※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

510 / 655
獣達が戦う理由

この島に住む妖精さん達のおかげで、謎の艤装達との話し合いの場を設ける事が出来た戦治郎達は、手始めにそれぞれ自己紹介を行う事にしたのだが、戦治郎達が自己紹介を終えて次は艤装達の番となったところで、生前から野生動物であった事から艤装達には名前が無く、彼等はこれまで自分達の生前の姿の名称で呼び合っていた事が判明し、それでは分かり難いからと言う理由で、戦治郎がその場でウシガエルに平八、ワシミミズクに勘九郎、オヒキコウモリに十兵衛の名を与え、話を進める事にするのであった

 

こうして話し合いが始まった訳なのだが、直後に戦治郎はどうしても気になっていた事を……、どうして平八が防人の様に衝撃波を吐き出せるのかについて尋ねたところ……

 

「細かい理由は分からないんだが、如何やらカエr……じゃなくて平八、平八は、何か不思議な力が宿っている肉とかを食うと、その力をある程度使える様になるみたいなんだ」

 

「でよでよ、でもまあ、アッシが食べたものから得たその不思議な力は、そのまんま使える訳じゃなく、少し効果や威力が落ちたり内容が変化したりしてるみてぇでよ」

 

十兵衛が戦治郎の疑問に対してこの様に答え、それを補足する様に平八がこの様な言葉を口にすると、戦治郎はその話の内容に少々驚いた後平八が衝撃波を撃ち出す姿を思い返し、何処か納得した様な表情で、あぁ……、と声を上げるのであった

 

確かに今思い返してみると、防人が放つ黒い衝撃波は対象にぶつかるまでは、何処までも何処までも飛んで行くのに対して、平八が放った黒い衝撃波はある程度飛んだところですぐに消滅していたのである

 

「因みに、アナタ達の攻撃の威力を落とした奴は、ミー達がアフリカ大陸の辺りを移動している時、海底に転がっていた誰かの腕を、お腹を空かせた平八が食べた結果使える様になったみたいザンス」

 

「他にもここからずっと南にある島々の辺りを移動している時、でっかい人の舌みたいなのを発見して、思わず食っちまったでよ」

 

「確か舌を食ってから、妙に平八の身体が硬くなったよな……」

 

「でよ、その2つを同時に使う事で、アッシはそう簡単に傷つかなくなったでよ。おかげでリコリスを倒すと言う野望に、少し近付けた気がするでよ」

 

「腹減ってたからとか、思わずで食う様なもんじゃねぇだろ……、その2つはよぉ……。っとそうだそうだ、そういやもう1つ気になってた事があるんだわ」

 

戦治郎が衝撃波の事を考えている間に、平八達はこの様なやり取りを交わし、それによって気になる事を思い出した戦治郎が、平八達にある事を尋ねる……。そう、彼等とリコリスの因縁についてである……

 

因みにその質問を平八達にする前に、戦治郎は平八達に件のリコリスが紋付羽織袴を着ていたかを、問題のリコリスが己の祖父である正蔵であるか否かについて尋ね、平八達がそれを不思議そうにしながら否定すると、ホッと胸を撫で下ろした後改めて因縁に質問していた

 

もし彼等の因縁の相手とやらが正蔵だった場合、戦治郎は全身全霊を以てそれを阻止する為に説得しようと考えていたからだ。何故ならば、戦治郎達が横須賀鎮守府に滞在していた頃、空と手合わせをする為にやって来ていたクトゥルフから、オーストラリアのアンダーゲートを訪れた際に正蔵と戦う羽目になり、手も足も出せぬまま正蔵から一方的にボコボコにされたと、そう聞かされていたからである……

 

因みにこの時クトゥルフは……

 

「お前の祖父とやらは、外なる神の1柱か何かか……?」

 

などと戦治郎尋ね、質問された戦治郎は返答に困った結果、取り敢えず正蔵は常識と非常識を超越した何かと答えていたりする……

 

尚、そんな正蔵は現在、南西諸島方面で茶飲み仲間を見つけ、『ジジーズ』なるコンビを結成したりしているが、これについては後に触れていこうと思っている……

 

話を戻し、平八達とリコリスの因縁についてだが、如何やら平八と勘九郎は戦治郎達が知らない護衛棲水姫と言う深海棲艦の艤装や兵装に転生したらしく、強硬派にも穏健派にも所属しない彼女と共に、平穏な生活を送っていたのだとか……

 

しかし、強硬派の方でとある事件が発生し、強硬派深海棲艦達が転生個体に対して敵意を抱く様になると、彼女達の平穏な生活は終わりを迎える事となり、護衛棲水姫が平八達を保有していると言う情報がリコリスの耳に入ると、リコリスは護衛棲水姫諸共平八達を滅ぼす為に、恐ろしい数の艦隊を彼女の下へ差し向けたのだそうな……

 

こうして強硬派深海棲艦に襲われた護衛棲水姫は、平八達を守る為に囮となる事を決意し、彼等にガダルカナル島に逃げる様に指示を出すと、一切武器を持たないまま艦隊に突撃を仕掛け、涙を流しながら彼女の指示に従い、彼女が折角作ってくれたチャンスを無駄にしない為にも逃走を開始した平八達の目の前で、砲弾や艦載機の爆撃の嵐を一身に受け轟沈してしまったのだそうな……

 

この様な事があった為、護衛棲水姫のおかげで生き延びる事が出来た平八達は、自分達の手で彼女の仇討ちを決意すると、ガダルカナル島へ向かう事を止めて自分達を強くする為の旅を開始し、その道中で転生したばかりで混乱する十兵衛と出会い、彼に護衛棲水姫から教えてもらった世界情勢を話すついでに自分達の旅の目的について話したところ、状況を説明してくれたお礼として十兵衛が平八達の仇討ちを手伝うと申し出、3匹は打倒リコリスを掲げて自分磨きの旅を続けていたのだそうな……

 

さて、平八達の話を聞いた時、戦治郎はある事を思い出すのであった……。そう、現在空が連れている猫型艦載機のアグの事である……

 

空から聞いた話によると、アグは元はリコリスの右腕である空母棲姫……、現在佐賀県武雄市に在住の九十九の艦載機で、九十九の態度が気に食わないと言う理由で大暴れした末彼女の下から逃亡し、今に至っているとの事であった……

 

この事を思い出した戦治郎は、恐らく平八達が言ったとある事件と言うのが、アグの脱走劇の事なのではないかと考え、これを彼等に打ち明けるべきかどうかで僅かに悩むのだが、今彼等を変に刺激するのは得策ではないと言う考えに至ると、アグの件は彼等には黙っておく事を決意するのであった

 

それはそうと、平八達が何故この島にいて妖精さん達助けたのかについては、先程の戦闘の際に平八が口にしている為、改めて聞く必要も無いだろうと言う事で尋ねる様な事はせず、今度は自分達の番だと言わんばかりに、戦治郎達は自分達の事情について話し始め、戦治郎が自分達と同じ転生個体である事と、リコリスと真っ向から対立している事を知らされた平八達は、先程突然攻撃を仕掛けた事を素直に詫びるのであった

 

尚、平八達が戦治郎に攻撃を仕掛けた理由だが……

 

「いや、まさかアンタが俺達と同じ転生個体だなんて思ってなくてな……」

 

「その顔の傷とその身に纏った雰囲気から、リコリスのとこの幹部クラスの猛者だと思ったんでよ」

 

「艦娘達を連れている件については、人質用に鹵獲した艦娘を連れ回してるんだと思ったザンス」

 

3匹は口々にこの様に答え、それを聞いた戦治郎は微妙な表情をしながら大和達の方へと顔を向け……

 

「なぁ……、俺の顔ってそんなに悪人みてぇな酷ぇ面してっか……?」

 

この様な質問を投げかけたところ、五十鈴は視線を逸らし、綾波は苦笑を浮かべ、瑞鶴に至っては……

 

「バラライカ姐さんみたいで超怖い、まさかあのフェイスヴェールの下に、こんなおっかない顔があるだなんて全く想像出来なかったわ」

 

戦治郎の事を真っ直ぐ見据えながら素直な感想を述べ、戦治郎を大いに凹ませるのであった……

 

因みに、大和の答えだが……

 

「大和にはとても勇ましく、とても頼り甲斐のある顔に見えますから、提督は自信を持っていいと思いますよ?」

 

戦治郎のイエスマンらしく、その答えはとても肯定的なものであった……

 

その後、この集落跡地近辺にポリプ達がいない理由が、平八達が妖精さん達に頼まれてポリプを駆除していたからだと知ると、戦治郎は平八達にポリプ討伐に協力して欲しいと頼み、それを聞いた平八達はさっきの詫びだと言ってポリプ討伐に協力する事を了承、ポリプ達が這い出て来る穴を如何にかするまでの間、戦治郎達と平八達は共同戦線を張る事になり、足が遅い平八を戦治郎が背中合わせに背負い、その辺で見つけた紐で括って固定した後、戦治郎達は目的地に向かう為にこの場を後にするのであった




平八が保有する能力は以下の通り

防人の衝撃波(但し射程がオリジナルより短い)

Nの頑強(オリジナルの装甲値強化倍率が10倍であるのに対して、平八版は5倍)

一定範囲内に侵入した砲弾や銃弾、爆撃や雷撃の威力低下(オリジナルは不明)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。