※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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集落跡地にて

突如姿を現した五十鈴が戦列に加わった事で、この戦況は多少なれど好転し、戦治郎達は少しずつではあるが、ポリプ達が這い出て来ていると言われている洞窟の方角へ、ジリジリと歩みを進めていくのであった

 

幾ら佐世保のヴルトゥームが作ったと言う対神話生物用機関砲があったとしても、結局のところ一定の間にそれの攻撃で倒せる敵の数にも限界がある為、五十鈴の加入で戦治郎達に歩みを進める余裕が生まれはしたものの、少数である戦治郎達に対して、幾ら倒されたとしても後から後からこの場に姿を現し、次々と襲い掛かって来るポリプ達相手では、無双など夢のまた夢なのである……

 

それでも戦治郎達はその歩みを止めず、ゆっくりではあるが只管前に進んでいき、遂にはこの島の住民達が住んでいたであろうと思われる、集落の跡地に辿り着く事に成功するのであったが……

 

「……うっ!」

 

集落跡地に辿り着くなり戦治郎達の視界にある物が映り込み、それが一体何であるかに気が付いた瑞鶴が、顔色をみるみる悪くしながらその場にしゃがみ込み、胃の中にある物を吐き出し始める……。そんな瑞鶴が目にした物……、それは腹部を何かに食い千切られ、下半身と上半身が背骨だけで繋がっている、恐らくこの集落に住んでいたであろう人間達の遺体の山だったのである……

 

「十中八九、ポリプ達の仕業だな……」

 

「その様ね……」

 

「これは……、惨過ぎますね……」

 

「この問題が解決した後、皆さんのお墓を建ててあげましょう……」

 

「いや、そこはじっちゃん……、いや……、呉鎮守府の提督さんに任せるぞ。悲しい事に日本の法律によって、勝手に墓作っちゃいけない事になってんだわ……。だからこの場合、軍を通して被害者を弔ってもらう必要あるんだわ……」

 

「軍を通す場合、現場検証なども入る可能性がありますから、現場を荒らさない様にする為にも、なるべく遺体には触らない様にしておきましょう……」

 

瑞鶴が地面に吐瀉物を撒き散らす中、戦治郎、五十鈴、大和、綾波の4人は、顔を不快そうに顰めながらこの様なやり取りを交わし、瑞鶴がようやく立ち直ったところで、戦治郎達は集落から少し離れた位置にあった小屋に入り、そこでポリプ達との戦いで疲れた身体を休ませながら、瑞鶴と五十鈴が何故此処にいるのかについて聞く事にするのであった

 

そう言う訳で、先ず瑞鶴が戦治郎達に事情を話したところ……

 

「馬鹿タレこのぉっ!!!」

 

戦治郎はかなり本気で瑞鶴を叱り飛ばし、仕舞いには彼女の頭頂部に拳骨を振り下ろすのであった……。まあ瑞鶴の場合、ある種の好奇心を満たす為にこの危険過ぎる戦場に、安静にしていなければいけないレベルの大怪我を負った妖精さんを連れてやって来たとも受け取れる為、この様な仕打ちも仕方ないと言えるだろう……

 

その後、戦治郎の拳骨を受け、あまりの痛みに床を転げまわる瑞鶴を尻目に、今度は五十鈴が戦治郎達に事情を話し始める……

 

五十鈴の話によると、如何やら彼女は夜の見回り中に、艤装を装着して何処かへ向かう大和達と、その後を追う瑞鶴の姿を目撃し、大和達には何があったかを尋ねる為に、そして瑞鶴にはすぐに部屋に戻る様注意する為に、艤装を装着しその後を追って来た結果、この事件に巻き込まれてしまった様なのであった……

 

「本音を言えば、この様な形じゃなくって、最初から私にも声を掛けてもらいたかったのだけど……」

 

「ああ、そういや五十鈴に関してちょっち気になってた事あったわ、おめぇ何で神話生物見ても平然としてるのん?普通、アレ見たらショックで気絶したり、頭おかしくなったりするもんだべ?実際、鹿島とかゾアの戦闘形態見てぶっ倒れてたし……。っとそれはそうと、何で五十鈴は無事なんよ?それとあの武器一体何ぞ?おっちゃん、あんな武器今まで見た事ねぇぞ?」

 

「やっぱり気になるわよね……、これについてはさっき言い掛けた言葉の続きになるんだけど、ちょっと戦治郎さん達に伝え忘れてた事があったのよ……」

 

五十鈴と戦治郎がこの様なやり取りを交わし、五十鈴が神話生物を見ても平気であった理由……、佐世保鎮守府に旧支配者であるヴルトゥームが住み着いている事、そして五十鈴が使っていた武器が、そのヴルトゥームが作り上げたも物である事を包み隠さず話したところ、戦治郎達はその顔に驚愕の表情を貼り付けながら、ただただ呆然としてしまうのであった……

 

その後我に返った戦治郎が、五十鈴に頼んで対神話生物用機関砲を見せてもらおうとしたその時である、戦治郎が表から殺気を感じ取り、急いで大和達に艤装を装着して伏せる様に指示を出し、更に彼女達の装甲や耐久力を上昇させる為に神帝之型を発動させた直後、突然小屋が大きく揺れ出すや否や、壁と天井が粉々に砕け散りながら勢いよく戦治郎達の後方へとぶっ飛んで行き、その原因が戦治郎達の頭上を掠める、戦治郎にとっては見覚えのある衝撃波であった事に気付くと、戦治郎は険しい顔をしながら衝撃波が発生した方角に顔を向け……

 

「……おぉん?」

 

視線の先にいる存在を正確に視認するなり、戦治郎は困惑しながらこの様な声を上げるのであった……。さて、何故戦治郎が困惑しているのかと言うと……

 

「まさかアッシのとっておきを壁越しに避けるとはなぁ……、如何やらそこの深海棲艦は相当な手練れみたいでよ……」

 

そこには戦治郎達の死後に行われた艦これのイベントにて初登場した、護衛棲水姫の艤装が、その短くちっちゃい4本の足で大地をしっかり踏みしめながら、この様な事を口にしていたからである……

 

そう、戦治郎が困惑している最大の理由、それは目の前にいるものが、戦治郎達の死後のイベントに登場していた都合で、戦治郎にとって全くの未知の存在だったからである……

 

「まあ相手がどんな奴であろうと、リコリスの部下である深海棲艦である以上、この場でブッ倒させてもらうでよ。恨むんなら、自分達のボスを恨むんでよ」

 

こう言った理由で戦治郎が困惑する中、戦治郎からしたら謎の存在となる艤装は、この様な事を口にした後、その口を大きく広げて口の中に衝撃波を溜め始める……

 

(ちょっ!?一体何ぞこいつっ?!見た目から深海棲艦だって分かっけど、細かい事がサッパリ分かんねぇぞっ!!?いや、それよりも……、何でこいつヘモジーが使ってた衝撃波を使えんだよっ?!?)

 

艤装の言葉で我に返った戦治郎は、内心でこの様な事を呟きながら、艤装が吐き出そうとしている衝撃波を避ける為に回避行動に移り、直後に発射された衝撃波を何とか躱してみせるのであった

 

「あっぶねぇっ!!」

 

「ふむ……、まあ壁越しに避けれるんなら、正面から撃つ奴に当たる訳ねぇでよ……。って事でお前達、出番でよ~」

 

衝撃波を間一髪のところで避けた戦治郎が、思わずそう叫んだ直後、艤装はこの様な言葉を口にしながら、エイの様な形をした艦載機と黒い丸っこい艦載機を頭部の飛行甲板から発艦させ……

 

「ようやくミー達の出番ザンスかっ!」

 

「まあ、カエルがあの衝撃波使える様になってから、俺達の出番がめっきり減ったからなぁ……」

 

艤装が発艦した艦載機達は、艤装の頭上で滞空しながら、この様な事をそれぞれ口にしていたのであった

 

これが後に長門ペット衆に加わる事となる、とある動画サイトで活動する動画投稿者の手によって唐揚げにされて食べられた過去を持つ、護衛棲水姫の艤装となったウシガエルの平八と、土地開発によって棲み処と餌場を奪われた事で、飢え死にしてしまった過去を持つ漆黒タコ焼きとなったワシミミズクの勘九郎、そして勘九郎と同じ様な経緯で死に至った過去を持つ、欧州棲姫が連れている艦載機となったオヒキコウモリの十兵衛の3匹と、その主となる戦治郎との出会いなのであった……

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