話し合いによって平八達の誤解を解く事に成功した戦治郎達は、平八達と共にポリプ達が這い出て来ると言われている洞窟へ向かう事となった訳なのだが、その道中は相手の数に苦戦を強いられていたこれまでとは打って変わり、平八達のおかげでかなり楽に前に進める様になっていたのであった
基本的な陣形はこれまでと同じなのだが、戦治郎が取りこぼしたポリプ達が戦治郎を後方から援護する大和達に殺到しようとすると、戦治郎の背中に括りつけられた平八が吐く衝撃波が唸りを上げ、一塊になったポリプ達を一網打尽にして始末出来る様になったのである
因みに戦治郎達を援護する大和達は、平八の衝撃波の射程範囲外から援護を行っている為、平八の衝撃波に巻き込まれる心配は全くと言って良いほど無かったりする
又、平八の衝撃波は口から吐き出すだけに留まらず、鷲四郎や勘九郎達、更には岩本妖精さん達が駆る艦載機に衝撃波を纏わせる事で、艦載機をポリプ達が発生させる突風や触手から保護すると同時に、艦載機を誘導性を持つ衝撃弾に変化させたのである
これにより今までは戦治郎の取りこぼしの対処をしていた五十鈴と綾波に余裕が出来、大和と共に前方ポリプの処理に参加出来る様になり、それによって前方のポリプ達の数を今まで以上に減らせる様になった為、戦治郎達の進軍速度が上昇したのである
因みに戦治郎が平八を背中に括りつけている理由だが、それは平八の足が短く歩幅が狭い上に、平八の本来の性格が比較的のんびりしている為移動速度が遅いからである
実際、集落跡地での話し合いの時、誰もが壁も天井も無くなった小屋にすぐさま向かう中、平八だけがヨチヨチノタノタと短い足を必死に動かして移動しており、それを見かねた戦治郎が平八を抱きかかえて元小屋へ向かったくらい、平八の移動速度は遅いのである……
尚、ポリプ達との戦闘中……
「アヂャヂャヂャヂャッ!イヂャイイヂャイイヂャイッ!!くぅぉらぁ平八ぃっ!!!俺の髪に食い付くなYO!!!」
「アッシにベチベチ当たっている、この髪が全部悪いんでよ」
最前線で戦う戦治郎が大妖丸振るう度に、長らくカットしていなかった為に以前より少し伸びた戦治郎の後ろ髪が平八に度々当たり、それに苛立った平八が戦治郎の髪に噛み付き、髪の一部を食べてしまうと言うちょっとしたアクシデントが発生、それにより平八が戦治郎の能力の1つである自然災害操作……が変化して生まれた天候操作の能力を使える様になるのだが、これは現状そこまで重要な事では無いので、今は軽く触れるだけに留めておき、後日改めて触れていこうと思う……
さて、そうしている内に戦治郎達は歩みを進め、遂に目的地であるポリプ達が這い出て来ている洞窟に辿り着くのであった
その洞窟は突如として地中から迫り出して来た様な様相を呈しており、その周囲にはこの島に上陸する前に戦治郎達が目にしていた、恐らくポリプ達が作ったのであろうと推測される玄武岩で出来た塔が乱立しており、辺りにはこの世のものとは思えない、果てしなく不気味な雰囲気が漂っていた……
「目標捕捉っ!!!」
洞窟を発見した戦治郎がそう叫んだ瞬間、洞窟から大量のポリプ達がワラワラと姿を現し、すぐさま戦治郎達に襲い掛かって来る……
「あれが盲目のもの達の出処ねっ!!」
「どうするの戦治郎さんっ!?あれを爆撃するのっ!!?」
「いや、洞窟の方は俺に任せてくれっ!!!おめぇらは外にいるポリプ達の処理を頼むっ!!!」
\了解っ!!!/
ポリプ達が洞窟から出て来るところを目の当たりにした五十鈴が叫び、それに続く様にして瑞鶴が叫ぶ様にして戦治郎にこの様に尋ねると、戦治郎は艦娘達に向かってこの様な指示を出し、艦娘達が返事をして行動を開始するところを見届けると……
「蟻みてぇに次から次に湧いて出て来やがって……、空ならきっと内部に突撃して殲滅するんだろうが……、俺はもっとスマートにやってやんよぉっ!!!」
この様な事を口走りながら戦治郎は神帝之型を発動させ、右手で『溶岩流』のモヤを握り潰す。刹那、洞窟の手前が突然隆起し始め、それが活火山へと姿を変えると火口からそれはそれは凄まじい勢いで溶岩が溢れ出し、それはポリプ達の巣窟と思われる洞窟の中へと一直線に流れ込み始め、溶岩は洞窟内に残るポリプ達をその熱で次々と焼き殺しながら、洞窟の中を隙間なく満たしていくのであった……
それからしばらく経ち、火口からの溶岩の流出が収まり、洞窟内を満たした溶岩が全て冷えて固まり火成岩となったところで、戦治郎はトドメとばかりに今度は『隕石落下』のモヤを握り潰し、およそ10個程の隕石を洞窟に叩き込んで洞窟をクレーターに変化させ、しばらくクレーターの様子を観察してポリプ達が湧いてこない事を確認すると、外に残ったポリプ達の処理に参加、こうして戦治郎達はこの島から完全に飛行するポリプを駆逐する事に成功するのであった……
その後、大和が横須賀鎮守府の長門に連絡を入れ、事の顛末を説明した後横須賀鎮守府経由で呉鎮守府に事後処理をお願いする様に頼んでいる中……
「さて……、俺達はやる事やったから帰るんだが……、おめぇらはどうするんだ?」
軍学校に帰る準備を整えながら、戦治郎がポリプ討伐を手伝ってくれた平八達にそう尋ねると……
「アッシ達はしばらくの間、この島に残るつもりでよ」
「妖精さん達はこの島を離れる様な事はせず、この島に集落を再建するみたいだから、俺達は妖精さん達の護衛をするついでにその手伝いをするつもりなんだ」
「せかせか、まあ、妖精さん達は深海棲艦と対立してっから、もしかしたら今回の件をチャンスとみた深海棲艦に襲われる可能性あっからな……」
平八達はしばらくの間この島に残る旨を戦治郎に伝え、それを聞いた戦治郎はこの様な事を口にした後……
「なぁ、もしおめぇらにその気があったら、妖精さん達の集落の再建が終わった後、俺達と一緒に深海棲艦と戦わねぇか?」
平八達に向かって、共に深海棲艦と戦おうと続ける
「その気持ちは有難く受け取っておくでよ。けど、アッシ達の復讐はアッシ達の問題でよ」
「これ以上、ミー達の都合で他のものを巻き込む訳にはいかないザンス」
「俺は自分から首突っ込んだクチだからな~……、基本平八達の意見に従うつもりだわ」
だが、平八達は自分達の目的……、護衛棲水姫の敵討ちは自分達だけでやりたいと言って、戦治郎の提案を断るのであった……
「その気持ちは分かるが……、本当におめぇ達だけでそれが達成出来ると思うか?おめぇ達が見たって言う艦隊、多分強硬派深海棲艦の規模から考えると、氷山の一角どころじゃねぇと思うぞ……?」
それに対して戦治郎はそう言って自分達が今まで見て来た物……、欧州やミッドウェーにあった深海棲艦の補給拠点で見た尋常では無い量の資源などから推測される強硬派深海棲艦の組織の規模を平八達に伝え、それを聞いた平八達を驚愕させるのであった
「平八、おめぇの能力は確かに強力だ、鍛えたりしっかり使いこなせる様になれば、強硬派の連中なんざ相手にならんだろうよ……。けど、幾らおめぇらが強かったとしても、流石に3匹だけじゃあの物量はどうにも出来ねぇと思うんだわ……。だからこそ、俺達と一緒に戦わねぇか?その方が絶対勝算あっし、おめぇらが望むなら強化用の装備とか作ってやれるからなっ!どうよ?」
戦治郎の話を聞いた事で、自分達の復讐が如何に難しい事なのかを思い知らされた平八達は、最終的には戦治郎の提案を呑む事にし、妖精さん達の集落の再建が終わった後、戦治郎達の軍門に下る事を約束し、それを聞いた戦治郎は笑顔を浮かべながら平八達に向かってサムズアップをした後、通信を終えた大和達と共に軍学校へと帰還するのであった