照り始め、それと同時に電流に似た感覚が全身を駆け巡り、更には変装の為に穿いていたパンツが、彼女の恥部からほんの僅かに漏れ出した愛液によって濡れてしまうのであった……

 

そう……、この空母棲姫……、あろう事かパンツ調査の際に空から受けた仕打ちによってマゾヒスティックな快感に目覚めてしまい、任務中に空の事を思い出しては無意識の内に妄想に没頭し、挙句の果てには任務中であるにも関わらず、途中で抜け出して人がいないところにその身を隠すと、衝動に突き動かされるがままに、内に湧き上がる切なさを紛らわせる為に己を慰める様になってしまったのである……

 

そんな事を繰り返していた彼女が中間の援軍としてこの場所に送られる事になり、リコリスから任務の説明を受けている時はまだ彼女の理性の方が勝っており、自分ではなく人型イロハ級の誰かを送ればいいのでは?とリコリスに対して意見していたのだが、リコリスの口から長門屋の名前が出た途端、彼女の内に秘められた欲望と本能が大暴走を始め、欲望が妄想力を以て彼女の理性を制圧している間に、本能が彼女の身体を勝手に動かした為、彼女はこの偵察任務に参加する羽目になってしまうのであった……

 

彼女が中間に見せた不満そうな表情の原因は、気付けば断るはずであった任務に参加し既に現地に到着しており、更にはこうなった経緯をありありと思い出せてしまい、引くに引けない状況に陥っていたからだったのである……

 

(もうこうなっては仕方ない……、御主人さm……、じゃなくて石川 空……っ!私は絶対にお前の事を……っ!)

 

空母棲姫が内心でそう呟くと、彼女の中にサディスティックな表情を浮かべた空が再登場し、それに反応して彼女の恥部からは更に愛液が漏れ出して来るのであった……

 

こうして空のせいでM化した空母棲姫は、雨の中傘を片手に中間と共に市役所に向かって各種手続きを済ませ、偵察任務中は『前田 九十九(まえだ つくも)』の名を名乗る事となるのであった

 

因みに中間の偽名は、『中間 美姫(なかま みき)』となっているのだとか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、九十九に大きな影響を与えた罪作りな男……、空は一体どうしているかと言うと……

 

「エイブラムス……、俺は前に何度も言ったはずだぞ……?不必要な休日出勤やサービス残業はするなとな……?」

 

「いぢゃぢゃぢゃぢゃぢゃっ!!!ごめんなしゃいでぃしゅタイショーッ!!!もうしないでぃしゅっ!!もうしないでぃしゅからあ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ーーーっ!!!」

 

何度も注意したにも関わらず、石油コンビナート内での作業で無断休日出勤や無断サービス残業を繰り返していたエイブラムスことアトラク=ナクアを、五爪アイアンクローの刑に処していたのであった……

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