※この作品はR-18です。

鬼の鎮守府   作:稲荷童子

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宅配ピザ殺人事件 起

その日、本来なら工廠組は工廠の地下に大黒丸用の格納庫を作る予定だったのだが、現場責任者である空がエイブラムス達に対して労働基準法とな何かについての講習会を開く事を決定し、これによって予定していた作業に参加出来ないからと言う理由で、急遽工廠組であるシゲ、護、ヴェルの3人の予定に大きな穴が空いてしまうのであった

 

因みに資格取得の際にその辺りも勉強していた関係で、シゲ達はその講習会を免除されていたりする

 

そんな訳で突如暇になってしまった3人の内、シゲは横須賀に滞在中に理容師と美容師、更にはネイルアーティストに関する資格を取っていた司に頼んで、今の今までずっと伸ばしっぱなしにしていた髪を切ってもらう事にし、ヴェルはついでに自分も作業の邪魔にならない様に少し切ってもらおうと考え、共につい最近完成した司の服屋と美容室、悟が主になる予定になっている医療施設がある入渠施設へと向かい、独り残された護は、自室に戻ってネトゲをプレイする事にしたのである

 

そうして自室に戻った護がネトゲにログインすると、丁度I.O.D.もログインしていた為、そのままチームを組んで対戦に参加したのだが、如何やらリアルに元気が無いのかI.O.D.の動きにいつものキレが無い事に護が気付き、このままではチームの勝率に影響が出るからと、個人チャットで彼に何があったのか尋ねてみたところ……

 

『近所の宅配ピザ屋が潰れたンゴ……、近くにはそこしか宅配やってるピザ屋が無いから、別の宅配ピザ屋が近所にオープンするまでの間、自宅でピザが食べられなくなるンゴ……』

 

I.O.D.は心底残念そうな様子が滲み出るかの様な文章で返答して来たのであった……

 

これに対して護が外食するのはどうかとI.O.D.に提案してみるも、I.O.D.は外にだけはどうしても出たくないと、それを頑なに拒否するのであった……。尚、その理由を護が尋ねてみても、I.O.D.は歯切れの悪い返事をするばかりで、外に出たくない理由を答えようとはしなかったのであった……

 

そんなI.O.D.に僅かながら苛立ちを覚えた護は

 

「理由が言えないなら仕方ないッスね~……、もしI.O.D.が外出出来るんなら、めっちゃ美味いピザが食える自分の知り合いの店を紹介してたんッスけどね~……、あぁ~、I.O.D.と神様すら満足させる様なピザ食えると思ってたんッスけど、ホント残念ッスね~……」

 

この様な事を口にしながら、イオドに先日シゲ達と共に食べた翔が作ったピザの画像を、イオド宛のEメールに添付し送信ボタンを押すのであった

 

するとその直後、イオドから自宅の位置を示す印が付いたMAPの画像データと、自宅の詳しい住所と……

 

『そのピザをこのMAPの場所まで持って来て欲しいンゴ!頼むンゴ!一生のお願いンゴ!!』

 

翔のピザを食べたいと言う欲望で我を忘れ、個人情報の流出など一切気にも留めず、必死になって翔のピザを求める文章が添えられたメールが返信されるのであった……

 

そんなイオドの様子に若干引きながら、護が送られて来たMAPと住所に目を通したところ……

 

(う~……?佐賀県ってここッスよね……?それにこの地名……、どっかで見たッスねぇ……)

 

メールに書かれていた住所に見覚えがあったのか、護は内心でこの様な言葉を呟きながら、すぐさまその住所を検索に掛けて調べてみたところ、メールに書かれていた住所は、護達が住んでいる鹿島市から少し離れた佐賀市の南部にある町の中である事が判明するのであった

 

この事実を知った護は即座にイオドの家に突撃してオフ会をやろうと思いつき、そこまで言うなら仕方ないとイオドに向かって返信した後、すぐさまオフ会の為に行動を開始するのであった

 

行動を開始した護が先ず向かったのは、画像のピザを作った張本人である翔がいる食堂で、護は翔にこの事を話し協力を得る為に交渉を持ち掛けたところ……

 

「僕が作ったピザを食べたいって言うなら、喜んで作ってあげたいところなんだけど……、距離的に宅配は難しいんじゃないかな?多分途中でピザが冷えて美味しくなくなっちゃうよ?」

 

翔はこの様に答え、護の計画はここで頓挫しかけてしまう……。だが……

 

「でしたら翔さんが直接その人の家に行って、ピザを作ってあげるのはどうでしょう?その日翔さんがいない分の穴は、私達が頑張って埋めますから」

 

丁度近くで護達の話を聞いていた鳳翔がこの様な提案をし、それを聞いた翔は心配そうな表情を浮かべながら、心配するなとばかりに笑顔を浮かべる鳳翔と、何処か必死さを感じる護の顔を交互に見た後、1つ溜息を吐くと鳳翔の提案に乗り護と共に材料を持ってイオドの家に向かう事にするのであった

 

この時、ゾアが翔の手伝いをしたいから付いていくと言い出し、護が流石にそれは不味いのではないかと考え、ゾアの同行を断ろうとするのだが……

 

「そう言えばさっき、護のオフ会の件に協力してくれるなら、可能な限りのお願いを1つ聞いてくれるって言ったよね?だったら護のオフ会に協力するから、ゾアの同行も許してもらえないかな?ここに来て以来、ゾアはずっと食堂で僕達の手伝いばかりしてたからね、ちょっとした気晴らして事で、ゾアに外の様子を見せてあげたいんだ。一応、人がいるところでは僕のリュックの中に隠れてもらうつもりだけど……、いいよね?」

 

このオフ会で一番重要な役割を持つ翔から、この様に言われては仕方ないと言う事で、護はゾアの同行を許可し、それを聞いたゾアは喜びのあまり翔に飛びつくのであった

 

こうして護とイオドのオフ会に、翔とゾアが参加する事が決まったところで、食堂に設置されているテレビから、不穏な単語が聞こえて来るのであった……

 

『数日前から、高校生数名の行方が分からなくなっている事件の続報です。少年達は佐賀南部のとある廃屋に肝試しに行くと……』

 

これを聞いた直後、護と翔、ゾアと鳳翔は真剣な面持ちをしながら、高校生の行方不明事件の続報が流れるテレビの方へと顔を向け……

 

「先程テレビで言っていた場所……、護の友人とやらがいる場所ではないか……?」

 

「いやいやいや……、この事件にI.O.D.が関わってるとか、流石に有り得ないッスよ~。だってあいつ、どんな事があろうと外に出るつもりないみたいッスから……」

 

「もしかして、その人はこの事件と関りがあるから、この事件を隠し通す為に外に出ようとしないとか……?」

 

「しかし護さんの話からすると、その人が犯罪に手を染めるとは考えにくいのですが……」

 

高校生行方不明事件の話を聞いた3人と1柱は、護の知り合いがこの事件に関わっているのではないか?と議論を始める。と、そんな中……

 

「ふぃ~、サッパリしたわ~!」

 

「随分とバッサリ切ったね、まあ、中身が男の人だからそのくらいの長さの方が丁度いいのかもしれないな」

 

「それにあの長さは、流石に作業中邪魔になるからなっ!って、お前らどしたんよ?」

 

散髪を終えたシゲとヴェルが、この様なやり取りを交わしながら食堂の中に入って来て、3人と1柱の様子を見るなり少々驚きながら、何があったか尋ねて来るのであった

 

その後、護がシゲ達に事情を話したところ……

 

「そう言う事ならすぐにそいつのとこ行って、自分達の目で白か黒か判断すべきじゃねぇか?白だったら疑ってごめんなさいして、黒だったらその場でとっ捕まえて警察に突き出せばいいだけだからな」

 

シゲはこの場にいる者達全員に向かってそう言い放った後、少し言葉を区切ってからこの様に続ける……

 

「んで、もしそいつが黒で、しかも神話生物関係とかだったら、急いで対処しねぇといけねぇな……。被害者を生贄にしているケースだとしても、神話生物が直々にやらかしてるケースだったとしてもな……」

 

「神話生物関連……、確かに空さんのとこのエイブラムスの件もあるし、完全に無いと言い切れないね……」

 

「その辺ハッキリさせる為にも、行った方が良さそうッスね……。もしこの事件が神話生物関係だったら、この事件の捜査している警察から被害者が出かねないッスからね……」

 

シゲの言葉を聞いた翔と護が口々に思った事を言葉にした後、真実を明らかにする為に今からI.O.D.の下に向かう事を護が決定すると、神話生物が関わっている可能性を考慮してボディーガードとしてシゲが、そしてシゲが行くならと言う事でヴェルも同行する事となり、4人と1柱は翔が保有するホンダのステップワゴンに乗り込むと、問題のイオドの家へと急いで向かうのであった……

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